【プレバト!! 俳人列伝】パックン(Patrick Harlan)

【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」の俳句査定で特待生に昇格した【パックン(パトリック・ハーラン)】さんの俳句を振り返っていきます。

パトリック・ハーラン(Patrick Harlan、1970年11月14日 – )とは、アメリカコロラド州コロラドスプリングス出身(出生地はモンタナ州)のお笑い芸人。身長184cm、血液型O型。

役者志望だったこともあり俳優声優としても活躍している。流暢な日本語を生かしDJMCナレーターもこなし、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成する。「パックン」として日本語ではボケ、英語ではツッコミを担当。

パトリック・ハーラン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2018~19年:一般参加者時代

2018年:『冴ゆる月眠りにつけぬ深夜便』

高学歴の出演者や外国人タレントが多く挑戦し、必ずしも高評価を得られない中で、(すっかり日本に慣れ親しんだ(?))パックンは、初挑戦にして「71点」の高得点で才能アリ1位に輝きます。それが、

1位71点『冴ゆる月眠りにつけぬ深夜便』

という作品でした。『雪晴れ』な空港を兼題写真とし、全体的にレベルの高かった2018年1月11日の放送回にあって、堂々の1位を取るに相応しい『叙情豊か』な俳句でした。

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『月冴ゆる』というのが冬の季語「冴ゆ」の傍題であることを知らない人も多い中で、『冴ゆる月』と上五に据え、そこからシンプルに素直に「眠りにつけぬ深夜便」と描いた点が見事でした。ここでいう「深夜便」が空港(飛行機)であるか、夜行バスであるか、寝台列車であるかは分かりませんが、その寒々とした夜の窓の外に浮かぶ月に委ねたくなる不安感が手に取る様に感じられます。

2019年:『ハイパーインフレボリバル札の紙雛』

約1年を隔てて2度目の出演を果たしたパックン。前回とは全く違う奇抜な戦い方で挑み、この飛び道具的な中でも2位70点を獲得する実力を見せつけたのがこちらの句でした。

2位70点『ハイパーインフレボリバル札の紙雛』
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上五字余りを許容することが多い「プレバト!!」にあっても、この8音の経済用語を使うというのは非常にインパクトがありました。そして「ボリバル札」という南米の紙幣を取り合わせれば普通は季語が死んでしまうものですが、何とかそこで「紙雛(かみびいな)」という季語を結びつけることで成立をさせる説得力を持たせる。パックンならでは芸風……もとい作風だと強い衝撃を受けました。

もちろんこの回に梅沢永世名人が披露した「紙雛のにぎやか島の駐在所」には格の違いを見せつけられる格好になったかも知れませんが、17音という俳句の器で勝負したパックンの特待生の道がここで一気に開くこととなります。

2位70点『五月闇干して三日の生乾き』

3回目に出演した際も、2位70点と決してハイレベルな結果ではなかったものの、3回連続才能アリを取りきったということで、1位の中川翔子さんの猫俳句を飛び越えて『特待生』昇格を果たすのです。

気づけば、1句目は冬、2句目は春、3句目は夏と、それぞれ季節も違う中で、その季節感の空気を彼なりの着眼点で委ねることに成功しています。特待生昇格前の安定感はさすがの一言でした。

2019~年:特待生時代

2019年:『通帳にバリの絵葉書冬近し』

初のタイトル戦で明治神宮球場を読み込むも6位と予選敗退を喫したパックン。その3ヶ月後に披露をしたのが、特待生4級への昇格を決めたこちらの作品でした(↓)

5→4級『通帳にバリの絵葉書冬近し』

普通バリ島というリゾート地に季節感を寄せるならばやはり「常夏」でありましょう。しかしパックンは、一人の民間人(広い意味での庶民)として『通帳にバリの絵葉書』を挟んで、質素倹約に努める姿を『冬近し』という季語と取り合わせて表現しきったのです。

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ここが『夏近し』や『秋近し』だった場合との比較で違いが分かる方は、パックンと同じ特待生レベルということになるでしょう!

2020年:『秋高し二十ヤードのエッグトス』

パックンが2020年のコロナ禍に入ってから、顕著にテーマを変えてきて、その結果、連続高評価を得ることとなります。「テキサス&コーラ」→「ミートパイ」と、出身地のアメリカでの学生までの思い出を季語と取り合わせて斬新なオリジナリティを担保し、特待生3級に昇格。そして、こちらの句で2級に昇格したのです。(↓)

3→2級『秋高し二十ヤードのエッグトス』
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イースターのパーティーなどで興じられる「エッグトス」は、日本人には中々馴染みのないものです。故に『秋高し』という定番の季語に、「高く何かしらをあげる」という定番の発想であっても、ヤード法であったりエッグトスであったりを取り合わせることで既視感のないものに仕上がっています。

2021年:『天高しアーチ描くホットドッグ』

しかし2021年に入って、特待生2級から名人を目指す地位としてタイトル戦の予選に出場するも、なかなか結果が出ません。春光戦の「対局駒がたけのこの里」という句は流石に厳しかったとはいえ、炎帝戦も全体16位とはいえ本戦Top10入りは叶わず。そして金秋戦も予選Aブロック5位であったとはいえ(↓) 句の内容はそこまで悪くないと感じました。

金秋戦・予選5位『天高しアーチ描くホットドッグ』

メジャーリーグの球場の「ホームラン」をも意味するアーチという言葉に、「ホットドッグ」を売り子が投げて手渡す様を『天高し』と取り合わせてきました。

中七を「売り子の放る」としたり、『ヤンキースタジアム』と前書きをしたりする添削を夏井先生から披露をされましたが、金秋戦というハイレベルなタイトル戦の予選を通過するには馴染みの薄い光景で本戦出場するのが難しかった側面もありました。

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そして以前から指摘されていましたが、「五七五」の定型以外の句柄を磨かないと、名人昇格は難しいと明言され、特待生2級での足踏みと予選敗退が続いてしまっています。

To Be Continued…

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