【はじめに】
皆さんこんにちは、Rxです。今日は、私が俳句を勉強した時に使った書籍から、遠藤若狭男さんの著作『俳句でつかう 季語の植物図鑑』をご紹介。オススメポイントを俳句を勉強中の私がご紹介しますね。
読んで使ってみての実感として、この本が特にオススメなのは、俳句を始めて日が浅くて「花や植物の名前に詳しくないので、勉強したい!」という方です。
そしてオススメポイントは、目次にある以下の3点です。ぜひご参考になさってください!
ポイント①:全項目にカラー写真が載っている
この本には約400種の植物が載っています。季語となっている植物が季節ごとに並べられており、傍題(季語として用いられる異名みたいなもの)を含めると約1,400の名詞が紹介されています。
最も大きな特徴(私が買う決め手になったの)は、『すべての項目(植物の説明文)にカラー写真』が掲載されているという点です。
カラーの植物図鑑ならひょっとすると珍しくないのかも知れませんが、「俳句歳時記」の要素を含んだこういった書籍、しかも大判ではなく普通の本のサイズなのに、全項目に『カラー写真』があるというのは実は珍しいことなのです。
私は、植物の名前を聞いたことはあっても、どんな花/植物なのかをあまりイメージできずにいました。なので、俳句を始めたての頃に「植物」を詠んだ句を鑑賞しようとしても、どんな花かイメージが出来ないために、俳句の訴えたいことを何となくの雰囲気でしか掴めなかったのです。
一方、この本に掲載されている植物であれば、カラー写真で句の内容の想像を膨らませられます。植物に詳しくない私のような人間(と同じ悩みを持つ皆さん)には強い味方になってくれることでしょう。
(例)敢えて誰でも知っていそうな植物を取り上げ、一つ例をあげましょう。
『空にむき雨受けておりチューリップ』
詠者:高木晴子(1915~2000)
この句が、「チューリップ」の項に例句として記載され、チューリップの写真が載っています。流石に私も「チューリップ」は想像できます。あの両手をあわせて広げたような形のチューリップの花が、まるで空に向いて雨を受けているようだと詠んだ一物仕立ての句です。
でも、もし仮にこの俳句を、チューリップという花を知らずに詠んだら。意味を正しく把握、イメージできないかも知れません。そういうことを避ける意味でも、この本はオススメです。
ポイント②:歳時記を補う「図鑑」にもなる
この本のコンセプトは、一応「植物図鑑」となっています。ただあくまで学術的な植物図鑑というより「季語の植物図鑑」なので、俳句歳時記の一種だと考えて頂ければと思います。
とはいえです。中型~大判の歳時記にも負けないほどの情報量(「ポケット植物図鑑」並み)が載っていて、しかも実生活や実体験に根付いた「馴染みやすい」表現で書かれているのも魅力です。
私のような俳句中級者ぐらいになってくると(ちょっと背伸びをして)俳句コンテストやラジオ番組、句会などにチャレンジしてみよう! と思う方も出てくるかも知れません。そうすると、かなりの確率で「兼題ないしは席題」というお題が出されます。
これが仮に「土筆」とか「菜の花」みたくある程度想像しやすくて初心者にも優しいものであるならば良いのですが、上級者以上も参加する場だと「繁縷」とか「山茱萸の花」とか「嫁菜」という具合に、
(本音でいうと)聞いたことも見たこともないよ~
という(ちょっと意地悪な)お題が出される事もあります。そして、こういうお題に激突してしまい、
私は、植物のお題が苦手だぁ~(泣)
などと苦手意識をもってしまうことも、初心者・中級者あるあるだと思います。文章だけの小型の歳時記では、知らない植物を想像するのは難しいですし、わざわざ大判の歳時記を図書館に読みに行ったり、仮に持っていても開くだけで億劫になってしまいます。
ただ、こういう悩みに関しても、結構、この本は重宝します。比較的小型で持ち運びにも適していますし、手に取りやすいサイズ感でもあります。植物の兼題が出された時に一度引いてみるだけでも、一気に想像が広がるのではないかと思います。
いわば、俳句歳時記を補う「植物図鑑」にもなるという点で、特に俳句中級者にオススメな理由です。
ポイント③:知らない季語を知るキッカケに
俳句を作るにあたり、季語との接し方は、何も「兼題」という形だけではありません。
俳句に大分と染まってきて「日常で見かけた植物を詠みたい」という瞬間も出てくるかも知れません。仮に植物の名前を知らなくても、12音の俳句のタネが浮かんでくれば、それにその植物の名前を添えるだけで1句できてしまうのです。
※若い方などは「画像検索アプリ」で瞬時に調べることが出来るかとは思いますが、
そういった機器で瞬時に調べることが出来ない方でも、この本で日頃から植物の写真などに親しんでおくことは決してマイナスにならないと思いますし、ペラペラとめくっているうちに、新たな発見があるかも知れません。
例えば(↑)この植物の名前、ご存知ですか?
お昼休みに見かけた『紫式部』という植物だと思います。(※残念ながらこの本には載っていません)
何げなく見かけている植物も、名前や生態を知ることによって、一気に『そこら辺に咲いてる花』から『◯◯って名前の花』に(自分の中で)昇格します。夏井いつき先生の言葉を借りれば、「季語を体感する」という貴重な経験になります。
この本の初版本の“帯”には、夏井いつき先生が文を寄せておられます。その一文が好きだったので、ここで引用させてもらいましょう。
「この図鑑で、名も知らぬ植物が『出会いたい』季語に変わる!」
仮に今と違う季節の季語で似たような経験をした場合、その植物が咲く季節が待ち遠しくなりますし、また、休みの日にこの図鑑を眺めて知った植物が通勤路にあった場合は、休み明けの通勤がほんのちょっと憂鬱でなくなるかも知れません。
帯の文言を借りれば、『俳句入門者から中級者必携の図鑑』とあります。こういった「季語の経験」を後押ししてくれるという点でも最適な表現かも知れません。私からもオススメさせていただきます!
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