競馬歳時記【4月3週】「アンタレスS」(Antares S.)

【はじめに】
今回は、「アンタレスS」の歴史などをWikipediaと共に振り返っていきましょう。

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アンタレスステークスは、日本中央競馬会 (JRA) が阪神競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。

競走名の「アンタレス(Antares)」はさそり座のα星で、ギリシャ語では「火星に対する者」の意。直径は太陽の約700倍とも推定される。

アンタレスステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1990年代:初夏のダート重賞として発足

中央競馬と地方競馬の相互交流が拡大されたことに伴うダート重賞競走整備の一環として、1996年に創設された4歳以上の馬による重賞競走。

創設時は阪神競馬場のダート1800mで行われたが、翌年1997年からは京都競馬場で開催

( 同上 )

「アンタレスS」が発足したのは1996年(平成8年)のことでした。当時の中央競馬のダート重賞競走の変遷を書き並べると、

1995年1996年
Ⅲ 平安S1月Ⅲ 平安S
Ⅱ フェブラリーS2月Ⅱ フェブラリーS
Ⅲ マーチS3月Ⅲ マーチS
4月Ⅲ プロキオンS
5月Ⅲ 武蔵野S
6月Ⅲ アンタレスS
7月
8月
9月Ⅲ シーサイドS
Ⅲ ユニコーンS
10月
Ⅲ 根岸S11月Ⅲ 根岸S
Ⅲ ウインターS12月Ⅲ ウインターS

このように、1995年には数えるほどしかなかったダート重賞を、1996年になって一気に倍増させて、夏場以外はほぼ毎月ダート重賞があるように整備したのです。その6月分を担って発足したのが「アンタレスS」でした。

「アンタレス」って蠍座の赤い一等星でしょ?

夏の星座なのに、なんで4月開催なの?

と個人的には常日頃から思っていたのですが、このように第1回に限っては6月29日開催だったので、まあ「夏」の範疇だったのです。開催時期が変わったのに、そのままのレース名で開催するというJRAのスタンスは、俳句とかが好きな私からすると「?」って感じですけど(苦笑)

さて、本題に戻って、第1回「アンタレスS」は、1996年6月29日(宝塚記念の前の週)に行われて、武豊騎手騎乗のテセウスフリーゼが重賞初制覇を果たします。このときはまだ条件馬で7番人気だったエムアイブランが4着、1番人気のメイショウアムールは5着、キョウトシチーが6着、そして10歳馬になっていたミスタートウジンは14着という結果でした。

第2回が行われる1997年には再びダート重賞路線の変革(迷走?)が続き、約2ヶ月近く開催が早まって、5月3日(憲法記念日)の京都D1800mに移行します。この年はエムアイブランが6番人気で重賞初制覇を果たし、G1に昇格して初のフェブラリーSを制したシンコウウインディが58.5kgで5着と敗れています。

2000年代:4月開催で定着、別定戦に

(繰り返しになりますが、「アンタレス」は夏の星のイメージかと思うのですが……)2000年からは、4月後半の京都競馬場での開催が定着します。

2000・2001年とスマートボーイが連覇を達成し、2002年・ハギノハイグレイド、2003年・ゴールドアリュール、2004年・タイムパラドックスと、G1級ホースがこのレースを制しています。

※ちなみに、ゴールドアリュールが勝った2003年から「別定戦(それまではハンデ戦)」に変更されたのですが、ゴールドアリュールが59kgで勝ったのを最後に58kg以上での勝ち馬は誕生していません。

2004年から2011年までは1番人気が未勝利で、そこそこの人気の馬が勝ってはいるのですが、別定戦のGⅢということもあり、混戦というか力関係の比較が難しいレースとなっています。また、1着になったのはいずれも7番人気以内である一方で、1番人気の勝率は第25回(2020年)までで勝率24%と信頼感は今ひとつです。

2010年代:4月中旬の阪神開催に

2011年までは4月下旬の京都開催でしたが、2012年からは4月中旬の阪神開催となります。2011・2012年には開催場が違う中での連覇をゴルトブリッツが達成したほか、阪神開催になってからは、ほぼ毎年「フルゲート16頭」が揃うレースとなっています。

ちなみに、別定戦になって以降にこのレースを4歳で制している馬を列挙しますと、

勝ち馬成績主な勝鞍(実績)
2003ゴールドアリュール2連勝中GI4勝(いずれも本レース以前)
2006フィフティーワナー4連勝中2年の休養を経て仁川Sを優勝
2008ウォータクティクス5連勝中未勝利から6連勝で重賞制覇
2011ゴルトブリッツ2連勝中東京大賞典7着除くと門別時代から6連勝
2013ホッコータルマエ2連勝中この次走(かしわ記念)でJpnIを初制覇
2021テーオーケインズ前走勝利東京大賞典6着、次走・帝王賞を制覇

以上のとおり、6頭すべてが前走勝利(テーオーケインズ以外は連勝中)と上り調子でした。この競走を最後に重賞を勝てなかった馬も4~5連勝中と条件戦(未勝利含む)からスピード出世をしていた馬ですし、その他の馬はダート一流馬と言って良いでしょう。

2016年以降のレーティング

レースR勝ち馬
2016111.25アウォーディー
2017107.25モルトベーネ
2018108.50グレイトパール
2019108.25アナザートゥルース
2020108.50ウェスタールンド
2021110.25テーオーケインズ

2016年以降では、平均すると「GIIIの目安:105」を大幅に超え、「GIIの目安:110」も年によっては超えるという状況になっています。アウォーディーの勝った2016年や、テーオーケインズの勝った2021年は、その年の夏以降の活躍によって、レースの評価が押し上がった格好かと思います。

GIIに近い別定GIIIである「アンタレスS」、2022年は、59kgを背負って【オメガパフューム】が出走します。2003年ゴールドアリュール以来、酷量を克服しての優勝となるか注目されます。

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