【プレバト!! 俳人列伝】IKKO(イッコー)【特待生候補】

【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」の俳句で連続才能アリを記録している「IKKO(イッコー)」さんの過去の作品を振り返っていきます。

一般参加者時代(2019年~)

長く苦労を重ねてきたIKKOさんが「プレバト!!」俳句査定に初出場したのは、令和に代わって最初の夏の2019年8月のこと。初回は、人生への思いを込めすぎた感のあった『人生のお守りとなり曼珠沙華』で55点の3位・凡人デビューでした。

才能アリ1回目:2021年『ケーキの苺』

約2年ぶり2回目となる出場でIKKOさんはエピソードのポイントを絞り、初の才能アリを獲得します。その時の句というのがこちら(↓)

2021/05/20・72点1位
『住み込みの夜のケーキの苺かな』

上五の「住み込み」というのが状況や世代をうまく言い表していますし、そこから「住み込みの」と時間を限定しています。日中に精一杯働き続け、短い自分の時間を迎えたことを前半で言い切ります。

そしてそこで切らずに、後半の入口に登場するのが「ケーキ」であり、下五に『苺』という夏の植物の季語を置き、『かな』と詠嘆して17音に収めた完成度の高い作品です。

仮に「住み込みの夜の苺のケーキかな」などとしてもパーツは一緒ですが、主役とすべき「苺」という季語が「ケーキ」に埋もれてしまいます。対して、原句ではショートケーキに1つだけ乗っている赤々とした苺の艶が目に浮かぶようです。

この時は5人中才能アリは2名だったのですが、通常の71点ではなく「72点」という高得点を叩き出していました。この句をもって、翌年初のタイトル戦「冬麗戦」には、才能アリ1回の身で一般参加者の枠で出場。コロナ禍のさなかに詠んだ『幸せの尺度疫禍のちゃんちゃんこ』という俳句で挑みましたが結果はTVerでしか紹介されないTop10圏外の13位に終わっています。

才能アリ2回目:2022年『氷菓を出す母』

半年刻みで出演する形となった2022年。冬のタイトル戦から季節が巡って2022年7月の放送回では、自分ではなく母の思い出を詠んで、2回連続の才能アリを獲得しました。

2022/07/24・71点1位
『髪結待つ客へ氷菓を出す母よ』

『氷菓出す母よ髪結待つ客へ』

題材は全体的に好印象で、夏井先生による添削も語順を入れ替える程度のものでした。

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『氷菓』という昭和の香りがする表現を使うことで俳句の格調を高めるとともに、後半で「母が【誰】に出すのか?」という謎に正解を与えるような展開になる点で、添削後の方が確かにグンと良くなっていますが、まずはIKKOさんのお母様が美容師をされていた時のエピソードがあればこそだと思います。

福岡県田川郡福智町(旧・方城町)出身。4人兄弟の長男で姉2人、妹1人がいる。美容師の母の影響で、本人曰く「小学校6年生くらいでは、もう日本髪結えていた」という。

IKKO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

才能アリ3回目:2023年『寸胴に溶かす』

2連続才能アリから4度目の挑戦は約1年の間隔があきました。世間の体感としては夏真っ盛りながら俳句の世界では「秋」を迎えた8月にこちらの句を披露しています(↓)。

2023/08/24・70点3位
『寸胴に溶かすカレー粉秋の蟬』

『秋の蟬寸胴鍋へカレールー』

こちらもエピソードが具体的かつオリジナリティがあり、詠み手がスムーズに映像を再生できます。

「カレー粉」の存在によって視覚だけでなく嗅覚も刺激されるなど、晩夏と初秋の良いところを合わせたような12音のフレーズに、「秋の蟬」という雅さを備えた季語を取り合わせるあたりも見事でした。これによって更に「聴覚」まで刺激されるのですから。

この句は3位とギリギリではあったものの、通常回に限れば3回連続の才能アリであり、特待生候補という存在にキャリアアップしていきます。

To Be Continued…

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