2022年の凱旋門賞を終えての感想【+複数の視点からの提案】

【はじめに】
この記事では、2022年の「凱旋門賞」を終えた直後の私(Rx)のツイートを、記事という形で補足を入れながら再編し、今後の「凱旋門賞」に対する向き合い方や重賞改革案、馬券を考える上での今後の参考となることを期待して纏めていきます。

【中古】凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち 誰も書かなかった名勝負の舞台裏

あくまでも競馬ファンの「私的ブログ」の雑感的な位置づけでお読み頂けると幸いですし、ご共感頂ける部分があればぜひ共有していきたいと思います。早速、思いつくままに見ていきましょう。

レース前後での感想ツイート

《 出走頭数にみて上位何%か 》タイトルホルダーは55%

着順頭数上位馬名
20102着19頭10.5%ナカヤマフェスタ
20122着18頭11.1%オルフェーヴル
20132着17頭11.8%オルフェーヴル
19992着14頭14.3%エルコンドルパサー
20134着17頭23.5%キズナ
20146着20頭30.0%ハープスター
20063位
→失格
8頭37.5%ディープインパクト
20148着20頭40.0%ジャスタウェイ
20108位
→7着
19頭42.1%ヴィクトワールピサ
20217着14頭50.0%クロノジェネシス
202211着20頭55.0%タイトルホルダー
20197着12頭58.3%キセキ
200810着16頭62.5%メイショウサムソン
20208着11頭72.7%ディアドラ
1桁着順または2桁着順で「3分の2」以内の年の再先着。【タイトルホルダー】の上位55%相当の結果も、クロノジェネシス・キセキ・ディアドラといった1桁着順の馬と出走頭数によって大きな違いはないという見方もできそう。

《 単勝オッズについて 》世界的に美味しかった単勝馬券?

着順馬名日 本海 外
1着アルピニスタ5.8②4.3①
2着ヴァデニ10.3⑦8.8③
3着トルカータータッソ9.4⑥9.1④
4着アルハキーム30.0⑪21.0⑧
5着グランドグローリー87.3⑯54.0⑭
6着ウエストオーバー17.4⑧11.0⑥
7着ルクセンブルク8.0④5.9②
10着オネスト8.3⑤12.0⑦
11着タイトルホルダー4.8①10.0⑤
14着ステイフーリッシュ33.6⑫56.0⑮
18着ディープボンド27.1⑩53.0⑬
19着ドウデュース7.5③25.0⑨
海外(Racing PostよりSP【最終オッズ】):https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2022-10-02/812831

こうしてみると、7着までに来た馬は全て国内の方が単勝オッズが高く、日本の方がオッズの高い馬達は2桁着順に沈んでいる馬が多いという驚愕の事実が浮き彫りに。

もし海外勢が馬券を購入できるとしたら、「アルピニスタ」の単勝で5.8倍も付くの!? と驚いて飛びついていたかも知れません。個人的にはその感覚に近かったが、ヴァデニは買いづらく(苦笑)

《 オッズの歪み 》単勝以外はむしろ違和感ない人気?

種類番号国内配当国内人気国内単勝世界単勝
単勝14580円2番人気2番人気1番人気
複勝14190円1番人気2番人気1番人気
15280円6番人気7番人気3番人気
02240円3番人気6番人気4番人気
ワイド14-15750円4番人気
02-14610円2番人気
02-151,080円10番人気

複勝はアルピニスタが国内でも1番人気でした。また、トルカータータッソも単勝では6番人気でしたが複勝では3番人気でした。そしてヴァデニも単勝では2桁オッズでしたが複勝では280円です。

さらに、ワイドに関して言うと、「トルカータータッソ - アルピニスタ」という国内の単勝でいうと2番人気と6番人気の組み合わせが、ワイド全体では2番人気だったのです。こういった所から見て、「アルピニスタの単勝:580円」と、「アルピニスタ-トルカータータッソのワイド:610円」が殆ど差がないといったオッズの歪みが生じてしまっているのです。国内馬参戦の海外G1の単勝ではあるあるですが

加えて、3連単に関しては、単勝人気で2-7-6番人気と入線していて、もし当てられた方は高配当を期待したことと思いますが、結果は「15番人気・18,400円」でした。2-7-6番人気で入った割には配当が安く感じられた方もいらっしゃったかと思いますが、皆んな考えることは同じだったということでしょうかしら。

私(Rx)の考えるシンプルな血統・適性考

私は血統についての全くの素人ですが、レース前日に友人のニコニコ生配信で感じたことをツイートで幾つかに分けて呟いていました。

《 6代血統表のノーザンダンサーの血量にみる差 》

各馬にとっての6代血統表(両親の5代血統表)にあるNothern Dancerの血を割り当ててみました。父親が共通していることもあるのでしょうが、父親には日本で俗に『奇跡の血量(18.75%)』と呼ばれるものが多く見受けられます。そして、血量の特に多い2頭でワンツーをしているのも目立ちます。

着順馬名血 量
1着英・Alpinista17.2%3 x 44 x 5 x 4
2着仏・Vadeni15.6%3 x 43
3着独・Torquator Tasso12.5%3 x 44
4着仏・Al Hakeem14.1%4 x 43 x 5
5着仏・Grand Glory7.8%5 x 44
6着英・Westover14.1%3 x 45 x 4
7着愛・Luxembourg12.5%3 x 5 x 54
8着愛・Broome10.9%3 x 55 x 5
9着英・Alenquer14.1%3 x 45 x 4
10着愛・Onesto12.5%3 x 45 x 5
11着日・Titleholder10.9%5 x 5 x 54 x 4
14着日・Stay Foolish6.3%45 x 5
18着日・Deep Bond9.4%5 x 44 x 5
19着日・Do Deuce6.3%44

日本馬の血量は少ないものの、それでもタイトルホルダーも6代まで遡った時に、

  • ドゥラメンテ→キングカメハメハ→キングマンボ→ミエスク→ヌレイエフ→ノーザンダンサー(6代)
  • ドゥラメンテ→キングカメハメハ→マンファス→ラストタイクーン→トライマイベスト→ノーザンダンサー(6代)
  • ドゥラメンテ→アドマイヤグルーヴ→エアグルーヴ→ダイナカール→ノーザンテースト→ノーザンダンサー(6代)
  • メーヴェ→モティヴェーター→モンジュー→サドラーズウェルズ→ノーザンダンサー(5代)
  • メーヴェ→トップテーブル→ローラズゲスト→ビーマイゲスト→ノーザンダンサー(5代)

と、6 x 6 x 6 x 5 x 5で合計すると「10.9%」のノーザンダンサーを少なくとも引いているのではないかと思います。他にも、キングカメハメハの母系の父のGreen Dancerを経由してその祖父にノーザンダンサーがいたりしますが、やはり上位陣の3分の2程度しかないという中では厳しく、まして1桁の馬もいます。

サドラーズウェルズやデインヒル、近年ではフランケルなどが話題になっていますが、それ以前に日本で「ノーザンダンサー」の血が急速に薄く、遠くなっている事実は看過できないように思いますね。

生年馬名成績血 量 クロス
1992ダンスパートナーノネット賞2着3
1994シーキングザパールモーリスドゲスト賞
1994タイキシャトルジャックルマロワ賞4
1995エルコンドルパサー凱旋門賞2着18.75%4 x 3
1995アグネスワールド欧州G1・2勝31.25%2 x 4
1999テレグノシスジャックルマロワ3着4
1999ローエングリンムーランドロンシャン2着4
2000ゼンノロブロイ英国際2着
2001ハーツクライキングジョージ3着4
2002ピカレスクコート仏G2・2着18.75%4 x 3
2006ナカヤマフェスタ凱旋門賞2着9.38%5 x 5 x 5
2008オルフェーヴル凱旋門賞2着2回9.38%5 x 4
2011エイシンヒカリイスパーン賞9.38%5 x 4
2014ジェニアル仏G3・1勝9.38%5 x 4
2014ディアドラナッソーS12.50%5 x 6 x 5 x 6 x 5
2015エントシャイデンフォレ賞・3着2回6.25%5 x 5

現役馬からの候補として浮かび上がる「チュウワウィザード」や「ヴェルトライゼンデ」、「ジェラルディーナ」といった存在。特に馬場を考えた時に、米ダートよりも欧州の芝に近いという噂の日本でのダート適性が案外モノを言う可能性も……?(次項へ)

《 ダート適性に活路を 》

チュウワウィザードなどダートに適性のある馬(最低でもフェブラリーSのような芝スタートを厭わない馬)できれば芝・ダートでの二刀流な馬が良いのでは? という意見も見かけます。

ただ2018年の【クリンチャー】が2戦続けて大敗したことからも分かるように、芝・ダート両方に適性があれば万事解決する訳ではないということが歴史的にも一例が示されてしまっているので、より戦略を練っていかねばならないと思います。とはいえクリンチャーも良馬場だったことを思えば、2022年のような泥んこ馬場には適性があったかも分かりません。

そして2021年のジャパンCは56.6倍の8番人気、2022年の凱旋門賞では87.3倍の16番人気(どちらも日本でのオッズ)ながら5着に入った【グランドグローリー】の偉大さを改めて実感する結果でした。

以下、思いつきですが、ひょっとしたらこういったものが当てはまる事例が起こるかも知れないという観点から呟きました。「芝・ダートの混合競走」って国内外問わず事例があれば知りたいところです。

本気で狙うならの諸々(ローテーション)案

ここからは、日本競馬陣営が『まだ、本気で狙う』ならという観点で、諸々の妄想案を書いていきたいと思います。

《 2歳から欧州と日本を行き来するローテ 》

まずはこちらのローテーションをご覧ください。長期遠征をした方が良いという意見が散見されたことを踏まえて、3歳から本気で挑戦できる(ゲームみたいな)ローテです。

全く突拍子もないローテーションに見えるかも知れませんが、近年は例えば3歳ダート馬が中東から米三冠路線に挑戦するのも珍しくなくなっています。それも欧州・芝バージョンだと捉えて貰えれば結構かと思います。

クリテリウム・ド・サンクルーCritérium de Saint-Cloud)は、フランス・ギャロが施行するサンクルー競馬場2000メートルで施行される競馬G1競走である。2歳牡馬牝馬のみ出走できる。フランスにおける最も距離の長い2歳G1である。

近年は当レースを勝った後に目立った活躍をした馬はあまりいなかったが、2016年の勝ち馬ヴァルトガイストが2019年の凱旋門賞を制覇した。

クリテリウムドサンクルー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

国内も洋芝な札幌(しかも1800mと長め)で適性を図り、フランスの2歳G1の中で最も距離の長い「クリテリウム・ド・サンクルー」(パリロンシャン競馬場を経験させられれば良いが距離が短く、2400m戦にリンクしていないため、サンクルーの2000mのこちらを採用)に果敢挑戦するというのを推してみたく思います。

《 古馬路線の夏競馬にこんな重賞は如何? 》

また古馬路線に関して言えば、JRAに『本当の意味での夏競馬の充実』を期待しても(ファンならば)良いのではないでしょうか。例えばこんな風に(↓)

  • 中山の9月開幕週(繰り上げて夏競馬に差し掛かっても可)に芝2500mのG2を設定
     → 現実的には『日経賞』か『アルゼンチン共和国杯』を移設
  • 洋芝の北海道開催で2600mのG3を作る
     → 『札幌記念』は残して『函館記念』を2600mに変更
  • せめて『サマー2000シリーズ』のG3一つを2400mに延長する
     → 設定できるのが新潟なので『新潟記念』を2400mに?

夏競馬を活性化させる目的で設定されたはずの『サマーシリーズ』が形骸化している現状に鑑みれば、こういった条件変更での重賞リニューアルは現実的な路線ではないかと考えました。

※「パート1」国となった日本では昔のように簡単に重賞を新設できなくなったことを可能な限りは考慮したつもりです。

そして、夏競馬だけでなく、秋競馬についても再考の時期に来ている気がします。秋三冠路線は、それこそ昭和の時代から番組表が大きく変わっていないことを考えると、馬もローテーションも大きく変わっていかなければ時代に取り残されてしまうのではないかと危惧している次第です。

特に3歳馬が凱旋門賞に挑戦して力を出せず、その後長くスランプに陥るケースがあることを考えると、我々ファンも含めて、『よっぽど』でなければ過度な期待をしないで長い目で応援し続けることが必要だと再認識させられました。

競馬ファンの側の精神面について

平成の後半に、数年間日本馬の好走が続いた時期があったため、競馬ファンが再び『凱旋門賞を夢』とする風潮が強まりましたが、2010年代後半以降(シャンティイ競馬場での代替開催からパリロンシャン競馬場への移設後)は大苦戦が続いています。

特に2022年の一線級4頭出しでの2桁着順は、ディープインパクトやオルフェーヴルで抱かせた以下の幻想を打ち砕くには十分でした。『日本の一流馬が凱旋門賞を制してこそ!』みたいな幻想を抱くには今の日本は少なくとも(文字通り)『数十年早い』といったところでしょう。

極端な例ですが、「ナリタブライアンが高松宮杯に出走して4着(それでも大健闘だとは思う)に敗れ現役を引退した事例」を思い起こす程でないにしろ、『高速馬場のG1を勝てる馬』が欧州の深くてボコボコの芝で同じパフォーマンスを見せられる可能性の方が低い気すらします。

そして少なくとも日本ダービー馬の秋最初のG1で『19着(ブービー)』に敗れるということは、国内外を問わず歴史的に見ても稀なことです。
初夏に無類の強さを誇った馬がひと夏越しただけで悪く激変してしまったとすれば、寧ろ『選択ミス』(人間側の)だったのではないかと考えるのも理に叶っているのではないかと考えます。

上のたとえが伝わる方には伝わるのではないかと期待しているのですがねww

つまるところ、昭和の終わりに『ノーザンテースト』や『マルゼンスキー』などが重用されていた所から平成に入って『サンデーサイレンス』系に取って代わられた経緯があり、結果的に「欧州競馬」向きの要素を手放すような形になってしまったことを思えば、欧州適性の究極ともいえる『凱旋門賞』での惨敗続きはある種「当然の帰着」だったのかも知れません。

1980年代に「ジャパンC」で日本馬が勝てなかった時代から、1990年代以降、世界で日本馬が活躍するようになるのに10年・20年スパンの時間を要したように(『国家百年の計』は言いすぎかも知れませんが、)数年で状況が改善できるほどの根の浅さではないということを肝に銘じる必要があるでしょう。

では、これまで書いてきたようなことを現実に本腰を入れてやろうとした結果、上のようにここ数十年で培ってきた『実績』を自ら捨てに行くことを意味する可能性もあります。

上に書いたようなことが現実になって、しかもそれでも凱旋門賞を制することができるかも分からない中で、今後も『悲願』として凱旋門賞に挑み続けることが最適解なのか、我々ファンもメディアも今一度踏みとどまる……というか頭を冷やすには十分すぎる結果だったのではないかと考えました。以上、雑感です。皆さんのご意見もお待ちしております。

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