【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返りながら季節の移ろいを感じる「競馬歳時記」。今回は「ファンタジーS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。
ファンタジーステークスは、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。競馬番組表での名称は「KBS京都賞 ファンタジーステークス(ケービーエスきょうとしょう ファンタジーステークス)」と表記される。
競走名の「ファンタジー(Fantasy)」は、「幻想」を意味する英語。また、文学で夢想的な物語全般を指す呼称。
ファンタジーステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1990年代:初回から現2歳牝馬限定戦として創設
昭和時代は、年末の東西の重賞(朝日杯、阪神3歳S)を目標に、徐々に夏から重賞が新設・整備されていきました。そして「阪神3歳S」が1991年に「阪神3歳牝馬S」と牝馬限定戦となってからは、関東で牡馬、関西で牝馬の現2歳チャンピオンを決する形となっていました。
1996年に行われた牝馬競走体系の整備に伴って新設された、3歳(現2歳)牝馬による重賞競走。創設以来、京都競馬場の芝1400m(外回り)で行われ、阪神3歳牝馬ステークス(現:阪神ジュベナイルフィリーズ)の関西地区における前哨戦として定着している。
( 同上 )
1996年には、エリザベス女王杯が古馬に開放され、秋華賞が新設されるといった牝馬路線の改革が行われましたが、その時に現2歳牝馬の目玉とされたのが「ファンタジーS」の創設でした。初回から現2歳牝馬に出走条件を限定した重賞は、中央競馬では「テレビ東京賞3歳牝馬ステークス(フェアリーS)」に次ぐものでした。
初回(1996年)の勝ち馬【シーズプリンセス】は「阪神3歳牝馬S」で2着、第2回の【ロンドンブリッジ】は桜花賞2着、第3回の【プリモディーネ】は翌年の桜花賞馬、そして第4回の【テネシーガール】は高松宮記念3着と、全馬が短距離~マイル路線で複勝圏内に入る活躍を見せていました。
2000年代:スイープトウショウらG1馬を次々輩出
2000年代に入ると、2002年からの5年間でG1馬を4頭輩出しています。具体的に申しますと、
アストンマーチャンの1分20秒3は、2歳馬のJRAコードでした。距離が1400mということで短距離~マイル路線の馬が中心ですが、その中で目立つのが【スイープトウショウ】の存在です。
牡馬を相手に宝塚記念を制し、牝馬限定戦を含めてG1を3勝した【スイープトウショウ】は、勝ち鞍の距離がレースのたびに伸びていくという強さを発揮していますが、デビュー2戦目での重賞初制覇は、1400m戦だったことは注目に値するでしょう。
但し、平成20年代に入ると、2008年に【イナズマアマリリス】がブービー人気の74.6倍、2014年には【クールホタルビ】が最低人気92.3倍で優勝しています。大波乱という可能性もあるので要注意です。
2010年代:ホエールキャプチャ、ディアドラは3着
2010年代の中盤までは、ややレースが小ぶりな印象がありました。2006年から10年連続で1番人気が敗れ、前述の2桁人気馬が2勝、その他も4番人気以下が殆どという状況でした。
そうした中で、2010年には【ホエールキャプチャ】、2016年には【ディアドラ】がこのレースで3着と敗れていますが、3歳から古馬になってG1を制しています。やはり距離(1400m)的には、中距離に適性のある馬がこなすには厳しく、短距離に適性のある馬に惜敗するのも珍しくありませんでした。
そのトレンドが平成30年代以降で一気に代わり、短距離~マイル路線で大活躍する牝馬を次々と輩出して現在に至っています。
2020年代:メイケイエール、ウォーターナビレラを輩出
ここ6年のレースレーティングを纏めましたが、2018年からは105ポンドを超える年が続いています。実質的にはG2クラスの実力を維持し続けています。(↓)
開催日 | 場 | レースR | 勝ち馬 | タイム | 優勝騎手 |
---|---|---|---|---|---|
2016年11月5日 | 京都 | 103.25 | ミスエルテ | 1:21.8 | 川田将雅 |
2017年11月3日 | 京都 | 104.50 | ベルーガ | 1:22.9 | C.デムーロ |
2018年11月3日 | 京都 | 105.00 | ダノンファンタジー | 1:21.8 | 川田将雅 |
2019年11月2日 | 京都 | 105.25 | レシステンシア | 1:20.7 | 北村友一 |
2020年11月7日 | 阪神 | 105.00 | メイケイエール | R1:20.1 | 武豊 |
2021年11月6日 | 阪神 | 103.25 | ウォーターナビレラ | 1:21.1 | 武豊 |
牝馬限定の2歳戦では、「GIIIの目安:96ポンド」であり、「GIIの目安:101ポンド」も遥かに上回っています。『アルテミスS』と同様、こちらもG2への昇格を検討してもバチの当たらないレベルです。
特に、2018年から、ダノンファンタジー、レシステンシア、メイケイエールと重賞を複数回勝利する様な一線級の牝馬がこのレースを勝っており、ウォーターナビレラも桜花賞接戦の2着だったことを思うと、「阪神JF」の前哨戦であり、その後の活躍も期待される文字通りの出世レースに復活しています。
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