【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「みやこS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
みやこステークスは、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。競走名の「みやこ」は、その国の中央政府の所在地。日本においては京都が長くその地であったため、京都を指して呼ばれることが多い。正賞は地方競馬全国協会理事長賞。JRA重賞競走における平仮名の競走名は当競走ときさらぎ賞の2つのみである。
みやこステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
前身競走:「トパーズS」(前々身の条件時代を含む)
- 2010年 – 前年まで行われていた「トパーズステークス」を重賞(GIII)に昇格、名称を「みやこステークス」に変更。
日本語版ウィキペディアには、前身となる「トパーズS」についても触れられていますが、その項の最後に『なお、同名の条件級競走が過去に東京競馬場などで行われたことがある』と記載されていたので、そちらも補足していこうと思います。
前々身:関東の「トパーズS」(条件戦)
「トパーズ」は11月の誕生石とされ、そうした経緯から少なくとも昭和40年代から開催場や条件を変えて「トパーズS」というレースが中央でも開催されてきました。
1965年に中京競馬場の芝2000mで開催されると、1966・67年に中山競馬、1968年からは毎年、東京競馬場で開催されてきました。比較的著名な好走馬としては、
などがおり、距離は抜きにして、東京競馬場との関係性が高かったと見られます。そして、条件戦としての「トパーズS」は東京競馬場で1985年まで続きました。
前身:関西の「トパーズS」(オープン特別)
厳密には連続性はないものの「トパーズS」という名称のレースが東西で開催されていた時期もありました。1979年(東京・阪神)にどちらも1200万下条件戦で開催された事例です。そして、1983年には、関西(京都競馬場)でオープン特別の「トパーズS」が創設され、毎年開催されるようになります。
JRAの公式見解としてもこの「トパーズS」を、「みやこS」は前身としており、そこを加えれば(条件こそ違うものの)40年近い歴史があることになります。
初回(1983年)のみ京都1400mの短距離で行われ、ここを58kgを背負い4馬身差で連勝したのが、【ニホンピロウイナー】でした。この次にCBC賞を制して「最優秀スプリンター」に輝いています。
その翌年からは芝の中距離(2000m)として1996年まで開催されることとなり、ジャパンCの裏で行われる西のメイン格となっていきます。もちろんジャパンC当日開催であることを思えばやはりオープン特別級の馬が中心となる訳ですが、
例外的にオープン戦での初勝利となった【ダイユウサク】は、このトパーズSから翌年の金杯まで3連勝を遂げ、更に年末にはオープン特別「阪神競馬場新装記念」を叩いて、14番人気からの有馬記念制覇を達成しています。
そして、1997年にダート1800mに変更され、ジャパンCダートの創設までは一つの目標となるレースとなりました。実際、1998年にはエムアイブランが58kgで2着、1999年にはウイングアローが58.5kgで3着など、ハンデ戦ながら一線級が積極的に挑戦していました。
1997年11月15日 | プレミアムサンダー | 牡3 |
1998年11月21日 | オースミジェット | 牡4 |
1999年11月20日 | ワールドクリーク | 牡4 |
2000年11月18日 | ホクセツキング | 騸4 |
2001年11月17日 | タマモルビーキング | 牡3 |
2002年11月16日 | エアピエール | 牡6 |
2003年11月22日 | タイムパラドックス | 牡5 |
2004年11月20日 | エンシェントヒル | 牝3 |
2005年11月19日 | ベラージオ | 牡6 |
2006年11月18日 | カフェオリンポス | 牡5 |
2007年11月17日 | ロングプライド | 牡3 |
2008年11月24日 | エスポワールシチー | 牡3 |
2009年11月21日 | シルクメビウス | 牡3 |
2000年代に入って、ジャパンCダートや交流重賞が充実していく中で、11月はダートの一線級が出走するレースが多いため、ここを選ぶ馬は結構ニッチなところを突いてくる感じでした。ただ2003年のタイムパラドックスや2008年のエスポワールシチーは翌年に重賞そしてG1馬に駆け上がっていきました。
G3「みやこS」(ダート重賞)時代
そうした「トパーズS」を重賞に昇格させる形で、2010年に「みやこS」が創設されます。回次は過去を踏襲せず、2010年を第1回としていますが、これまで見てきたとおり、条件戦時代を含めれば半世紀近く、ダートオープン特別時代に限っても15年の歴史を有していました。
第1回は、グレード競走を勝ちきれていなかった4歳馬【トランセンド】が優勝。次走のジャパンCダートも勝ち、まさにステップレースとしての役目を初回から果たすと共に、翌年にはあのドバイワールドCでヴィクトワールピサとワンツーを達成しています。初回からして「出世レース」となりました。
そして、第2回には、「トパーズS」を3歳時に制していた【エスポワールシチー】が58kgを背負って3馬身半の圧勝。G1/Jpn1を5連勝した同馬の凱旋に相応しい舞台となりました。
その後も、JBCクラシックでなく中央路線を戦う一線級が軒並み出走。第3回はローマンレジェンドが1着、2着にニホンピロアワーズが入り、3着に入った【ホッコータルマエ】は後にG1/Jpn1を10勝もしています。
開催日 | 場 | レースR | 勝ち馬 | 馬齢 |
---|---|---|---|---|
2016年11月6日 | 京都 | 111.50 | アポロケンタッキー | 牡4 |
2017年11月5日 | 京都 | 108.25 | テイエムジンソク | 牡5 |
2019年11月3日 | 京都 | 108.25 | ヴェンジェンス | 牡6 |
2020年11月8日 | 阪神 | 108.00 | クリンチャー | 牡6 |
2021年11月7日 | 阪神 | 106.75 | メイショウハリオ | 牡4 |
2018年は「JBC競走」を京都競馬場で開催した関係で「みやこS」が開催休止となりました。そのため2016年以降の表は他より1回分少なくなるのですが、「GIIIの目安:105ポンド」を何とか超えている状況が続いています。
2016年こそ国内のダート重賞としては優秀に「111.5ポンド」とGIIの目安も超えていましたが、ここ最近はすっかりGIIIの水準に落ち着いてしまっています。そんな中、2022年は久々に59kgで出走するような一流馬【オメガパフューム】が人気を集め、斤量差が3~5kgある他馬にも逆転の可能性があるという見立てから面白いレースとなりそうです。
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