俳句入門本「夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業」の3つのポイントを解説

【はじめに】
この記事では、テレビ番組「プレバト!!」でもお馴染みな「夏井いつき」先生が書いた俳句入門書『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』を3つのポイントを通じて解説していきたいと思います。

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何を隠そう、ちょうど俳句を勉強し始めたばかりだった私が、俳句の基礎を勉強するのに何度も読んだ本です。今日は俳句に対する心構えとして特に勉強になった部分にポイントを絞って書いていきたいと思いますので、ぜひお付き合い下さい。 俳句初心者の皆さんにはきっと役立つ一冊だと思います!

(↓)お時間のない方も、ぜひ「目次」でポイント3点をご確認ください~

ポイント1.俳句を始めると、「退屈」という言葉がなくなる

これは「はじめに」に書かれているフレーズです。夏井いつき先生が自身のYouTubeチャンネルの動画内で何度も語っている言葉でもあります。 もう少し詳しく書かれた部分を引用します。

俳句を始めると、毎日が楽しくなります。日々起こること、出会うものすべてが「俳句のタネ」になって、人生から「退屈」という言葉がなくなるのです。「暇だ」とか「つまらない」なんて時間は、どこかに吹き飛んでしまいます。

はじめに P3

動画でのフレーズをお借りすれば、「生憎のお天気がなくなる」というのも同義かと思います。確か、子規さんが東北かどこかを旅した時の句を紹介した時に夏井先生が語っておられたと記憶しています。

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俳句に少し詳しくなって、本書内で「三種の神器」の一つに数えられている『俳句歳時記』を手に入れると、数千の季節の言葉が掲載されていて様々な現象に名前がついています。具体例を出してみます。

・【黄砂】で土っぽくなってしまった → 霾(つちふる)
・【春の激しい風】で酷い目にあった → 春疾風、春荒、春嵐、春北風、比良八荒
・【花見】の予定が雨でキャンセルに → 花の雨、花時の雨 etc...

こうしてネガティブな現象も、季語を知ることで「季語を体験」することになり、何てこと無い日常も何かしらの「俳句のタネ」になるかも知れないのです。この視点は、ポジティブシンキングの一種かも知れませんが、俳句をやっていなければ、こう考えられないのも事実です。

俳人は『転んでもただじゃ起きない』を地で行っていることを知る経験になりました。

ポイント2.素直であることが、学びの近道

こちらは「おわりに」からの引用です。俳句に限らず、芸事に通ずる重要なポイントを教わりました。

秘英知くんとの授業を通して、強く思ったことが一つあります。
それは、俳句における「学び」の近道があるとすれば「素直であること」かもしれない、ということです。
柔道や剣道のように型があり、職人さんが弟子に伝えていくように技法を学ぶのが俳句という文芸。
まずは先達のいうことを聞いて、その通りに素直にやってみる。長年培ってきた定石や技術を謙虚に知ろうとする。その学びが俳人としての土台となり地力になっていくのだと、あらためて認識しました。

おわりに P189

俳句は「十七音」(十七文字ではなく、音なのも本書から教わったことの一つです)という小さな器しかないので、センスや教養よりもまずは「型」などを覚えることが大事だと本の中で語れています。

そして、愚直にこの本に書かれているような「基礎・基本」を繰り返し繰り返し練習をして定着させ、「型」を一つ一つマスターしていくことが重要だと語っています。

(私はあまり運動部に所属した経験はないのですが、)例えば、テレビの「相撲中継」をはじめとするスポーツ中継をみていても、似た話題を解説者の方から伺うことがあります。横綱が基礎稽古を若手以上に丁寧に日々欠かさず続けていることなどとも通じるのかも知れません。

一つの「道」を究めるにあたって「基礎」が大事だということは、俳句という文芸においても(勉強やスポーツなどと同じで)変わらないのだと教えられた瞬間でした。

ポイント3.順序立てて学ぶ1歩目になる

これは、時系列的には本書の次に発売された夏井先生の書籍である「夏井いつきの俳句ことはじめ」と絡めて説明していきます。(↓)

①俳句前夜本 『夏井いつきの俳句ことはじめ 俳句をはじめる前に聞きたい40のこと』
②俳句入門本 『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』 ← 本書
③俳句中級本
④俳句上級本

夏井先生は、俳句を始め立ての人がステップ(段階)を踏んで、俳句への理解を深めていけるように、レベルを分けた本を発売していく構想を立てていました。本書はその第1弾として発売されたもので、レベル感としては下から2番目の「俳句入門本」として位置づけられています。

私には、この「俳句入門本」がレベルとしてピッタリでした。「プレバト!!」を先に見ていたことで、俳句の基本部分をある程度は理解していたからです。ひょっとして、番組を見ていなければ、この本のレベルでも理解するのに時間が掛かったかも知れません。

入門本の内容は知ってたから、もっと上のレベルから始めたい!

こういう風に考える方もひょっとしたらいらっしゃるかも知れませんし、反対に、

入門本でも思ったより専門的で難しいなぁ……。

と感じる方もおられることと思います。もし、もっと基礎から俳句のことを知りたければ、上に書いた『俳句ことはじめ』の書籍から学ぶことをオススメします。

そして、この本の終盤(P176)の「俳句上達の三つのヒント」という項で、『新版 20週俳句入門』(藤田湘子著・KADOKAWA)という書籍が紹介されています。

昭和時代から「俳句入門のバイブル」とされ、若かりし頃の夏井先生も友人たちと一緒に学んだ書籍だそうです。平成・令和の時代にもロングヒットしていることからも明らかな様に、俳句上達を目指す方には最適の本の一冊だとは思います。

ただ、この『20週俳句入門』は文体などに合う/合わないがあります。結構口調が厳しかったり、俳句を本腰入れて勉強する人向けの“意識高い系”な表現が目立ったり、「毎週の宿題がヘビー」だったりで挫折する人も多かったのです。

今ほど俳句入門本が整備されていなかった時代には、この本などしか選択肢が無かったのですが、ほぼ同レベルの内容を、俳句初心者(チーム裾野)にも優しく導いてくれる夏井先生のこの本(口調)の方が、現代には合っているのではないかと正直思います。
※その上で「俳句入門本」では物足りない! もっともっと上達したい! という方は、次のステップとして『20週俳句入門』を読めば良いのではないかと思うのです(私もそうしましたし。)

↑ なんていう話も、上にある①~④のようなレベル分けをしてくれていなければ考えも付きません。「俳句初心者」や「入門本」にもレベルがあって、「おわりに」の文言を借りれば“少しずつ階段を上って”いくことが重要だと教えてくれる本だと思います。

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