【はじめに】
この記事では、自分の主観(≒肌感覚)と、世間にある「ヒットチャート」を様々な視点から比較してみて、そのヒットチャートがどの程度「いわゆる流行や人気」を測れているのかを、個々人で採点してみよう! という企画の概要について説明していきます。
「ヒットチャート」に関する私見について
ウィキペディアにみる「ヒットチャート」
ヒットチャートとは主に音楽市場で用いられるレコード・CD・音楽配信サービスなどの売上・再生数による順位表である。音楽のほかに映画、テレビ番組、書籍などで用いられる場合もあるが、国内外において音楽で用いられることが多い。
概要
主に世界各国の音楽シーンにおいて、バンドやユニットまた楽曲などの評価・格付けを客観的かつ相対的に行うとともに、世間におけるいわゆる流行や人気を測るものとして用いられる。日本ではオリコンチャートやビルボードチャートなどが権威あるチャートとして挙げられるが、各CDショップやレンタルCD・さらにテレビ番組など独自に集計して売上ランキングを作っているものもあり、それらも同様に「ヒットチャート」である。[要出典]
ヒットチャート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ここで書かれている説明文のうち、注目すべきは『客観的かつ相対的に行う』という点でしょうか。『世間におけるいわゆる流行や人気』という主観が入りやすいものを『客観的かつ相対的』に評価・格付けすることを目指したものだという視点でしょう。
順番を逆にすると、『世界におけるいわゆる流行や人気』といった主観的な要素の強いものを、どの様に評価・格付けするか。もちろん完全主観に全振りしたものも意味はあるのですが、より権威付けという意味で『客観的』を標榜することが必要になってくるのだと思います。
代表的な事例で二分すると
「日本の音楽チャート」のリストをもう少し拡大して代表的なものを以下のように纏めました。
オリコンやビルボードの複合でない各チャートの様に、集計対象を絞って単一の基準でその値を単純に比較するものが昭和の終わりから平成中盤までは主流でした。
対して、「ザ・ベストテン」の人気全盛期や、オリコンシングルCD売上チャートが肌感覚からズレて、再生回数などをうまく取り入れた「ビルボード」などの時代には『複合(総合)チャート』が主流となってきています。
ざっくり両者のメリット・デメリット
ではここからヒットチャートのメリット・デメリットの大きな部分をざっくり1つ絞って説明します。
これも厳密に言えば難しさがあるのですが、最大の強みであり弱点ともなるのが「コンセプトの分かりやすさ」でしょう。第一感『フェア』っぽいから、公平っぽく見えるのです。
ただ、シングルチャートに「アルバム曲」が入らず、サブスク解禁していない曲が「再生回数ランキング」に入らないのは、誰の目にも明らかな弱点と言えるでしょう。
「複合」チャートというものは単一チャートのアンチテーゼ的に揺り戻しが来がちなのですが、「捕捉率」が高まることで、それを根拠に説明力(説得力)の高さで促しがちなのだと思います。
平成中期には、CDシングルチャートで上位に入っていない『配信でのヒット曲』が、平成末期から令和に差し掛かる頃は『YouTube発のヒット曲』を捕捉できたことで、期待度が増しました。
しかし、その結果に納得感のある時は着目されづらいのですが、その結果に「疑問符」がつく状況となると、その『算出方法にケチがつきやすい』という弱点があります。どこまで行っても「対象」やその比率・調整には完全な正解があるものではないので、こちらを立てればあちらが立たずとなりがちなのです。
チャートの栄枯盛衰(覇権は安泰なものではない)
そして、もう一つ忘れてならないのが、「各チャート」の覇権は長く続かないというものです。『◯◯チャートが最適』という時代は確かにありますが、それが何十年と続かないからチャートというものの存在は難しく、良かった時代の印象(残像)に固執するとヒットトレンドを見誤ってしまうのです。
そもそも、メディアなどで『◯◯チャート』と注目が集まれば集まるほど、そこで上位に入ろうとする業界が、『チャートを利用』するべく弱点を突き、いずれ体力の強いものに淘汰されていって形骸化・陳腐化する宿命にあるからです(やや誇張して書きましたが)。私の主観・肌感覚でざっくり書くと、
- 複合
1970年代終盤 ~ 1980年代中盤
- 単一
1980年代後半 ~ 2000年代中盤
※メディアなどの取り上げでは平成いっぱい続く - 単一
2000年代後半
※「着うた」→「着うたフル」から「配信総合」へ。注目度は下がるが、有料でDLしてでも聴きたい層が母体のため、チャートの説得力は実は今でも健在。 - -( 空位時代 )
2010年代前半 ~ 2010年代中盤
※単一では単純に説明しきれず、複合もCD偏重などでうまく説明しきれず - 複合
2010年代後半 ~ 2020年代前半
※2016/12のリニューアルから、チャートの硬直化・ノイズ除去の遅れまで
こんな感じではなかろうかと思います。そして、注意すべきは、「全盛期が過ぎて、説明力が落ちて」からも数年は全盛期の余勢で『チャートの権威』が維持される点です。今も「オリコンチャート◯位」が(実勢以上に)重用されるのは、その知名度の持つパワーがある程度健在だからなのでしょう。
足元では、2016年12月にチャートリニューアルされて以降、SNS上はビルボード1強のような感覚を受けます。しかし『夜に駆ける』がCD未発売で年間1位に輝き『時代の寵児』となった令和元年から、徐々にそして慢性的に「攻撃」を業界・熱心なファン層から受けるようになっています。
しかし、個人的にはすでに2010年代をもって「ビルボード」も全盛期は過ぎてしまい、ここからは守勢に回ることを余儀なくされていくのではないかと感じています。もちろん現存のチャートの中では、他よりも優れたチャートだとは思っているのですが、得点率を徐々に落としているのではないか? というのが私の肌感覚からの見立てです。
主観で良い。ヒットの肌感覚とチャートを比較採点しよう
目下「最適解」と思しきヒットチャートがあっても、それが絶対的に100点とは限りません。おそらく他が70点台以下で、このチャートが80点を超えてるから「最適」みたいなのが実態だと思います。
ここで私(ヒットチャート好き かつ ヒット音楽好き)が、案外軽んじるべきではないと考えているのが、貴方の「肌感覚」です。もう一度、ウィキペディアの説明文を引用します。
評価・格付けを客観的かつ相対的に行うとともに、世間におけるいわゆる流行や人気を測るものとして用いられる。
ヒットチャート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒットチャートで測るものは『世間におけるいわゆる流行や人気』と説明されています。それを、『客観的かつ相対的』と思しき方法で評価・格付けする(した)ものが「ヒットチャート」です。
あくまでも根底にあるのは、『世間におけるいわゆる流行や人気』という主観がメインを占めるものであり、確かにそれを数千、数万単位で対照していけば『間主観的な流行や人気の指標』ができるかとは思います。ただそれが『しっくり来ない』という個人の肌感覚も重要だと感じるのです。そして恐らく『評価方法(手法)』に課題・問題・改善の余地が(どこかに)あるのではないかと思うのです。
もちろん、今あるチャートが90点を超え、100点近いぐらい満足だということならば当面良いのかも知れませんが、上にみた通りそれが未来永劫続くとも限りません。
あれ? 最近ちょっと、前よりも肌感覚とズレてきた?
と内心感じるようになってきたら、見直すチャンス/好機を迎えているのかも知れません。
ヒットに自分の意見を持っておく
例えば、私の様に「自分の中での最適解」を持っている方が、ごく一部いらっしゃるかも知れません。(↓)
ただそんな人は全体の1%とかでしょうし、もし自分のヒットチャートや指標を持っているにしても、それがちゃんと「最適であり続けているか」を定期的にチェックする必要はあろうかと思います。
何も、最適なチャートや指標なんか興味のある人以外は作らなくても良いのです。ただ、客観的とされ権威のあるものを見た時に『ん?何か気になるな』という肌感覚は大切にして頂きたいと思うのです。
チャートの採点(比較)の方法について(案)
とりあえず簡易的ではありますが、チャートの採点(比較)方法についてロードマップを作りました。
- ①自分の意見を(ある程度)持つ
チャートや指標にしなくても良いです。権威あるチャートが『納得いくものか』どうかを判断できる程度に自分の意見をおぼろげに持っていればOKでしょう。
- ②自分が一番好き/詳しい時代の年間チャートを引っ張ってくる
最新のもの……とすると、最新のヒットに詳しくない方も多いと思うので、最初は「自分が一番好き/詳しい時代」で良いと思います。手始めに「年間チャート」としてみました。
- ③チャートを中位ぐらいまで見て、ざっくり評価する
チャートの上位と中位を比較して、「中位」より「上位」が確かにヒットしてるな、と思えば「◯」ですし、そうでなければ「△」や「×」だと思います。それぐらいまずはざっくりでも良いので、チャートを『評価する目線で見てみる』という経験をしてみてください。
- ④もっと興味があれば拡張してみる
拡張の仕方をざっくり考えると、例えばこんな感じでしょうか。
・特定の時代の「月間」や「週間」など更に細かい期間をみてみる
・同じチャートの違う時代(時期)を同じ方法で比較してみる
・そのチャートの評価をもっと細かく/厳密にやってみる
こういったプロセスを重ねていった結果、データが蓄積され、貴方にとっての『最適』が浮かび上がってくるのではないかと思います。
私はこれから時間が許せば、上に書いた『Rx主観のヒットチャート盛衰史』が正しいのかどうかを上のロードマップに従って検証してみようと思います。
長くなりましたが、今回はそのシリーズの「ガイダンス」としての記事としてみました。もし興味のある方は私と一緒にチャレンジしてみてください。それでは今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。もし宜しければ感想をコメント欄にお寄せ下さいませ! Rxでした。
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