Rx選・366日分「1日1句」選んでみた【2023年ブログ版】

【はじめに】
2021年に「note」でスタートした「366日分『1日1句』」も3年目に入りました。今回も古今東西の名句を1年・365日+閏日(=366日)に1作品ずつ選句しましたので、皆さんの生活の横に置き、季節の移ろいを感じたり作句する際のヒントとしていただければ幸いです。

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ちなみに、昨年度掲載していた「note俳句部(俳人)」の方々の作品は、ブログに移設するにあたって一律で転載を避けました。代わりに、2022年になって「プレバト!!」で発表された俳句や「当ブログ(Rxと学ぶブログ)」で紹介した俳句を追加しています。新規追加作品は太字にしてあります。

1月

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  1. 1月1日 賽銭の音や初鳩青空へ/鈴木光
  2. 1月2日 連覇のさきぶれ沸き立つ初電車/中田喜子
  3. 1月3日 庖丁始都心は計画運休/横尾渉
  4. 1月4日 雪原や星を指す大樹の骸/千賀健永
  5. 1月5日 初日記とめはねに差すひかりかな/村上健志
  6. 1月6日 冬天よ母を泣かせて来る街か/福田麻貴
  7. 1月7日 せりなづな御形といひて声の止む/川崎展宏
  8. 1月8日 初蝶を追ふまなざしに加はりぬ/稲畑汀子
  9. 1月9日 咳の子のなぞなぞあそびきりもなや/中村汀女
  10. 1月10日 福寿草祖父の遺した硯箱/山口もえ
  11. 1月11日 凍て空の食や殉ずる奴婢百名/Rx
  12. 1月12日 スキー長し改作口をとほるとき/藤後左右
  13. 1月13日 雪吊や登校拒否の吾と祖母と/千原ジュニア
  14. 1月14日 松取りて春まだ浅き大路かな/武久綺石
  15. 1月15日 成人の日の紛失物なくしもの咎めずに/中村草田男
  16. 1月16日 藪入や母にいはねばならぬこと/高浜虚子
  17. 1月17日 ロザリオを繰る手冷えくる阪神忌/野村浩之
  18. 1月18日 柩追う犬ごと攫う雪しまく/東国原英夫
  19. 1月19日 毛皮はぐ日中桜満開に/佐藤鬼房
  20. 1月20日 咳をしても一人/尾崎放哉
  21. 1月21日 花衣ぬぐやまつはる紐いろ/\/杉田久女
  22. 1月22日 冬の浪送り送りてかへらざる/嶋田的浦
  23. 1月23日 誘導鈴風花ひかる改札へ/中田喜子
  24. 1月24日 吹雪抜け来し馬橇に子がおらぬ/北野きのこ※
  25. 1月25日 右肩に枯野の冷気7号車/皆藤愛子
  26. 1月26日 銀盤の弧の凍りゆく明けの星/梅沢富美男
  27. 1月27日 一月の川一月の谷の中/飯田龍太
  28. 1月28日 半襟は椿初日の鏡冴ゆ/浅野ゆう子’
  29. 1月29日 春の灯や女は持たぬのどぼとけ/日野草城
  30. 1月30日 戦争が廊下の奥に立つてゐた/渡辺白泉
  31. 1月31日 旅芝居はねて今宵は加賀おでん/大和田獏

2月

  1. 2月1日 雪チラチラ岩手颪にならで止む/河東碧梧桐
  2. 2月2日 節分のサーチライトが照らす闇/藤本敏史
  3. 2月3日 春の駅白杖の傷夥し/千原ジュニア
  4. 2月4日 春の雪なお現役の鯨尺/梅沢富美男’
  5. 2月5日 づるづると引く春の棺の人かるく/加根兼光
  6. 2月6日 白髪をうすむらさきに春立ちぬ/梅沢富美男’
  7. 2月7日 大槌の風の電話や梅一輪/馬場典子
  8. 2月8日 針供養すこし離れて男待つ/大牧広
  9. 2月9日 梅東風に鳴らん千年分の絵馬/東国原英夫
  10. 2月10日 山又山山桜又山桜/阿波野青畝
  11. 2月11日 春風や闘志いだきて丘に立つ/高浜虚子
  12. 2月12日 菜花忌のゆふぐれ灯す机かな/秋篠光広
  13. 2月13日 観覧車の列に春ショールの教師/村上健志
  14. 2月14日 愛の日のばりばり潰す段ボール/夏井いつき
  15. 2月15日 結婚は夢の続きやひな祭り/夏目雅子
  16. 2月16日 ハモニカのソの音つくし出るよ出るよ/藤本敏史’
  17. 2月17日 祈年祭森にあめんぼ生れけり/大島民郎
  18. 2月18日 流星群いくつか海に墜ちて海胆/藤本敏史
  19. 2月19日 春の風バスを待とうか歩こうか/柴田理恵
  20. 2月20日 花粉万来獺の祭りのごとちり紙/梅沢富美男’
  21. 2月21日 真っ白な手縫い雑巾チューリップ/河合郁人
  22. 2月22日 みちのくの伊達の郡の春田かな/富安風生
  23. 2月23日 新たなる御代の見出しや桜まじ/ミッツマングローブ’
  24. 2月24日 蝶は測るフードコートの奥行を/東国原英夫
  25. 2月25日 紺絣春月重く出しかな/飯田龍太
  26. 2月26日 赤い椿白い椿と落ちにけり/河東碧梧桐
  27. 2月27日 良く歌うチェロを託して卒業す/くるり61※
  28. 2月28日 紙雛のにぎやか島の駐在所/梅沢富美男
  29. 2月29日 肩の荷を下ろす捺印二月尽/小田ひろ

3月

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  1. 3月1日 天領の風ぞやさしき吊るし雛/梅沢富美男’
  2. 3月2日 空をゆく一とかたまりの花吹雪/高野素十
  3. 3月3日 雛飾りつゝふと命惜しきかな/星野立子
  4. 3月4日 いきいきと三月生る雲の奥/飯田龍太
  5. 3月5日 黒板のI can do it風光る/秋野暢子
  6. 3月6日 缶コーヒー啓蟄のつちくれに置く/東国原英夫
  7. 3月7日 たましひを鎮めて春の海しづか/大和田獏’
  8. 3月8日 「犯人逮捕」干鱈を毟る母の黙/柴田理恵
  9. 3月9日 卒業の駐輪シール並ぶ朝/村上健志
  10. 3月10日 駅の灯の遠く三月十日かな/中田尚子
  11. 3月11日 双子なら同じ死顔桃の花/照井翠
  12. 3月12日 顔面骨折カニューレの接ぐ春の朝/千原ジュニア
  13. 3月13日 うらうらと春日祭の勅使かな/新藤公子
  14. 3月14日 おぼろ夜や荷馬車に眠る象使い/藤本敏史
  15. 3月15日 たんぽぽのわたと飛び乗る銀座線/皆藤愛子
  16. 3月16日 麗かや潮騒汽笛コンチェルト/松岡充’
  17. 3月17日 卒業や階段に階段の影/村上健志
  18. 3月18日 毎年よ彼岸の入りに寒いのは/正岡子規
  19. 3月19日 バスを待ち大路の春をうたがはず/石田波郷
  20. 3月20日 春分の湯にすぐ沈む白タオル/飯田龍太
  21. 3月21日 本籍は道の真ん中春の土/岩宮鯉城
  22. 3月22日 新幹線待つ惜春のチェロケース/藤本敏史
  23. 3月23日 菜の花や月は東に日は西に/与謝蕪村
  24. 3月24日 銃後といふ不思議な町を丘で見た/渡辺白泉
  25. 3月25日 わが墓を止り木とせよ春の鳥/中村苑子
  26. 3月26日 学問のさびしさに堪へ炭をつぐ/山口誓子
  27. 3月27日 みちのくの今年の桜すべて供花くげ/高野ムツオ
  28. 3月28日 三ツ矢サイダー三島由紀夫の覚悟/立川志らく
  29. 3月29日 「最初はグー」聞こゆ志村忌春の星/梅沢富美男
  30. 3月30日 子の利き手左と知りて風光る/千原ジュニア
  31. 3月31日 三月尽人それぞれの旅鞄/大橋通男

4月

  1. 4月1日 水枕ガバリと寒い海がある/西東三鬼
  2. 4月2日 枝先の妻呼ぶ鳥や連翹忌/平田君代
  3. 4月3日 音楽を降らせよ夥しき蝶に/藤原湘子
  4. 4月4日 サイフォンに潰れる炎花の雨/村上健志
  5. 4月5日 新しき出会ひの四月五日かな/藏本聖子
  6. 4月6日 鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし/三橋鷹女
  7. 4月7日 「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク/川崎展宏
  8. 4月8日 虚子の忌の風うしろからうしろから/宇多喜代子
  9. 4月9日 1DK八重桜まで徒歩二分/藤本敏史
  10. 4月10日 沈黙の春尽く角砂糖ひとつ/ミッツマングローブ
  11. 4月11日 外とにも出よ触るるばかりに春の月/中村汀女
  12. 4月12日 花震ふ富士山火山性微動/東国原英夫
  13. 4月13日 うららかやからっぽの校庭の猫/村上健志
  14. 4月14日 行く春や蘆間の水の油色/富田木歩
  15. 4月15日 筍や雨粒ひとつふたつ百/藤田湘子
  16. 4月16日 まさをなる空よりしだれざくらかな/富安風生
  17. 4月17日 春愉し房総の空ひた走る/中田喜子
  18. 4月18日 雪解川名山けづる響きかな/前田普羅
  19. 4月19日 卒業の兄と来てゐる堤かな/芝不器男
  20. 4月20日 象の糞豊かに崩れ穀雨かな/村上健志
  21. 4月21日 鍬光る穀雨の記念植樹かな/小谷ひろゆき
  22. 4月22日 たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ/坪内稔典
  23. 4月23日 五合目や惜春の風against/秋野暢子
  24. 4月24日 ハナ差差し切るダービーの芝静か/皆藤愛子’
  25. 4月25日 遠足の列大丸の中とおる/田川飛旅子
  26. 4月26日 春深し象舎の壁の罅長く/東国原英夫
  27. 4月27日 紅茶摘む朝のサリーの鮮やかに/藤本敏史’
  28. 4月28日 寝袋をかつぎ黄金週間へ/滝沢伊代次
  29. 4月29日 先帝に触れし記事なきみどりの日/渋川優子
  30. 4月30日 あまき音のチェロが壁越し四月尽/秋元不死男

5月

  1. 5月1日 もの言わぬ従弟にサイダー渡す駅/本上まなみ
  2. 5月2日 「とき」発車旅憂わしき花追風/中田喜子
  3. 5月3日 憲法記念日天気あやしくなりにけり/大庭雄三
  4. 5月4日 みどりの日風もみどりでありにけり/小林草吾
  5. 5月5日 雲がゆき又雲がすぎ鯉のぼり/林家木久扇
  6. 5月6日 竹馬やいろはにほへとちりぢりに/久保田万太郎
  7. 5月7日 花束の出来る工程春深し/梅沢富美男
  8. 5月8日 苦瓜を噛んで火山灰よな降る夜なりけり/草間時彦
  9. 5月9日 扇川また見失い緑さす/村上健志
  10. 5月10日 たんぽぽや長江濁るとこしなへ/山口青邨
  11. 5月11日 チヽポヽと鼓打たうよ花月夜/松本たかし
  12. 5月12日 窓外300km/hの青葉青葉/カズレーザー
  13. 5月13日 五月晴れだから空色ワンピース/藤田弓子’
  14. 5月14日 思春期蹴散らせ清涼飲料水の泡/Rx
  15. 5月15日 神田川祭の中をながれけり/久保田万太郎
  16. 5月16日 行く春や鳥啼なき魚の目は泪/松尾芭蕉
  17. 5月17日 原爆忌あいつと青く飛んだ日々/北山宏光
  18. 5月18日 青き日の煌めく雫夏薫る/橋本直
  19. 5月19日 あらたふと青葉若葉の日の光/松尾芭蕉
  20. 5月20日 住み込みの夜のケーキの苺かな/IKKO
  21. 5月21日 小満や一雨ごとに森ふとる/山下静湖
  22. 5月22日 青き踏めマスクを鳩として放て/夏井いつき
  23. 5月23日 若葉風部下にあわせるタコライス/柴田理恵’
  24. 5月24日 石段を走る石竜子や星一つ/松岡充’
  25. 5月25日 はこね号これより初夏に入ります/藤本敏史
  26. 5月26日 蟇誰かものいへ声かぎり/加藤楸邨
  27. 5月27日 葉桜や融氷の音のグラスより/北山宏光
  28. 5月28日 おひねりの飴よ硬貨よ夏芝居/梅沢富美男’
  29. 5月29日 ひと日臥し卯の花腐し美しや/橋本多佳子
  30. 5月30日 谺して山ほととぎすほしいまゝ/杉田久女
  31. 5月31日 トマト一鉢に露台バルコニーの色を集めけり/嶋田青峰

6月

  1. 6月1日 目には青葉山ほととぎす初鰹/山口素堂
  2. 6月2日 夕立や楽譜にカンマ書き入れる/村上健志
  3. 6月3日 夕立の一粒源氏物語/佐藤文香
  4. 6月4日 起立礼着席青葉風過ぎた/神野紗希
  5. 6月5日 水門に水せめぎ合ふ芒種かな/吉田千嘉子
  6. 6月6日 梅雨寒やジャズレコードの傷拾う/岩永徹也
  7. 6月7日 おもひではぽろぽろ遠い二重虹/横尾渉
  8. 6月8日 名札外されし病室四葩咲く/梅沢富美男’
  9. 6月9日 ベル鳴りて立つ七色の夏帽子/ミッツマングローブ
  10. 6月10日 時の日や数字を持たぬ砂時計/柏木まさ
  11. 6月11日 勾玉の深みどりなる梅雨入かな/秋篠光広
  12. 6月12日 花やぎの殊に花屋の梅雨入りかな/東国原英夫’
  13. 6月13日 若者が墓と肩組む桜桃忌/石河義介
  14. 6月14日 君の足這う蟻のこと教えずに/村上健志
  15. 6月15日 五月雨や大河を前に家二軒/与謝蕪村
  16. 6月16日 夕虹のA席タイムラプスの街/横尾渉
  17. 6月17日 子の傘に透ける窓あり青蛙/梅沢富美男
  18. 6月18日 象潟や苫屋の土座も明やすし/河合曾良
  19. 6月19日 空の底強き風恋ふ水芭蕉/杉山愛
  20. 6月20日 鍵穴の多き理科室濃紫陽花こあじさい/村上健志
  21. 6月21日 夏至ゆうべ地軸の軋む音すこし/和田悟朗
  22. 6月22日 送り梅雨船団送る千の傘/東国原英夫’
  23. 6月23日 東京は雨なり沖縄慰霊の日/小林照代
  24. 6月24日 宵宮の慈雨は屋台の人波へ/千賀健永
  25. 6月25日 虹二重神も恋愛したまへり/津田清子
  26. 6月26日 驀進の棋士は少年青嵐/岩永徹也
  27. 6月27日 蹲に雨粒あめんぼを揺らす/鈴木光
  28. 6月28日 夏草や兵どもが夢の跡/松尾芭蕉
  29. 6月29日 喧騒の溽暑走り抜け潮騒/石田明
  30. 6月30日 空青き方へとくぐる茅の輪かな/能村研三
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7月

  1. 7月1日 町中が弾んでをりぬ山開/野崎加栄
  2. 7月2日 ペットボトル冷えて藻の花さやさやと/梅沢富美男’
  3. 7月3日 鰯雲人に告ぐべきことならず/加藤楸邨
  4. 7月4日 エルメスの騎士像翳りゆき驟雨/村上健志
  5. 7月5日 大谷の球大谷が打つ案山子/村上健志
  6. 7月6日 文月や六日も常の夜には似ず/松尾芭蕉
  7. 7月7日 許されて寺の笹切る星祭/横尾渉
  8. 7月8日 てんとむし一兵われの死なざりし/安住敦
  9. 7月9日 鬼灯市母に似し人追ひつづけ/石寒太
  10. 7月10日 かたつむり甲斐も信濃も雨の中/飯田龍太
  11. 7月11日 豪雨の登山これより先は神の庭/立川志らく
  12. 7月12日 原子炉と溽暑に眠る町しづか/梅沢富美男
  13. 7月13日 閑さや岩にしみ入る蝉の声/松尾芭蕉
  14. 7月14日 レコードの溝から廻る巴里祭/中尾硫苦
  15. 7月15日 五月雨を集めて早し最上川/松尾芭蕉
  16. 7月16日 診察を終えて広がる夏の海/福澤朗
  17. 7月17日 瀧落ちて群青世界とどろけり/水原秋桜子
  18. 7月18日 黒き地の正体は海 揚花火/千賀健永
  19. 7月19日 スパイクもグローブも置き夏浜のランニング/横尾渉’
  20. 7月20日 「海の日」の日記のページ空白なり/横山房子
  21. 7月21日 メールぴこんぴこんシャワー中だってば/森口瑤子
  22. 7月22日 わが細胞全個大暑となりにけり/小澤實
  23. 7月23日 二枚目はベランダで読む手紙かな/村上健志
  24. 7月24日 極暑へと下車する一団地裁前/Rx
  25. 7月25日 行間に次頁の影夕立晴/村上健志
  26. 7月26日 調停の席着く妻のサングラス/東国原英夫
  27. 7月27日 口上に違わぬ西瓜売り切れて/山脇睦久
  28. 7月28日 向日葵や畜魂二十九万頭/東国原英夫’
  29. 7月29日 夏空やシャチの耳骨に響く笛/河井ゆずる’
  30. 7月30日 向日葵の波に逆らひ兄逝きぬ/筒井真理子
  31. 7月31日 水無月の限りを風の吹く夜かな/闌更

8月

  1. 8月1日 八朔の香にまばたけば昼の海/飯田龍太
  2. 8月2日 アポロマーク遠し溽暑の国道は/Rx
  3. 8月3日 短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎/竹下しづの女
  4. 8月4日 手にあまる茅花よ電車はやともり/木下夕爾
  5. 8月5日 萬緑の中や吾子の歯生え初むる/中村草田男
  6. 8月6日 ちゑさんの被爆ピアノや秋はきぬ/森口瑤子
  7. 8月7日 玉砕碑に添え置くバナナ武器めけり/梅田弘祠
  8. 8月8日 たれかゐるけはひ墓参のうしろ/東国原英夫’
  9. 8月9日 旱星ラジオは余震しらせおり/梅沢富美男
  10. 8月10日 高嶺星見出てうれし明日登山/杉田久女
  11. 8月11日 金魚鉢金魚のいなくなる屈折/藤本敏史
  12. 8月12日 手花火の火に手花火と手花火を/千原ジュニア
  13. 8月13日 鎌で切る鶏の首盆支度/東国原英夫
  14. 8月14日 カンバスの余白八月十五日/神野紗希
  15. 8月15日 終戦日妻子入れむと風呂洗ふ/秋元不死男
  16. 8月16日 啄木の顔し盆休みの無心/立川志らく
  17. 8月17日 赤とんぼ夕暮はまだ先のこと/星野高士
  18. 8月18日 妻がゐて夜長と言へりさう思ふ/森澄雄
  19. 8月19日 今日も空蝉を拾らふだけの朝か/立川志らく
  20. 8月20日 血を分けし身とは思はず蚊の憎さ/内藤丈草
  21. 8月21日 荒海や佐渡によこたふ天の河/松尾芭蕉
  22. 8月22日 八月の機内に点る読書灯/村上健志
  23. 8月23日 ベイエリアから届く短波や処暑の風/千賀健永
  24. 8月24日 魚市場いさばのかっちゃスカーフはあけび色/梅沢富美男’
  25. 8月25日 朝顔や百たび訪はば母死なむ/永田耕衣
  26. 8月26日 じゃんけんで負けて蛍に生まれたの/池田澄子
  27. 8月27日 ビニール越しの「温めますか?」虫時雨/本田望結
  28. 8月28日 手袋を外す月下の駅務員/村上健志
  29. 8月29日 滝の上に水現れて落ちにけり/後藤夜半
  30. 8月30日 草茂る洞窟のこと他言せず/東国原英夫
  31. 8月31日 マンモスの滅んだ理由ソーダ水/藤本敏史
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9月

  1. 9月1日 雲ひとつなき東京の震災忌/尾池和夫
  2. 9月2日 もてなしの豆腐ぶら下げ風の盆/柴田理恵
  3. 9月3日 団欒す傷秋の箸とめぬよう/福田麻貴’
  4. 9月4日 ロウソクのクリームを舐め佳宵かな/村上健志
  5. 9月5日 回転寿司とぎれて秋の雨斜め/立川志らく’
  6. 9月6日 震禍七年港に揚がる初さんま/梅沢富美男’
  7. 9月7日 秋夕焼赤黒き一〇〇〇グラムの吾子/東国原英夫
  8. 9月8日 街は秋写ルンですを巻く五秒/ゆうちゃみ
  9. 9月9日 黒き迄に紫深き葡萄かな/正岡子規
  10. 9月10日 カセットに父の口立て秋彼岸/梅沢富美男
  11. 9月11日 いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘/森迫永依
  12. 9月12日 引き波を自転車で追う秋夕焼/篠田麻里子
  13. 9月13日 作家別に揃え直して夜は長し/村上健志
  14. 9月14日 夜学果てなほ読みふけるおとがひよ/梅沢富美男
  15. 9月15日 をとゝひのへちまの水も取らざりき/正岡子規
  16. 9月16日 鰯雲仰臥の子規の無重力/東国原英夫
  17. 9月17日 自転車やコスモスの波風となる/友利新
  18. 9月18日 糸瓜咲て痰のつまりし佛かな/正岡子規
  19. 9月19日 痰一斗糸瓜の水も間に合はず/正岡子規
  20. 9月20日 父がつけしわが名立子や月を仰ぐ/星野立子
  21. 9月21日 満月や海の聞こえるイヤリング/Rx
  22. 9月22日 秋彼岸山は入り日を大きくす/成田千空
  23. 9月23日 曼珠沙華どれも腹出し秩父の子/金子兜太
  24. 9月24日 吾は父の宝であった秋の雲/夏井いつき
  25. 9月25日 島にして海見えぬ村朱鷺棲める/柳澤仙渡子
  26. 9月26日 台風の潮位の無線刻々と/眞砂松韻
  27. 9月27日 廃村のポストに小鳥来て夜明け/梅沢富美男
  28. 9月28日 またへそを曲げしパソコン蝿叩/平野無石
  29. 9月29日 コスモスや女子を名字でよぶ男子/村上健志
  30. 9月30日 いくらでも胡桃の入る服であり/飯田晴

10月

  1. 10月1日 我と来て遊べや親のない雀/小林一茶
  2. 10月2日 新豆腐よき水を生む山ばかり/藤田湘子
  3. 10月3日 くろがねの秋の風鈴鳴りにけり/飯田蛇笏
  4. 10月4日 まつすぐの道に出でけり秋の暮/高野素十
  5. 10月5日 天気雨のプラチナ通り檸檬の香/横尾渉’
  6. 10月6日 ピザ窯の奥に小さき火朝寒し/村上健志
  7. 10月7日 空も酔ふ笛の一節くんち来る/中尾杏子
  8. 10月8日 とぶ鳥の羽音間近に寒露かな/高木良多
  9. 10月9日 十月や日程表に余白なし/今橋浩一
  10. 10月10日 地の涯に倖せありと来しが雪/細谷源二
  11. 10月11日 まつすぐな道でさみしい/種田山頭火
  12. 10月12日 紅葉燃ゆ石見銀山処刑場/東国原英夫
  13. 10月13日 大きく振りかぶって秋爽の只中に/藤本敏史
  14. 10月14日 松山や秋より高き天主閣/正岡子規
  15. 10月15日 霧雨や白き木子きのこの名は知らず/乙二
  16. 10月16日 タコスからこぼれるレタス那覇の月/村上健志
  17. 10月17日 馬で来る神嘗祭の勅使かな/野田別天楼
  18. 10月18日 蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ/松尾芭蕉
  19. 10月19日 子らの引く綱の雄々しく匂ひけり/武井壮
  20. 10月20日 美智子妃の春の帽子のやはらかく/夏井いつき
  21. 10月21日 白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち/春風亭昇吉
  22. 10月22日 答案を抱へて時代祭かな/井上弘美
  23. 10月23日 霜降や鳥の塒を身に近く/手塚美佐
  24. 10月24日 牛飼いの娘は無口 朝の月/Rx
  25. 10月25日 古書街を漁る一冊帰路良夜/大和田伸也’
  26. 10月26日 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺/正岡子規
  27. 10月27日 羊群の最後はすすき持つ少年/藤本敏史
  28. 10月28日 背にホルンケース秋寂ぶのハチ公前/藤本敏史’
  29. 10月29日 色なき風やボーカロイドのラブソング/岩永徹也’
  30. 10月30日 吉原は菊の盛りや紅葉忌/増田龍雨
  31. 10月31日 色変えぬ松や渋沢栄一像/立川志らく

11月

  1. 11月1日 温め酒あとは巴水の木版画/片岡鶴太郎
  2. 11月2日 事多き十一月のはじまりし/桂信子
  3. 11月3日 降る雪や明治は遠くなりにけり/中村草田男
  4. 11月4日 しぐるるやいつまで赤き烏瓜/正岡子規
  5. 11月5日 夏の海を描くスプレーの秋思/千賀健永
  6. 11月6日 咳一つしても明治の人であり/桂米朝
  7. 11月7日 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり/久保田万太郎
  8. 11月8日 跳箱の突き手一瞬冬が来る/友岡子郷
  9. 11月9日 火恋し形見の竜頭巻く深夜/梅沢富美男
  10. 11月10日 星の入東風よ今夜の恋ひとつ/レイザーラモンRG’
  11. 11月11日 みちのくの鮭は醜し吾もみちのく/山口青邨
  12. 11月12日 流星のターミナル三分で蕎麦/横尾渉
  13. 11月13日 秋夕焼へ音失っていく列車/村上健志
  14. 11月14日 秋深き隣は何をする人ぞ/松尾芭蕉
  15. 11月15日 障子しめて四方の紅葉を感じをり/星野立子
  16. 11月16日 勤労感謝の日の幼稚園参観日/根岸善雄
  17. 11月17日 カチンコの渇きや銀杏落葉霏々/千原ジュニア’
  18. 11月18日 分校の子等熊よけの鈴つけて/吉田未灰
  19. 11月19日 これがまあつひの栖か雪五尺/小林一茶
  20. 11月20日 いと古ふりし毛布なれども手離さず/松本たかし
  21. 11月21日 霜柱俳句は切字響きけり/石田波郷
  22. 11月22日 林檎一つ投げ合ひ明日別るるか/能村研三
  23. 11月23日 飯粒の甘し勤労感謝の日/うまきいつこ
  24. 11月24日 テーブルに君の丸みのマスクかな/村上健志
  25. 11月25日 憂国忌列を乱してゐるは誰ぞ/八田木枯
  26. 11月26日 ペン止めてFMさがみ聴く秋夜/北山宏光
  27. 11月27日 紅葉鮒そろ\/比良の雪嶺かな/松根東洋城
  28. 11月28日 パティシエに告げる吾子の名冬うらら/千原ジュニア
  29. 11月29日 手袋を外して撫でる猫の喉/北山宏光
  30. 11月30日 霜月の晦日よ京のうす氷/池西言水

12月

  1. 12月1日 京に着く頃には懐炉ほつこりと/波多野爽波
  2. 12月2日 母の余命知る冬の日のレイトショー/向井慧
  3. 12月3日 うしろすがたのしぐれてゆくか/種田山頭火
  4. 12月4日 共に剥きて母の蜜柑の方が甘し/鈴木榮子
  5. 12月5日 マフラーに込める君へのetc…エトセトラ/国生さゆり
  6. 12月6日 不夜城の孤独にまとう毛皮なり/相田翔子
  7. 12月7日 750ccナナハンのタンクにしがみつく寒夜/千原ジュニア
  8. 12月8日 開戦日ただ海を見て引き返す/中拓夫
  9. 12月9日 陸橋を渡れば熱を持つマスク/藤本敏史
  10. 12月10日 じょんがらのごと雪しまく車窓かな/梅沢富美男’
  11. 12月11日 参考書手に秋風の発車ベル/白鳥久美子’
  12. 12月12日 オッケーグーグル冬銀河にのせて/東国原英夫
  13. 12月13日 軸赤き小筆買ひけり事始/小林篤子
  14. 12月14日 義士の日の看板まねきや白く降る夜空/梅沢富美男’
  15. 12月15日 みちのくの町はいぶせき氷柱かな/山口青邨
  16. 12月16日 ほしかもんはなかジャングルジム冷たし/東国原英夫
  17. 12月17日 肝心なことはマスクをはづし言ふ/三角尚子
  18. 12月18日 船長の側にペンギン日向ぼこ/藤本敏史
  19. 12月19日 はや6年遥かスイスや古都は雪/春香クリスティーン
  20. 12月20日 去年今年貫く棒の如きもの/高浜虚子
  21. 12月21日 暮れる年あいさつかねて買い出しに/泉谷しげる
  22. 12月22日 母在りき冬至もつとも耀きて/三橋鷹女
  23. 12月23日 葉脈の日に透く天皇誕生日/和田順子
  24. 12月24日 背を押され子は星となる聖夜劇/山崎桂
  25. 12月25日 残業や窓下の聖樹灯が消える/千原ジュニア’
  26. 12月26日 抜型を重ねて仕事納めかな/村上健志
  27. 12月27日 吊り革の師走遠心力に耐へ/ミッツマングローブ
  28. 12月28日 ガラス吹く御用納めの気象台/辻田克巳
  29. 12月29日 大海の端踏んで年惜しみけり/石田勝彦
  30. 12月30日 翌ありとたのむもはかな小晦日/蝶夢
  31. 12月31日 伝票の綴り爆ぜるや大節季/Rx
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