旧震度「大船渡」(岩手県大船渡市大船渡町)

【はじめに】
この記事では、気象官署「大船渡測候所(現・大船渡特別地域気象観測所で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。

気象官署「大船渡」について

岩手県内では、大正時代から「宮古」と「盛岡」で震度観測が始まり、それから遅れること約40年の、昭和38年(1963年)から、「大船渡市大船渡町」での観測が始まっています。

地域名称震度観測点名称観測点所在地観測開始
岩手県沿岸北部宮古市鍬ヶ崎宮古市鍬ヶ崎下町2-33
(宮古特別地域気象観測所)
192301
岩手県沿岸南部大船渡市大船渡町大船渡市大船渡町字赤沢17-3
(大船渡特別地域気象観測所)
196307
岩手県内陸北部盛岡市山王町盛岡市山王町7-60
(盛岡地方気象台)
19230901
(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 気象庁震度観測点一覧表

「大船渡合同庁舎」にあり、大船渡湾内の大船渡港のあたりの観測点です。海に近いため、太平洋沖を震源とする地震では、多くの場合で大きな揺れを観測しています。具体的にみていきましょう。

震度1以上(有感地震)は数百回程度

体感が中心だった20世紀には、10年間で「400回台」、全てが震度計による観測となった2000年代には600回あまりの有感地震を観測していました。その傾向が大きく崩れたのが、2011年の東日本大震災以降です。2010年代は従来の5倍近い2,000回以上の有感地震を記録しています。

期間震度1震度2震度3震度45弱5強6弱合計
1960年代229100294362
1970年代3051244272480
1980年代2761203851440
1990年代2991003314446
2000年代44811929511603
2010年代1,4404821382922,091
合計2,9971,045309643134,422
気象庁 > 震度データベース検索 >
・地震の発生日時 : 1960/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 大船渡市大船渡町 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数

ここからは、震度5(強震)以上を観測した地震をまとめていきます。

震度5(強震)以上:ここ半世紀で9回

「大船渡」で初めて震度5(強震)を観測したのは1978年。それから半世紀足らずで震度5以上の地震が9回、震度6弱を3回も観測しています。特に特徴的なのはプレート境界から少し内陸に入った地震(図でいう黄色から緑色)の地震での観測例が多いことではないかと思います。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「大船渡」
1978/02/20 13:36:57.2宮城県沖50 km6.7震度5震度5
1978/06/12 17:14:25.4宮城県沖40 km7.4震度5震度5
1987/01/09 15:14:46.0岩手県沿岸北部72 km6.6震度5震度5
2003/05/26 18:24:33.4宮城県沖72 km7.1震度6弱震度6弱
2008/07/24 00:26:19.6岩手県沿岸北部108 km6.8震度6弱震度5強
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7震度6弱
2011/04/07 23:32:43.4宮城県沖66 km7.2震度6強震度6弱
気象庁 > 震度データベース検索 >
・地震の発生日時 : 1960/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 大船渡市大船渡町 で 震度5弱以上 を観測

昭和年間の3回と、2020年代の2回のうち4回は「宮城県~福島県沖」とかなり南を震源とするのですが、その一方で、1987年と2008年は「岩手県沿岸北部」の稍深発地震による強い揺れでした。

震度6弱を観測したのは21世紀で3回

震度6弱を観測したのは、下記の3例です。いずれも宮城県の沖合で起きた大地震ですが、岩手・宮城の県境にある「大船渡」でも烈しい揺れとなりました。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「大船渡」
2003/05/26 18:24:33.4宮城県沖72 km7.1震度6弱震度6弱
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7震度6弱
2011/04/07 23:32:43.4宮城県沖66 km7.2震度6強震度6弱
気象庁 > 震度データベース検索 >
・地震の発生日時 : 1960/01/01 00:00 ~ 2019/12/31 23:59
・観測された震度 : 大船渡市大船渡町 で 震度6弱以上 を観測

2003年の事例は、夕方の時間帯に起きたことで、ローカルニュースの放送中にスタジオが烈しく揺れて話題となった地震。そして、2011年の「東日本大震災」と、その翌月の7日の深夜に起きた宮城県沖の地震でも、震度6弱を観測しています。

  1. 2003/05:震度6弱(5.8) 1106.8gal
  2. 2011/03:震度6弱(5.6) 1076.4gal
  3. 2011/04:震度6弱(5.5) --.-gal


(出典)気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 強震波形

3成分合成の強震データをまとめますと、2003・2011/3の事例では、1,000galを超えており、最大加速度の数値としては、気象庁の観測データとして示されているものの中では最大となっています。

やはり、この「大船渡」は強烈な揺れを観測する事の多い地点となりますので、今後も津波だけでなく揺れの被害への警戒も怠らないようお願いします。

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