【はじめに】
この記事では、英語以外の外国語が使われた「プレバト!!」俳句 ~フランス語 編~ と題して、フランス語由来の言葉(既に日本語化してしまっているものも多いですが)を取り入れることによる効果を学んで行きたく思います。皆さんの作句のご参考になさってくださいね~
フランス語由来の単語が使われた俳句
☆俳句チャンネル 「こんな言葉、俳句に使って良いのかシリーズ」をまとめてみた|Rxのnote
https://note.com/yequalrx/n/n09502f20b170
(↑)上の記事にも書いたのですが、俳句にカタカナや外国語を使ってはいけないと誤解している方が今でもかなりいらっしゃいます。ひょっとすると、「プレバト!!」を通じてそういった常識が壊されたという方も多いのではないかと思っています。
もちろん、外国語といっても、全てが異国情緒あふれる感じになる訳ではありません。一つ身近(?)なところを例に挙げてみましょう。
- 『ルーレット回せど止める炬燵猫』/北山宏光
北山さんが2022年1月の冬麗戦で惜しくも11位という次点に沈んだ作品です。この中の『ルーレット(roulette)』がフランス語と見做せる単語ですが、正直もう日本語で置き換えるのが難しいほどに定着をしている感があります。
この句で一つ惜しかったのは、「ルーレット」と上五に出てきたら普通は『カジノ』を想像してしまうところでしょうか。兼題がボードゲーム(人生ゲーム)であったため、それを前提にしていれば別ですし、作者の意図としては最後に「炬燵猫」が登場することで「カジノ」でないことを種明かししたのだとは思うのですが、果たして何割の人に「人生ゲーム」の場面だと伝わるのかは些か懐疑的でした。
言い方を変えると、「ルーレット回せど」までの前半をそのままに、後半をそれっぽく仕立て上げたら、高級なカジノかオシャレなホテルみたいな感じになろうかと思います。そういった意味で、本来の「ルーレット」というフランス語の響きの言葉が魅力的になるか、庶民的でおかしみに寄るかは作者の方針次第となる訳です。
オシャレに使われた事例として、東国原英夫名人が特待生時代に詠んだ2016年の作品を取り上げます。フルーツポンチ村上さんが初挑戦で75点を取ったという遥か昔の作品ですが、「コスモス」という秋の季語と、『bouquet(ブーケ)』というフランス語。2つのカタカナ語が光っていました。
- 『大拍手空舞うコスモスのブーケ』/東国原英夫
当時はまだ「破調」を使う人さえ少なかった時代。そういった中にカタカナを2つ入れ込んできた点も非常に新鮮だったと記憶しています。
フランス語由来のオシャレ関係の言葉が使われた俳句
では続いて、もう少し焦点を絞った単語でみていきます。ずばり、オシャレな感じの言葉の作品です。
- 『せせらぎを跳ぶシニヨンや夏の雲』/畠山愛理
1句目は、畠山愛理さんが披露した作品で、72点・才能アリという高評価でした。
シニヨン(フランス語: chignon、シニョンとも)とは、束ねた髪を横や後頭部でまとめた髪型のことである。ポニーテールを丸くまとめた形をしている。その形状からお団子(ヘア、頭)と呼ばれることも多い。
概要
シニヨン
日本では、ファッション性より動きやすさを重視した髪型として認知されており、バレリーナや体操、新体操等のアスリート選手がよくこの髪型をしている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
続いて、フルーツポンチ村上さんが詠んだ作品から、昇格とはなりませんでしたが選んだフランス語の単語は非常にオシャレでした。
- 『黄落やよろついているピルエット』/村上健志
バレエ用語。回転するパ (ステップ) の代表的なもの。体を片脚で支え,それを軸に,そのままの位置でこまのように体を回転させること。
ピルエット(pirouette)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
そして、ファッション系ならこの方でしょう。森口瑤子さんが特待生昇格を決めた時の作品でしたね。
- 『ブティックの鏡うそつき落葉蹴る』/森口瑤子
ブティック(仏: boutique)とは、一般的にはファッショナブルで高級なアパレル商品や高価格ジュエリーを扱っている小規模の小売店。フランス語で洋装店(magasinよりも小規模の店)を意味する。
ブティック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
これが「洋服屋の」とかでは全くオシャレになりませんが、「ブティック」とすることの効果は非常に大きかったと思います。
フランス語由来の食べ物関係の言葉が使われた俳句
この記事を書くきっかけとした2023年7月には、「パフェ」(←これもフランス語っちゃあフランス語由来だけど)を兼題とした回で、『パルフェ』というオシャレな単語が出てきました。
他にも、スイーツや食に関するワードはやっぱりフランス語のオシャレ感は、ヨーロッパでも随一かと思います。以下に目立つ単語の入った俳句を幾つかピックアップしました。
- 『結い髪の従姉はパルフェ風涼し』/結城モエ
- 『秋場所勝ち越しビュッフェは千疋屋』/九重龍二
- 『鷹鳩と化すカフェオレの白き髭』/梅沢富美男
- 『パティシエに告げる吾子の名冬うらら』/千原ジュニア
- 『流れでるショコラの奥の冴ゆる巴里』/中田喜子
- 『ミシュランの星の瀑布に渡り鳥』/福澤朗
ぜひお役立てください! フランス語の持つパワーや魅力を、17音の中に盛り込めると非常に効果的だと思います。上に書いた名人・特待生の作品も本当に傑作揃いですのでぜひご参考に。皆さんはどの句がお好きですか?
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