【はじめに】
貴方は、ハンス・ロスリングの著作『FACTFULNESS』をご存知でしょうか。その中に登場する『バブルチャート(ギャップマインド財団)』をご存知でしょうか。
横に『Income』、縦に『Life expectancy(平均寿命)』を取り、人口などで丸の大きさを示したバブルチャートです。それをデータの取りうる限りを尽くして1800年からアニメーションにしたものが今も毎年更新され、サイトに公開されているのです。
これをみると、特定の国も、世界全体も、大きな潮流としては右上(収入は増え、平均寿命は伸びる)に向かって概ね進んでいることが分かります。
ぜひこの記事で興味を持ったら、上のリンクからアニメーションを色々と調べて楽しんで見て下さい。貴方の生まれた頃と今とを比較しても面白いですし、この記事で取り上げた以外の国も興味深いです。英語のサイトではありますが、肌感覚で何となくで行けると思いますよ~
ちなみに、記事の中に登場する『Lv(レベル)1~4』というのは、『FACTFULNESS』の書籍内にも登場する概念で、この記事では以下のとおりに簡略化しています。
- Lv.1:日/0ドル~2ドル
- Lv.2:日/2ドル~8ドル
- Lv.3:日/8ドル~32ドル
- Lv.4:日/32ドル~
1日平均32ドル ≒ 月384ドル ≒ 年11,680ドル(≒2022年12月時点で150万円前後)あれば、世界的には上位の「Lv.4」に該当するという算段です。厳密な定義とは異なる部分があるので、あくまでこの記事において概略を理解する上での参考程度に捉えていただきたく思います。では見ていきましょう!
日本(Japan)
- Lv.1→2:1888年、Lv.2→3:1961年、Lv.3→4:1990年
- (1917 → 18年)41.5→32.9歳
- (1941 → 47年)5,800$→3,150$【54%】
欧米諸国
アメリカ合衆国(America)
- Lv.1→2:18C以前、Lv.2→3:1896年、Lv.3→4:1982年、Lv.4.5:2022年
- (1860 → 64年)39.4 → 31.0歳
- (1929 → 33年)139万$ → 93.6万$【67%】
イギリス(United Kingdom)
- Lv.1→2:18C以前、Lv.2→3:1895年、Lv.3→4:1994年
- (1918 → 19年)40.5 → 54.2歳
- (1943 → 47年)143万$ → 122万$【85%】
(2019 → 20年)474万$ → 428万$【90%】
ドイツ(Germany)
- Lv.1→2:1828年、Lv.2→3:1936年、Lv3→4:1984年
- (1913 → 1919年)67.6万$ → 47.9万$【71%】
(1913 → 1918年)50.0歳 → 32.8歳 - (1938 → 1945年)62.0歳 → 28.8歳
(1941 → 1946年)106万$ → 41.1万$【39%】
アジア諸国
韓国(South Korea)
- Lv.1→2:1935年、Lv.2→3:1985年、Lv.3→4:2009年
- (1917 → 18年)27 → 17歳
- (1941 → 46年)2,450$ → 1,070$【44%】
中国(China)
- Lv.1→2:1994年、Lv.2→3:2009年、Lv.3.5:2019年
- (1850 → 56年)30 → 26歳、(1875 → 78年)32 → 25.2歳
- (1917 → 18年)32 → 22.4歳、(1957 → 60年)52.3 → 27.8歳
インド(India)
- Lv.1→2:1995年、Lv2.5:2010年
- (1917 → 18年)27.8 → 9.31歳
東欧諸国
ロシア(Russia)
- Lv.1→2:1849・1923年、Lv.2→3:1964年
- (1847 → 48年)29.6 → 18.0歳
(1932 → 33年)32.8 → 17.4歳
(1939 → 44年)43.6 → 16.0歳 - (1915 → 21年)4,070$ → 1,550$【38%】
(1989 → 98年)2.19万$ → 1.24万$【57%】
(2021 → 22年)2.79万$ → 2.56万$【92%】
ウクライナ(Ukraine)
- Lv.1→2:1902・1927年、Lv.2→3:1965年、Lv3.5:1988年
- (1915 → 23年)2,170$ → 823$【38%】
(1989 → 97年)1.71万$ → 0.73万$【43%】 - (1932 → 33年)39.5 → 9.68歳
(1939 → 43年)53.9 → 19.7歳
以上を【まとめ】ると……?
Lv.2・3・4に達した年度を表にしてみました。直近では2019年に中国がLv3.5、アメリカが2022年にLv4.5に到達しています。
国名 | Lv.2 | Lv2.5 | Lv.3 | Lv3.5 | Lv.4 | Lv4.5 |
---|---|---|---|---|---|---|
日本 | 1888年 | 1961年 | 1990年 | |||
アメリカ | 18C以前 | 1896年 | 1982年 | 2022年 | ||
イギリス | 18C以前 | 1895年 | 1994年 | |||
ドイツ | 1828年 | 1936年 | 1984年 | |||
韓国 | 1935年 | 1985年 | 2009年 | |||
中国 | 1994年 | 2009年 | 2019年 | |||
インド | 1995年 | 2010年 | ||||
ロシア (ソ連) | 1849年 1923年 | 1964年 | ||||
ウクライナ | 1902年 1927年 | 1965年 | 1988年 |
日本はまさに明治中期から昭和中期を使ってLv2から3へ。Lv.3というのがまさに「高度経済成長期」と合致し、Lv.3から4というのは低成長の時代から「バブル経済」の絶頂期を指します。日本はバブル崩壊を経ても何とかLv.4を堅持しましたが、その後は『失われた30年』がグラフでも如実になっています。
そして世界的に大きな出来事を『平均寿命(Life expectancy)』と『収入(Income)』からみると、
国名 | WWI/ スペイン風邪 | 世界 恐慌 | WWII | コロナ | その他 |
---|---|---|---|---|---|
日本 | ▲ 8.6歳 | ▲46% | |||
アメリカ | ▲33% | 南北戦争:▲8.4歳 | |||
イギリス | +13.7歳 | ▲15% | ▲10% | ||
ドイツ | ▲17.2歳 ▲29% | ▲33.2歳 ▲61% | |||
韓国 | ▲10.0歳 | ▲56% | |||
中国 | ▲ 9.6歳 | 大飢饉:▲24.5歳 | |||
インド | ▲18.5歳 | ||||
ロシア | ▲62% | ▲27.6歳 | ▲ 8% | ソ連崩壊:▲43% | |
ウクライナ | ▲62% | ▲29.8歳 | ▲34.2歳 |
2度の世界大戦(+スペイン風邪の流行)は世界に影響が波及しましたし、平均寿命が一気に下がってしまう惨事や飢饉も世界各地で起きてきたことが分かります。
日本でも第二次世界大戦前後でIncomeが半減し、復帰するのに10年以上要しましたが、それを遥かに凌ぐ事態が起きてきたことが、この『ギャップマインダー』のバブルチャートから窺えます。
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