【春・時候】季語「八十八夜(はちじゅうはちや)」

【はじめに】
この記事では、(実は)春の時候の季語である『八十八夜』について、ウィキペディアの記載や歳時記に掲載されている例句を纏めていきます。

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ウィキペディアで学ぶ「八十八夜」の概要

まずは日本語版ウィキペディアで「八十八夜」を学んでいきましょう。いつから数えて「八十八夜」なのか、あなたは答えられますか?

雑節としての「八十八夜」

八十八夜(はちじゅうはちや)は雑節のひとつで、立春を起算日(第1日目)として88日目(立春の87日後の日)にあたる。

もともと、太陰暦をベースとしている日本の旧暦では暦日と季節が最高で半月もずれるため、太陽暦をベースとした雑節として起こり広まったものである。

21世紀初頭の現在では平年なら5月2日閏年なら5月1日である。数十年以上のスパンでは、立春の変動により5月3日の年もある。

八十八夜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「八十八夜」というと少し古いような印象を受けるので、旧暦(月の満ち欠けに連動する太陰暦)かと誤解してしまいますが、厳密には「立春」を起点にしているため『太陽暦』の範疇となるのです。

上の記事にも書きましたが、「立春」は閏日の関係で現在は年によって日付が異なります。それにつられて「八十八夜」も日付が一日程度前後するのです。

“21世紀初頭の現在では平年なら5月2日閏年なら5月1日である。” とウィキペディアに書かれているのが最もシンプルな説明かと思いますので、再掲しておきましょう。

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そして、「こどもの日」頃に訪れる『立夏』初日からが俳句歳時記では「夏」のシーズンとされています。その前日(みどりの日あたり)でもギリギリ「春」に分類されることから、5月1~2日の「八十八夜」は、立夏の数日前ということで「春の季語」に分類されている点も抑えておきましょう!

「八十八夜」の習俗

「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」などといわれるように、遅霜が発生する時期である。一般には八十八夜ごろまでといわれているが、「九十九夜の泣き霜」という言葉もあり、5月半ばごろまで泣いても泣ききれないほどの大きな遅霜の被害が発生する地方もある。それ以上に、旧暦では暦日と季節が最悪で半月もずれることから、農家に対して特に注意を喚起するためにこの雑節が作られた。八十八夜は日本独自の雑節である。

この日に摘んだは上等なものとされ、この日にお茶を飲むと長生きするともいわれている。茶の産地である埼玉県入間市狭山市静岡県京都府宇治市では、新茶のサービス以外に手もみ茶の実演や茶摘みの実演など、一般の人々も参加するイベントが行われる。

( 同上 )

「霜」というと寒冷期の印象が強いかもしれませんが、(私のような静岡県民には比較的馴染みがあるのですけれど)「遅霜」というのがゴールデンウィーク前後に要注意となります。

※ちなみに、上に例示されていた「お茶処」に近い(気象観測)地点の気象データを探ってみると、

  • 菊川牧之原(静岡県)【1979年~】
    5月の最低気温:4.8℃(2013/05/03)
  • 京都(京都府)【1881年~】
    5月の最低気温:-0.3℃(1908/05/01)

観測歴の長い「京都(地方気象台)」では、明治時代に氷点下を観測したこともありました。約半世紀の観測歴の「菊川牧之原」も最低:1桁気温が記録されています。

八十八夜を扱った作品

  • 文部省唱歌 『茶摘み』 – 「♪夏も近づく八十八夜…」と茶摘みの様子が歌われている。作詞・作曲:不詳。
  • NSP 『八十八夜』 – 作詞・作曲:天野滋(1978年)。
( 同上 )
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そして、作品という意味では、『俳句』を忘れてはなりません。ここから俳句歳時記に掲載されているような「八十八夜」の例句を見ていきましょう。

俳句歳時記にみる「八十八夜」の例句8句

「八十八夜」は単体で7音。一見すると五七五の「中七」に入れればぴったり収まりそうなのですが、作句例をみると非常に少なく、『八十八夜の』などと敢えて中八にしてでも繋げるパターンか、『○○○○○/○○○はちじゅう/はちや○○』みたいな前後半での句またがりとするのが一般的なようです。(↓)

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  1. 『田一枚鏡や八十八夜待つ』/阿波野青畝
  2. 『きらきらと八十八夜の雨墓に』/石田波郷
  3. 『加賀は水ゆたか八十八夜なり』/大井雅人
  4. 『さびしいぞ八十八夜の踏切は』/田中裕明
  5. 八十八夜鈴振って神呼びにけり』/田中翠
  6. 『遠山に八十八夜の雲生る』/新井勝美
  7. 『癒えし身の軽き八十八夜かな』/中込ことえ
  8. 『奥阿蘇の水買ふ八十八夜かな』/田上昭夫

5句目は上五字余りで置いていますが、2・4・6句目は「八十八夜の」としていますし、その他は「八十八夜○○」と後半に置いています。いずれも詠んだ時にリズムが良くて自然な響きとなっている印象です。

あなたも「八十八夜」当日に句を詠んだり、兼題として「八十八夜」に対峙する時は、上に書いたようなパターンを利用するのをオススメします。「俳句の型」の中級編としてぜひ習ってみて下さいね!

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