旧震度「石巻」(宮城県石巻市泉町)

【はじめに】
この記事では、気象官署「石巻測候所(現・石巻特別地域気象観測所)」で観測された過去の強烈な揺れをまとめていきます。

気象官署「石巻」について

まず、宮城県にある「仙台管区気象台」のホームページから沿革のページを引用します。こちらです。

(出典)気象庁ホーム地域の情報 >  宮城県 > 仙台管区気象台の沿革
https://www.data.jma.go.jp/sendai/about/history/history.html

『(県立)石巻測候所』が設置されたのは、明治20年(1887年)8月31日であり、今から135年近く前ということになります。そしてもう1点、大正15年(1926年)『宮城県立石巻測候所仙台出張所』が発足したとあります。そして「仙台管区気象台」となったのは昭和20年代になってからです。即ち、「石巻測候所」を上位という時期がかなり長かった事実がこのページからも分かります。

気象庁 ホーム > 各種データ・資料 > 強震観測データ > 気象庁震度観測点一覧表 より画像にて引用

ちなみに、気象庁の「震度観測点一覧」によれば、『石巻市泉町』での震度観測は1888年1月に始まったとあります。「仙台」での観測に先駆けること38年です。但し、気象庁の「震度データベース検索」で現在調べられるのは1919年以降ですので、以降、基本的に1919年乃至1920年以降を対象とします。

震度1以上(有感地震)は年平均で数十回程度

まずは、気象庁の「震度データベース検索」で、規模(M)が特定されていて(M0.1以上)、最大震度1以上の有感地震の数を表にしてみました。こちらです。(↓)

期間震度1震度2震度3震度45弱5強6弱合計
1910年代82212
1920年代72321021117
1930年代9344625150
1940年代41167266
1950年代1014913163
1960年代22391214339
1970年代198542941286
1980年代12656192203
1990年代14252272223
2000年代420109225211560
2010年代97127451130021311
合計2395779207369133430
(出典)気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2022/03/31 23:59
・地震の規模 : M 0.1 以上、M 9.9 以下
・観測された震度 : 石巻市泉町 で 震度1以上 を観測
・地震回数の集計 : 年代別回数

昭和の前半は100回台、その後の体感の時代は200~300回台で推移。機械観測となって以降は数が更に増えて、2000年代には10年間で561回、2010年代は1,311回の有感地震を観測しました。ちなみに、2011年の1年間だけで576回を観測しており、ここ10年は数十回程度にまでやや減ってきてはいます。

震度5(強震)以上:ここ100年で16回

1927年から1978年までの約50年間で7回、その後、ちょうど半世紀発生歴がなく、機械計測となった2003年に初の「震度6弱」を観測して以来、約20年で9回の「震度5弱以上」を観測しています。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「石巻」
1927/08/06 06:12:59.6宮城県沖25 km6.7震度5震度5
1933/03/03 02:30:47.6三陸沖0 km8.1震度5震度5
1936/11/03 05:45:57.1宮城県沖61 km7.4震度5震度5
1937/07/27 04:56:32.2宮城県沖56 km7.1震度5震度5
1938/11/05 17:43:18.4福島県沖43 km7.5震度5震度5
1938/11/05 19:50:14.9福島県沖30 km7.3震度5震度5
1978/06/12 17:14:25.4宮城県沖40 km7.4震度5震度5
2003/05/26 18:24:33.4宮城県沖72 km7.1震度6弱震度6弱
2003/07/26 00:13:08.2宮城県中部12 km5.6震度6弱震度5弱
2003/07/26 07:13:31.5宮城県中部12 km6.4震度6強震度5強
2005/08/16 11:46:25.7宮城県沖42 km7.2震度6弱震度5弱
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7震度6弱
2011/04/07 23:32:43.4宮城県沖66 km7.2震度6強震度6弱
気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2021/12/31 23:59
・観測された震度 : 石巻市泉町 で 震度5弱以上 を観測
・検索結果地震数 : 16 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

昭和の時代は、その殆どが「宮城~福島県沖」の大地震によるもので、1933年の昭和三陸地震(画像の一番右の●)は震源の深さが不定(0km)ですが、その他は深さ25~61kmと僅かに深い地震でした。

平成・令和の各3例のうち、4例は宮城~福島県沖地震のM7クラスの大地震であり、昭和時代と同じ。また、2003年7月26日に起きた「宮城県北部地震」では、午前0時の前震が5弱、午前7時の本震が5強となっています。

震度6弱:21世紀に入って3回

そして、「震度6弱(旧・烈震相当)」は、21世紀に入ってから以下3例で観測されています。(↓)

地震の発生日時震央地名深さ最大震度「石巻」
2003/05/26 18:24:33.4宮城県沖72 km7.1震度6弱震度6弱
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7震度6弱
2011/04/07 23:32:43.4宮城県沖66 km7.2震度6強震度6弱
気象庁 > 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2022/05/28 23:59
・観測された震度 : 石巻市泉町 で 震度6弱以上 を観測
・検索結果地震数 : 3 地震 (「地震の発生日時の古い順」で検索)

初の震度6弱は、2003年5月26日の「宮城県沖地震」。そして、2011年の「東北地方太平洋沖地震」と、その翌月7日の深夜に起きた「宮城県沖地震」で震度6弱を観測しています。

他の観測点(特に「石巻市桃生町*」)の比較

合併後の「石巻市」内には多くの震度計が設置されています。今回は気象官署「泉町」のほか、任意の市内4地点を比較のためピックアップしました。それがこちらの表です(↓)

発生日「泉町」 大瓜  桃生町 大街道南 前谷地
21/02/134.54.15.95.35.4
21/03/204.64.15.25.24.9
22/03/165.04.55.95.85.5

2021年2月や2022年3月の最大震度6強を観測した地震では、石巻市の「桃生町(ものうちょう)」では震度5.9(6強に近い震度6弱)を観測しています。「大街道南」という地点も5を越えています。

しかし、「泉町」は気象庁震度階級で1~2ランク違ってきているように、同じ「石巻市」と言ってもお住まいの方はご存知のとおり、観測点によって揺れは大きく異なります。

この「桃生町」は、2011年の「東日本大震災」やその翌月の「宮城県沖地震」でも(津波被害が極めて甚大で、地震の揺れによる被害が全くと言って良いほど報じられませんでしたが)家屋への被害が宮城県内でも顕著だった地域だったかと記憶しています

これまで気象官署「石巻市泉町」に関する過去100年あまりの地震のデータを振り返ってきましたが、これはあくまで「泉町」に限ったデータであって、その他の地点ではもっと強い揺れを観測してきている可能性もあるので、そこの点はご留意いただくと共に、今後、同様に強い揺れが起きた際の情報処理の一助となれば幸いです。

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