旧震度「根室」(根室市弥栄)

【はじめに】
この記事では、気象官署「根室測候所(根室市弥栄)」で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。

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「根室市弥栄(町)」の観測点では、古く1880年(明治14年)から地震の観測が行われていて、既に140年以上の歴史があるとのこと。今回は、気象庁の「震度データベース検索」で調べられる、1919年以降の約100年間を対象にみていきたいと思います。

根室市弥栄根室市弥栄町1-18
(根室特別地域気象観測所)
4319.914535.11880
根室市豊里根室市豊里76-54322.014544.3200707021200
気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 気象庁震度観測点一覧表

震度1以上(有感地震):実は減少して2010年代は100回台

「震度データベース」で10年分のデータが揃っている、1920年代から2010年代までで集計したのが下の表になります。他の地点と比べての最大の特徴が、ここ最近は減少傾向にあるという点でしょうか。

期間震度1震度2震度3震度45弱合計
1920年代5931146110
1930年代7851154148
1940年代352920185
1950年代7956142151
1960年代237113287385
1970年代27017863101522
1980年代255107318401
1990年代2741212921427
2000年代15246166220
2010年代9433101138
合計15337652404722587
気象庁 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1920/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 根室市弥栄 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数

1920年代から平均して400回前後で20世紀は推移していました。しかし完全に機械計測の時代となった2000年代には220回、そして東日本大震災もあった2010年代は138回と、従来から半減しています。

他の地点では大抵、人間では気づかないことも多い「震度1」を機械的に計測するようになった1990年代以降、体感の時代よりも有感地震の回数が増えることが一般的なので、そこの点は異例といえます。

むしろここ最近は、過去の歴史からすると「空白期」というか「静穏期」というか、そういった時代を迎えているという印象ですので、決して今の穏やかな状況が平常だと思わない方が良いかと思います。

震度4(中震)以上:約100年で50回

大正時代の後半から平成時代までの約100年で、震度4(中震)以上はちょうど50回となっています。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「根室」
1993/01/15 20:06:07.2釧路沖101 km7.5震度6震度4
1994/08/31 18:07:29.0根室半島南東沖84 km6.3震度5震度4
1994/10/04 22:22:56.9北海道東方沖28 km8.2震度6震度5
2000/01/28 23:21:08.7根室半島南東沖59 km7.0震度4震度4
2000/08/16 05:20:45.2根室半島南東沖56 km5.9震度4震度4
2003/09/26 04:50:07.4十勝沖45 km8.0震度6弱震度4
2004/11/29 03:32:14.5釧路沖48 km7.1震度5強震度4
2004/12/06 23:15:11.8釧路沖46 km6.9震度5強震度4
2005/09/21 11:25:08.6国後島付近103 km6.0震度4震度4
2018/04/14 04:00:01.8根室半島南東沖53 km5.4震度5弱震度4
気象庁 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1920/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 根室市弥栄 で 震度4以上 を観測

平成年間では以上の10例が観測されている一方、2006年からの約15年間では1回のみで、空白期間:12年半というのは、実は観測史上最長だったようです。ここからも静穏期間の長さが分かりますね。

震度5(強震):昭和以降では2回のみ

震度4(中震)の多さと比べて、震度5(強震)は実はここ半世紀でも2例しかありません。1つが1973年の『根室半島沖地震』で、もう1例が『北海道東方沖地震』です。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「根室」
1973/06/17 12:55:02.0根室半島南東沖44 km7.4震度5震度5
1994/10/04 22:22:56.9北海道東方沖28 km8.2震度6震度5
気象庁 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1920/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 根室市弥栄 で 震度5以上 を観測
・検索結果地震数 : 2 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

(1)1973年「根室半島沖地震」

  • 地震発生から11分後の13時6分に北海道の太平洋沿岸、それから7分後の13時13分に東北地方の太平洋沿岸に津波警報がそれぞれ発表された。根室市花咲港で最大2.8mを観測したのをはじめ、太平洋岸各地に津波が到達した。浸水被害が300棟近くに達し、負傷者26人であったが、幸いにも死者は出なかった。
    なお、6月24日11時43分にM 7.3、釧路で最大震度5を観測する余震が発生し、この地震でも津波が発生したが、死者などの大きな被害は出ていない。
    海底隆起による津波で波源域の長さは約130km、面積 7.2 * 103km2と推定されている。
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19730617125502
  • 暫くこの地域を震源とする地震が発生していなかったため、地震空白域とされていた。余震などを考慮してMの総量を考えるとM 7.7程度になると考えられ、70年周期の大地震に該当すると見ることができる。

(2)1994年「北海道東方沖地震」

  • 1994年(平成6年)10月4日に北海道根室沖約200km(北緯43度22.5分、東経147度40.4分、深さ28km)の地点を震源として発生した、M8.2の沈み込んでいる太平洋プレート内(スラブ内)で発生した地震。
  • 地震の規模はM 8.2USGSではMw 8.3)で、最大震度は釧路市厚岸町で観測された震度6。1993年(平成5年)釧路沖地震と同じ海洋プレート内地震である。日本近海で発生した地震としては、平成に入って初めてM8を観測した地震である。
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#19941004222256
  • 全体での被害は釧路市で最も多く、負傷者437人、住宅全壊61棟、半壊348棟、一部損壊7095棟、浸水184棟であった。死者9人、行方不明者2人はすべてロシアの実効支配下の択捉島で発生した。このほか、道路損壊・崖崩れ・マンホールの浮き上がりなどが多数発生し、埋立地を中心に液状化現象も発生した。釧路市の被害が注目されているが、中標津町別海町標津町の被害も甚大で、国道・道道など多数の道路が寸断され家屋も多数全半壊している。
北海道東方沖地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

震源から近いものの、最大震度は「5」であり、釧路や厚岸で震度6(烈震)を観測。

ただし、震度5(強震)を観測することも、この「根室」では18年ぶり史上2例目だったことを考えると、決して過小評価できない揺れだったと想定されます。

(参考)弥栄以外の「根室」の観測点について

ちなみに、ここまで「根室」とカギカッコ付きで、『測候所』のあった“弥栄”のみを対象としてきましたが、ここ最近は観測点もかなり増えてきており、注意すべき点があるところも抑えておきましょう。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#20180414040001

こちらは平成最後に「震度4」を弥栄で観測した事例(M5.4、最大震度5弱)です。この図で注目して頂きたいのが、根室市の領域にある観測点の多さです。

弥栄は、根室半島に2つ「4」が重なっている部分があり、その隠れてしまっている左側の四角が該当しますが、根室市も横に長いので合計6地点ほどがプロットされています。

これは根室市に限らず全国どこでもそうなのですが、同じ『根室市』内でも地点によって震度が異なることは珍しくありません。東西・南北に面積の広い自治体ならば尚更です。震源などによって、珸瑤瑁では震度3だけど、厚床では震度4のようなことはザラにあるのですが、『◯◯市』では震度◯を観測しましたなどとニュースで言われてしまうので、そこはご注意いただければと思います。

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