ここ6年の競馬レーティングにみる「スーパーG3」(2025/1更新)

競馬レースレーティング

【はじめに】
この記事では、中央競馬における「レーティング(ワールド・ベスト・レースホース・ランキング)」について、“通常の倍”にあたる6年間を対象期間として平均値を求める分析を行ってみました。今回は『スーパーG3』と呼ばれるレースに関する結果です。

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2019年以降の6年間の平均で、最もレーティング平均が高かった「G3レース」は何だと思いますか?

※「スーパーG2」の時と比べて難しいかと思いますが、皆さんなりに想像をして記事をお読み下さい!

「レースレーティング」に関する基本情報

基本情報については、2022年版も参照して頂ければと思いますが、ウィキペディアの記載を借りれば、

競馬の競走格付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

上の様に定められています。基本となるのが、『4歳(3歳)以上の牡馬・牝馬混合競走の基準が110ポンド』で、3歳限定戦は2ポンド、2歳戦は5ポンド、また牝馬限定戦では4ポンドを減じた値が、国際基準となります。ただ、日本競馬の実態としてこの基準を下回るレース自体少なく、私の集計では「G3の平均値」は108ポンドあたりになるという計算結果が出ています。(↓)

ここまでを教科書とした上で、レースレーティングにみた時に『スーパーG3』はどれぐらいを指すのかについて検討していきます。(もちろんレースレーティングで全てを語れる訳ではないのですが、参考程度にはなるのかなと感じています)

集計方法の概略

JRAのホームページも、日本グレード格付け管理委員会も基本的には『直近3年間』を対象期間としています。ただ3年ではバラツキも大きいと考え、本記事では通常の倍の『6年分』を集計対象とします。具体的にいえば2025年版の今回は『2019年から2024年まで』の6年間を対象とするわけです。

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なお集計に際して、牝馬限定戦の4ポンド(いわゆるセックスアローワンス)に関しては予め4ポンドを加えた値、つまり全て牡馬・牝馬混合戦と同じ基準・目線で揃えてある点はご留意ください。仮に、牝馬限定戦で「115ポンド」と記事に出てきた場合、元の数字は「115-4=111ポンド」だったという意味になります。

オーバー110の「スーパーG3」群

まず、2019年以降の平均値が111を超えたレースをピックアップしました。こちらです(↓)。

1位:112.83『共同通信杯(トキノミノル記念)』

クラシックの直接のトライアルレースではないものの、創設当初(第2回のタケシバオー)あたりからずっとハイレベルを保ってきた『共同通信杯』は、2021年にエフフォーリアが制して116.25ポンドとなりましたが、その後もG3とは思えないハイレートが続いています。

第53回2019年2月10日112.50ダノンキングリー1:46.8
第54回2020年2月16日108.25ダーリントンホール1:49.6
第55回2021年2月14日116.25エフフォーリア1:47.6
第56回2022年2月13日114.25ダノンベルーガ1:47.9
第57回2023年2月12日112.75ファントムシーフ1:47.0
第58回2024年2月11日113.00ジャスティンミラノ1:48.0

本来であれば、3歳限定戦なので更に2ポンドを加算しなければならないのですが、そうした必要もないぐらいの「112.83ポンド」という6年平均となりました。これは3歳限定G1の基準が「113ポンド」換算となることを考えると、G3としては破格です。

2位:112.63『東京新聞杯』

国際的にはG2の基準とされる「110ポンド」を2017年以降8年連続で上回り続けている『東京新聞杯』は、1位の共同通信杯と似て、「東京競馬場+2月+マイル~中距離」という特徴があります。

第68回2018年2月4日113.25リスグラシュー牝41:34.1
第69回2019年2月3日113.00インディチャンプ牡41:31.9
第70回2020年2月9日112.25プリモシーン牝51:33.0
第71回2021年2月7日112.75カラテ牡51:32.4
第72回2022年2月6日111.25イルーシヴパンサー牡41:32.3
第73回2023年2月5日115.50ウインカーネリアン牡61:31.8
第74回2024年2月4日111.75サクラトゥジュール牡71:31.8

そして2023年に関しては、ナミュール、プレサージュリフト、ピンハイといった当時の4歳牝馬をウインカーネリアンが制した結果、レーティングが115.50とG1の基準すら超える結果となりました。

3位:111.79『鳴尾記念』

これまでに開催時期も距離もグレードも見直しが繰り返されてきた数少ない重賞の『鳴尾記念』。2024年までの値で111.79ポンドとなりました。JRAの認識としても丁度「G2とG3」の間なのでしょうか。

第72回2019年6月1日阪神110.75メールドグラース牡4
第73回2020年6月6日阪神110.75パフォーマプロミス牡8
第74回2021年6月5日中京111.00ユニコーンライオン牡5
第75回2022年6月4日中京115.50ヴェルトライゼンデ牡5
第76回2023年6月3日中京112.75ボッケリーニ牡7
第77回2024年6月1日京都110.00ヨーホーレイク牡6

6月開催時にはユニコーンライオンを輩出するなど「宝塚記念」の前哨戦でもありましたが、2025年度からは14年ぶりに12月開催に戻りました。「有馬記念」の前哨戦だったかつてと比べて、レース間隔の面でも、香港とバッティングする面でも厳しくなっているだけに、このレート水準を維持できるか見ものです。

4位:111.71『クイーンC』

(牝馬限定戦の4ポンドを加えた)111.71ポンドの4位と書いた『クイーンC』ですが、3歳限定戦であることを更に加味すると、113.71ポンド相当となり、実質的には全G3の中で共同通信杯に次ぐ順位となります。2月の東京競馬はスーパーG3が立て続けに開催されることとなるのです。

第54回2019年2月11日115.25クロノジェネシス1:34.2北村友一
第55回2020年2月15日109.75ミヤマザクラ1:34.0福永祐一
第56回2021年2月13日113.50アカイトリノムスメ1:33.3戸崎圭太
第57回2022年2月12日111.50プレサージュリフト1:34.1戸崎圭太
第58回2023年2月11日113.00ハーパー1:33.1川田将雅
第59回2024年2月10日111.25クイーンズウォーク1:33.1川田将雅

2016年以降でも、勝ち馬にメジャーエンブレム、クロノジェネシス、アカイトリノムスメといった具合にG1級が並んでいて、東京マイルのポテンシャルの高さを感じます。加えて、2月開催ということで、桜花賞とのレース間隔でオフィシャルなトライアルよりも長く取れるのも大きいのでしょう。

5位以下:110ポンド台

以下、110ポンド台のレースを表で確認していきましょう。これまでよりも対象が遥かに増えました。

110ポンド台まで目線を下げると、古馬牝馬限定重賞の「クイーンS」、ダート路線の「平安S」、牡馬出走可能なマイル重賞「アーリントンC」など各路線の名物G3も出てきます。このほか3歳限定戦では、牡馬だと京成杯、毎日杯、シンザン記念、きさらぎ賞、牝馬だとフラワーCがここに加わります。

(参考)2歳限定戦:アルテミスSはG1に近い水準

最後に2歳限定戦にも触れていきます。古馬戦と5ポンドの差があるため、国際G3の基準は105ポンドとなります。短距離の小倉・函館を除き、1400m以上のレースはいずれもG3基準は満たしています。

特筆すべきは「アルテミスS」でしょう。牝馬限定の2歳戦としては着実に実績を積んできたこのレースは、G1の国際基準「110ポンド」近くが続いており、もはや『スーパーG3』を飛び越して『スーパーG2』となっている状況です。

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