俳句前夜本「夏井いつきの俳句ことはじめ」を紹介したい!

【はじめに】
この記事では、『夏井いつきの俳句ことはじめ』という俳句の初心者(本の中では、初心者の前に読む「俳句前夜本」と表現しています)向けの書籍を、俳句中級者な私(俳号:Rx)の目線でご紹介していきたいと思います。

オススメポイントは以下の目次にお示しする通りです。ぜひご参考になさってください!

ポイント1.「俳句の扉を開けるための本」(俳句前夜本)

まずは、本書の『はじめに』の部分から、本を書いた目的などについて纏めておきましょう。

ええー!? そんなことで躊躇してるのか! そんな誤解に満ちたイメージのせいで俳句をはじめようとしてくれないのか……と、ただただ驚くばかり。
そうか、世間の皆さんが俳句をはじめるためには、その前段階として「俳句の扉を開けるための本」が必要なのだ! と気づきました。

「はじめに」P3~4

これは、俳句だけに限らず、もう全ての芸事、あるいは「初心者」向けの著作に共通した観点ではないかと感じるほどです。歴史が長かったり、参入障壁が高そうに感じるものは特にそうですね。

ここらへんは、夏井いつき俳句チャンネルの初期にアップされていた、「初心者あるある」の質問への回答をしていた動画と内容はかなり重複しますが、本当に『思い込みに過ぎないハードル』や『高いと思っていた敷居(←まぼろし)』だったと感じてもらえる内容ばかりです。

そしてこの本の活用方法としては、もちろん想定されている「俳句入門」を目指す初心者(未満)の方は勿論なのですが、それより上のレベルの方にも役立つ部分があります。

ポイント2.「素朴すぎる質問」への答えが詰まっている

それは、「(俳句の)素朴な疑問」の答えが詰まっているという観点です。

ある程度、その世界に慣れていると『当たり前』になってしまい、改めて省みる事がなくなってしまう初歩的な質問(そもそも過ぎる質問など)があります。

Q1.俳句って五・七・五・七・七でしたっけ?

Q11.立派な短冊も必要なの?

上みたいな質問はまだ答えやすいのかも知れませんが(俳句に少し親しんでいれば明確に違うので)
でも、もう少し踏み込んだ質問をされることもあるでしょう。(本書にはよくある質問が載ってます)

そういう質問に答えることって案外難しくて、ちゃんと調べてこなければ明確に答えられなかったり、質問者の疑問の解決にならないことが、ままあります。「言語化」することの難しさもありますよね。

こういう(ややもするとバカバカしいと言われそうな)質問に、あの夏井いつき先生が丁寧に答えてくれているのです。(※)恐らくご本人に面と向かって聞いたら笑われちゃいそうですが、俳句前夜本という体裁を取っている本書では本当に丁寧に回答してくれています。

  • 【初心者】:他人に訊くのは気が引ける質問に答えてくれる
  • 【中級者】:よくある質問への答えを「言語化」してくれている
  • 【上級者】:周囲に俳句をすすめるときの“アンチョコ”になる

一番上の使い方は書籍の中で触れられていますが、この本の内容を知っている方々にとっても、本書は有用だと思います。「どういうことに初心者は疑問を持っているか」とか「どうやって答えるのが初心者にとって有益なのか」を再確認できますよ!(私も参考にしながらこのブログを書いています)

ポイント3.順序立てて学ぶ1歩目になる

今度は本書の「おわりに」から引用します。

 少しずつ階段を上っていけるように、私は仲間たちと出版計画を推し進めています。
 夏井いつきの俳句入門的著書において、本書『夏井いつきの俳句ことはじめ 俳句をはじめる前に聞きたい40のこと』は、俳句の国の扉を開くための一冊です。

①俳句前夜本 『夏井いつきの俳句ことはじめ 俳句をはじめる前に聞きたい40のこと』
②俳句入門本 『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』
③俳句中級本
④俳句上級本

「おわりに」 P174

世間には「入門」などと冠した書籍がたくさんあります。ただ、一口に「入門」と言っても、その中にレベルが幾つもあって、悩みは人それぞれだということを忘れてしまいがちなのです。

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例えば、テレビ番組「プレバト!!」を毎週見てから俳句に入門する人と、義務教育で何となく覚えているレベルの人とでは「入門」するにしても知識の度合いが違います。(おそらく五七五七七でないことは知っていますし、「字余り」が“タブー”とまでは言えないレベルのことだと体感しているはずです)

そうした意味で、俳句初心者であっても、この本の内容をおおよそ把握しているという方であれば、無理に前夜本である本書を読まなくても、その上のレベルから始めても良いと思うのです。俳句へのイメージが「マイナス(難しい、古臭い、つまらなそう)」という方を「ゼロ」に持っていくのが本書の主な目的だと感じるからです。

↑ なんていう話も、上にある①~④のようなレベル分けをしてくれていなければ考えも付きません。「俳句初心者」や「入門本」にもレベルがあって、「おわりに」の文言を借りれば“少しずつ階段を上って”いくことが重要だと教えてくれる本だと思います。

※その階段を上るのを支える、助ける役目をなさる皆さんにとっても、順序を追って説明する際の大きな味方、ヒントになってくれるに違いありません。ぜひ一度お手に取ってみてください!

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