震度4以上の地震が多かった月について調べてみた(2023年5月11日:2桁到達)

【はじめに】
皆さん、早速ですが「震度4以上の地震」が多いなぁ~ と感じる時期をお過ごしじゃないですか? この記事を書いている2022年春がまさにそんな感じです。今回は「震度4以上の地震が多い月」というピンポイントな調査対象に絞って、過去事例を調べていきたいと思いますので、宜しくお願いします。

(↓)下の記事も合わせてお読みください。2022年3月時点で起稿した記事です。

(↓)そして、似た記事で「震度5以上」も作りました。こちらもぜひご覧下さい。

基本情報:震度4以上って普段どれぐらい起きてるの?

物事が多いか少ないかを判断するにあたっては、「普段どれぐらい起きているか」が重要です。ただ、あんまりそういう目線で纏めた記事を見かけなかったので、過去に私が調べたデータを引きましょう。

2021年に考案した「震度でみる『平年値』(1991~2020年)」のデータから『震度4』を抽出してみました。データ元は気象庁の「震度データベース検索」で、私が加工・集計し下のnote記事を書きました。合わせてお読みくださいますと嬉しいです。

画像2

年平均で40~50回台というのが『平年並』となり、余震などを一切考慮しないで単純に平均を取ると、「週1回、月5回」程度が一つの目安となりそうです。

ただし、このデータには、震度観測制度や気象庁震度階級が古い時代の情報も含まれているので、少し対象範囲を狭めて2001年以降とし、2021年度までの約20年間の「月別平均」などを取ってみることにしました。この結果がこちらです。

項目回数
平均値(Average)5.98回
標準偏差(Stdev)13.31

上のカラーの表で推計したのと近く、平均は「月6回」程度となりました。そして、後述しますけど、東日本大震災や熊本地震など地震活動が極めて活発な時期に回数が非常に多くなることがあるために、標準偏差は比較的高い値になっています。

もちろん、地震の起き方には平常時でも緩く波がある気がしています。比較的穏やかな方だった2021年の月別データを抜粋してみると、

2022年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
回数
赤色:トカラ列島での群発地震が発生した月

顕著な地震活動に引っ張られる月がありつつ、多い月と少ない月が上下にスイングしているのが分かります。多い月が何ヶ月も持続するというのは2011年などごく一部です。大半は3ヶ月と続きません。

グラフ化してみた

ここからは、上述の気象庁の「震度データベース検索」で、2001年以降+震度4以上を「月別回数」で検索し、私がグラフ化してみましたので、それらを見ていきましょう。

【グラフ1】単純なグラフ(2001~2022/3)

データの出所はすべて「気象庁 > 震度データベース検索」。赤色は「12ヶ月」移動平均で作者が加工して追加(以下同)

移動平均をみると、ほぼ1桁で推移していますが、数十~百回単位の地震が起きた時期に引っ張られ、「丘」みたいになっている時期が数度認められるかと思います。全体的に見ても、2桁に達する時期は年に1シーズンぐらいなもんだということが分かります。ここから上の表の縦軸をいじっていきます。

【グラフ2】1桁回数を除外

焦点を絞るために1桁(10回未満)を思い切って非表示にしてみました。それがこちらのグラフです。

2003・2004・2007・2008・2011・2012・2016・2018・2022年に2桁を超える月がありますが、毎年のように起きるものではないことも分かります。表示下限を10回としているので、2007年や2022年の事例が少なく見えてしまうかも知れませんが、普段の倍近く起きてることを忘れてはなりません。

ちなみに、2022年3月の「2桁回数」というのは、2018年(北海道胆振東部地震)以来のことだったというのが一つのポイントになろうかと思います。それぐらい久々だったのです。

【グラフ3】2桁に達したかだけに特化

次の図は思い切った加工をしてみました。縦軸を「9~10回」とし、青線のあるところは2桁回数以上の地震が起きている月を示しています。頻度としてはかなり小さいことがはっきりとしてきました。

ではここから具体的な事例検証に移りたいと思います。

震度4以上が月10回以上起きた時期を振り返る

上の青色の部分を以下のとおり纏めてみました。「①震度4以上」が上で示した青色部分となります。

①4以上顕著なイベント②余震域①-②
03/0722宮城県北部地震20
04/1059新潟県中越地震56
04/1119 〃13
07/0312能登半島地震10
08/0614岩手・宮城内陸地震12
11/03153東日本大震災※146
11/0463 〃61
11/0520 〃18
11/0618 〃12
11/0716 〃12
11/0817 〃13
11/0913 〃
12/0112 〃
16/04122熊本地震120
16/0510 〃
16/1013鳥取県中部地震10
18/0921北海道胆振東部地震18
18/1011 〃
22/0311福島県沖地震
23/0514能登群発地震
(※)「東日本大震災」に関しては、単純な「東北地方太平洋沖地震」の余震域だけでなく、「長野県北部地震」の余震域や、厳密には範囲外ではあるかも知れないが、茨城・千葉県境付近や千葉県東方沖の領域を含み、日本海溝沿い+東日本内陸部を除いたイメージで算出している。

この表から読み取れることは、「震度4以上が2桁以上」起きた月はいずれも震度6~7級の地震が起きており、その余震の影響が大半を占めるということです。一番右が「余震域を除いた全国での震度4以上の地震の回数」のイメージなのですが、東日本大震災時を含め、すべて1桁回数となっています。

すごく恣意的な図を作ってみましたので、ご紹介しましょう。気象庁「震度データベース検索」から、2011年3月以降で「東北地方太平洋沖地震+長野県北部地震+α」の領域だけを除いて指定し、震度4以上の地震をプロットしてみました。

(出典)気象庁 > 震度データベース検索 より「画像内の条件」で検索し加工の上、画像引用

あの東日本大震災の起きた2011年であっても、10ヶ月間で三十数回、単純平均で月数回となります。繰り返しになりますが、あの東日本大震災の時であっても、余震域以外では『極端に増えた、日本列島全国的に震度4以上が急増した』というところまでは至っていないのです。

これはその他の活断層型の地震などでも同様の傾向にあります。例えば、熊本地震が一番活発だった2016年4月は全部122回起きていますが、九州地方以外では僅か2回です。

回数だけでなく、色んな地点で起きているかも重視

そういった視点に立って、私が書いたのが下の記事です。震央の「地点数」で再集計しています(↓)

余震活動は別にして、全国的にみてそんなに頻繁に起きる訳ではない「震度4以上」の地震が、全国的に発生しているとなれば、回数は2桁に達するかどうかであっても、『予想外に自分の住んでいる所にピンポイントで発生』するかも知れません。

2022/3~4月:月をまたいで2桁地点で震度4以上

やや恣意的な抜き出し方にはなりますが、3月後半から4月上旬にかけてだけでも、以下の震央地名で震度4以上の地震が発生しています。石川県と東北地方で複数回起きていますが、北海道から近畿地方まで広い範囲で散発しているのは確かなようです。

震央名日付
能登半島沖
石川県能登地方
03/08・04/04
03/23・04/08
福島県沖03/16・16・17・25、04/04・06
岩手県沖03/18・30
日高地方東部03/27
東京湾03/31
京都府南部03/31
茨城県北部04/02
和歌山県北部04/06
愛知県東部04/07
(出典)気象庁 > 震度データベース検索 2022年3月1日~4月8日時点 「震度4」以上の震央を表に加工

当時、気象庁の担当者も「震度4以上の地震が多い」ことは認めています(相互の関係性や今後の見通しについては明言は避けますが、これは気象庁としては当然です)。

福島県沖の6強の地震を例外とすれば、その他は「震度4・マグニチュードも小~中規模」ですから、『震度4クラスの地震が全国的に起きやすい傾向は続いている』とは言えるかも知れませんが、だからといって『すぐさま大地震が起きる』とか『大地震の前兆だ』とかいう話しでもないかと思いますね。(結果的に仮に大地震が起きたとしても、過去の事例からすると予測の再現性は低いと思いますし。

言い方を変えれば、「大地震が起きるかは分からないけど、結構強い地震が実際いろんな場所で起きてるから、皆んな注意してね」とは普段以上に言えるかも知れません。そして、このトレンドが何ヶ月も継続するというよりも、『1ヶ月ちょっとぐらいの間、地震が起きやすい時期だ』ぐらいに捉えていた方が過去の経験則的には当てはまりが良いのかなとは思います。

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