【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」の俳句査定で活躍しており、特待生候補とも目されている「ゆうちゃみ(古川優奈)」さんの俳句について振り返っていきます。
高評価1句目:『炎天や最前列のイルカショー』
「プレバト!!」では、普段のキャラクターや見た目などとのギャップ(良くも悪くも両面から)を演出することがあります。
高学歴タレントや作家などが『俳句』査定で振るわないパターンもお決まりですが、その反対に、お笑い芸人やモデルなどが期待以上の秀作を作り高評価を叩き出すというのも定番なように感じます。
もちろん番組をある程度見ていれば、『学歴』などと『俳句』が必ずしも一致しないことは明らかなのですが、制作サイドが分かりやすさを追求した結果なのでしょうか。
2021年12月16日放送回に初挑戦したのが、当時20歳だった「ゆうちゃみ」さんでした。(本名はWikipediaから引用したとおりですが、番組ではタレント活動名の方であるため、この記事でも「ゆうちゃみ」さんとお呼びすることとします。)
古川 優奈(こがわ ゆうな、2001年(平成13年)9月8日 – )は、日本の女性ファッションモデル、タレント、グラビアモデル、女優、YouTuber。株式会社I’ma所属。株式会社Lovers・KPOINTが業務提携。『egg』の元専属モデル。愛称およびタレント活動における名義は「ゆうちゃみ」。
大阪府東大阪市出身。令和の白ギャルとも称される。妹はタレントの「ゆいちゃみ」こと古川結菜。東大阪市立小阪小学校、東大阪市立小阪中学校卒業。
古川優奈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
初挑戦こそ2位・60点とやや平均を上回るぐらいの感じでしたが、初回から視聴者やスタジオタレントの『想定以上』の好成績だったことは間違いありません。その時の俳句は、
『落葉風渋谷を闊歩生脚で』 ↓ 『生脚の闊歩渋谷の落葉風』
というもので、夏井先生いわくの『散文的』な部分は見受けられますが、対してギャルとしての活動を踏まえてみると『オリジナリティとリアリティ』を確保しつつ、「落葉風」という季語を都会の中でちゃんと活かしている部分は“手堅さ”すら覚えるほどでした。
( 同上 )
- 2020年頃からタレント活動開始。2022年度上半期ブレイクタレントランキングにて第1位となる。
- 2022年2月8日、日本テレビのバラエティ特番『サバイバル水鉄砲!一撃』のロケ中に転倒、左下腿骨を骨折。翌9日に手術を受け、1週間程度入院する予定であることを同局が発表。
それから約半年の間に一気に注目される存在となり、2022年7月28日の放送回に再出場した際には、初の「才能アリ」を獲得します。その俳句というのが、
2022/07/28:1位70点『炎天や最前列のイルカショー』
水族館でイルカが跳ねている兼題写真にピッタリ合うような作品でした。アインシュタイン河井ゆずるさんが73点という破格の高得点を出してしまったため些か影が薄くなってしまった面はあったかも知れませんが、堂々たる才能アリ(1回目)だったと思います。
フルポン村上さんが「最前列」という言葉を使ったことによる効果を語ってくれましたが、冷静に考えてみると『炎天』という季語は日常会話に登場しない(炎天下や「炎天の~~」などは仮にあっても、『炎天』および『炎天や』という上五に置く表現は見かけない)ことを考えるに、季語や俳句について一定程度勉強してきたことが窺えると感じました。
型についても「季語を含まない12音」に「季語を含んだ5音」を取り合わせるという極めて基本に忠実な形を取っており、ここでも“手堅い”なぁと感じてしまいます。
高評価2句目:ふるさと戦(大阪)でまさかの1位!
2回目の挑戦で確かに才能アリを取ったとはいえ、それから僅か2ヶ月で、名人・特待生と戦う機会が急遽訪れます。2022年に幾つかの都道府県をテーマに開催した「ふるさと戦」で、ゆうちゃみさんの出身地でもある大阪府が兼題となり、非特待生枠として出場することとなったのです。
- 東京都出身:立川志らく、森口瑤子
- 大阪府出身:藤本敏史、松岡充、犬山紙子、ゆうちゃみ
6名出場したうち名人が3名、特待生が2名で、しかも段位が最も近い犬山紙子さん(当時4級)でもタイトル戦優勝経験者ですから、フジモンからイジられるのも致し方ないほどの段位差でした。
しかし特待生2人が下位に沈み、名人3人とゆうちゃみが残った中でフジモンが2位と敗れ、他の名人もフジモンを超えることが出来ず、結果的に1位となったのが、唯一の非特待生だった「ゆうちゃみ」さんとなったのでした。その時の俳句が、
2022/09/22『街は秋写ルンですを巻く五秒』
でした。2位のフジモンが『御堂筋』、3位の志らく師匠が『かに道楽』などと大阪らしさを出そうと苦心するのに対して、「ゆうちゃみ」さんは大阪らしさを打ち出さず、句の出来で勝負したのです。
2022年9月22日『プレバト!!』において「47都道府県 ふるさと戦」大阪編で、古川の詠んだ「街は秋写ルンですを巻く五秒」が1位を獲得し、大阪のポスターに掲載されることになった
( 同上 )
ゆうちゃみさんが生まれた2001年でもやや下火になってきていたのではないかと思う「写ルンです」が若者の間で再ブレイクしているという噂を耳にしましたが、これも「写ルンです」を使用した経験の有無が句の鑑賞を大きく左右しそうな気がします。
- デジカメ(や、勿論スマホ)とは異なり、撮れる枚数に上限(27枚など)があり、意味もなく『連写』することはあり得ない(当時としては安かったものの、今からしてみると値段が高い)
- 『写ルンです』は、(物理的にフィルムを)巻かなければ次の写真を撮ることが出来ない設計となっています。親指でグリグリと巻く作業に掛かる時間は、確かに『5秒程度』だった気がする(という妙な説得力がある)
ここでも「リアリティ」を担保しているのはご自身の経験だということになるのです。その上で、上五についても工夫を凝らしています。仮に、
(原句)『街は秋写ルンですを巻く五秒』 ↓ (比較)『秋の街写ルンですを巻く五秒』
としても使っている要素は大きく変わらず、街が秋であることは揺らぎません。しかし、「秋の街」とするのと「街は秋」と指差すように上五で『秋』という季語を立たせるのには雲泥の差があります。 これを意識してなのか無意識的にやっているのかは分かりませんが、どちらにしても素晴らしい感性だというふうに初見の時から感心させられたことを覚えています。
ちなみに私は、上の句をとても高く評価していて、2022年を終えたタイミングで作った「1日1句」という記事でも、この「ゆうちゃみ」さんの句を採用していますので、興味があればぜひ! あなたも確認してみてください。
高評価3回目:(後日収録予定)
To Be Continued…
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