二十四節気「穀雨」

【はじめに】
この記事では、春では最後の二十四節気「穀雨(こくう)」について見ていきます。

ウィキペディアでみる「穀雨」について

まずは、日本語版ウィキペディアで「穀雨」を調べて、その冒頭部分を引用してみました。

穀雨(こくう)は、二十四節気の第6。三月中(通常旧暦3月内)。

現在広まっている定気法では太陽黄経が30度のとき(黄道十二宮では金牛宮の原点に相当)で4月20日ごろ。暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。平気法では冬至から1/3年(約121.75日)後で4月22日ごろ。期間としての意味もあり、この日から、次の節気の立夏前日までである。

穀雨 > 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

言葉が難しくて何を言っているのかよく分からないぞ?

グッと要約してしまえば、「4月20日からの約2週間」を指す季節の表現(そして、その初日のこと)を指すと捉えてください。 もう少しくだけた表現の部分を続けて引用しましょう。

季節の特徴

田畑の準備が整い、それに合わせて春の雨の降るころ。

穀雨とは、穀物の成長を助ける雨のことである。『暦便覧』には「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されている。

穀雨の終わりごろ(立夏直前)に八十八夜(立春の87日後の日)がある。

( 同上 )

これはもう皆さんが文字面から想像するのと同じでないでしょうか? 『穀(物を育てるのを助ける)雨』が降る頃 といったニュアンスです。

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日付

ウィキペディアの表がロングスパン過ぎるので、ここ数年に絞って表にしました。こちらです。

年を4で
割った余り
具体年初日最終日
2020・20244月19日5月4日
2021・20254月20日
2022・2026
2023・20275月5日

今年(2022年)でいえば、4月20日から5月4日(立夏の前日)までが「穀雨」の期間となります。日本でいえば、ゴールデンウイークに差し掛かるところまでが対象期間です。

そしてこの翌日の「立夏」から暦の上では「夏」に分類されますので、暦の上では『春の最後』という位置づけになっている期間でもあるのです。

(参考)「穀雨」の七十二候

七十二候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(私的メモ)各日の要約

日付できごと・年中行事誕生日
4/19
4/20※進藤あまね
4/21HIKAKIN
4/22中田翔
4/23子ども読書の日※諸星すみれ
4/24※名塚佳織
4/25壇ノ浦の戦い※前田佳織里
4/26チェルノブイリ原発事故加藤浩次
4/27宮根誠司
4/281952年・日本主権回復※田中あいみ
4/29【昭和の日】昭和天皇
4/302019年・平成最後の日※石見舞菜香
5/012019年・令和改元サイレンススズカ
5/02八十八夜※佐藤利奈、Pile
※大西亜玖璃
5/03【憲法記念日】豊田章男
5/04【みどりの日】田中角栄
5/05【こどもの日】※高山みなみ
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「穀雨」の例句(好きな俳句5句)

ではここから「歳時記」らしく、『穀雨』の例句をご紹介していきましょう。旧版ではありますが、「角川俳句大歳時記」に記載されていた俳句から、まずは4句ピックアップしました。

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『まつすぐに草立ち上がる穀雨かな』/岬雪夫

ネーミングからして、『植物』との親和性の高い二十四節気である季語「穀雨」は、植物に関する季語が多くあります。そして、『成長』への期待、夏(こどもの日など)に向けての“過渡期”という季節感からも、この句は抽象的でありながら具体的な映像も立ち上がってくるような作品です。

但し、「穀雨」という季語に『雨』が入っていますが、気象現象の雨を指す言葉ではありません。「穀雨」はむしろ現代風にいえば「4月下旬」ぐらいの意味合いであり、作句時は特に「穀雨が降る頃の時期」という意図で使うべきかと思います(雨の実景に頼ると△)

なので以下に示す季語も含めて、本来は『晴れの光景』として読んでも構わないはずです。

『鍬光る穀雨の記念植樹かな』/小谷ひろゆき

かつては4月29日、現在は5月4日となった「みどりの日」の頃には、緑化に関する催し物が行われることが多いかと思います。『全国植樹祭』は、現在は1ヶ月ほど遅れますが、そのイメージもありそうです。

恐らく、鍬の金属部分に「晩春の日」が差しているのでしょう。『記念植樹』という漢字4文字の晴れ晴れしさが清々しくもあります。(これが『黴雨』など、本当に雨の季語だと雰囲気が変わってしまうのを感じ取っていただければ幸いです)

『夜気深く吸へば穀雨の匂ひけり』/乾真紀子

通常であれば、「昼間」を想像しやすい季語かと思いますが、この句は最初に「夜」と打ち出すことで場面設定をうまく表現しています。少し冷えをまとった空気なのかも知れません。この句は『嗅覚』にフォーカスしたことで、鼻から肺への夜の空気の流れを追体験できますね。

『穀雨なり低き天井せまり来る』/如月真菜

「穀雨」という漢字には、ただの植物ではなく穀物ということで『人間の営み』の印象も含まれているのではないかと感じます。上の句はグッと生活感のあふれる題材となありました。もちろんこちらは、『そんな気がする』という詠み手の感覚を断定して強く表現しているタイプの句なのでしょうが、穀雨ならではの部分を感じられれば幸いです。

『象の糞豊かに崩れ穀雨かな』/村上健志

これは、2018年4月26日、まさに「穀雨」に放送されたプレバト!! で披露された、フルーツポンチ・村上健志名人(当時3段)の作品です。兼題は『春の動物園』でした。

やや「雨」そのものの印象が強い説明だったのが気になりましたが、『象のフン』という決して美しいとは言い難いものも、『穀雨』という大きな季語によって、春の終わりの長閑な光景として立ち上がらせている点、本当に素晴らしい着眼点だと思います。

食物連鎖・循環といった観点からも、動物と植物の関係性が『穀雨』という懐の大きな季語を選択したことのリターンの大きさは、まさに『穀雨』という季語の本意に迫った俳句だと感じました。

皆さんはどういった句が好きですか? 雨の日も晴れの日も、春の終わりの「穀雨」を楽しんで行きましょう! 以上、Rxでした。

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