強烈な揺れを伴った巨大地震(M8クラス)の直前の地震活動についてまとめてみた

【はじめに】
「日本周辺で起き、最大震度5以上を記録した巨大地震(M8以上)」は過去8例ほどあります。皆さんは、『そんな目立った巨大地震が起きる直前には目立った地震活動が起きるものだ』と思っていませんか?

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もちろん、東日本大震災の時のように目立った前兆現象が起きる事例もあるのですが、巨大地震であっても目立った前兆現象が直前に見られなかった事例も案外あるのです。今回はそれを振り返っていきましょう。

強烈な揺れを伴った巨大地震(M8クラス)の前

まずは、巨大地震と呼ばれるM8クラスの地震(で最大震度5以上)の地震をみていきましょう。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7
1994/10/04 22:22:56.9北海道東方沖28 km8.2震度6
1952/03/04 10:22:43.5十勝沖54 km8.2震度5
2015/05/30 20:23:02.2小笠原諸島西方沖682 km8.1震度5強
1958/11/07 07:58:12.8択捉島南東沖13 km8.1震度5
1933/03/03 02:30:47.6三陸沖0 km8.1震度5
2003/09/26 04:50:07.4十勝沖45 km8.0震度6弱
1946/12/21 04:19:04.1和歌山県南方沖24 km8.0震度5
気象庁 震度データベース検索
・地震の発生日時 : 1919/01/01 00:00 ~ 2019/04/30 23:59
・最大震度 : 震度5弱以上

上のうち、2011年のは2日前、1933年のは37年前、1946年のは2年前に顕著な大地震が起きていますが、そういった事例は極めて稀だと捉えておいた方が良いと思います。具体的に見ていきましょう。

①(多)2011年「東北地方太平洋沖地震」

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2月下旬からのM4以上かつ震度3以上の地震を纏めても、M6未満ながら各地で大きめな地震が起きていたことが窺えます。2月27日の飛騨地方の地震も当時としては印象的だったのですが、特に3月9日から10日にかけての「三陸沖」の地震は極めて活発で現在では一般に「前震」だったと見做されます。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
2011/02/21 15:46:10.1和歌山県北部53 km4.8震度4
2011/02/26 04:12:29.4房総半島南方沖56 km5.0震度3
2011/02/27 00:38:43.1福島県沖43 km5.2震度3
2011/02/27 02:18:58.9岐阜県飛騨地方4 km5.0震度4
2011/02/27 05:38:02.6岐阜県飛騨地方4 km5.5震度4
2011/02/27 21:46:57.0岐阜県飛騨地方6 km4.0震度3
2011/02/28 09:04:33.9日向灘34 km4.6震度3
2011/03/02 08:26:56.6宮古島近海25 km4.9震度3
2011/03/07 18:49:32.3トカラ列島近海29 km4.5震度3
2011/03/07 19:13:02.6トカラ列島近海27 km5.1震度3
2011/03/09 11:45:12.9三陸沖8 km7.3震度5弱
2011/03/09 11:58:11.8三陸沖21 km6.0震度3
2011/03/09 13:36:59.1三陸沖11 km6.1震度3
2011/03/10 03:16:14.1三陸沖29 km6.4震度3
2011/03/10 03:44:35.7三陸沖36 km6.3震度3
2011/03/10 06:23:59.7三陸沖9 km6.8震度4
2011/03/11 14:46:18.1三陸沖24 km9.0震度7
2011/03/11 14:50:07.9新島・神津島近海10 km4.7震度4

②(少)1994年「北海道東方沖地震」

日本周辺で起きた地震として当時最大級だった「北海道東方沖地震」は、M8.2という巨大規模であると共に、最大震度6を観測しました。しかし、その前2週間ほどに広げても、地震活動は全国的にみて低調だったように見えます。必ずしも前兆がある訳ではないのですね。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
1994/09/23 11:37:54.6福島県沖28 km5.5震度3
1994/09/29 11:05:38.2天草灘0 km4.5震度3
1994/10/04 22:22:56.9北海道東方沖28 km8.2震度6

③(少)1952年「十勝沖地震」

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こちらもM8.2ながら、その前には中規模地震が数える程度でした。ただ、本震の2日半前にやや陸地に近い所で「M5.7」の地震が起きていたことはあまり知られていないように思います。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
1952/02/26 03:41:24.4茨城県沖38 km5.2震度3
1952/03/02 00:31:05.3十勝沖63 km5.7震度3
1952/03/04 10:22:43.5十勝沖54 km8.2震度5

④(中)2015年「小笠原諸島西方沖地震」

ここまで浅めの地震が中心でしたので深めの地震を見ていくことにします。気象庁マグニチュード8.1という日本の領海内では最大となった2015年の本地震。過去1週間あまりで震度5弱が2回あったことは目を引く所です。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
2015/05/22 22:28:46.2奄美大島近海21 km5.1震度5弱
2015/05/23 08:00:37.0種子島近海0 km2.3震度3
2015/05/25 14:28:10.3埼玉県北部56 km5.5震度5弱
2015/05/27 16:11:07.7福岡県筑後地方8 km4.0震度3
2015/05/30 01:06:47.9茨城県南部53 km4.8震度4
2015/05/30 20:23:02.2小笠原諸島西方沖682 km8.1震度5強

⑤(少)1958年「択捉島沖地震」

一方で、1958年の択捉島沖地震では目立った地震活動が殆どと言って良いほど見られませんでした。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
1958/10/21 23:12詳細不明0 km不明震度3:宮古島
1958/11/07 07:58:12.8択捉島南東沖13 km8.1震度5

⑥(少)1933年「昭和三陸地震」

昭和三陸地震のときも九州で震度3が起きた程度で、その直前には目立った地震がなかったようです。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
1933/02/21 14:52詳細不明0 km不明震度3:阿蘇山
1933/02/21 23:10:27.8熊本県熊本地方0 km不明震度3
1933/03/03 02:30:47.6三陸沖0 km8.1震度5

⑦(少)2003年「十勝沖地震」

上の事例から半世紀あまり経った2003年の方の「十勝沖地震」でも、9月11日に陸地に近い深めの地震こそ起きていますが、基本的に“短期的な目線”では前兆のようなものは見られませんでした。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
2003/09/11 04:31:56.7十勝沖97 km4.9震度3
2003/09/20 12:54:52.2千葉県南部70 km5.8震度4
2003/09/26 04:50:07.4十勝沖45 km8.0震度6弱
2003/09/26 05:10:04.5十勝沖29 km5.8震度3
2003/09/26 05:57:14.4十勝沖40 km5.6震度3
2003/09/26 06:08:01.8十勝沖21 km7.1震度6弱

前兆現象
地震像(本震および余震の起こり方)が似ている1952年と2003年の地震では、同じ様な前兆現象が発生していた。しかし、前兆現象として発生するとされている『プレスリップ』(前兆滑り)は、2003年の地震では検出できなかった。

震源域の静穏化現象
1952年十勝沖地震の7年ほど前から震源域付近では小さな地震の頻度が低下する現象がおきていた。また2003年十勝沖地震の際も1990年以降同様の現象がおきていたことが研究者より指摘されていた。太平洋戦争後からの記録によると、大地震発生の数年から十数年前に微小地震の回数が減る「第2種地震空白域」の形成が確認されており、この間のすべり欠損により、大きなエネルギーが蓄積されていったと考えられている。

深発地震との関係
1952年と2003年の地震では M8 クラスの本震の発生に先立って、プレートのもぐり込み先を震源とする深発地震が増加していた。

十勝沖地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

⑧(少)1946年「昭和南海地震」

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多くの方が気にする「南海トラフ巨大地震」の直近例である1946年の「昭和南海地震」は、終戦翌年の年末に起き、脆弱な太平洋沿岸を中心に大きな被害を出しました。与那国島近海で規模の大きめなやや深発地震が起きていましたが、前3週間を見ても目立った地震活動はあまりなかったようです。

地震の発生日時震央地名深さ最大震度
1946/12/01 22:52:18.6千葉県北西部77 km5.3震度3
1946/12/05 07:50詳細不明0 km不明震度3:長崎
1946/12/19 11:57:19.0与那国島近海100 km6.8震度4
1946/12/21 04:19:04.1和歌山県南方沖24 km8.0震度5

以上みてきましたが、2011年の東日本大震災は目立った前駆活動がありましたが、その他の地震に関していえば、静穏とまでは言いませんが、比較的派手な活動が少なめな印象を受ける中で、まさかの巨大地震が襲ったというパターンにすら見えてきます。

もちろん数年などの長いスパンでみれば“前兆”と呼べるような現象が認められたケースもありますが、少なくとも地震発生前に認識したり、注意を促すことは現実的には困難だと感じるレベルでした。

因果関係を逆にするのは危険だと分かっているつもりですが、それでも、巨大地震ですら直前に活発な地震活動があった事例の方が少ないことは把握しておいても良いかと思います。しかし、東日本大震災や熊本地震のような顕著な前兆現象を伴う事例の方が少ない(言ってしまえば「例外的」である)ことを再認識していただければ幸いです。

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