【はじめに】
この記事では、ウィキペディアの「中央競馬の平地競走記事の一覧」の並べ替え機能を使って、距離別にざっくり纏めていきたく思います。
芝・短距離路線
芝・1200m
かつて、旧3歳(現2歳)戦は、年末の重賞であっても短距離という時代がありました。朝日杯も1100mや1200mなどで行われていたのです。一方、現代は2歳戦でも重賞に距離のバリエーションが増えたように思いましたが、下の表のように「2歳の1200m戦」は案外少ないことに気づきました。
7 | 函館2歳ステークス | G3 | 函館 | 芝 | 1200 | 2歳 | – |
8 | フェニックス賞 | OP | 小倉 | 芝 | 1200 | 2歳 | 牡牝 |
8 | ひまわり賞 | OP | 小倉 | 芝 | 1200 | 2歳 | 九州産 |
9 | 小倉2歳ステークス | G3 | 小倉 | 芝 | 1200 | 2歳 | – |
11 | 福島2歳ステークス | OP | 福島 | 芝 | 1200 | 2歳 | – |
5 | 葵ステークス | G3 | 京都 | 芝 | 1200 | 3歳 | – |
重賞としては函館と小倉の2戦のみで、OP特別も「福島2歳S」が秋にあるのみ。その他は短くても1400m以上であり、生粋のスプリンターは距離との壁で厳しい戦いを余儀なくされます。
20世紀には全ての旧4歳馬は「東京優駿(日本ダービー)」を頂点とするレース形態を余儀なくされていましたが、平成後半になってようやく「葵S」という3歳馬の短距離重賞が創設されました。もちろん距離適性も朧気な若駒ですから積極的に距離延長に挑んで欲しい気持ちがある反面、適距離が1200m付近と考えている陣営が使うレースが少なく1400m以上への出走を強いられるのはイマイチでしょうね。
芝・1400m
実は1400mは更に不遇で、重賞・オープン特別のどちらまでを対象範囲としても、その半数は牝馬限定競走です。しかも本番となる牝馬限定G1は1600mで行われることに鑑みても、些か偏りを感じます。
8 | ダリア賞 | OP | 新潟 | 芝 | 1400 | 2歳 | – |
11 | ファンタジーステークス | G3 | 京都 | 芝 | 1400 | 2歳 | 牝 |
11 | 京王杯2歳ステークス | G2 | 東京 | 芝 | 1400 | 2歳 | – |
牡馬に至っては、2歳時に京王杯2歳S(しかもタフな東京コースならば他で1400mが適距離な馬はスタミナ切れを起こす恐れすらある?)、3歳時にファルコンSがあるのみで、どちらも左回りです。
却って、下に示すマイル重賞が多すぎるようにも思えてきてしまいます。古馬とは対照的なほど短距離重賞が手薄なことは今一度認識する必要があるのかも知れません。
芝・マイル~中距離路線
芝・1600m
まずは2歳戦です。そもそも芝でマイルで戦えない短距離馬は3歳秋のスプリンターズSまでG1に無縁というのは無視できないと思います。ここ半世紀、12月の現2歳重賞(→G1)はマイルというのが当たり前になっていますが、欧州などを見る限り、短距離のレースがあっても悪くないかも知れません。
8 | 新潟2歳ステークス | G3 | 新潟 | 芝 | 1600 | 2歳 | – |
10 | サウジアラビアロイヤルカップ | G3 | 東京 | 芝 | 1600 | 2歳 | – |
10 | アルテミスステークス | G3 | 東京 | 芝 | 1600 | 2歳 | 牝 |
11 | デイリー杯2歳ステークス | G2 | 京都 | 芝 | 1600 | 2歳 | – |
12 | 阪神ジュベナイルフィリーズ | G1 | 阪神 | 芝 | 1600 | 2歳 | 牝 |
12 | 朝日杯フューチュリティステークス | G1 | 阪神 | 芝 | 1600 | 2歳 | 牡牝 |
そして改めてその多さに驚愕してしまったのが「3歳マイル路線」です。2023年春の実績で行くと10個ほどのレースが該当しています。が、牡馬が出走できるレースは4つしかないのです。裏を返せば、1~3月だけで牝馬限定・芝マイルの重賞・リステッドが5レースもあります。これは流石に数として見てしまうと供給過多なようにも思えるのですが如何でしょうか?
1 | シンザン記念 | G3 | 中京 | 芝 | 1600 | 3歳 | – |
1 | フェアリーステークス | G3 | 中山 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
2 | エルフィンステークス | L | 中京 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
2 | クイーンカップ | G3 | 東京 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
3 | チューリップ賞 | G2 | 阪神 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
3 | アネモネステークス | L | 中山 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
4 | ニュージーランドトロフィー | G2 | 中山 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牡牝 |
4 | 桜花賞 | G1 | 阪神 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牝 |
4 | アーリントンカップ | G3 | 阪神 | 芝 | 1600 | 3歳 | – |
5 | NHKマイルカップ | G1 | 東京 | 芝 | 1600 | 3歳 | 牡牝 |
芝・1800m
けっこう「出世レース」が多い印象のある1800m戦。実は2歳戦での重賞は2つで、牝馬にとっては、ここから上は牡馬混合戦しか用意されていないことは歪みの一つかも知れません。
3歳になってからだと、少しレース数が増えますが、ピンポイントでこの距離を狙ってくる陣営が少ないためか、レースによって差は如実に出てしまっている印象です。
例えば、共同通信杯や毎日杯はハイレベルなG3として知られる一方、スプリングSとローズSは令和に入ってG2としては寂しい年が目立つようになっています。
2 | 共同通信杯 | G3 | 東京 | 芝 | 1800 | 3歳 | – |
3 | フラワーカップ | G3 | 中山 | 芝 | 1800 | 3歳 | 牝 |
3 | スプリングステークス | G2 | 中山 | 芝 | 1800 | 3歳 | 牡牝 |
3 | 毎日杯 | G3 | 阪神 | 芝 | 1800 | 3歳 | – |
4 | スイートピーステークス | L | 東京 | 芝 | 1800 | 3歳 | 牝 |
7 | ラジオNIKKEI賞 | G3 | 福島 | 芝 | 1800 | 3歳 | – |
9 | ローズステークス | G2 | 阪神 | 芝 | 1800 | 3歳 | 牝 |
芝・2000m
2歳戦で2000m戦の数が相対的に少ないことは理解できます。というか、1991年からしばらく2歳戦には1レースしかなかったことを思えば、むしろ2つでも増えた方なのかも知れません。
11 | 京都2歳ステークス | G3 | 京都 | 芝 | 2000 | 2歳 | – |
12 | ホープフルステークス | G1 | 中山 | 芝 | 2000 | 2歳 | 牡牝 |
それに対して、年明けで急増する2000m戦は、皐月賞に向けて1月と3月に東西揃っています。ただ、京成杯に関しては、ホープフルSの翌月に同条件でG3を開催する必要性について少し考える必要があるかも知れません。
1 | 京成杯 | G3 | 中山 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
1 | 若駒ステークス | L | 中京 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
2 | きさらぎ賞 | G3 | 中京 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
3 | 弥生賞ディープインパクト記念 | G2 | 中山 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
3 | 若葉ステークス | L | 阪神 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
4 | 忘れな草賞 | L | 阪神 | 芝 | 2000 | 3歳 | 牝 |
4 | 皐月賞 | G1 | 中山 | 芝 | 2000 | 3歳 | – |
4 | フローラステークス | G2 | 東京 | 芝 | 2000 | 3歳 | 牝 |
5 | プリンシパルステークス | L | 東京 | 芝 | 2000 | 3歳 | 牡牝 |
9 | 紫苑ステークス | G2 | 中山 | 芝 | 2000 | 3歳 | 牝 |
10 | 秋華賞 | G1 | 京都 | 芝 | 2000 | 3歳 | 牝 |
芝・中長距離路線
芝・2200m
中長距離路線については数が少ないので距離別に掲載するにとどめますが、2200mのトライアルというのは少し精彩を欠いている節があるように思えます。
俗に言う「非根幹距離」に分類され、宝塚記念が開催される距離でもあるのですが、なかなかピンポイントでこの距離を狙う陣営が少なく、2000mや2400mを選びたくなる気持ちも分かる気がします。
芝・2400m
クラシックディスタンスとして重く扱われる2400m戦ですが、オークス・ダービーに出走する馬の大半はこの距離に初挑戦で臨んでいくことは興味深くはあります。例えば春の段階で東京2400mのG3~L格の競走があっても面白いかも知れません。
芝・3000m
かつての「嵐山特別」ではないですが、公式なトライアルが2200~2400mしかないというのは微妙な気がします。例えば、夏競馬に2600m、秋口には中山2500mや阪神3000mなどのOP~G3格の競走を設定してみるのはどうでしょう。どれか一つでも新設されれば、3歳馬のステイヤー適性をより正しく陣営も推し量れるのではないかと思うのです。
コメント