【冬・生活】の季語「火事」

【はじめに】
この記事では、“実は”【冬】の季語である「火事」について、ウィキペディアなどを通じてまとめていきます。

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ウィキペディアにみる「火災」について

火災は、による災害。消防統計上は「人の意図に反して発生拡大または放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象」と定義される。火事と呼ばれることもあるが、火災と火事は区別される。

また、火難(かなん)などともいわれ、小規模な内に消し止められたものは小火(ぼや)、焼失面積が大きく被害が甚大なものは大火(たいか)ともいう。

被害は有形財産の焼失はもとより、消火の際に水等に濡れて汚損されて損失となる場合や、怪我人や死者がでることも頻繁にある。山林で起こる林野火災のことを特に山火事という。

山火事」も参照

火災
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )

概説

火災の多くはタバコの不始末、焚き火などの火の使用、そして放火などの人為的な理由で起こる。落雷火山噴火乾燥した自然林が倒れる等の自然現象を原因とする場合もある。 小規模な火災のうちに消し止められた場合は「小火」(ぼや)と呼ばれることが多く、この他に被害程度によって「半焼」(はんしょう)や「全焼」(ぜんしょう)と区別されることがある。これに対して街区全体が被害を受けるような大規模な火災では「大火」(たいか)と呼ばれる。

火災の3要素
日本の消防庁では「火災報告取扱要領」において、次の3つの要素を満たすものを火災としている。

  • 人の意思に反して発生(放火も含む)。
  • 消火の必要がある燃焼現象である。
  • 消火施設の利用を必要とする。

ただし、人の意図に反して発生(若しくは拡大)した爆発現象の場合は、2および3の有無にかかわらず火災とする。また、火災となるには燃焼反応が継続する必要がある。

種類

被災物による一般的な分類

建物火災建物やその内部の収容物が燃損した火災
林野火災森林、原野又は牧野が燃損した火災した火災
車両火災自動車車両や鉄道車両などとその積載物が焼損した火災
船舶火災船舶やその積載物が燃損した火災
航空機火災航空機やその積載物が燃損した火災
その他の火災以上に分類されない火災。
空き地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、
屋外物品集積場、航空機やその積載物が燃損した火災

日本の消防法による分類

A火災(普通火災)木材などの一般可燃物で、普通住宅やビルなどの内部火災。
B火災(油火災)ガソリンなどの石油類、食用油可燃性液体、樹脂類などの火災。
C火災(電気火災)電気室発電機からの出火で、感電の危険性がある火災。
D火災(金属火災)マグネシウムカリウムナトリウムなどで引き起こされる火災。
ガス火災都市ガスプロパンガスなどの可燃性ガスでの火災。

各地の火災

木造家屋が多い日本では江戸時代より大火が多く、明暦の大火など江戸市街の相当部分を焼失する火災がしばしば発生した。近代では函館市の大火1907年1934年)や、1923年関東大震災1945年東京大空襲1995年阪神・淡路大震災による大火、2016年糸魚川大火が有名である。
地震空襲による火災は複数箇所で発生し、延焼地域が繋がって大火に至る場合が多い。プロパンガスを使用している場合や燃料など可燃物を設置している場合などは、ボンベの爆発等による危険を伴う。

火災原因
基本的に火の使用が原因である。消防白書(令和3年)によると上位5つは上から、

  • たばこ
  • 焚き火
  • コンロ(ガスコンロ)
  • 放火
  • 火入れ(野焼き)

であった。その他の原因もバーベキュー蚊取り線香薪風呂(薪ボイラー)薪ストーブ、あぜ焼き、芝焼きなど、火を使うものこと全般が挙げられる。

月別

月別に見てみると、2月・3月に多い。乾燥した気象条件の時に火災が発生しやすいからであり、実効湿度・風速と火災発生件数は相関関係にあることが判っている。
そこで、毎年この時期に「春の全国火災予防運動」が実施されている。

だとすると本当は「春」の季語かも知れない?

以上の様に、『火災』が最も起きやすいのは春先(2~3月)という統計データが現代においてはあるのですが、『火事』は北風の強いエリアや乾燥が極まるイメージの強い「冬」の季語として俳句歳時記に掲載されています。乾燥で連想される「加湿器」を冬の季語にしている感じが近いでしょうか?

例えば1657年の「明暦の大火」などは、西暦では3月上旬(初春)に分類される時期であり、旧暦でも1月(初春)に該当します。ただ、大火にまでは至らないまでもそれなりの規模を焼く火事としては、冬に注意を促すことも多かったでしょうから、戦前からの流れで「冬」にカテゴライズされるのは理解ができなくもありません。

一方で、「大火」の一覧を見ても、江戸時代あたりから確かに西暦でいう1~2月よりも3~4月の方が頻度は多い印象を受けることを加味すると、「春」の季語としても良いのかも知れませんね。

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ちなみに、見出し季語の「火事」の傍題はかなりありまして、例えば『角川俳句大歳時記』によると、

  • 山火事
  • 大火、小火ぼや近火きんか、遠火事、昼火事、夜火事
  • 火の見櫓(やぐら)、火事装束、火事跡、半鐘台、火の見番
(参考)『角川俳句大歳時記』

などが傍題として記載されています。これらはどちらかというと、現代の火災というより『火事と喧嘩は江戸の華』だった頃の近世的なイメージが強い感じも致します。

俳句歳時記にみる「火事」の例句10句

では、俳句歳時記にみる「火事」の例句をみていきましょう。厳選したつもりが10句になりました。

  1. 『三度火事に逢うて尚住む神田かな』/岡本松浜
  2. 『火の中に落つ火のぼる火 火事の窓』/大橋桜
  3. 『泣く人の連れ去られゐし火事明り』/中村汀女
  4. 『火事を見る胸裡に別の声あげて』/加藤楸邨
  5. 『火事とほし妻がしづかに寝がへりぬ』/安住敦
  6. 『また青き夜天にかへる火事の天』/谷野予志
  7. 『今思へば皆遠火事のごとくなり』/能村登四郎
  8. 『暗黒や関東平野に火事一つ』/金子兜太
  9. 『山火事ののち戻らざる僧ひとり』/黒田杏子
  10. 『火事跡に日本晴の水たまり』/本庄登志彦

江戸の時代には毎年の(良くないですが)風物詩的なものだった「火事」も、現代においては決して、毎年めぐり逢いたくないような『稀』な事象となってきています。例句も基本的には半分「非現実」な「非日常」として描かれているものが中心なように思えてきてしまいます。

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そして、金子兜太先生の作品は個性が強く(私含め)好みが分かれる作品も少なくないのですが、この8句目に記載した『暗黒や関東平野に火事一つ』という句は非常に著名でして、俳句の学習本や歳時記にも記載されています。

本当に火事は1件だけなのか? という無粋な疑問が浮かんでしまうほどに大胆な鳥瞰を17音の定形に纏め、季語としての「火事」を立てつつ、上五で季語ではない『暗黒』というものを「や」で強調している点は、他の「火事」の句とは一線を画しています。

と、崇高な作品ばかりを取り上げても、中々「火事」を芸術の対象と見ることは容易ではありません。しかし、「火事」が冬の季語という事実を知らなかった方も、上に10句示したような作品を見ることで少し『季語としての火事』の非現実性と現実性の共存を鑑賞していただければ幸いに思います。貴方はどの句がお好きでしたか? ぜひコメント欄にお寄せいただければ嬉しいです。ではまた次の記事でお会いしましょう~

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