二十四節気「処暑(しょしょ)」

【はじめに】
この記事では、二十四節気「処暑」についての気になるポイントを纏め、俳句歳時記に載っている名句を鑑賞して、「処暑」の頃の魅力について一緒に学んでいきたいと思います。

ウィキペディアにみる「処暑」について

まずは、日本語版ウィキペディアを引用して「処暑」について基本情報を抑えていきましょう。

処暑(しょしょ)は、二十四節気の第14。七月中(通常旧暦7月内)。現在広まっている定気法では太陽黄経が150のとき(黄道十二宮では処女宮の原点に相当)で8月23日ごろ。ではそれが起こるだが、天文学ではその瞬間とする。平気法では冬至から2/3(約243.4906日)後で8月23日ごろ。期間としての意味もあり、この日から、次の節気の白露前日までである。

処暑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )

季節

暑さが峠を越えて後退し始めるころ。『暦便覧』では「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と説明している。二百十日二百二十日とともに台風襲来の特異日とされている。

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日付

日付については、2023年までの約30年間は必ず「8月23日」でした。それが2024年頃からしばらくは「閏年のみ8月22日、その他は8月23日」となります。こう覚えておけば21世紀の前半は大丈夫ですのでご安心ください。

余り0余り1余り2余り3確定困難な年
1992年 – 2023年23日23日23日23日
2024年 – 2055年22日23日23日23日2024(22-23日),
2053(22-23日),

七十二候

二十四節気としては「立秋」と「白露」の間に位置する「処暑」ですが、その期間を更に3つに分けた「七十二候」は以下のとおりです。

  • 初候
    • 綿柎開(めんぷ ひらく) : 綿を包む(がく)が開く(日本)
    • 鷹乃祭鳥(たか すなわち とりを まつる) : が捕らえた鳥を並べて食べる(中国)
  • 次候
    • 天地始粛(てんち はじめて しじむ(しゅくす)) : ようやく暑さが鎮まる(日本・中国)
  • 末候
    • 禾乃登(か すなわち みのる) : が実る(日本・中国)

歳時記やプレバト!! にみる「処暑」の名句

ここからは、俳句歳時記に載っている「処暑」例句から季語のポイントに迫っていきたいと思います。

今回意識したのは「処暑」という季語が2音と短いため、他の単語とセットになるという点です。単独では映像を持たない季語であるため、実物のあるものとの相性が良く、仕掛けやすいのだと思います。

  • 座布団の四隅に処暑のかざり糸/長谷川久々子
  • 水平にながれて海へ処暑の雲/柿沼茂
  • 目薬の処暑の一滴頬伝ふ/長村雄作

このように「処暑の~~」と繋げる形を取りやすいのが処暑という2音の季語です。

3句に共通しているのが恐らく「日常からあるものが普段とは違う」感の強調です。『座布団の四隅のかざり糸』も『海の雲』も『目薬の一滴』も処暑という季語の部分を除けば年中あるものです。しかしそれが季語の力によって特別なものとなる。季語の力の大きさを感じますね。

  • 藤蔓の絶たれたるまま垂れて処暑/三森鉄治
  • 軟らかきBの鉛筆好み処暑/岡本彦弥

上の2句のように最後に「処暑」と置くのも有力な形です。個人的には岡本さんの句のように15音をたっぷり使って季語と取り合わせる句も非常に素敵だと思いますね。

そして、最後にご紹介するのが「プレバト!!」のタイトル戦で予選敗退したため本戦には出場できなかったものの、夏井先生がどうしても紹介したいと絶賛した【千賀健永】さんの作品です。

季語という観点からすると初秋に入ってくるのですが、8月下旬の暑さと僅かな涼しさを内包した『風』に結びつけたことで、上五の『ベイエリア』から始まる一連のワードが全て機能的に連携をしていきます。平成最後の処暑に詠まれたこの句は、時代の空気感とそれを越える普遍性を称えているように感じられた秀句で、俳句歳時記にも載って欲しいなと正直感じました。

『ベイエリアから届く短波や処暑の風』

過去のデータにみる「処暑」は本当に涼しくなるのか

ここからは過去の気象データから日本でも本当に「処暑」は涼しくなるのか見ていきたいと思います。以下、「東京」の観測点の『処暑』の期間の気温を見ていきます。


8/23
最高

期間中
最高

9/7
最高
備考
8/23
最低

期間中
最低

9/7
最低
201130.931.929.3処暑前日が最高22.9℃21.421.421.8
201234.235.631.426.823.723.8
201332.136.829.125.020.323.2
201434.634.624.427.619.619.4
201532.732.726.124.717.920.7
201628.333.030.323.221.325.4
201731.934.924.024.416.420.2
201834.136.030.426.920.724.9
201929.534.633.523.220.724.8
202035.235.231.224.021.924.2
202133.635.724.425.516.816.8
(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 過去の気象データ検索 > 日ごとの値

表はざっくり左(最高気温)と右(最低気温)に分かれています。①・④の「8/23」は処暑の当日、③・⑥の「9/7」は白露との境目付近と捉えて下さい。①と③、④と⑥を比較すれば「処暑」の期間で気温がどれだけ下がったかが分かります。
また②は処暑の期間内の最高気温、⑤は処暑の期間内での最低気温を表します。ざっくり見ましょう。

  • ①「処暑」初日は大半が真夏日
    2011~20年のうち最高気温が30℃に満たなかったのは2回のみです。流石に猛暑日というのも多くは無いので多少は暑さのピークは過ぎているようにも感じますが、まだまだ暑い盛りでしょう。
  • ②「処暑」の期間中に猛暑日を記録する年も珍しくない
    処暑というのはタイミング的には「夏休みの終わり」ぐらいです。実際のところ、期間中に猛暑日を観測するという年も決して珍しくはないようです。
  • ③「白露」になる頃には確かに一段落の傾向?
    8月23日が雨などで涼しかった年を除けば、基本的に「白露」の頃の方が最高気温は下がっています。「夏日(最高気温25℃)」にも達しない年も出てきていることを思うと、体感からも秋の訪れを感じられるそんな年も増えてきていると言えそうです。
  • ④「処暑」の夜はほぼ熱帯夜
    8月23日の夜に関しては、23℃以上の年がほとんどで「ほぼ熱帯夜」といえるところです。
  • ⑤・⑥気づけば20℃付近(下回る日も)
    最低気温に関しては、熱帯夜の日が続く年もあるものの、基本的には20℃付近まで低下し、日によっては20℃を大きく割り込むことも出てきます。こうなってくると、真夏の寝着では寒くて目が覚めたり、下手をすると風邪を引いてしまいかねない気温です。

以上を纏めるとこんな感じでしょうか?

  • 「処暑」の始め頃は、確かに晴れると真夏の陽気だけど、9月に入れば多少落ち着き始まる
  • 昼間よりも朝晩の冷え込みが進んで、「熱帯夜」になる割合が減ってくる
  • 秋雨前線に覆われることとなれば、夏日にならなかったり最低気温が20℃を下回る日も出てくる

こういったイメージで「処暑」の約2週間を過ごすと、『真夏』から『初秋』への移ろいをひょっとすると感じられるかも知れません。皆さんの地域はいかがでしょうかぜひ調べてみて下さい。そしてこの「処暑」という微妙な時期にある日常を特別なものとする工夫について例句を踏まえて調べてみて、もし作れる人は俳句を作ってみるのも良いかも知れませんよ!

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