ウェザーニュース山口さん(🐯ぐっさん)の『プレジデント』のインタビュー記事について

【はじめに】
この記事では、2022年11月10日に「PRESIDENT Online」で公開されたウェザーニュース(企業名としては濁るのが正しいものの、濁らない表記を使用します点ご了承ください)の🐯ぐっさんこと「山口剛央」さんに関するインタビュー記事について、個人的に気になった点を10個ほど指摘させて頂きたいと思います。

なお、記事そのものは「ぐっさんファン」を10年近く続けてきた人でも知らないような新事実も、多く載っていて興味深いものとなっていますので、ぜひご一読いただければと思います。リンクを貼っておきます(↓)。

(2022/11/10)PRESIDENT Online
 女性キャスターに「ダンゴムシ」と呼ばれても…
 ウェザーニューズのおじさん予報士が持つ強烈な”気象愛”
 https://president.jp/articles/-/63180

※個人的には山口さん(以下、時に愛をこめて「ぐっさん」と書かせてもらいます)は、私の「心の師匠」に勝手に認定させていただくほど「地震・気象」の面で憧れているお方の一人です。

【良かった点】ぐっさんファンでも知らなそうな新事実

まず良かった点として、山口さんファンでも知らなそうな事実・内情や改めて数値として具体的に示された部分を列挙していきたいと思います。

  • 2ページ目
    「ただ気圧だけはちゃんとした機械がないと測れないので、高3の時に2万円出して買いました」
  • 3ページ目
    『理科年表』は毎年改訂されるが、わずかに追加事項が増えるぐらいで中身はほとんど変わらない。それでも彼は本屋で偶然“発見”した中2時以来、今も版が新たになるごとに買い続けている。
  • 8ページ目
    続いて大阪の放送局へ出向して気象コーナーの構成を3年間担当した後、本社に戻る。以降は、全国各地の放送局に地元の天気予報原稿を送る「放送気象」に4年、道路管理者向けに天気予報情報を提供する「道路気象」に9年、電力会社向けの「電力気象」に4年携わった。
  • 8ページ目
    「大きく外した時は、厳しいお叱りも受けます。的中率が低ければお客さんは即、競合他社に流れてしまう世界です。時には技術部門を代表してお詫びに伺ったり、報告書を書いたりもしました
  • 9ページ目
    通常、解説員は人事管理や予報技術開発など予報センター内で他にも職務を持っているが、山口氏は番組出演専任。“気象の語り部”一本でメシを食う者として、心掛けていることがある。
  • 9ページ目
    東日本大震災時は道路気象の担当でありながら、地震に関する該博な知識を買われて速報番組に丸1日以上出ずっぱりで登板。
  • 10ページ目
    予報センターに異動した際、彼は総合職から専門職への雇用形態変更を願い出た。野村克也氏の「生涯一捕手」ではないが、「生涯一気象解説員」で行くと決めたわけだ。だからこそ、解説員の仕事には覚悟と矜持を胸に臨んでいる。
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ここに挙げた以外でも、数年(10年)単位でウェザーニュースを見ていない方は初めて知る情報があるかとは思います。山口さんの半生を『体系だって』知ることが出来るので、最近知った方も、昔からのファンの方も一読の価値がある記事だと思います!(↓)

(2022/11/10)PRESIDENT Online 【引用元】
 女性キャスターに「ダンゴムシ」と呼ばれても…
 ウェザーニューズのおじさん予報士が持つ強烈な”気象愛”
 https://president.jp/articles/-/63180

【悪かった点】細かい言葉遣いが記事の良さを損なっていた

一方でSNS上でも一部に声が上がっている通り、「インタビュー」本文は非常に良かったのに、細かいところの言葉遣いが気になったというのが私の第一感でした。1ページ目だけでみても、

1ページ目だけでもこんなに目につく表現が

1ページ目

  • 社会不適合者ぎりぎりの生態がぽろぽろ露呈
     →『変わった生活スタイルがぽろぽろ発覚
  • 『ただの危ないオジサンでは断じてない。』
     →『ただの変わり者のオジサンでは決してない。』
  • 『すごいけど変なウェザーニューズの看板解説員』
     →『すごいけど一風変わったウェザーニューズの看板解説員』

など、無自覚(ライターが差別的だと気づいてすらいない)かイジリ(にしても信頼関係の浅い中では言い過ぎに感じるが)のつもりか意図的(荒れる、バズる、話題になることを目指した言い回し)かは分かりませんが、傷つくような表現を不特定多数が読む活字媒体に良くも載せられるなぁと感じます。

プレジデントにとっては相手が悪いのでしょうが、「愛がある」インタビュー記事の代表格のように取り上げられている「GetNavi web」さんの記事のインタビュアーの程良い距離感と文体と比べると、あまりにも配慮と敬意に欠けた言説が目立つように感じました。

2ページ目以降の本編でも、若干度を超えてない?

2ページ目からは本格的に山口さんの生い立ちから本編に入るのですが、1ページ目だけでなくて、

  • 2ページ目『その姿を想像すると、さながら若きマッドサイエンティストに思えなくもない……。』
    → 多分それ侮蔑的な意味合いを込めて使っていますよね??
  • 2ページ目『だがそうした時間こそ、当時の彼には無上の喜びだった。』
    → 「常人には理解しがたい」といった(ある意味で紋切り型な)突き放した表現で、差別的な意図をどこか受け取ってしまった
  • 3ページ目『山口氏の両親は、尋常ではない熱量で気象にのめり込んでいる息子に苦言を呈すこともなく、
    → 山口さんや両親に尊敬の念があるなら、少なくとも「苦言を呈する」という表現を選ぶことはないし、そもそも苦言を呈されるほど常軌を逸したり、反社会的なことを行っている訳でも決して無い点で不穏当
  • 5ページ目 ここまでくると、もはや一種の変態である。しかしその異能が、3度目の受験での合格を手繰り寄せたのだ。
    → ニコニコ動画のコメント欄じゃないんだからww 仮に『一種の変態』的であっても、オフィシャルな地の文では言い換えるのがライターさんの仕事じゃないんスか?

などと、1ページ中に1箇所は(無自覚? 意図的?)な差別的(と言うと大袈裟かもしれませんが)な表現が目に付きました。もちろんこれが「イジリ」のつもりで書いていたり、ネット記事ならではのバズりを狙ったり、受け狙いなのかも知れませんが、唐突にこのトーンで書き綴られて、読者の一部でもマイナスな感情に受け取る層がいることを想像できないものでしょうか。疑問に思います。

9ページ目:地震に関してこれは誤解を招かない?

そして、より正確性をもって記載すべき「地震・気象」に関する部分でも、少なくともその粗が目立ちました。具体的に申しますと、9ページのあたりです。

  • 9ページ目『熊本地震』
    → 気象庁の命名したのは「熊本地震」であって、「熊本地震」という誇張した表現は地元メディアでも使わない様な表現。(正式に「関東大震災」「阪神・淡路大震災などはあるが、熊本地震には使われていないはず)
    → 加えて、この言葉が登場したのは「1回目の震度7(2016/4/14 21:36)」のことであり、規模(Mj6.4)からしても「大地震」というのは、地震の俗的な表現(大地震とはM7以上を指す事が多い)からすれば不適当。
  • 9ページ目『しかし山口氏は翌15日にも同6.4の地震が観測されたことに着目し、これは14日のものの余震ではなく、続いてより大きな地震が起こる可能性を番組内で指摘。』
    → 山口さんからは「15日の地震は『余震』と言うには余りにも(規模が)大きすぎ」といった趣旨での発言はあったものの、『これは余震ではない』などという尖った表現を使ってはいない。
    → また「地点によっては最初の地震よりも強い揺れが起こる可能性が否定できない」と慎重に慎重を重ねて発言したのであって、規模(マグニチュード)の面で「より大きな地震が起こる可能性」を指摘したというのは誤解を招きうる表現に感じる。
  • 9ページ目『結果的に、16日未明に起こった同7.3の本震を予言した形となった。
    → 山口さんにインタビューしたら恐らく「予言した訳ではない」と否定すると思います。かつて宇野沢さんだかが特番で聞いた時も「結果的に1回目を上回る揺れとなったが、そこまでは想定してなかった」といった趣旨の発言をしていたと記憶しています。故に「予言した形となった。」は踏み込みすぎた書きっぷりに思えます。
  • 9ページ目『気象庁から、14日の方が前震だったと考えられるとの訂正見解が発表されたのは、16日の本震が発生した後のことだった。』
    → そもそも「本震」が発生する前に「前震だったとの訂正見解が発表」されることは理論的にも破綻しており、記事の日本語を精読する必要があったのでは?
    → 16日のM7.3の地震の当日の記者会見では「14日を前震」とする趣旨の発言を気象庁がしていたが、翌週にかけてその見解を再訂正し、「前震・余震」という表現の使用に消極的になる方針変更まで行っている。そのため、2022年にアップする記事として上記の記載は気象庁の見解とも合致しない誤解を招く表現の可能性がある。

以上のように、細かいと感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、素人の私(Rx)がみただけでも、2桁に及ぶ疑問点ないし不適切な表現が散見されるような記事を、修正・見解発表もなく拡散している点に、

ライターの「河崎三行」氏(個人的には過去の記事の傾向から、男女や世代間などの固定観念に基づく表現や見出しの盛った表現が目立つ点が気になると共に、気象会社の専門解説員を記事とするに値する見識を持るライター人材として適任なのかが甚だ疑問)および雑誌「プレジデント(PRESIDENT Online)」さんの(公式)見解を聞きたいとすら感じてしまいました。

そもそもタイトルも何か違和感……キャスターも触れてたけど

付け加えるならば、記事公開当日に、大島璃音(🦔のんちゃん)キャスターが12時台に2点ほど弁解をしていましたし、檜山沙耶(🐸さやっち/おさや)キャスター「山口さんを『ダンゴムシ』と【呼んでいる】」訳ではないと(『誤解を招く表現』であることを真面目な彼女なりに)言い改めようとしていました。キャスターにも火の粉が飛んでしまっている印象です。

(出所)PRESIDENT Onlineの記事のタイトル部分を画像にて引用

この【「ダンゴムシ」と呼ばれても】というタイトルの部分は、初見の読者をミスリードする懸念があります。「ダンゴムシ」と(陰口のように)呼んでいるのでは(当然、決して)なく、大島キャスターが言い間違って「ダンゴムシ」と呼んでしまった様な流れになったのを山口さんの懐の深さでネタにしただけのことです。

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もちろん文字数的な制約があることは分かりますが、せめて、『女性キャスターに間違って「ダンゴムシ」と呼ばれても」とか「女性キャスターに間違って「ダンゴムシ呼ばわり」されても」とか、誤解を避ける表現は幾らでもできたはずです。夏井いつきの俳句査定の添削ではないですが、文字数を意識するなら省略をして

女性キャスターに「ダンゴムシ」と呼ばれても…ウェザーニューズのおじさん予報士が持つ強烈な”気象愛”
 ↓
女性キャスターに間違ってダンゴムシと呼ばれても……ウェザーニューズの予報士が持つ強烈な“気象愛”

とかでは通らないほど見出しを盛らないと許可が下りない媒体なのでしょうか? 甚だ疑問です。

【まとめ】個人的に読んでは欲しい……ただ声はあげとく

この記事で伝えたかったのは、山口さん(🐯ぐっさん)に興味のある方、ウェザーニュースに興味を持った方は、『読んで損はない!』&『個人的には読んで欲しい』です。

読むに当たって【悪かった点】で触れたような気になる点が2桁近くあるので、そこを気にする方は飛ばして、気にならない方は飲み込んで、大ボリュームのロングインタビュー(11ページ)を読んで楽しんで頂けたらと思います。内容自体はしっかりとして楽しいものですから。

ただ、取材した側には、幾つか注文をつけたりどういう編集意図だったのか確認したい部分が無いわけではありません。それなりに名の知れた雑誌でもこんな感じになっちゃうの? というのが個人的な感想で、些か不安を覚えたほどです。

私が過剰に、気にし過ぎかなーと思う反面、多くの人の目に触れ、しかも前後の文脈や背景を詳しく知らない新規の方が目にしやすい記事であることを思うと、『イジリ』や『不穏当な表現』が曲解される可能性も拭えません。もし仮にご賛同頂ける方がいたら同じく声をあげていただきたいですし、万が一ご本家さんに届いて、私の指摘の1点でも届いたならばこの記事を書いた意味があると思っています。

長文失礼しました。それでは、PRESIDENT Onlineさんの記事をぜひお楽しみください!(↓)

(2022/11/10)PRESIDENT Online
 女性キャスターに「ダンゴムシ」と呼ばれても…
 ウェザーニューズのおじさん予報士が持つ強烈な”気象愛”
 https://president.jp/articles/-/63180

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