「プレバト!!」の『嗚呼(ああ)』俳句をまとめてみた

【はじめに】
この記事では「プレバト!!」で披露された『嗚呼(ああ)』な俳句を振り返っていきます。2023年8月31日放送分で、『音数が余った時に「嗚呼」と2音足すのは「プレバト!!」あるある』という発言が夏井先生からありましたが、実例を振り返っていくことにしましょう。

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「嗚呼」で終わる添削例

夏井先生が言ったように、添削で音数が余った際に下五に足す2音としての「嗚呼(ああ)」の事例。2018年に北山さん、2020年に皆藤さんの事例を見ていきましょう。

『夏終わる球児の涙箸止まる』/北山宏光
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『箸止めて見入る球児の夏よ嗚呼

特待生昇格前に連続して才能ナシだった時に披露された作品で、原句は才能ナシ査定でした。何となくのっぺりとした印象のある原句から、「嗚呼」に至るまでの15音も含めてかなりドラマチックな作品になったように感じます。

対して、皆藤さんの作品は金秋戦の予選最下位となった作品ですが、上の句とは違い、非常に俗な題材に対して大袈裟な描写となっているような印象です。

『秋渇きピアノに映る二重顎』/皆藤愛子
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『二重顎映せる秋のピアノ嗚呼
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「嗚呼」が消された添削例

反対に、「嗚呼」と詠んで披露したのに、夏井先生の添削で消されてしまった事例もありました。2022年のふるさと戦で3位だった志らくさんと、2023年の浜田杯で4位だった千賀さんの作品です。

嗚呼幾度目のピンマイク還暦の初夏』/千賀健永
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  『幾度目のピンマイク還暦の初夏』

千賀さんなりの工夫として破調に挑んだ訳ですが、結果として「嗚呼」だけをばっさりと添削されてしまいました。あまりこの感情語を冒頭に持ってくるというのは、基本的には俳句において大袈裟になってしまうので難しさはあるように思います。

『月夜の酔っ払い嗚呼かに道楽』/立川志らく
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『かに道楽見上げ月夜の酔っ払い』

志らくさんの句は、かなり難しい位置に「嗚呼」があります。当然『かに』は季語ではなく、『月夜』という季語が先にあって、『嗚呼』から繋ぐのが季語ではない「かに道楽」です。個人的には後半のリズムが好きではあったのですが、こちらも夏井先生にはバッサリと落とされてしまいました。

「嗚呼」が消えなかった俳句

むしろ「嗚呼」が夏井先生に添削されなかった事例の方が少ないのだと改めて実感しました。先ほども登場しました北山さんの作品の中に、「嗚呼」が何とか消されずに残った事例がありましたので、まずそちらを紹介します。

『息白く独身寂し空へ嗚呼』/北山宏光
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『空へ嗚呼われ独身の息白し』

2019年に特待生5級で現状維持が続いていた時期の1句。こちらも個人的には「空へ嗚呼」という5音の響きは好きだったのですが、語順を全体的にひっくり返されました。それでもチャンク「空へ嗚呼」はスライドしただけなので、健闘の部類だったかも知れません。

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そして、最後に。2023年の冬麗戦で、夏井先生が手を付けなかった結果、「嗚呼」が無傷で生き残った俳句が誕生しましたので、それを紹介しましょう。千原ジュニア永世名人の驚きの人物が飛び出した本作です。

冬麗戦6位:『焼鳥や嗚呼隣席に郷ひろみ』/千原ジュニア

実体験だそうですがww そういった意味でも、なかなか妄想でも作れないシチュエーションの17音だと確かに思います。それでいて、上で見てきた俳句と比べても「嗚呼」の持つニュアンスが少し違っているようにも感じました。

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ここの「嗚呼」は、本当に口から漏れ出たような「ああ……」であり、俳句という文芸にあって17音の中の2音分を使って『大したことないものでも大袈裟にしてやろう』といった類の下心が弱いようにすら感じます。

下心とも言える部分は完全に下五の「郷ひろみ」が一手に担っているからです。ある意味、『焼鳥や』と上五で季語を詠嘆しておいて、中七から展開する際にうまいフックとして効いているようにすら感じます。

この用例以外に「プレバト!!」で『嗚呼(ああ)』が使われ、無傷で高評価を得る作品が出る日は現れるのか、楽しみに待ちましょう!(添削例も含めてね!) ではまたっ

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