【海外地震】USGS「Station List」/表面最大速度(PGV)が大きかった世界の地震

【はじめに】
この記事では、アメリカ地質調査所(USGS)の「Station List」という項目を使って、世界の地震の中で「表面最大速度(PGV)」が大きかったとされているものを纏めていきます。

気象庁震度階級は日本独自に考案されたものであり、アメリカなどで用いられる震度階級とは異なります。それぞれの震度は着眼点も違うため単純比較が困難なのは上の記事でも書いたとおりです(↑)。

ならば、日本の震度階級を一旦離れ、(情報を網羅できていないことは承知で)海外の地震と目線を揃えることで新たな気付きや発見があるのではないかというのがこの記事の趣旨になります。皆さんも、ぜひここ半世紀に起きた国内外の大地震の値を比較して、理解を深める際のヒントとして下さい。

(例)USGS > ShakeMap > Station List

ここ半世紀あまりの世界の地震

200cm/s以上:1999台湾、1960チリ、2023トルコなど

いきなり最上位から見ていきます。私が見つけた中で最大の値を取っていたのは、1999年に起きた台湾の地震です。発災日から「921大地震」と呼ばれ、2,000名以上の犠牲者と1万人以上の負傷者を出したこの地震は、建物の倒壊や地すべり、地割れなどの被害が顕著にみられました。
これが「263.10cm/s」という値で、『Station List』で確認した中でここ半世紀で最大とみられます。

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PGV
(cm/s)
Mw震源/
地震名
100cm/s
以上の地点
263.1019997.7台湾大地震 7
240.4419609.5チリ・バルディビア 4
219.3519716.6サンフェルナンド地震 2
215.3420237.8トルコ・シリア14

そしてここ半世紀で2番という見方をできそうなのが、先日「トルコ・シリア」で起きた大地震です。「215.34cm/s」という値は21世紀で最大級と言えそうです。加えて「100cm/s以上」を観測した地点の数も2桁にのぼるなど、その被害の広域ぶりが数字からも窺えます。

150cm/s以上:十勝沖地震、北海道胆振東部地震ほか

それらに続く地震として、少し意外に感じる方もいらっしゃるでしょうが、2003年の「十勝沖地震」が入ります。気象庁の震度階級では「震度6弱」が最大でしたが、家屋の全壊は3桁、一部損壊は4桁に達し、負傷者も849名を数えました。
最大速度という観点でみると、USGSの纏めではこの地震が、日本では最大級の値だったとなります。

PGV
(cm/s)
Mw震源/
地震名
100cm/s
以上の地点
189.2120038.2十勝沖地震 3
170.9519946.7ノースリッジ地震14
167.0319997.6トルコ・イズミット22
167.0320157.8ネパール12
167.0319977.3イラン・ガエン 5
153.3720186.6北海道胆振東部地震 1
152.3720036.6イラン・バム 4
152.3719956.6ギリシャ 2

そして、もうひとつ日本では、2018年の「北海道胆振東部」も局所的に153.37cm/sに達しています。この値はバムの遺跡を破壊した2003年のイランの地震の推計値とほぼ同じであり、日本で土砂災害が多発したことや北海道全島ブラックアウトしたあの地震の揺れの凄まじさを思い起こします。

100cm/s以上の主な地震:兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)ほか

150cm/s未満は時折見られる値のため、主な地震(著名な地震 + 100cm/s以上の地点が2桁に及ぶなど広域なもの)に限って表にしておきました。

日本国内では、上の表に挙げた地震よりも「100cm/s以上の地点」が多い2つの震度7の地震を挙げました。一つ目は「令和6年能登半島地震」です。

そして、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の「鷹取(TAK Takatori)」の観測点でも、最大速度としては127.10cm/sという値が示されています。日本では震度7相当を最大で観測した地震でも、こういった表に入れ込んでしまうと、決して未曾有の大災害ではないのだと直視せざるを得なくなります。
(もちろん、国の耐震強度や観測網の密度、時代による影響などがあることもご承知おきください。)

PGV
(cm/s)
Mw震源/
地震名
100cm/s
以上の地点
147.8520247.5能登半島地震 7
127.1019956.9兵庫県南部地震16
116.0320108.8チリ19
116.0319767.5唐山地震14
116.0320087.9四川大地震 7
108.6619886.8アルメニア27
108.6620036.8アルジェリア10
104.4719766.5イタリア48
104.4320017.7インド西部18
103.1120046.4モロッコ10

平成以降の日本の地震

上位3例は上の「世界の地震」でお伝えしたとおりです。いずれも顕著な地震であることは間違いないのですが、他にも気象庁震度階級で「震度7」を観測するような事例が出ていませんので、平成以降で80cm/s以上を観測したような事例を最後にまとめておきます。

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PGV
(cm/s)
Mw震源/
地震名
100cm/s
以上の地点
189.2120038.2十勝沖地震 3
153.3720186.6北海道胆振東部地震 1
14.8520247.5能登半島地震 7
127.1019956.9兵庫県南部地震16
98.2120119.1東北地方太平洋沖地震 0
84.4520217.1福島県沖 0
83.7620167.0熊本地震(本震) 0

東日本大震災は98.21cm/sが最大となっていました。100cm/s以上とすると0地点になってしまうのですが、もう少し基準を下げれば相当広範囲に強い揺れがもたらされていたことは窺えます。
もちろん、東日本大震災の最大の被害は津波によってもたらされましたが、地震の揺れによる被害も決して軽んじることはできません。いわゆる「キラーパルス」などが阪神・淡路大震災の時などと比べてやや少なかったのかもしれませんが、今回の調査基準でも4位相当となっています。

そして、2021年に起きた福島県沖の地震(最大震度6強)がそれに続き、建物被害の印象が強い「熊本地震(いわゆる本震)」は83.76cm/s となっています。
ただこれも、気象庁の発表する最大震度の地点が含まれる/含まれないなどの違い(K-NET、KiK-Net の観測値が基本的な対象+体感報告DYFI)があるので、この値だけで判断すべきではないかもしれません。ただ、単純化して参照するといった観点で、今回の記事が一つの助けになれば幸いです。

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