震度5以上の地震が多かった月について調べてみた(2024年8月:3回)

なんか最近、震度5以上の地震が多くないかしら?

そういう印象のある時期にお読み頂きたい記事として、前回(↓:震度4)よりも恐怖を覚えそうな「震度5(弱)以上」で集計してみようと思います。

基本情報:震度5(弱)以上って普段どれぐらい起きてるの?

物事が多いか少ないかを判断するにあたっては、「普段どれぐらい起きているか」が重要です。ただ、あんまりそういう目線で纏めた記事を見かけなかったので、過去に私が調べたデータを引きましょう。

2021年に考案した「震度でみる『平年値』(1991~2020年)」のデータから『震度5』を抽出してみました。データ元は気象庁の「震度データベース検索」で、私が加工・集計し下のnote記事を書きました。合わせてお読みくださいますと嬉しいです。

(出典)
 地震の「平年値」を考えてみた(全国・有感地震編)
 https://note.com/yequalrx/n/n22ad7e0de6c0

こうしてみると、月1回ペースでも年2桁となり、少なくともそれでも『少なくない』というのは意外に映るかも知れません。月平均1回も起きない年の方が多いのであって、仮に震度5以上が複数回あるような活発な地震活動があれば、より間隔は広がっていくこととなります。年ベースでは「年2桁」が一つの目安かも知れません。

ですから単純に行けば「月に2回」でも多い方なのですが、現実をみると『多い』と感じるのは「月に3回」ぐらいが一つの目安となりそうです。

2023年5月23日時点(新島付近の地震)で簡易的な表を作りましたが、こうしてみると震度5弱が「1回」もない月が結構あることがわかります。ちなみに、前回と同じ感じで平均値を求めてみると、

項目回数
平均値(Average)1.13回
標準偏差(Stdev)2.96
2001~2022年までの月回数で集計

直感と同じく、月1回程度という平均値となります。震源の位置と規模によって2桁に達したこともあるため「標準偏差」の値は大きくなっていますが、実際には熊本地震以降6年以上「震度5弱以上が4回の月」がなかったことを思うと、『平常時』とそれ以外での値に極端な差があることが窺えます。

震度5以上が多かった月を振り返る

実は、震度7だったり大地震だったりの月を除くと、2桁どころか月に5回という事例も殆どないのが最も注目すべき点ではないでしょうか(↓)。

  1. 【33回】(2011/03)東北地方太平洋沖地震東日本大震災
  2. 【22回】(2016/04)熊本地震
  3. 【18回】(2004/10)新潟県中越地震
  4. 【17回】(2011/04)福島県浜通り地震
  5. 【15回】(2024/01)能登半島地震
  6. 【 6回】(2023/05)

つまり印象とは異なり、震度5以上の地震が実際に何度も起きる地震というのは決して多くないのかも知れないのです。過大評価なども含めて確かに緊急地震速報を聞く機会は多くなるかも知れませんが、震度5弱以上が3回という月は、例えば熊本地震(2016/4)の後では以下のみです。

5弱5強6弱6強7 
2017/07 3
2020/12 3
2021/12 3
2022/03 3
2022/06 3
2023/05 6
2024/0118
2024/04 3

2023年5月は、熊本地震以来初めて「月に4回」に達した訳であり、これは過去の実績値からすると、平時では数年に1回のスパンとなっています。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
2023/05/05 14:42:04.1能登半島沖12 km6.5震度6強
2023/05/05 21:58:04.1能登半島沖14 km5.9震度5強
2023/05/11 04:16:41.9千葉県南部40 km5.2震度5強
2023/05/13 16:10:27.7トカラ列島近海12 km5.1震度5弱
2023/05/22 16:42:41.2新島・神津島近海11 km5.3震度5弱
2023/05/26 19:03千葉県東方沖50 km6.2震度5弱
(出典)気象庁 震度データベース検索

なお、細かく見えるかも知れませんが、「震度5強以上が3回」というのは、2016年「熊本地震」以来です。21世紀の実績値からすると、“震度5強は震度5弱の3割ぐらいの回数しかない”ので、確率的に(?)言えば、この「震度5強以上が3回」の珍しさを注目……する方も多いのだろうと予想します。

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