【海外地震】USGS「ShakeMap」で激しい揺れを観測した地震を調べてみた

【はじめに】
この記事では、USGS(アメリカ地質調査所)が発表している震度情報のうち、「ShakeMap」というもので目線を揃えて、国内外の激烈な揺れについて比較していきたいと思います。

先日(2023年2月13日)、USGSが1週間前に起きた「トルコ・シリア地震」の『ShakeMap』の値を「メルカリ震度階級X」に引き上げました。メルカリ震度階級は一応12までありますが、実質的な近年の最大値は10となっています。

DYFI(体感報告)、ShakeMap(震度分布図)のうち、今回更新されたのは「ShakeMap」の方

この「ShakeMap:MMI10(9.5以上)」というのがどれだけ破壊的で甚大な被害をもたらすのかということを歴史に学ぶと共に、国内の地震を敢えてアメリカの基準に揃えることによる新たな発見があれば幸いです。

ShakeMap:メルカリ震度9.5以上

早速『Search Results』で、「ShakeMap:震度9.5以上」の地震を検索してみると全部で5件ヒットしました。四半世紀以上前の地震が中心なので、各地震について簡単に補足しておきます。(↓)

(画像引用元)USGS > Search Results(ShakeMap:9.5以上)
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  1. 海城地震(かいじょうじしん)は、中華人民共和国遼寧省海城市一帯で1975年2月4日19時36分(中国標準時, UTC+8)に発生したマグニチュード(Ms)7.3の地震である。
    • 行政当局が事前に警報を出して住民を避難させており、避難が行われた地域では人的被害が軽微で済んだため、結果的に地震予知の数少ない成功例となったことで著名である。
    • 人的被害の正確な数は不明であるが、新華社の報道では、死者は被災地の人口の0.02%にあたる2,041人で、その多くが高齢者や子供などの弱者であったほか、被害額は約810億であったという。一方、死者1,328人、重傷者4,292人という資料もある。
    • 海城県では、住宅のうち46%が建て替えが必要なほど甚大な被害、32%が大規模な修理を要する被害を受けるなどほとんどの建物が被害を受けた。同じく営口市でも、13%が建て替え、26%が大規模修理となっている。
  2. 唐山地震(とうざんじしん)は、1976年7月28日3時42分(現地時間、UTC+8)に中華人民共和国河北省唐山市付近を震源として発生したマグニチュードMw7.5の直下型地震である。
    • 市街地を北北東から南南西に走る断層に沿って大きな右横ずれが発生し、当時有数の工業都市であった唐山市は壊滅状態となった。死者数は中国発表で約25万、アメリカの地質調査所の推計では65.5万人となっている。
    • 唐山市ではこの地震によって14万8000人が亡くなり、重傷者は8万人以上に上り、被害は市民の21.2%に達し、住宅の全壊率は94%だった。
  3. アルメニア地震は、1988年12月7日アルメニア北部ロリ地方スピタク震央として発生したマグニチュード(Ms)6.8、(Ml)7.2 の地震1988年アルメニア地震スピタク地震などとも。
    • この地震による死者は少なくとも約2万5000人、負傷者は約1万9000人に上る。 震央に近い地域の高層建築物はほとんど倒壊し、40万人を超える人が家を失った。特に顕著な被害が出たレニナカン(現・ギュムリ)では、約1万5000人-1万7000人が死亡し街も壊滅した。また、スピタクでも大きな被害が生じ、約4000人が死亡した。
  4. 麗江地震(れいこうじしん)は、1996年2月3日中華人民共和国雲南省南西部にある麗江市で発生した地震。地震の規模はMs 7.0、Mw 6.6。この地震の影響で、合計309人が死亡、4,070人が重傷、12,987人が軽傷を負い、合計7億8600万ドル(30.5億ドルとも)の被害が発生した。
  5. 2023年ガズィアンテプ地震は、2023年2月6日トルコ南東部のガズィアンテプ付近で発生した地震である。同日4時17分(日本時間10時17分)にガズィアンテプ付近で1回目の大きな地震(マグニチュード7.8)が発生し、同日13時24分(同19時24分)にカフラマンマラシュ県のエルビスタン地区で2回目の大きな地震(マグニチュード7.5)が発生した。トルコとシリアを中心に甚大な被害を及ぼし、地震災害としては2011年東北地方太平洋沖地震を超える死者を出す大災害となった。
    • 地震計のデータ解析によると、震央から南西へ60kmにあるハタイ県のハッサでは日本の気象庁震度階級で「震度7」に相当する激しい揺れが観測されている。
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以上の5地震には、地震そのものの知名度は高くないものも含まれますが、当時の建物被害は激烈で、『都市』が破壊されるほどでした。一般的な気象庁震度階級「震度7」を遥かに凌ぐものとなっています。これが実質的な最高ランクとなるメルカリ震度階級「震度X(10)」に相当する被害です。

ShakeMap:メルカリ震度9.0以上

そして、「震度9.0(IX)」以上となると、三十数件がヒットします。オセアニアを除く各大陸で地震がプロットされていますが、もちろんこれには古い地震などを中心に『検索対象外』となっているものが多数あることは予めご了承ください。

(画像引用元)同上

全ての地震に触れることは出来ませんが、めぼしいところは列挙しておきたく思います。

平成の地震で唯一、この「MMI(メルカリ震度階級)9.0」を超える地震としてこの検索結果に名を連ねている日本の地震が1995年の「阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)」です。

そして、2024年元日に起きた「令和6年能登半島地震」は、ShakeMapで「MMI(メルカリ震度階級)9.0」に達する地点が複数ある激烈な揺れが観測されました。

ShakeMap:メルカリ震度8.5以上

メルカリ震度階級8.5以上が、四捨五入すると「震度IX」となろうかと思います。USGSで「MMI8.5以上」と検索してみると、100件以上の地震がヒットします。このうち、日本列島の地震に限定します。(↓)

(画像引用元)同上
  1. 1995/01/17:Mw6.9 阪神・淡路大震災(気象庁震度7)
  2. 2003/09/26:Mw8.2 十勝沖地震(気象庁震度6弱)
  3. 2016/04/16:Mw7.0 熊本地震(気象庁震度7)
  4. 2018/09/06:Mw6.6 北海道胆振東部地震(気象庁震度7)

平成以降で以上の4例が「震度IX」相当と認められています。2003年の十勝沖地震は日本列島付近では最大級だった地震ですし、他はMw7前後ですがいずれも「気象庁震度階級・震度7」を観測する激烈な揺れが観測されています。

一方で、2004年の新潟県中越地震や2011年の東北地方太平洋沖地震、2016年の熊本地震(前震)など「震度7」を観測した地震も、ShakeMapでは「震度8.5」未満といった登録となっています。こうした意味で、『メルカリ震度階級IX≒気象庁震度階級7』という暫定的な仮説を私が立てている根拠の一つともなっています。

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