「プレバト!!」歳時記 ~夏の飲み物 編~

【はじめに】
暑い盛りの夏には様々な「夏の飲み物」があり、それらが季語として俳句歳時記に収録されています。今回は、「プレバト!!」で披露された俳句などを振り返りつつ、夏の飲み物の季語にどんなものがあるか共に学んでいきましょう!

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清涼飲料水

手元の電子辞書に収録されている俳句歳時記には記載がありませんでしたが、書籍によっては季語として掲載していることもある「清涼飲料水」という夏の季語。

  • 『思春期蹴散らせ清涼飲料水の泡』/Rx

私が投句している「夏井いつきの一句一遊」という俳句のラジオ番組で季語として取り上げられているのを知りましたが、10音近くある漢語であるため、季語として使うのは苦労しました(苦笑)

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砂糖水・蜜水・白玉水
厳密な意味での「清涼飲料水」ではないかも知れませんが、歳時記には「砂糖水」が季語として掲載されています。ウィキペディアにもこんな記載がありました。

歴史的風物
江戸期から昭和中期頃まで、夏の暑さを紛らすために飲用に供したものを砂糖水、あるいは冷や水と言った。江戸期は、白玉などを添えて振売で売られ、小林一茶の句『砂糖水ただふるまふや江戸の町』にみられるように夏の季語ともなった。

砂糖水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ソーダ水・曹達水・炭酸水

炭酸水(たんさんすい)とは、炭酸ガスを含むのことをいう。ソーダ水・ソーダとも言われる。特にソフトドリンクでは、飲み物に清涼感を与える目的で、炭酸を原料の一つに使用し気泡を立たせる。これは炭酸飲料とも呼ばれる。日本農林規格(JAS)では、ガス内圧が0.29MPa以上の飲料が該当する。

自然界でも、炭酸水は湧き水温泉の形で産出し、温泉は一定要件を満たすと二酸化炭素泉と呼ばれる。飲用可能なものは、ミネラルウォーターの形で販売される。人工的に、水と炭酸ガスに圧力をかけて工場生産されている。欧米のレストランでは、水を注文する際「炭酸水」か「無炭酸の水」かを選んで注文する形式が一般的である。

炭酸水に調味料や香料を加えたものが『炭酸飲料』だが、日本では素の炭酸水は、飲食業における原材料(カクテルベース)として扱われ、一般消費者への普及は遅かった。

炭酸水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

はじめに無味乾燥なイメージが日本ではつきまとう「炭酸水/ソーダ水」から。「プレバト!!」では、フジモンさんが『取り合わせ』の妙として取り上げられた作品にも登場する「ソーダ水」は、どちらかというと後述するサイダー(やソーダ割りの飲み物)まで内包しているかも知れませんが、いずれにしても手っ取り早く夏を感じさせるにはピッタリな季語です。

  • 『ソーダ水睫毛に跳ねる泡涼し』/皆藤愛子
  • 『マンモスの滅んだ理由ソーダ水』/藤本敏史
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そして、ソーダ水を使った以下のような句も、夏井先生から絶賛されていました。こちらの句でおっちゃんは特別永世名人として評価されるに至りましたし、犬山さんは特待生に復帰できました。

  • 『濁りゆくソーダフロート減らぬまま』/梅沢富美男
  • 『喪服着てメロンソーダの列に居る』/犬山紙子

サイダー・冷しサイダー

サイダー: lemonlime)は、砂糖液に香料やクエン酸などを加えたものと、炭酸水とを混合した清涼飲料水。別の言い方をすると甘味酸味で味付けされ、香味がつけられた炭酸飲料

(日本語で、当初)林檎系の香味が付くもののみを指していたようだが、現在はリンゴに限らずさまざまな果物の香味が付くものを含め、アルコールを含まない無色透明の炭酸飲料の総称として用いられている。

なお、砂糖液に酸味と果物の香りをつけた炭酸飲料は英語圏では概してレモンライム(lemonlime)と呼ばれ、イギリスオーストラリアニュージーランドではレモネードlemonade)と呼ばれる。

サイダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本では幕末・明治からサイダーとして独自に定着していったこともあり、俳句歳時記にも概ね全てに掲載されている夏の代表的な飲み物の季語です。「プレバト!!」での秀句というとこちらでしょう。

  • 『三ツ矢サイダー三島由紀夫の覚悟』/立川志らく
  • 『もの言わぬ従弟にサイダー渡す駅』/本上まなみ

本上まなみさんも立川志らくさんも俳句の経験が浅い時期の作品でしたが、「サイダー」という季語の特性をよく捉え、季語として立っていたのが印象的でした。

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ラムネ・冷しラムネ・平野水

ラムネ(Ramune)は、玉詰びんに詰められた炭酸飲料のことである(「玉詰びん」の詳細については後述)。「ラムネ」という名称は英語の「lemonade」が転訛(日本で音が変化)したものである。別の言い方をすると、ラムネとは「玉詰びん」という特徴ある瓶に詰められた レモネードサイダー)のことである。実際、サントリーFAQではラムネとサイダーの違いについて「経年で定義の差は曖昧になり、容器で区別している」としている。

ラムネ (清涼飲料)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

中に入っている液体そのものは他と区別されないのかも知れませんが、現代において「ラムネ」といえばやはり想像されるのはあの容器やその中に入っているビー玉(ラムネ玉)の存在でしょう。

昭和のノスタルジーを感じさせるアイテムとして、「プレバト!!」でも比較的若い世代に重宝されている印象を受けます。直近の句も含め、こちらのラインナップです(↓)。

  • 『登山列車近づく空はラムネ色』/宮田俊哉
  • 『ラムネ瓶浮かぶ未明の川しづか』/皆藤愛子
  • 『木漏れ日を動かして鳴るラムネ玉』/村上健志

宮田さんの句は厳密にいえば季語としての「ラムネ」ではないのでしょうが、「登山列車」と夏の季語を立てた上で「ラムネ」という従の季語の力を借りた点が認められ、75点という高評価でした。

そして、句集完成まで20句となるタイミングで村上永世名人が披露した「ラムネ玉」の句は、『木漏れ日』という凡人ワードを逆手に取り、2つの光を対比させながら描写する点で非常にお見事でした。

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レモン水・レモンスカッシュ

上で見てきたように、日本語では区別している夏の季語も、現実には『レモネード』が独自に分岐しただけという見方ができるものもありました。そうした意味で「レモン水」は現代に隆盛する清涼飲料水と「砂糖水」などとの時代の橋渡し的な役割を果たしたのかも知れません。

  • 『1000本ノック浴びし日のありレモン水』/馬場典子’

このほか、「ミルクセーキ」なども夏の季語として掲載されていたので、ご紹介だけしておきます。

※氷水・かちわり

俳句歳時記に掲載されているもののイメージと、現代で少し異なってきている印象にある季語を最後にご紹介します。手元の電子辞書の歳時記には「かき氷」の傍題として掲載されている「氷水」や「かちわり」についてです。

  • 『決戦の熱冷めやらぬ氷水』/土屋太鳳
  • 『氷水に匙直立すライスカレー』/梅沢富美男’

どちらも夏井先生からは番組内で評価されていた作品ですが、少なくとも2句目の「氷水」は、かき氷ではなくて、氷で冷やした真水です。広辞苑では「①氷のかけらを入れて冷たくした水」「②欠氷に同じ。<季:夏>と書かれ明確に分類しています。

また、「かちわり」についても、阪神甲子園球場の「かちわり氷」の印象と、歳時記に載っているもののイメージが少し違う気がしたので、そこらへんはぜひ皆さんでお調べいただき、TPOに沿った俳句をお作りいただければと思います。

最後に、風流な季語を一つ。「振舞水・接待水・水接待・水振舞」というものです。自動販売機などがない時代に、桶や樽などに冷たい水を汲んで入れておき、通行人が自由に飲めるようにしておいたもののことだそうです。

植物由来の飲み物

厳密にいえば「レモン」も植物なのでここに含むべきかも知れませんが、ここから「茶類」など植物に由来する飲み物のパートに入ります。

東国原さんが特待生時代に1ランク降格の酷評を受けた句もありましたが、「新茶・走り茶」のほか「夏切茶」なども緑茶に関しては夏の季語となります。ペットボトルの冷たいお茶が20世紀後半から21世紀にかけて消費量が増加しましたが、今なお根強い人気を保っているのがこちらでしょう(↓)。

麦湯・麦茶・冷し麦茶

麦茶(むぎちゃ)は、付きのまま焙煎した大麦種子を、で煮出して煎じたり、で浸出して作った飲料である。麦湯(むぎゆ)ともいう。

概要
日本においては、に冷やした麦茶を飲む光景が風物詩となっている。大麦収穫期は初夏であるため、夏の麦茶は新鮮で味も良い。でも温めて飲む場合もあり、加温販売されることを前提としたペットボトル入り麦茶も販売されている。

日本の麦湯・麦茶の歴史
江戸時代には屋台の「麦湯売り」が流行した。天保に書かれた『寛天見聞記』には「夏の夕方より、町ごとに麦湯という行灯を出だし、往来へ腰懸の涼み台をならべ、茶店を出すあり。これも近年の事にて、昔はなかりし也」とあるように、専門店である「麦湯店」も出現した。これは麦湯の女と呼ばれる15歳程度の女子が、一人で食事も何もなく麦湯のみを4ほどで売るものであった。なお、大麦の収穫時期は初夏であり、獲れたての新麦を炒るのが美味であるため、夏の飲料とされた。明治時代に麦湯店も流行ると同時に、庶民の家庭でも「炒り麦」を購入し飲用されるようになった。

麦茶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

俳句歳時記では今でも「麦湯」がトップに掲載されているものが珍しくありませんが、水出しかペットボトルかを問わず、「麦茶」といえば真夏(夏休み)といった連想がされやすい国民的愛飲飲料です。

  • 『補助輪を外し三周麦茶の香』/河合郁人

このほか、「葛水」や「肉桂水・にっき水・薄荷水」なども掲載されていましたが、正直あまり馴染みがない季語ですので、仮にどこかでお目にかかったらその経験を俳句にしてみると良いかと思います。

そして、冷やしたという観点でいくと、「アイスコーヒー・冷し珈琲」も夏の季語として掲載されていました。少なくとも「冷し珈琲」などという言い方はあまり日常ではしない気もしますが、現代では、俳句であってもカタカナに抵抗が薄まっていますから、意図しなければ普通にアイスコーヒーで良さそうにも思います。却って、夏の季感を出すのが難しいとすら感じてしまうほど定着した感もあります。

そしてもうひとつこちらも「アイス~~」系で季語として掲載されていました。

アイスティー・冷し紅茶

まえがき付きでアイスティーの句を披露し、下のように「浜田杯」であることを明確した添削がなされた句を詠んだのは、馬場典子さん。上から読んでいただいている皆さんならご存知のとおり、馬場さんは夏の飲み物を多用する傾向にあるようですww

  • <MC浜田さんへ>
    『ちゃん付けで初めて呼ばれアイスティー』/馬場典子’

アルコール・酒類

最後に、いわゆるアルコール飲料をご紹介します。「プレバト!!」では思ったよりも登場していないのですが、俳句歳時記などを見ると多くの「夏の季語のお酒」が登場します。例えば、

ビール・梅酒・焼酎・甘酒ほか

  • ビール・麦酒
  • 梅酒・梅焼酎
  • 焼酎・泡盛
  • 甘酒
  • 麻地酒
  • 菖蒲酒(しょうぶざけ)、あやめ酒、菖蒲の盃

などがラインナップされていました。ビールは夏のイメージが強いですが、梅酒や焼酎は暑気払いという印象が現代では弱まっていますし、甘酒に関してはむしろ暑気払いというよりハレの行事(プレバト!!ではひな祭りの季節に詠まれた例あり)に関連したイメージとなりそうです。

また伝統的に、「泡盛」や「麻地酒」といった地域色の強いものや、端午の節句に呑まれた「菖蒲酒」なども掲載されています。そうした中で「プレバト!!」で特待生・名人が披露した例がこちらです。

※冷酒

「冷酒」は、れいしゅ とか ひやざけ とか音数に応じて使い分ける夏の季語ですが、その「冷」が指す温度については見解に差があります。本来は、燗(かん)を入れていない『常温』の日本酒のことだったそうですが、昨今ではもっぱら冷蔵庫や氷などで常温以上に冷やしたものをイメージするようです。

  • 『冷酒に心の月を入れて呑む』/立川志らく

貴方は夏場に何を飲みたいですか? もちろん、ここに示したような冷たいものばかりでなく、夏だからこそ夏バテにならないよう常温や温かいものを好む方もいらっしゃいます。ぜひコメント欄にお寄せください。以上、Rxでした!

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