二十四節気「寒露(かんろ)」

【はじめに】
この記事では、二十四節気「寒露」についての気になるポイントを纏め、俳句歳時記に載っている名句を鑑賞して、「寒露(かんろ)」の頃の魅力について一緒に学んでいきたいと思います。

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ウィキペディアにみる「寒露」について

まずは、日本語版ウィキペディアを引用して「寒露」について基本情報を抑えていきましょう。

寒露(かんろ)は、二十四節気の第17。九月節(旧暦8月後半から9月前半)。現在広まっている定気法では太陽黄経が195のときで10月8日ごろ。……期間としての意味もあり、この日から、次の節気の霜降前日までである。

寒露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日付

「二十四節気」は基本的に年によって1日程度ズレることがあるのですが、この「寒露」に関しては、2047年までは「10月8日」で固定です。2048年に閏年が10月7日となるまでは、この日付ですので、比較的接しやすい部類かも知れません。

ちなみに「秋分」を挟んで2つ前の節気である「白露」も『露』が入っていて紛らわしいですが、ちょうど1ヶ月前の9月上旬に始まるものです。『寒』の字が入っているとおり、山間部では既に1桁気温になったり、北海道などでは氷点下となる地点も出てくるこの10月前半は、まさに『寒』の字がつくに相応しい気温と日本列島でもなってきます。

季節

が冷気によって凍りそうになるころ。などの冬鳥が渡ってきて、が咲き始め、蟋蟀(こおろぎ)などが鳴き始めるころ。『暦便覧』では、「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と説明している。

寒露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2022年10月には季節外れの寒さで札幌でも早々に「初氷」が観測されて話題となりましたが、基本的には北日本や山間部を中心に「初霜」を観測し始める頃あい。上にあるような季節であることは、これから見ていく「七十二候」にも表れています。

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七十二候

初候
 鴻雁来(こうがん きたる):が飛来し始める(日本)
 鴻雁来賓(こうがん らいひんす):雁が多数飛来して客人となる(中国)
次候
 菊花開(きくのはな ひらく):の花が咲く(日本)
 雀入大水為蛤(すずめ たいすいにいり はまぐりとなる):が海に入ってになる(中国)
末候
 蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり):蟋蟀が戸の辺りで鳴く(日本)
 菊有黄華(きくに こうかあり):菊の花が咲き出す(中国)

「俳句歳時記」には、中国の方の七十二候が季語として掲載されていることがあり、この中でも特に、次候の季語は五七五に合わせやすい形として『雀蛤となる』というフレーズで親しまれています。

古代中国では信じられていたのでしょうが、「雀が海に入って蛤になる」というのは現代ではファンタジックなものに感じられる一方で、なかなか肌感覚と合いづらい部分もありますね。

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一方で「雁来る」とか「菊の花(菊の節句が陰暦9月と思うとそことも合致)」などは、伝統的な日本の季節感とも比較的受け入れやすいものかなと感じました。

俳句歳時記にみる「寒露」の例句

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ここから、俳句歳時記でみかけた「寒露」の名句を5つほどご紹介します。こちらです(↓)

  • 『湖深く見えすぎる日の寒露かな』/鷲谷七菜子
  • 『みづうみの光れるけふを寒露かな』/伊藤敬子
  • 『とぶ鳥の羽音間近に寒露かな』/高木良多
  • 『目に見えぬ塵を掃きたる寒露かな』/手塚美佐
  • 『清拭の湯音二度上げ寒露かな』/富井恵子

上2句は「湖」を通じて『光』を中七で描き『寒露かな』と下五で着地しています。結果的にですが、3音の節気なため『寒露かな』と下五に据える句が他よりも多い様に感じます。また3句目は、羽音という聴覚にフォーカスして『寒露』を描いています。

一方、下の2句は日常の家事を取合わせた作品。特に上から4句目の手塚さんの句は、『寒露』という季語の例句として多くの歳時記にも採用されている傑作です。それに続く、富井さんの句も、『寒』という漢字を上手く対比させて盛り込んでいます。

こうして、自然と合わせても、生活と合わせても、『寒露』という時期が体感とも合いやすいだけに、下五で『寒露かな』とするのが非常にシンプルで良いかと思います。皆さんも作句するとしたらかなり作りやすい部類の節気の季語かと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください! 節気の句を作る良い教材になるかと思います。もし出来たらコメント欄でお寄せくださいませ~

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