競馬のレーシングカレンダー改革案(2023/11)まとめてみた

【はじめに】
この記事では、本ブログで私(Rx)が色々と書いてきたG1・重賞の改革案を2023年11月の時点で書き纏めなおしたものです。

もちろん現実的にこれが実現することはあり得ないでしょうが、ファンが理想形を語り続けることは必要と思っています。もし万が一、世論を調べる担当者の目に止まりでもしたら嬉しいですし、もっと力のある人々の目に止まって働きかけにつながればこんなに嬉しいことはないです。

それでもあまり夢想的な内容ではなく、比較的すべて個人としては「現実を見据えた」リアルな内容と考えていますので、そういった目線でお読みいただければと思います!

春のG1戦線

フェブラリーS:「ウインターS」にして1月下旬の中京開催に

  • 現在の開催条件になったのは2000年。その後、ダートの強豪は、「フェブラリーS」から中東G1へ挑戦することがメインとなったにもかかわらず、条件が20世紀のまま。
  • 創設当初はG3(それでも当時のダートでは最高格)だったこともあり、レース名はオープン特別格のもの(マーチSは重賞だが、ノベンバーSは条件戦だし、ディセンバーSはリステッド)。
    レース改革を考える時に「フェブラリー」という“2月”のイメージが足かせになって、開催時期を2月以外には安易に動かせないとする説がある(但し、1999年には1月に開催されたこともあるし、皐月賞は4月に開催されている)。
  • 芝コース始まりの「東京D1600m」というコース設定には、中央に2つしかないG1の舞台として適任かどうか疑問符がつくとの声も根強い

「フェブラリーS」改革のステップ案

  1. 中東へのステップとなることを期待して、1月第5週(東京開幕の週)に移す
  2. 1月開催で「フェブラリー」という名称に文句がつくのが目に見えているので、例えば、過去実績から「ウインターS」などを復活させる
  3. 開催場・距離については一から見直し、「東京」なら1400m・1600m・2100m、「中京」なら1400m・1800m とする。この際、もうひとつの中央ダートG1と相互補完的にする

こうすることで、年明け初のG1(川崎記念が4月開催となったため、地方・中央問わず最初となった)としてのワクワク感が増すのではないかと期待します。

海外重賞ミーティング週の日曜メインに障害G1競走を

  • 3月最終土曜日の「ドバイワールドカップナイト」と12月2週頃の「香港国際競走」には、日本馬が多数参加し、それに連れて日本人ジョッキーも多く遠征します。
    この他、凱旋門賞、BC、サウジも同様の傾向が今後進むことが想定されます。
  • 3月31日となった年の「大阪杯」はドバイと、そして毎年、「スプリンターズS」と凱旋門賞、「阪神JF」と香港国際競走は開催週が完全にバッティングしてしまいます。お手馬が両方にいた場合は基本的に海外遠征を優先するため、国内勢はレースを変えるか代理騎乗となります。
    以下のようにレースを変える事例は、人間の都合で馬が割りを食ってしまったケースでしょう)

グランアレグリア
クリストフ・ルメール香港国際競走に騎乗するため、同日の牝馬限定戦である阪神ジュベナイルフィリーズを回避して翌週の牡馬相手である朝日杯フューチュリティステークスに出走。1980年テンモン以来38年ぶりの牝馬による同レース制覇が期待され、単勝1.5倍の支持を集めた。しかし、レースでは2番手を追走したものの、直線入口でアドマイヤマーズに交わされると内にモタれる様子を見せ、最後はクリノガウディーにも交わされて3着に敗れた。

グランアレグリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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  • 下の記事にも書きましたが、海外の大レースは、何十年(あるいは百年単位)で開催時期を変えません。『海外のことは日本側に決定権がないから、海外に合わせた日程は組めない』という意見がJRAの担当者から聞かれそうですが、むしろ『日本の開催条件の方が迂闊に変えうる』というのが個人的な印象です。
  • もはや「パート1国」となった日本競馬(JRA)が、人馬の流れを鎖国化することは困難で、空洞化を避ける術は国内の魅力を高めるという建設的な方面しかないと考えます。
  1. 日本人ジョッキーが遠征することの多い週に、代替性に乏しい国内G1を設定するのは、原則避ける(JRAが意図して強豪ジョッキーがいない穴場G1を作りたい意図をもっているならば別だが……)
  2. 凱旋門賞とかぶる「スプリンターズS」は1週早め、「阪神JF」は朝日杯との差別化を図る意味で1ヶ月程度早めても、開催意義は大きく揺らがないのではないか

そして、ここでうまく活用したいと考えるのが「障害G1」の存在です。

  • 特に遠征する陣営の多い、「ドバイ」週に『中山グランドジャンプ』を、「香港」週に『中山大障害』を移設する
  • どちらも現行のスケジュールから2週間程度の前倒しで済み、もともと中山競馬場が開催されるタイミング。平成初頭には12月前半に開催されていた実績もあったし、『暮れの大障害』という昭和後半からの印象も踏襲できる
  • 平地G1の谷間の週を敢えて作ることで、数少ないG1のパイをうまく分配すると共に、今や間違いなく実施されることとなった「海外競馬発売」をうまく絡めることができる
  • 加えて、(JRAが断固反対すれば別ですが)『◯週連続G1開催』の一角に障害G1を据えて、ぜひ【日曜日・中山競馬場11レース(メインレース)】での開催を期待したいところ

春牝馬2冠:牡馬よりも半月程度ずつ早めて多様性

一つ大胆な案として、『春牝馬2冠』を牡馬よりも半月程度ずつ早めるというものを提案します。

レース名現行牝馬案牡馬案
桜花賞4月1週3月4週
皐月賞4月2週4月3週
オークス5月3週5月1週
NHKマイルC5月1週5月4週
日本ダービー5月4週6月1週
東京ダービー6月1週6月1週

その心は、昭和中期以前にあった『3歳の牡馬・牝馬を含めた最強馬決定戦としてのダービー』の復権です。

1950年代にダービーとオークスが同じ東京2400mで2週続けての開催となりました。当時はまだ連闘も現実的な選択肢だったのですが、今や「オークス→ダービー」と連闘することは現実ではありえず、牝馬限定戦を蹴って同じ条件の牡馬混合戦に出走するインセンティブはよっぽどの例外でない限りはありえなくなっています。

対して、昭和20年代まで、日本における牝馬三冠とは、『桜花賞 → 日本ダービー → 秋に行われるオークス』という流れでした。戦中の名牝・クリフジは『日本ダービー → オークス → 菊花賞』という変則三冠を達成していますが、ウオッカの前の2頭の牝馬ダービー馬が戦前・戦中の短い期間に誕生していたのはレース日程の影響が大きいのです。

こうすることによって例えば、「ウオッカ vs ダイワスカーレットがオークスでも実現し、その勢いでダービーに殴り込み」、「サトノレイナスがオークスを使ってのダービー挑戦」なども“if”の世界線として考えられたのだと思います。

また、マイラー気質の馬が2400mに挑戦して潰れることなく、NHKマイルCでの変則2冠を狙えるのは牡馬牝馬どちらにとってもメリットがあるように思えます。

ここまでのインパクトの強いクラシックの路線変更は、1950年代以来となりますが、「エリ女とJC」を女傑が選べるようになったように、オークスとダービーも名牝が選べる様になれば良いなと思います。

春・秋G1シリーズ制の新設

2017年にもなって「JRA春古馬三冠 – 大阪杯天皇賞(春)宝塚記念」(3レース全て制するとボーナス)を新設したJRA。しかし、秋もそうですが、そもそも3レース全てを制することの出来る陣営は2億円程度のボーナスなら、早めに繁殖入りさせたいでしょうし、何より全レースに出走する馬自体が激減する昨今です。もっと賞金を設定すべき条件を見直すべきではないかと思います。例えば、

春・芝秋・芝冬・ダ
2月
(国際競走)
10月
凱旋門賞
10月
南部杯
3月
ドバイターフ
ドバイSC
10~11月
天皇賞・秋
11月
BCクラシック
3~4月
大阪杯
11月
BCターフ
11月
JBCクラシック
5月
天皇賞・春
11月
(JC)
12月
チャンピオンズC
6月
宝塚記念
12月
香港ヴァーズ
香港カップ
12月
東京大賞典
12月
有馬記念
1月
(ウインターC)
2月
サウジカップ
3月
ドバイWC

以上のような国内外の中長距離路線のG1を対象にポイント制を敷いてはどうでしょうか。そして、これを目的とせず、結果的に最も得点が高かった……となるように賞金は数千万円~1億円程度にとどめ、「名誉の賞」であることを銘打っておけば良いかと思います。

秋のG1戦線

ジャパンC:中東見据えて2月上旬に国際競走を新設

ジャパンCへの外国馬の出走状況については、2019年に史上初の0頭となったことで注目されましたが、状況は改善していません。具体的には、令和時代は0-1-3-4-1頭で平均2頭未満です。 ※ジャパンCの課題については2019年のウィキペディアにおおよそ書かれているのは、そちらに譲って本題から入ります。

  • 前提として、「国際招待競走の意義が薄まった」ことは事実だとしても、だからといって「国際招待競走の看板を下ろす」という選択肢を簡単に選ぶべきではないと考えたい。パート1国として、一度なくすと再設のハードルが高いのですから今あるものは最大限活用する。
  • 言い方は悪いが、多数が出走する時代はもう来ないだろう(2010年の8頭が最後)と思うので、費用面はあまり気にせず、国際招待競走の枠を維持もしくは増やす方向で考える。(増え過ぎたら始めてそこで対応を考えれば良い)
  • 創設当初の目的はたしかに既に果たしている。むしろ現代においては、『ダービー・オークス馬など東京2400mで世代を越えて再戦される日本のクラシックディスタンス最強馬決定戦』の様相が強くなっており、そこを主軸に置くぐらいの方が現実的。ここにノッてくる海外勢がいたら歓迎。

上記の前提のもと、“敢えて”ジャパンC以外に日本で国際招待競走を開催する場合を考えました。

  • 国際招待競走として開催するからには、作る段階では外国馬の参戦を願いたい。そのため、海外馬が出走を検討しうる上に、世界的にみてブルーオーシャンな時期を模索する

→ やはり春秋は欧米を中心にレースが集中しやすいです。本来「ジャパンC」も当初は穴場だったはずの11月にぶつけるように、米BCや香港国際競走ができ、敗れてしまいました。そこで現代のカレンダーで見ると、比較的層が薄いのは「1・2月の冬シーズン」と「5月頃」という方針に至りました。今回はその中でも(世界的にオフシーズンなことは承知の上で)「2月」を推していきたく思います。

  • アメリカの「ペガサスワールドCターフ」は賞金が大幅下落して国内G1に成り下がったが、サウジアラビアの台頭によって1~3月にも世界クラスのレースが成立することが明らかになった
  • 12月前半の「香港ヴァーズ」から3月下旬の「ドバイシーマクラシック」まで4ヶ月弱クラシックディスタンスでの国際的な芝G1がない
  • 現時点では、サウジアラビアも芝2400m級のレースを設定していない(設定されたらされたで時期を少し早めてステップとしてもらうことも含めた立ち位置を狙う)

開催場は、東京だとジャパンCを廃止して移設するなら良いですが、併存だと差別化が難しい所。仮に中山であれば2002年のJCなどのように欧州勢も少しは戦いやすい環境かも知れません(主要4場であれば悪くないですし、可能なら「国際厩舎」を東京以外にも展開していきたいです。)

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ただ、現在のルールだと、ジャパンCの時のように「G1を新設」することは叶いません。そこで現時点で考えられる現実的な案として以下のような「新設」を提案します。

  • 国際招待競走の対象とするのは、2月中旬に開催される「京都記念」。サウジで芝の中長距離G1ができないうちは現行タイミングとする。
  • レース名は「京都記念」を主とし、可能なら、英名を『Kyoto International』とする
  • 距離は2200mないし2400m
  • 賞金は3億円ないし200万ドル程度 ※サウジに新設されたら4~5億円に増額も検討
  • 現在ならばレーティング平均が115を超えるタイミングを狙える
  • 加えて、新設・京都競馬場の目玉レースにできる

こうすることによって、以下の進展を期待します。

  • 1~3月期の競馬の中心を、サウジ → ドバイ の「中東」に、日本を加え12月の香港から続けての「アジア」とすることに期待ができる
  • 相手となる強豪国が少なければ、賞金引き上げ競争からの抑制を些かでも期待できる
  • 距離でいえば、香港カップから香港ヴァーズに挑んだ層が中間距離ということで出走を見込める
  • ヨーロッパや香港と同じ右回りかつ東京ほどの高速馬場でない現状ならば、まだ海外馬誘致の可能性が残されている

さらに、日本馬にとっても選択肢が増えることはプラスの面があると思います。

  • ドバイシーマクラシックへの遠征の国内前哨戦をG2でなくG1で行える
  • 3月末を基準に馬齢で引退させる大手でも、年明けに国内ファンの前で走らせる恩義を示せる

ここまで「京都記念」を国際招待競走とする案を語ってきましたが、加えて従来からの「ジャパンC」を廃止してこちらに一本化するか、併存させるかの2択も考えなければなりませんが、ひとまず現時点では併存させる方向で良いのではないかと考えています。

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チャンピオンズC:昔の「ジャパンCダート」に戻す

まずは、現在の「チャンピオンズカップ」のウィキペディアを画像引用します。(↓)

チャンピオンズカップ (中央競馬)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ここで前提として、アメリカとダートの質が違いすぎるために、左回りにしてもわざわざ日本に遠征をしようという考えに至らないのだと思います。それに、そもそも2週に渡って日曜日を日本で過ごそうとするのは、海外勢の中でもよほどの親日家でなければ考えられないでしょう。
つまるところ、「チャンピオンズC」を国際招待競走として海外勢を誘致できる環境は整っていないのだという前提に立ちます。

そういった前提に立った上で、こちらはJRA都合を押し付けても良いのでないかと考えました。即ち、

  • 国際招待競走にしても良いが、そもそも満足に来ないことを前提とする
  • 海外として現実的に見越すなら、欧州勢や韓国、南米などの誘致に力を入れる
  • 距離・場についてはこちらこそ「東京D1600m」とか「東京D2100m」、海外を意識しなければ、敢えて右回りでのG1の希少性を打ち出すのも手
  • 開催日は、現行でも悪くないが、それこそ「ジャパンCダート」と同様、土曜日開催とするのも可ではないか

言ってしまえば、「ジャパンCダート」から迷走してしまっているので、何かしら手を加えるならまだいっそ先祖返りしたらどうだろうと考えた次第です。

天皇賞(秋):JC廃止なら、11月中旬ぐらいに

上記のように「ジャパンC」を2月に移設した場合、「天皇賞(秋)」を11月中旬に移設したらどうかというのが一つの案です。こうすることによって、

  • 3歳馬は、3冠目 → 天皇賞(秋) → 有馬記念
  • 古馬では、天皇賞(秋) → 香港 or 有馬記念 → 京都記念 → ドバイSC

従来、出走するにはタイトだった日程が解消され、菊花賞と天皇賞(秋)に出走する3歳馬が出たり、天皇賞から香港カップに向かう馬が出てきたりするのではないかと期待しています。

2歳マイルG1:11月開催にしてG1・2戦を可能に

最後に2歳G1です。このうち「ホープフルS」については特殊な利害関係が一致していますし、今のままで良いかと思います。対して、2歳マイルG1に関しては思うところがあります。

  • 結果的に、かつて東西で分かれていた2つのG1が、同じ「阪神マイル」となってしまい、男・女で分けるしか違いがなくなってしまった
  • 開催場・距離で違いをつけられないがために、開催時期を近づけて差別化を図るというオークスとダービーの構図がそのままである
  • 3つG1があるのに、それぞれの開催が12月に偏っているせいで、複数制する可能性が皆無である

そこで私は、「朝日杯FS」もしくは「阪神JF」の1つもしくは両方を1ヶ月程度繰り上げて11月・京都開催とするのを提案します。もちろんその場合、「阪神JF」は『ジュベナイルフィリーズ』のみもしくは『京都JF』となる訳ですが、些末な話しなのでそこは置いておきます。こうすることによって、

  • 片方のみを11月に移設する場合ならば、違う競馬場でマイルを経験でき、牝馬が来年の桜花賞の下調べをする意図が保てる。強い牝馬であれば、マイルG1連覇も狙える
  • 両方を11月に移設した場合、牝馬はもちろんのこと牡馬であっても、マイルと2000mという距離の異なるG1を経験でき、場合によっては力の差が2歳の段階ではっきりさせられる
  • 何より、3レース中2レース出れるだけでも適性がはかれ、出走も優勝もチャンスが広がることは2歳のうちに経験させたい陣営にとってはメリットが大きい

こういった感じで、こちらも3歳春のG1と同じで多様性が期待できるというものです。如何でしょうか

重賞競走(G2・G3)

2~3歳トライアル:レース間隔の基本を1ヶ月から2ヶ月へ

  • 公式か非公式かを問わず、現在の「トライアル」レースの大きな課題として、『本番の約1ヶ月前』というレース間隔があると思います。1冠目のトライアルレースは、本番の前月3月に集中をしており、スプリングSなどはレース間隔が狭いものの3頭に優先出走権が与えられます。
  • これらの開催時期は多くが平成の初め頃から変わっていません。もちろん当時は中1ヶ月で連戦するのが当たり前でしたし、少し遡ればメジロラモーヌのように1・2冠の間に1戦を挟むことすら珍しくありませんでした。
  • 他方、「2冠目を制した後、秋の活躍を後ろ倒しさせるため、3冠目に直行」するローテーションが令和に入り多く取り入れられるように、トライアルレースを重視しない動きが広まっています。
  • そうした結果、トライアルレースでギリギリ優先出走権を獲得した馬が本番に出ても、好走できないことが珍しくなく、マイナスとまでは言いませんが、むしろ2月までに賞金を稼いで3月を休養に当てられる早熟・強豪の方が春2冠を100%で戦えている印象すらあるのです。
  • そこで、上記「牝馬春2冠」を半月程度早める案と合わせて、トライアルレースの再整備を図る好機とすべきと考えます。もちろん1ヶ月前のトライアルレースがあっても良いですが、そこに集中するのではなく現在の牡馬路線でいうならば、
    • 12月:朝日杯FS①、ホープフルS①
    • 1月:シンザン記念①、京成杯①
    • 2月:共同通信杯②、きさらぎ賞①
    • 3月:弥生賞③、若葉S①
  • などと長期的にスパンを取ることで門戸を広く開放するイメージです。あるいはアメリカのようなポイント制でも良いかも知れません。いずれにしても、3月だけにトライアルを集中させるのは、現状にも合っていませんので、検討してもらいたいところです。
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古馬G1トライアル:格、レース間隔などで形骸化を避ける

  • 更に有名無実化しているように感じるのが、平成の終わりに始まった古馬のステップレース制。 制度そのものを否定しませんが、実効性には疑問があります。特に、
    • 別定G2の1着のみが対象だが、そこを勝てる馬は大抵、一定程度の実績を持っている
    • ステップレースの賞金・勝ってのレーティングを上澄みすれば、大抵本番に出られる
    • 優先出走権が利くレースが1つだけであり、しかもそのレースとの間隔が短い
  • といった状況です。例えば、「毎日王冠」を勝った馬が「天皇賞(秋)」の優先出走権をもらっても、そもそもマイルCSを目標に使っているから優先出走権が無駄になってしまう的な感じです。
  • これもステップレースが創設されてから数十年のスパンで見直されていないことが一因となっています(↓)。
  • 上記を解消するために例えば、
    • ステップレースを絞ったうえで、最低でも2着、別定G2などならば3着まで与える
    • ステップレースを、ハンデ戦や別定G3など、やや低級のレースに敢えて指定する
    • 優先出走権を与えるレースを複数もたせ、陣営に選ばせる

サマーシリーズ:構成重賞の距離に柔軟性を

  • プラスの評価を寡聞にして知らないのですが……創設当初から疑問があったサマーシリーズ一つに、距離の多様性の欠落があったように思えます。
    • 「北九州記念」:2006年に芝1800mから芝1200mに(40回の伝統)
    • 「中京記念」 :2012年に芝2000mから芝1600mに(59回の伝統)
  • 仮に、1000m・1400m・1800m、そして2200m以上の非根幹距離に適性が高い馬がいたとしても、夏には妥協したレースに参戦しなければならなくなります。むしろかつての「北九州記念」の1800mみたいなレースこそ貴重だったのに、それもJRAのシリーズ名に引っ張られる形でいわゆる根幹距離に揃えられてしまった側面があるのです。
  • もちろん以下のように競馬場にもともと距離設定がない場合、新たに設定するのが困難なのは分かりますが、「マイル」も1400~1800m、「2000シリーズ」も1800~2200mぐらいの幅をもたせることこそが、積極的なレース選択を見込めるのではないかと感じる次第です。
距離函館福島中京新潟札幌小倉
T10001816
T1200161618181618
T130018
T14001818
T1500
T160018
T1700
T180016161816
T2000161618181618
T22001818
T240018
T2600161616
T30001818
T320018

そもそもマイルを設定しておらず、非根幹距離が多いのが特徴たるローカル開催で、根幹距離をメインと冠したシリーズを設定することの意義から問いたいわけですが、例えばこういった案を考えます。

  • 「サマースプリントシリーズ」
    1. (函館1200)函館スプリントステークス
    2. (中京1400)CBC賞
    3. (新潟1000)アイビスサマーダッシュ
    4. (小倉1200)北九州記念
    5. (札幌1200)キーンランドC
    6. (阪神1200)セントウルS
    7. どこかに直線でない「芝1000m」のオープン特別を加えても良いかと思います。あるいは、上記レースをステップレースとした上で「スプリンターズS」も計算対象とし、夏を使った馬でG1で最も好走した馬にシリーズチャンピオンの称号を送るといった工夫も考えられるでしょう。
  • 「サマーマイルシリーズ」
    1. (中京1400)CBC賞
    2. (函館1800)巴賞
    3. (中京1600)中京記念
    4. (新潟1600)関屋記念
    5. これに「小倉」1800mのオープン特別を新設したりしても良いかも知れません。「マイル」と限定すると開催できる競馬場が限られますが、±1ハロンを許容すれば行けると思います。
  • 「サマー2000シリーズ」
    • ここは既に2000mで層が固まりつつありますが、例えば、中京や新潟の2200mや、他の場で1800mのオープン特別を開催するのもアリだと思います。あくまでもメインは2000mの重賞としておけば、説明力はそこまで下がらない気がします。

ただ、以上はあくまでも「サマーシリーズ」を断固開催することを前提とした改訂案であり、そもそもこのシリーズの開催意義に疑問があるのは申し添えておきます。

札幌記念はG2据え置きも賞金の増額を

  • 夏競馬の目立った課題として「札幌記念」をG1とするか論争があります。私も時期によっては、意見が右往左往するのですが、ひとまず今回は格付けに関しては「G2据え置き」側とします。
  • 代わりに、1着賞金を現在の7,000万円から1億円台前半まで引き上げることを提案します。
  • 関係者の方が、「札幌競馬場はG1を開催するほどの設備(来賓席や馬主席など)が整っていない」として話題になっていました。もちろん交通アクセスは如何ともしがたいですし、G1の来賓数も正確に把握していませんが、それを声高に言われてどれだけ機運が収まるかというと微妙かも知れません。
  • 頓知ではないですが、『G1』としての環境が揃う令和10年代まで、格付けはG2を据え置き、賞金を実態に合わせて先行して増額しておき、環境が整ったら満を持して『G1』に格上げしたらどうでしょうか。
  • むしろ、札幌競馬場の夏場の涼しい環境を活かすことを念頭に置きつつ、“来賓席や馬主席”を全ての競馬場で整備する令和時代のスタンド改装にしたらどうでしょうか。そして、札幌記念がG1として活きるレーシングカレンダーに作り替えていく必要があるのではないでしょうか。

個別重賞の一部案

  • 凱旋門賞の国内トライアルが不足している気がするので、洋芝の北海道で2600mの重賞を新設したり、秋の中山競馬を少し早めて、オールカマーを2500mにして中山開幕週としたり、セントライト記念を古馬解放したりしてはどうか。
  • 2歳のG2が10~11月に似た形で集中している印象。少頭数のレースも目立つ。もっと時期をバラけさせられないか。
  • 距離の地味な偏りが目立つ。例えば、春秋に「芝2400m」のG3クラスの馬向けの重賞がほしい。

他にも色々と考えられますが、ひとまず今回はこんなところで。

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