【はじめに】
この記事では、俳句査定2年目に初出場し、6年ぶりの出演で才能アリを獲得した“かたせ梨乃”さんの俳句査定での過去の成績を振り返って行きたく思います。
1回目:2020年『宵闇のホットスナック準備中』
かたせ梨乃さんが初出場したのは2014年9月のこと。俳句査定が始まって、1年も経っていない初期のタイミングでした。この時は57点の3位の凡人査定で、その後は6年近く間が空き、時代は令和となりました。
6年ぶりの出演となった2020年は、高得点と(史上最低点の3点を含めた)低得点の偏差が非常に大きかった回(2020/8/27)に出演。前回と同じ3位ではあったもののしっかり才能アリ70点となります。
3位70点『宵闇のホットスナック準備中』
季語は秋の範疇となる「宵闇」で、そこから『ホットスナック』という俗な現代のものが登場した点でギャップも大きくインパクトがありました。
3点となってしまった「めるる(生見愛瑠)」さんの『レジ横は春夏秋冬ホットけない』と比べても、ほぼ同じ題材なのに全く異なる『ホットスナック』な様子なことが明らかです。
2回目:2021年『冬麗の太秦二時のかけうどん』
その翌年初夏に登場した回は、紫陽花が兼題。そこで詠んだ『紫陽花の女子会今日はバスチーを』は、前半部分が少し添削されましたが、『バスチー』:バスク風チーズケーキというチョイスがオシャレでした。
ここまで、凡人 → 才能アリ → 凡人と来ていた2021年11月、再び各季節の始めの頃にあたる「初冬」の放送回で、2度目の才能アリを獲得します。その句がこちらでした(↓)
1位70点『冬麗の太秦二時のかけうどん』
「太秦(うずまさ)」という地名は、単なる京都の古い歴史のある区画名ではなく、20世紀以降、映画撮影所の西の代名詞的な存在となっています。そうしてみると、この「二時」がひょっとすると深夜二時まで撮影が長引き、『かけうどん』を啜っている映画俳優なのではないかと想像が膨らむのです。
「うどん」の方を工夫すれば季語となる食べ物になったのかも知れませんが、この句の場合は、冬麗(とうれい)という季語を最初に持ってきて場面設定をすることの効果がずばりだったと思います。
炎帝戦:2023年『鱧の皮あの娘再婚したらしい』
過去2回「才能アリ」を獲得していたことで2022年の炎帝戦に出演する権利を得た“かたせ梨乃”さん。初のタイトル戦挑戦の権利を掴む上位15人に含まれますが、惜しくもTop10を逃す「11位」となりました。
そして、2年連続の「炎帝戦」となった2023年8月4日。一般参加者4名、名人・特待生11名が出場する中で、最初から上の方3位を発表し、そこで名前を呼ばれたのがまさかの「かたせ梨乃」さん。 結果的に特待生以下で最も順位の高い3位入賞を果たす大健闘となりました。その句がこちら(↓)。
炎帝戦3位『鱧の皮あの娘再婚したらしい』
「鱧」は京料理などとして知られていますが、「鱧の皮」も夏の季語として立項されています。そこに『あの娘再婚したらしい』という俗なフレーズを取り合わせることで、リアルな実景がありありと浮かんでくる気がします。
名人がテクニックを凝らした作品を披露する中で、3・5位の一般参加者は喋り言葉をうまく取り入れたシンプルな作品で上位に来ており、しかも永世名人を下している点は学ぶところが多い結果なように感じました。
2位の中田喜子さんとともに「鱧」という季語を使って上位に来たことで、特待生待ったなしといった状況となっていきます。
コメント