ここ8年の平均レーティングで「逆転現象」が起きている重賞4選(2023 → 24Ver.)

【はじめに】
この記事では、ここ8年(2016~2023年)のレースレーティングをみて、ほぼ同条件でありながら、G2よりもG3の方が高い「逆転現象」が起きている重賞を4つピックアップしました。
2021年終了時点では5選だったのですが、紫苑SがG2に昇格したことで4選となりました。

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距離や条件が違えば、ある程度の逆転現象は致し方ないかと思うのですが、ほぼ同じ条件なのに格付けが逆転しているのは容認しがたい部分が直感的にもあろうかと思います。JRAのお偉い方に届く……とは思いませんが、ぜひ皆さんが考える際のヒントになれば幸いです。早速みていきましょう!

アーリントンC(vs ニュージーランドT)

2018年に1ヶ月半繰り下がって4月中旬の開催となり、NHKマイルCの前哨戦となった「アーリントンC(G3)」。その結果、従来からトライアルだった「ニュージーランドT(G2)」から流出が顕著となり、2021年に至っては103.50とG2の基準すら下回る事態となってしまいました。

ニュージーランドT
(G2)
アーリントンC
(G3)
107.502016109.00
106.752017107.50
110.002018110.00
106.752019110.00
106.502020108.75
103.502021112.50
108.752022111.50
113.002023110.00
107.848年平均109.91

「ニュージーランドT」については、2022年までしばらく「アーリントンC」に一度も勝てない年が続いていました。特に2021年までの3年間、「ニュージーランドT」はG2維持の基準を下回り続けるなどJRAの全重賞の中でも最も降格の危機が迫っているレースとしてその動向が注目されていました。
2022年に107.50をなんとか上回ってひとまず危機を回避すると、2023年には久々に標準的なG2らしいレートである「113.00」を記録。現行スケジュールになって初めてアーリントンCに勝利しました。
とはいえ、2023年のNZTを制したエエヤンの評価というより、このレースで惜敗した各馬が秋に活躍を見せた(2着ウンブライル、3着シャンパンカラーがNHKマイルCで連対、4着モリアーナが紫苑Sを優勝)ことによる面が大きく、引き続き安閑としてはいられません。

むしろ、「アーリントンC」が2020年を除いて2018年以降で110ポンド以上を連続して刻んでいます。実に6回中5回が110以上で、2021年から3年連続で110を上回っています。こちらが『G2』に昇格して、結果的に「逆転現象」を解消する可能性も高まってきているように感じます。

毎日杯、共同通信杯(vsスプリングS)

出世レースの代表格であって、『スーパーG3』と見做される年も多い「毎日杯」や「共同通信杯」は、どちらも1800m戦。こちらも中山競馬を冷遇する訳ではないですが、同じG2でフジテレビ賞の社杯であるため悪くは言いづらいものの「スプリングS」は、平均してレーティングが目安110ポンドを下回ってきています。

スプリングS
(G2)
毎日杯
(G3)
共同通信杯
(G3)
110.502016107.00109.00
109.502017114.00109.00
111.502018112.25109.00
110.002019110.00112.50
109.502020107.50108.25
108.752021113.25116.25
108.752022109.00114.25
113.002023110.00112.75
110.19平均110.38111.38

「スプリングS」と比べて平均レースレーティングも高い上に、「毎日杯」はアルアイン・キセキが出た2017年、「共同通信杯」は特にエフフォーリア・シャフリヤール・ステラヴェローチェを輩出した2021年、ダノンベルーガ・ジオグリフを出した2022年がG1にも迫るレーティングを叩き出しており、3年連続110ポンドを超えた段階で、G2昇格を推薦しても良いのではないかと思います。

「毎日杯」は令和に入って安定感がないものの、「共同通信杯」は2021・22年の平均で115.25ポンドにまでインフレしており、これが2023年も110を上回れば『G2』昇格が検討に値すると思います。

また「スプリングS」は、皐月賞トライアルとして、距離が本番と同じで200mしか違わない「弥生賞」と存在が被っており、レース間隔も現代競馬においては短いように感じるので、改善の余地があるのではないかと考えます。

クイーンC(vsフィリーズレビュー)

古くから桜花賞トライアルとして歴史のある「フィリーズレビュー」ですが、1400m戦 ということで最近はその200mの距離差が重要になってきている印象です。代わって台頭してきているのが、本番との距離面でも柔軟性の高い「クイーンC」でしょう。

フィリーズレビュー
(G2)
 クイーンC 
(G3)
108.502016108.38
112.252017113.00
108.752018107.00
110.502019115.25
107.002020109.75
109.002021113.50
109.252022107.50
110.002023113.00
109.41平均110.92

2017年は2着のレーヌミノルが桜花賞馬となったためフィリーズレビューも112ポンド(性別アローワンスの4ポンドを全て調整済、以下同じ)となっていますが、むしろ牝馬三冠路線に繋がる馬の存在は例外的であり、基本的にはスプリンター志向の馬が名を連ねてきています。

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2016年はメジャーエンブレム、2019年はクロノジェネシス(4着にはカレンブーケドール)、2021年にはアカイトリノムスメを輩出している「クイーンC」は牝馬三冠路線に直結するようなマイル以上での実績馬への登竜門となっています。

紫苑S(vsフローラS)【解消】

オークストライアルの「フローラS」と6年平均で全く同じレーティングにまで出世をしてきているのが秋華賞トライアルの「紫苑S」です。平均では既に110ポンド(4ポンド調整済)を超えており、重賞に昇格してから歴史は浅いものの、長期視点に立つと「ローズS」をも上回る可能性があります。

フローラS
(G2)
紫苑S
(G3→G2)
110.002016110.50
110.252017109.50
110.752018110.75
111.502019111.00
109.502020112.25
111.752021110.75
109.002022110.75
108.252023111.00
110.25平均110.81

重賞としての階段を登る中で「紫苑S」は、2017年にディアドラ、2018年にノームコア、2019年に3着のカレンブーケドール、2021年にファインルージュとG1級が好走を果たしており、アベレージの高さと安定感は屈指のものとなっています。「G2の目安:110ポンド」を2018年以降上回り続けている点で、いつ「G2」のお声が掛かってもおかしくないと思います。

実際、2023年からは紫苑Sが『G2』として開催されることとなり、「G3 > G2」の逆転現象は解消されました。しかし、単純に『3年連続110ポンド以上』といった条件をクリアしただけでは、なかなかすぐに『G2昇格』とは至らない事情があるのだとは想像ができますね。

平安S(vs東海S)

ここまで3歳馬のレースばかりでしたので、古馬のレースの中から一つ。抜本的な解決となっていない点で苦しいダート重賞の「東海S」です。

東海S
(G2)
平安S
(G3)
109.002016108.75
108.752017109.00
103.002018109.75
110.002019111.50
108.252020111.25
108.752021108.50
109.252022111.75
108.752023110.00
108.28平均110.06

かつての「ウインターS」は2000年に「東海S」として5月開催となり、2013年に「平安S」と時期を交換して1月開催(フェブラリーSの前哨戦)となりました。開催場が変わっただけで実質的な役割が同じだった一方で、レースの格付けが維持されたことで今回のような「逆転現象」が起きてしまったものと思われます。

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現在の「平安S」は「帝王賞」のトライアルとして強豪が参戦する年もあり、レーティングは充実をする傾向がある一方で、サウジCが設立されて更にメンバーが手薄になってしまいそうな「東海S」は、なかなか改善する兆しも見えないような状況と2020年代はなっていきそうな気がします。

詳細は別に記事を書こうと思いますが、「フェブラリーS」の抜本的な見直し・改革も含め、中央ダート路線をする時期が来ているのではないかなと感じました。

以上が、「G2の目安:110ポンド」を上回ったら「G2昇格」を推薦してほしい重賞と、「似た条件のG3よりもレースレーティングが低いため改革が必要なG3」でした。少なくともここら辺から、重賞の改革を進めていって欲しいと感じます。皆さんはいかがですか? ご意見をお聞かせ下さい!

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