旧震度「輪島」(輪島市鳳至町)

【はじめに】
この記事では、気象官署「輪島(輪島市鳳至町:輪島特別地域気象観測所)」で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。

気象官署「輪島」について

まずは、石川県輪島市内の「震度観測点」の一覧表をご覧ください。今回取り上げるのは、1929年から100年近い観測歴のある気象官署「輪島」こと「輪島市鳳至町」の観測点です。

地域
名称
震度観測点
名称
観測点所在地緯度(度)緯度(分)経度(度)経度(分)観測開始
石川県能登輪島市鳳至町(旧)輪島市鳳至町畠田99-3(輪島特別地域気象観測所)3723.513653.7192904
石川県能登輪島市鳳至町輪島市鳳至町畠田99-3(輪島特別地域気象観測所)3723.513653.7201902201200
(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 気象庁震度観測点一覧表 より

石川県内で、昭和の時代から絶えず観測されてきた震度観測点は「金沢」とこの「輪島」の2地点しかありません。加賀地方の代表が「金沢」、そして能登地方の代表が「輪島」という位置づけでした。

どういった揺れが観測されてきたのか、具体的にみていきましょう。

昭和と平成で傾向が一変(急増)

実質的には1930年代からとなる観測の歴史、10年代ごとに地震の回数をまとめたデータを、気象庁の震度データベース検索から引用します。昭和と平成で数値が大きく変化しているの分かりますか?

期間震度1震度2震度3震度45弱5強6弱6強合計
1930年代17112131
1940年代27910248
1950年代25102138
1960年代2455135
1970年代66113
1980年代1743226
1990年代642230190
2000年代2778226631395
2010年代952464129
合計55217358174001805
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1930/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 輪島市鳳至町(旧) もしくは 輪島市鳳至町 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数

昭和の前半は30~40回台で、昭和の後半はそれをも下回る回数でした。単純に均すと、震度4が10年に1回、体に感じる地震も年に数回といった具合です。もちろん人間が体感で観測していた時代なので漏れなどもあったかも知れませんが、その後と比べると非常に少なく感じます。

傾向が一変するのは平成に入った1990年代あたりから。後述する1993年の「能登半島沖地震」以降は地震が活発な部類に入った印象で、特に2007年の「能登半島地震」が起きてからは、桁違い(単純比較で10倍近い)の回数の有感地震を計測しています。

【昭和】震度4:7回、震度5は1度もなし

昭和時代から記録が始まり、昭和だけで約60年間の観測歴を持つ気象官署「輪島」では、「震度4(中震)」を7回観測しました。以下、震度データベース検索からの引用です。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「輪島」
1933/09/21 12:14:25.3石川県能登地方20 km6.0震度4震度4
1944/12/07 13:35:40.0三重県南東沖40 km7.9震度6震度4
1948/06/28 16:13:28.8福井県嶺北0 km7.1震度6震度4
1952/03/07 16:32:38.7石川県西方沖17 km6.5震度4震度4
1964/06/16 13:01:40.7新潟県下越沖34 km7.5震度5震度4
1985/10/18 12:22:21.0能登半島沖19 km5.7震度4震度4
1987/03/24 21:49:47.4新潟県上中越沖22 km5.9震度4震度4
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1930/01/01 00:00 ~ 1988/12/31 23:59
・観測された震度 : 輪島市鳳至町(旧) もしくは 輪島市鳳至町 で 震度4以上 を観測
・検索結果地震数 : 7 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

7回中6回がご覧の通り新潟・北陸地方の地震です。唯一の例外が1944年に起きた「昭和東南海地震」でして、反対の日本海側でも中規模の揺れをもたらす巨大な地震でした。

その他の地震では、1948年の「福井地震」や1964年の「新潟地震」は顕著な地震として取り上げられますし、その他の地震もM5クラス後半と、北陸地域では大きめな地震といえるでしょう。

また、現代において殆ど取り上げられることは無いですが、1933年に起きた「石川県能登地方」の地震は、M6.0と内陸地震としてはかなり規模の大きな地震です。当時の観測網では最大震度4となっていますが、現代であれば少なくとも震度5、下手すると震度6クラスだったかも知れないレベルです。

現在でいう七尾市(当時は七尾町)のあたり、ざっくり「和倉温泉」のあたりという感じでしょうか。

(出典)気象庁 震度データベース より有感地震部分を抽出加工して引用

しかし昭和の約60年間の観測歴において、公式に「震度5(強震)」を観測した事例は、気象庁の震度データベース検索によれば一度もありませんでした。個人的には少し意外な結果となりましたですね。

【平成・令和】震度6強1回、震度5クラス5回

平成年間に入ると一気に頻度が上がります。平成年間だけで16回の震度4以上を観測しています。但し注意すべき点としては、「2007年・能登半島地震」での一連の活動が5回含んでいる点だったり、観測方法が「体感」から「震度計での自動計測」に移ったことなどが挙げられます。

単純比較はできないとはいえ、それでも、昭和年間に一度も観測していなかった「震度5以上」の揺れを1993年を皮切りに観測するようになったことも、震度データベースからは読み取れます。実測値としてのトレンドとして潮目が変わってきている可能性がある点は抑えておきましょう。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「輪島」
1993/02/07 22:27:43.7能登半島沖25 km6.6震度5震度5
2000/06/07 06:16:43.2石川県西方沖21 km6.2震度5弱震度4
2004/10/23 17:56:00.3新潟県中越地方13 km6.8震度7震度4
2007/03/25 09:41:57.9能登半島沖11 km6.9震度6強震度6強
2007/03/25 15:43:30.5石川県能登地方9 km4.5震度4震度4
2007/03/25 18:11:45.1石川県能登地方13 km5.3震度5弱震度5弱
2007/03/28 08:08:14.5石川県能登地方13 km4.9震度5弱震度5弱
2007/03/28 13:05:31.0能登半島沖7 km4.7震度4震度4
2007/06/11 03:45:13.8能登半島沖7 km5.0震度4震度4
2007/07/16 10:13:22.5新潟県上中越沖17 km6.8震度6強震度5弱
2008/01/26 04:33:25.3石川県能登地方11 km4.8震度5弱震度4
2010/02/07 19:33:52.6石川県能登地方11 km4.0震度4震度4
2012/02/08 21:01:37.9佐渡付近14 km5.7震度5強震度4
2014/11/22 22:08:17.9長野県北部5 km6.7震度6弱震度4
2015/02/01 00:42:51.1富山湾15 km4.4震度4震度4
2020/03/13 02:18:46.7石川県能登地方12 km5.5震度5強震度5強
2022/06/19 15:08:07.5石川県能登地方13 km5.4震度6弱震度4
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1989/01/01 00:00 ~ 2022/06/30 23:59
・観測された震度 : 輪島市鳳至町(旧) もしくは 輪島市鳳至町 で 震度4以上 を観測
・検索結果地震数 : 17 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

平成年間の主な地震活動は以下のとおりです。

1993年2月7日「能登半島沖地震」 M6.6、震度5

能登半島でも奥能登・珠洲市の北側を震源とした深さ25kmの地震が、1993年2月7日午後10時27分に発生。公式データでは「輪島」で初の震度5を観測しました。注目すべき点として、震央からは若干ですが離れていたにも関わらず強い揺れを観測した点でしょうか。

(出典)気象庁 震度データベース検索 より

犠牲者こそ0名だったものの、約30名の負傷者や多くの家屋被害を能登半島を中心に出し、石川県周辺では20世紀でもかなり大きめな地震となりました。

2007年3月25日「能登半島地震」 M6.9、震度6強

それから14年後の2007年、「輪島」で初めて「震度6(烈震)」クラスの揺れを観測したのが、まさに足元とも呼べる沖合で起きた直下型地震の「能登半島地震」です。

(出典)日本語版ウィキペディア > 能登半島地震 より

細かい説明は「日本語版ウィキペディア」に譲りたいと思いますが、この地震では、輪島市内の2地点で「震度6強」という非常に烈しい揺れを観測しました。

さらに計測震度(小数点第1位)でいうと、「輪島市門前町走出」では「6.4」と「震度7」に迫る激烈な値を観測しており、ここまで話題にしてきた気象官署「輪島(鳳至町)」でも「震度6.1」を記録しています。これは恐らく「輪島」での震度観測史上で最大級でしょう。

この地震活動の後、2007年3月だけで「震度5弱」と「震度4」の地震を2度ずつ観測。内陸にも余震域がまたがる活発な地震活動が観測されました。

2007年7月16日「新潟県中越沖地震」 M6.8 震度5弱

「能登半島地震」から僅か4ヶ月後、新潟県中越沖を震源とする2007年7月16日の地震でも、最大震度6強を観測しました。震央から離れているはずの「輪島」でも震度5弱を観測しました。現時点で、石川県付近以外の地震で「震度5」クラスを観測したのはこの地震が唯一となります。

(出典)日本語版ウィキペディア > 新潟県中越沖地震 より

2020年3月13日「石川県能登地方」 M5.5、震度5強

2007年以来の強い揺れを観測することとなったのが、2020年(令和2年)の「石川県能登地方」を震源とする地震です。M5.5と中規模の地震ながら、震央に近い観測点では震度5クラスとなりました。

(出典)同上 > https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.html#20200313021846

また、2020年3月13日に輪島市で震度5強を観測するM5.5の地震があった。この地震は本震の余震域の東側で発生した逆断層型の地震であり、本震と似たタイプである。余震と考えられ、本震の後で最も規模が大きい。

日本語版ウィキペディア > 能登半島地震 より

実は2007年に発生した地震の最大余震だったのではないかと見られているのです。確かにたった13年しか経っていないと専門家からは言われそうですが、日常生活を送っている一般人からすると、これだけの時間を経ても強い揺れの危険性があるということは些か驚かされるかも知れません。

2022年6月19日「石川県能登地方」 震度4(最大震度6弱)

数年にわたって地震活動が活発だった石川県能登地方、2022年6月19日午後には珠洲市で震度6弱を観測する地震が発生し、輪島でも震度4を観測しました。

2022年06月19日15時20分発表 震源・震度情報 2報

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