【はじめに】
この記事では、競馬のレースレーティングを一歩踏み込んでまとめていきたいと思います。今回は、各グレードの“本当の目安値/平均値”を探っていきたいと思います。
ウィキペディアにみる「国際グレード降昇格の目安」
JRAのホームページには、“レーティングとは、競走馬の能力を示す客観的な指標となるもので、着差・負担重量などをもとに、国際的に統一された基準により、数値化したものです。”と書かれていますが、私の記事でも良く使うレースレーティングについては以下のような説明がウィキペディアにあります。
レースレーティング
ワールド・ベスト・レースホース・ランキング
各競走の1〜4着までのレーティングの平均によって当該競走のレベルを表す値。古馬のパート1(G1競走)の場合、牝馬のセックスアローワンスを加えてクラシフィケーションレートが115以上であることが条件となる。G2ではこれが5ポイント低くなり110、G3では更に5ポンド低い105となる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
そして(レース)レーティングが話題になるときに基準となるものが以下の表でしょう。引用します。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
4段に分かれていますが、「3歳以上&牡馬・牝馬混合」をベースに、2歳戦は5ポンド、3歳戦は2ポンド、牝馬限定は4ポンド(セックスアローワンス)を減じている計算になります。以上を簡単に説明する時などに、
「GIの目安:115」、「GIIの目安:110」、「GIIIの目安:105」
ポンドになるという風に纏めています。これが教科書上の「国際基準」となります。(ここまで前フリ)
本題「実際のGI・GII・GIIIの目安」ってどれぐらい?
上に示された数値は、「昇格」や「降格」を議論する上で重要になってくる“目安”ですが、そういった話題に全く上らないような重賞競走が大半です。最上位と最下層をみても実像が掴みづらいので今回は本当の「目安」を探るところまでは行かないまでも、『平均値』を抑えてみたいと思います。案外このデータは検索してもヒットしにくい部分もあるので、ご存知ない方も多いかも知れません。
以上のルールのもと、JRAのホームページに記載されている「レースレーティング」の値をもとに集計をした結果、実際のレースレーティングの平均値は以下のとおりとなりました。
格 | レーティング (9年平均) | 国際基準 での目安 | 差 |
---|---|---|---|
全レース | 111.32 | - | - |
G1 | 117.62 | 115.0 | +2.62 |
G2 | 112.07 | 110.0 | +2.07 |
G3 | 108.63 | 105.0 | +3.63 |
国際基準での目安と比較しても、すべての格で、平均値が目安を大きく(2~3ポンド)上回っていることが分かります。平均105ポンドあればG3に昇格できるとされていますが(葵S他)、実際のところ平均して「108ポンド」以上あるということで、その気になれば、『G1やG2昇格』をすれば通りそうなレースが沢山控えているということになります。
上の表を前提に置き直すと、『このレースの平均レートは108.00ポンド。GIIIの目安の105.00ポンドを上回っていて優秀』などと表現してきたのが果たして正しいのか疑問になってきてしまいます。中央におけるGIIIは(世界の実測値がどうか分かりませんが、)世界的にはGIIに近いような、かなり優秀なものなのかも知れませんね。
各Gの平均値と比較して気になるのはやっぱりあのレースたち
上に示した「現実的な“目安”」と比較して、各グレードごとに気になるレースを幾つかピックアップをしていきたいと思います。プラスの方面は「スーパーG2」や「スーパーG3」の記事をご覧ください。
☆ここ6年の競馬レーティングにみる「スーパーG2」
https://yequalrx.com/rating-superg2/
☆ここ6年の競馬レーティングにみる「スーパーG3」
https://yequalrx.com/rating-superg3/
G1(平均値:117.62ポンド)
目安となる平均値付近にあたるのが、「皐月賞」(←118ポンド台)や「ヴィクトリアマイル」(←117ポンド台)です。これらを大きく下回るレースを列挙してみましょう。

このうち「NHKマイルC」の114.63ポンドに関しては、3歳限定戦ということもあり、アジアでのG1の基準は何とか超えています。注目すべきは古馬の3レースでしょう。
古馬のレースとすると、ダート戦と短距離戦の2レースが並びます。この中でも特に深刻なのが「フェブラリーS」です。2019年以降で111.75-112.75-112.75ポンドと「115ポンド」すら大幅に下回る状況となっていました。
2022年以降の3年は基準を上回ったとはいえ、特に「サウジカップ」デーの創設によって中東への遠征が一流馬の中心となり、フェブラリーSをパスする馬が増えてしまったことが挙げられるでしょう。
G2(平均値:112.07ポンド)
続いてG2です。国際基準での目安が110ポンドです。その基準を3ポンド以上下回る年が続いたとして「ニュージーランドT」が降格の警告を受けて話題になったのはご承知の通りかと思います。ランキングをみても距離や特徴がバラバラなG2が並んでいます。

「ステイヤーズS」は深刻な状況で、中山3600mという距離設定が有馬記念と関連性が薄まった現代の形態ではなかなか厳しい状況と言えそうです。
G3(平均値:108.63ポンド)
おしまいにG3です。G3はそれぞれ設置されている意図もあるため、単純には言えませんが、これらは平均値からかなりレートが低くなっていることを取り上げておこうと思います。

「アイビスサマーダッシュ」の低さが目立ちます。実は重賞の基準を保つにギリギリという状況がここ数年続いています。もちろん国内唯一の1000m重賞であり、1000mがベスト距離という馬が他でレースを高める余地が殆どないことを考えると、なかなか環境を整備する難しさがあるように感じます。
コメント
2023年から3歳戦の基準レースレイティングが2ポンド減らされG1・113(牝馬限定戦109)、G2・108(牝馬限定戦104)、G3・103(牝馬限定戦99)になってます。