【冬・生活】「懐炉(かいろ/カイロ)」

【はじめに】
皆さんは、冬に「カイロ」は必需品ですか? 「懐炉(かいろ/カイロ)」は俳句歳時記にも冬の季語として掲載されている防寒具です。今日はウィキペディアの記載で懐炉の基本を抑えた上で、歳時記に載っていた例句から個人的にスキな3句をご紹介したく思います。

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懐炉(かいろ)とは、化学発熱体や蓄熱材等を内蔵し携帯して身体を暖めるもの。

懐炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )

種類

温石
 詳細は「温石」を参照
古い時代(落窪物語に記述あり)には、懐中に入れて暖を取るものとして温石が利用されていた。滑石等を火鉢などで加熱し、適度に冷ますか布に包むなどして使用するものの他、のみ、又は塩とを混ぜたものを炒って布に包んだもの(塩温石)も同様に使用されており、江戸時代くらいまでは一般的だったようである。当時から布団の足下に置くなどして睡眠時に使用されていたが、中世ヨーロッパでも同様に使っていたらしい。

灰式カイロ
江戸時代の元禄期初期には、懐炉灰(木炭粉末に、保温力の強いナスの茎の灰などを混ぜたもの)を通気孔の開いた金属容器に入れ、燃焼させるカイロがあったことが知られている。この木炭粉末に混ぜる灰は、殻や灰も使われた。

明治時代に入ると、金属製の筐体にロックウールを保持媒体として内蔵する灰式カイロを製造するメーカーが国内に多数現れ、同様の構造を持つ豆炭行火と共に、安価で簡便な暖房器具として大いに普及した。1904年(明治37年)には麻の一大生産地である栃木県で麻殻を再利用した懐炉灰の大量生産が始まった事も、その普及を後押しした

白金触媒式カイロ
白金触媒式のカイロとは、プラチナによる燃料の酸化発熱を利用したカイロである。ベンジンを主な燃料としている。

大正末期、的場仁市がイギリスプラチナ触媒ライターを参考に、「プラチナ(白金)の触媒作用を利用して、気化したベンジンをゆっくりと酸化発熱させる」懐炉を独自に発明し、1923年に「ハクキンカイロ(白金懐炉)」の商品名で発売した。ベンジンが稀少であった第二次世界大戦前戦中は郵便局や軍隊などが利用の中心だったが、戦後はハクキンカイロ社以外の製品も登場し一般にも広く普及した。

使い捨てカイロ
1975年アメリカ陸軍が使用していたフットウォーマーを元に、旭化成工業(現・旭化成)が鍼灸師ルート等を通じて全国で「アッタカサン」を販売。それを原型にして、日本純水素(現:日本パイオニクス)が1978年に開発、ロッテ電子工業(後のロッテ健康産業→現在はロッテ本体に吸収合併)が「ホカロン」の商品名で使い捨てカイロを全国発売し、これがヒット商品となって一般に普及した。

1979年に白元が当時比較的高価だった使い捨てカイロをコストダウン化させ、1枚100円の「ホッカイロ」を発売し北日本を中心に大ヒット、使い捨てカイロの代名詞とまでなった。

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シール付きの使い捨てカイロ、いわば貼るタイプのカイロが発売されたのは1988年であり、マイコールが業界に先駆けて販売し、成功を収めた。
その貼るカイロに目を付けたのが、それまで市場進出に乗り遅れていた桐灰化学であり、翌年の1989年に「桐灰はる」を発売。東日本地盤だったマイコールに対し西日本での地盤固めに成功し、インパクトのあるCMと相まって貼るカイロの知名度を高め、1997年には群馬県にも製造工場を設けて東日本に本格進出、長年使い捨てカイロ業界の首位に立つ契機となった。

電子レンジカイロ
中にゲル状の保温材や小豆やセラミックビーズなどが封入され、使用時に電子レンジで加熱して蓄熱させる方式のカイロ。日本ではもっぱら湯たんぽ代替として商品化されている。白元(現:白元アース)が「ゆたぽん」シリーズを2000年に発売してから一般化し、使い捨てカイロに対し就寝時にも使用できる(一部使用不可のものもあり)ため、冷え性に悩む成人女性に訴求し、ロングランヒット商品となった。

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電池式・充電式カイロ
電池式のカイロ。日本国内だけではなく、日本国外でも人気があり多く使用されている。使用開始・停止が容易で、燃焼ガスやゴミが発生しないという大きな利点があるが、電池や回路部品の耐熱温度の関係で使い捨てカイロより発熱温度が低いものが多い。

ケミカルカイロ
酢酸ナトリウムの物理反応を利用したカイロ。使用後吸熱させることで再利用が可能。最近は酢酸水溶液などの溶液とコイン状の金属片を封入したビニールパックが「エコカイロ」などの名前で売られている。溶液は常温で過冷却状態であり、内封の金属片で刺激すると結晶化し、約50℃前後の発熱を1時間ほど持続する。放熱後は熱湯に入れ吸熱させることで繰り返し使用が可能。なお破裂する恐れがあるため、電子レンジでの過熱は禁止されている。

俳句歳時記より「懐炉」の例句3句

様々な「懐炉」が明治から平成にかけて開発されてきましたが、ここで俳句歳時記から「懐炉」の例句を3句ほどご紹介します。あなたはどの句がお好きですか?

  1. 『三十にして我老いし懐炉かな』/正岡子規
  2. 『京に着く頃には懐炉ほつこりと』/波多野爽波
  3. 『用済みの使ひ捨て懐炉のごはごは』/桑原三郎

1句目は、正岡子規の生涯を思うと『三十』に重みがあります。(子規は満34歳で早世≒人生の約9割にあたり、80歳まで生きられる方なら70歳付近に相当か)

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また、2句目は高浜虚子に師事し、「ホトトギス」同人を経て『青』を創刊された波多野爽波の1句ですが、現代人の思い浮かべる懐炉と、戦後(1946年)に大陸から戻って「京大ホトトギス」を復活させた人物の『京』や『懐炉』は全く別のものだったであろうと想像がつきましょう。

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最後に3句目の『使ひ捨て懐炉』というものが(明治~昭和期にもそれなりのものはあったのでしょうが)昭和から平成のトレンドだということを知ると、上の2句とは時代も雰囲気も変わってくるように感じます。

皆さんも今年最初に「懐炉」を使ったり、冬の寒い思い出として身に当てた「懐炉」について振り返る機会にしてみてください。もし何か1句できたら、ぜひコメント欄にも教えてください~

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