【はじめに】
2023年7月13日に放送された「プレバト!!」では、辰巳琢郎さんが詠んだ俳句に入っていた『初デート』というフレーズについて、中高年男性が使いがちであるとイジられていました。
では、実際、過去にどんな俳句が詠まれてきたのかを振り返って行きたく思います。『デート』という単語が含まれた作品から、どんな傾向にあるのかを一緒に探っていきましょう!
18/07/12『すっぴんの食堂デート冷奴』/紺野美沙子
私が最初に番組で触れた『デート』俳句がおそらくこれでした。紺野美沙子さんが才能ナシから初めて脱した(凡人65点)3度目の挑戦に詠んだ作品。『デート』なのに気取らないところが、一定の評価を得る結果となりました。
『すっぴんの食堂デート冷奴』 ↓ 『駅前食堂すっぴんデート冷奴』
添削後をみると、「駅前」という情報で補強されているところも映像の補強となっていますし、むしろこの『すっぴんデート』という飾らないフレーズが句を引きてているようにすら感じます。夏の季語である『冷奴』もよく効いていますね。
21/03/25『永き日のじゃんけん多き初デート』/向井慧
タイトル戦で初めて登場した『初デート』。祖母の形見の俳句の本と共に一歩一歩成長してきたパンサー・向井さんが、噛ませ犬ポジションを脱却(予選まさかの1位通過)した2021年春光戦の決勝戦で披露した作品です。
『永き日のじゃんけん多き初デート』 ↓ 『じゃんけんを何度日永の初デート』
千原ジュニア先輩からは、句ではなく、デートに対して(じゃんけん多いデートはつまらなそう)ケチがついてしまいましたがww
句の内容としては、『初デート』に初々しさがのっていますし、それに『日永/永き日』という大人びた季語が取り合わせられているのは目を見張る部分があるなと感じました。
23/06/15『八十路夏蛍照らせし初デート』/徳光和夫
続いては、過去9回なかった「才能ナシ」となってしまった特待生候補・徳光和夫さんガックリの1句です。才能ナシ20点という厳しい結果となりましたが、添削後の句にも入っている「椿山荘」という、初デートのオシャレな場所がまさに“初デート”を補強する大事な情報だと分かります。
『八十路夏蛍照らせし初デート』 ↓ 『君とゐて椿山荘の初蛍』
「八十路夏(やそじなつ)」や「蛍」といった季語の重複も、「蛍」に「照らす」といった組み合わせも、一気に改称すると共に、『初デート』であることをそう書かずに暗示させるのは流石でした。
23/07/13『白雨くるパフェのはしごの初デート』/辰巳琢郎
高学歴対決となった2023年7月13日の回、辰巳琢郎さんはハイレベルな中で「3位68点・凡人」査定となりました。
2016年・65点 → 2018年・67点 → 2023年・68点 とジワジワ点を伸ばしていますが、70点という「才能アリ」の壁は高いようで、二度あることは……となったものの、辰巳さんなりに工夫を凝らした作品となっています。
『白雨くるパフェのはしごの初デート』 ↓ 『白雨くる来る二店目の恋のパフェ』
「は」の音を畳み掛ける工夫よりも、句の内容を仕上げることが正解だったという今回の添削。冒頭にも書きましたが、『おじさんは初デートをよく使う』というのはある種の至言かも知れませんねww
歳を重ねれば重ねるほど、昔を振り返った作品を書きたくなるものですが、俳句には『瑞々しい』時制でリアリティをもたせた方が映えることが多いです。だって、恐らく今まさに「初デート」に挑んでいる子は、自分の経験を「初デート」と詠めないでしょう。初デート以外を経験していませんし、相当の期間を経なければ「初デート」と回顧することすらないからです。
そして、もうひとつ勉強になったのが、同じ回で特待生4級に昇格した「本上まなみ」さんの句です。
『パフェ二塔はさむ二人の夏終わる』/本上まなみ
(ニ塔というフレーズは私も大袈裟かなとは感じていましたが)『初デート』というフレーズを使わずに『初デート』であることが夏井先生にはちゃんと伝わっていました。
【 まとめ 】
『初デート』も『過去形』も使わずに「初デート」であることを伝えられるようになったら、仮にそれが“おじさん”の作品であっても若い世代に共感されることでしょう。「プレバト!!」の『デート』句を振り返るだけでも、学びになる部分があったように思います。
皆さんも、『初デート』の思い出を、安易な単語に頼らず描写してみては如何でしょうか?
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