Rxの「スキル」その2【共通項】(「声優相撲」が出来るまで)

【はじめに】
皆さんこんにちは、Rxです。
この記事では、私が会得した「スキル」から今回は【共通項】の考え方についてご説明していきます。

ちなみに、前回(その1)では【拡張】と題して、一般に俳句で使われる『歳時記』を、他のジャンルにも拡張できないかと考えた例を取り上げています。ぜひそちらも合わせてご覧ください。

1.【拡張】するにしてもアトランダムでは△

前回(その1)の記事では【拡張】について説明し、『俳句歳時記』という面白いコンテンツを他のジャンルに転用することで、何かしらが生まれる可能性を見出そうとしました。しかしそれを実際に転用するにしたって、そう簡単には行かないケースがほとんどです。

絵の具にしたって、薬品にしたって、料理にしたって、何の根拠も理屈もなくアトランダムに抽出した(適当に混ぜ合わせた)って、想像以上のリターンが来ることは稀だからです。かき氷に置かれているシロップを全部のせしても色は汚いし味は微妙になるのに似ているかも知れませんね。

例えば、料理を作るにしても、「海外の料理」の技法を「日本食」に取り入れるだとか、どこそこって国の家庭料理を日本の白身魚で(日本人好みの味付けで)作ってみる、みたいな事例は良くあります。

当たり前ですが、何かしらの根拠がないものではそこそこの成功を引く確率は低いでしょう。(本当に大成功を収めるには、常識にとらわれない or 説明がつかない ことも時として必要でしょうが ^^;)

2.似ているところに転用すべし

上の料理の例で言うならば、「ヨーロッパの魚料理」の手法を「日本の魚料理」に当てはめるなんてのが“初手”としてはベターな気がします。しかも同じ白身魚みたいな共通項があればなおのこと良さげ。

前回話した「俳句歳時記(季節の言葉を集めた書籍)」も「◯◯歳時記(季節の言葉を集めた書籍)」と置き換えて一般化して【拡張】すれば可能性が広がるという思考法。これは分かりやすい例ですが、はっきりと共通項の部分を仕組みとして固めた上で、ジャンルだけ変えるみたいなのが一歩目としては一番良いでしょう。

それこそ出来るのか分からない(私が門外漢の)ジャンルを言ってしまえば、「和紙作り歳時記」とか「美容師歳時記」とか、専門の人ならできそうな世界はそれなりにありそうな気がしてきませんか? (作ってみたいという方、ご連絡お待ちしております ^^)

一方で、本当の専門家であればアイディアがポンポン出てくるのかも知れませんが、「ダーツ歳時記」とか「iPad歳時記」などは上の例に比べると、やや(大会などを除いて)余地は少なそうな感じがしてしまいます。

「似てる」部分があるのと無いのとでは【拡張】のしやすさに大きな差が出てしまうのです。それこそ合う/合わないの差は、開発を進めていけば行くほど苦痛の差となって現れてくる気がします。どんなに掘っても愛情があっても『適していない』ものは実入りが遅いという側面もあろうかと思います。

『似た分野(自ずと【共通項】を持っていることが多い)に転用する』というのを意識するだけでも、成功率は格段に上がるということを抑えておきましょう。

3.ケーススタディ【女性声優 × 相撲番付=「声優相撲」】

この思考法を利用した中で、最も私の中で手応えがあるのが「声優相撲」というコンテンツです。

私のSNSなどではあまりにも普通に使いすぎて、錯覚させてしまいますが、いま一歩私も立ち止まって考えてみると、「女性声優」と「(女人禁制が話題になることも多い)相撲」なんて、どこからどう考えてみても【共通項】は少なそうです。

ただ、だからこそそれなりにうまく纏められた時のリターンが多いのも事実です。見ていきましょう。

声優相撲協会公式ウィキ

権威づけるために「公式」などと付けていますが、実態はただの『趣味企画』ですので、そこらへんは察して頂けると大変助かります(^^

女性声優さんのテレビアニメへの出演・活躍度合いを数値化し、
大相撲の「番付」の形式で発表している趣味企画
【声優相撲】の公式ウィキです。

声優ファン、アニメファン、相撲ファンの方のご来場をお待ちしております。

声優相撲協会公式ウィキ > トップページ (運営:Rx)

ここに私の思考法の髄が詰まっています。詳細を解説するのは避けますが、真似できそうな部分があったら皆さんもぜひ試してみて下さい。いずれ、各論をお話しする機会があるかも知れませんので。

(1)「声優相撲」は今活躍している声優を知りたくて始めた

声優について詳しくなりたいと思っていた10年前の私が、いま活躍している声優さんを網羅的に集めたコンテンツを知りたくてスタートしたのが「声優相撲」です。

いわば、江戸時代から続く「番付」モノ(温泉地とか歌舞伎役者とかを番付にしてるものの21世紀版)であることは上の記事にも書いたとおりですが、ここにたどり着くまでに一つ失敗を経ています。

(2)しっくり来なかった「声優野球」

私が最初に「声優の活躍度合い」を表すために使えそうだと思ったのが「声優 × 野球」でした。活躍を示すシミュレーションとして「野球」は非常にベタだと思ったからです。

事実、「ドラフト」に当てはめたり、現役のプロ野球選手を「声優」さんに一対一対応させたり、TVゲームで選手を育成し、それに実在の声優やアニメキャラの名前や見た目を投影させるコンテンツは、古今東西を問わずかなりの数が巷に輩出されてきました。

しかし、「声優」と「野球」が好きならば話は別ですが、私が当時考えていた“目的”は、そういった他の方々と違いました。『いま活躍している声優』を知るにあたって、「野球」の要素が邪魔をしてしまったのです。

(「実在の選手」にピッタリ一致する「声優」が必ずしも居ない、球団とチーム(声優事務所など)が対応するとは限らない、「声優の活躍度合い ≠ 野球選手の成績」となっている etc…)初めて数ヶ月で見切りを付け、2012年の上半期の段階で方針転換を決めました。

(3)「しっくり来なかった理由」の分析

ここで上で赤い文字にした自分なりに「しっくり来なかった理由」をもう一度見直してみました。

  • 「実在の選手」にピッタリ一致する「声優」が居るとは限らない
     → そもそも「実在の選手を当てはめる」プロセス自体が誤っている
  • 「球団」にピッタリ対応する「チーム」がない
     → そもそも「声優」は(主には)個人で活動する
       事務所に所属はしているが、他業界に比べてそのウェイトが低い
  • 「声優の活躍度合い」を野球成績でうまく表現できない
     → ①「声優の活躍度合い」の指標が間違っている or
       ② 野球成績よりも もっとピンと来る“表現方法”がある

けっこう“そもそも”論に帰着することが多かったのですが、それもそのはずで「声優」について当時は詳しく知らなかったので、「声優」と「野球」の相性が良いか が全く見えていなかったのです。

(4)そして「声優相撲」に至る道筋

上の分析のうち、最初の取っ掛かりは『チームというより個人』に特化したコンテンツが無いかでした。できれば「個人の活躍度合い」をランキングよりもう一歩踏み込んだ形で……ってやつです。

そこで、『心の師匠』でもご紹介した「アイドル番付表」を思い出し、それを『女性声優』に当てはめたらピッタリだったという訳です。(完全なる私のオリジナルではないですが、そこはどうかご了承いただければという風に感じています。)

色んな(同人を含めた)コンテンツを知っておいて、たくさんの引き出しから「最適解」に近いものを見つけ出すのも一種の力だと信じてこの記事を書いているものですから(^^;

単に「活躍度合い」を「ランキング(第◯位)」みたいにするよりも、300年続く『相撲番付』という媒体だからこそ得られる知見というのもあって、面白かったのでそれについては別記事で紹介します。

(5)ポイント!「引用元をとにかく大事にする」

もし私と同じ物好きの方がいらっしゃいましたら、最大のアドバイスを伝授します。それが、

「双方の元ネタをとにかく大事にする」ことです。

上の例を言い換えるなら、『声優ファン』と『相撲ファン』の双方に一定の評価をしてもらえるようなクオリティにまで高めるってことです。

どちらか一方なら可能な方は多いと思います。ただ、双方に詳しくならないと、もう片方のファンの人が見た時に『しっくり来ないコンテンツだな』で終わってしまうからです。 例をご紹介します。

『アイドル番付表』さんで惜しいのが、『アイドル界隈』に詳しい一方で、「大相撲」が相対的に軽視されてしまっている点です。相撲に少し詳しくなってからアイドル番付表をみて感じた違和感として、

  • 前頭が25枚目まであり、幕内力士が60人を超えてしまっている
    (実際の大相撲には、幕内は42人以内など事実上の上限がある)
  • 大相撲にはない「引退 → 復活」や「番付外からの優勝」がある
  • AKB48が幕内を「18連覇」した時期がある
    (大相撲では最長でも7連覇であることを考えると、
     勿論当時のAKBの無双ぶりは際立っていたものの、
     今一度立ち止まる必要があった可能性)
  • どういう勝敗(成績)だったのか、番付の降・昇格基準が不透明

といった部分の粗さが若干気になりました。こういった部分において、『詳しくない引用元に寄せる』という作業(詳しくないなら、引用元についても勉強して詳しくなるプロセス)が必要になってきて、欠かせないものになっていくと感じます。

私は、「声優相撲」のリアリティーを増すために、「大相撲」と「番付」について詳しくなりました。これがあったからこそ、「声優相撲」が普通のコンテンツよりも大成したのではないかと思います。

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