【はじめに】
この記事では、私の「Rxヒット指標」に基づき歌手/アーティストのヒット曲を振り返っていきます。今回取り上げるのは、声優アーティストの「水樹奈々」さんです。
水樹 奈々(みずき なな、1980年1月21日 – )は、日本の声優、歌手、ナレーター、舞台女優。愛媛県新居浜市出身。StarCrew(事務所)とKING AMUSEMENT CREATIVE(レーベル)に所属。公式ファンクラブは「S.C. NANA NET」。
代表曲に「深愛」「ETERNAL BLAZE」「Synchrogazer」などがある。
水樹奈々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィキペディアにみる歌手「水樹奈々」について
- 歌手志望だった歯科技工士の父親(1933年4月11日 – 2008年10月29日)に、5歳の頃から中学を卒業するまで、父の仕事場と両親が経営する自宅のカラオケ教室で、演歌歌手の夢を託され、毎日休まず猛特訓を受ける。他にも、音感を養うためにピアノやエレクトーンを、歌手になった時にサインを求められても困らないように書道を学んだ。
地元では「のど自慢大会荒らし」と呼ばれていたが、一方で優勝とは縁がなかった。父の躾が厳しく、門限に5分遅れたと言われ物置に閉じ込められたり、友達の家を行き来することもいい顔をされなかった。 - 中学2年生の時、東京の芸能プロダクションから声が掛かり、所属のために出された条件が「せとうちのど自慢10周年記念全国大会」に優勝しグランドチャンピオンになることだったが、翌年それを果たす。
上京後は事務所のボイストレーナーの内弟子として生活する傍ら、堀越高等学校芸能活動コース(現・総合TRAITコース)に入学。同校では堂本剛やともさかりえ、山口紗弥加、佐藤仁美と同級生だった。高校2年生からは代々木アニメーション学院声優タレント科にも並行して通い、学業と両立させた。
- 2000年12月6日、シングル『想い』で歌手デビュー。
- 2004年10月6日、自身も出演するテレビアニメ『魔法少女リリカルなのは』主題歌である、10作目のシングル『innocent starter』がオリコン週間シングルチャートにおいて9位となり、初めてオリコンチャートTOP10入りする。
- 2005年10月19日、12作目のシングル『ETERNAL BLAZE』が発売されると、10月25日付のオリコン週間シングルチャートで初登場・2位となり、自己最高位記録を更新した(シングル・アルバムを含めた声優単独名義の当時の最高位)。これよりオリコンチャートの上位常連となる。
- 2009年は活動面でも転換期となる。7月5日には声優としては初となるドーム(スタジアム)コンサート「NANA MIZUKI LIVE DIAMOND 2009 supported by アニメロミックス」を西武ドームで開催。これ以降、2019年に至るまでスタジアムコンサートが恒例となる。
また、10月27日には『第60回NHK紅白歌合戦』の紅白デジタル応援隊に起用されることが発表、11月23日には同番組への出場が発表された。声優が歌手として同番組に出場したのは、この回の水樹が初だった。放送当日は「深愛」を披露、この時前年に死去した父への思いを語っている。水樹は以降2014年の第65回まで6年連続出場している。
- 2010年1月13日に発売した21作目のシングル『PHANTOM MINDS』が、1月25日付のオリコン週間シングルチャートで1位を獲得。これにより、『ETERNAL BLAZE』など4作での週間2位の記録を更新し、声優として初めてシングルチャートでの週間1位を獲得した。声優によるオリコン週間シングルチャート首位は初。累計売上では自己最高を更新した。
Rxヒット指標にみる「水樹奈々」さんの代表曲
通常、J-POPなどの歌手に適用する「Rxヒット指標」なのですが、「水樹奈々」さんの場合はそれをアニソンや声優アーティストといった枠組みを用いずとも適用可能なレベルに達していますので、敢えて大きな調整を行わずに示しています。こちらです。
25万ptを突破している楽曲に限って表にしましたが、『ETERNAL BLAZE』が調整後の値で「60万pt」に達しておりトップ。それに続くのが、T.M.Revolutionの西川貴教さんとコラボした「Preserved Roses」の55万ptとなっています。2曲とも、ダウンロード売上がRIAJ(日本レコード協会)によってプラチナ認定されていますし、幅広い支持を得ていることが分かります。
これに続くのが、NHK紅白歌合戦初出場を果たした『深愛』の40万ptとなりましょうか。YouTubeに、フルPVが公開された最初期の楽曲であり、アニメ『WHITE ALBUM』の作中の時代感が声優業界の中でも得意とする水樹奈々さんの適性にマッチした楽曲が、多くの方に届いた結果といえるでしょう。
その結果が分かる一つの見方として、「NHKのど自慢」を取り上げます。
「NHKのど自慢」における水樹奈々さん
ここ10年ほど「NHKのど自慢」のゲスト歌手常連になっている水樹奈々さんですが、そもそも2012年の初出場時は、声優アーティストが大御所の出演する「のど自慢ゲスト」の立場で出演する日が来るだなんて夢にも思っていなかったので驚きでした。
- 2012年11月4日/西予市宇和文化会館
(ゲスト/「BRIGHT STREAM」)※ - 2013年10月27日/花巻市文化会館
(ゲスト/「愛の星」)※ - 2014年11月30日/備前市総合運動公園体育館
(ゲスト/「BLUE」)※ - 2015年11月1日/三豊市文化会館マリンウェーブ
(ゲスト/「コイウタ。」)※ - 2016年4月~5月/新居浜市市民文化センター
(ゲスト/「Pray」) - 2017年10月8日/京田辺市田辺中央体育館
(ゲスト/「Destiny’s Prelude」)※ - 2018年11月4日/大垣市民会館
(ゲスト/「NEVER SURRENDER」)※ - 2019年12月1日/日立市民会館
(ゲスト/「ALL FOR LOVE」)※
コロナ禍前までは8年連続で途切れなく出演し、2016年春の「新居浜市」大会は、故郷に錦を飾る出演として大きく話題になりました。
岡咲美保さんとのシンデレラ・ストーリー
また、2014年11月30日の岡山県備前市大会に関しては、『忘れられないのど自慢!』と書いておられるように、水樹奈々さんにとっても、そしてあのチャンピオンにとっても大切な回となりました。
20組中8組が合格するというハイレベル回を制したのは、岡山県の女子高生(当時)だった声優アーティスト志望の女の子。水樹奈々さんの「DISCOTHEQUE」を歌い、合格の鐘を聴くと水樹奈々さんとハグして喜びを共有。そして、『声優になります!』と本人を前に宣言して放送が終了しました……。 この模様は、動画サイトで検索すれば何かしらヒットするかと思いますので、ご覧になったことのある方も多いのではないかと思います。
しかし、ここで宣言をして数年後、ツイッター上である噂が流れます。アイムエンタープライズに所属した岡山県出身の新人声優さんが、ひょっとしてこの回チャンピオンになった女子高生ではないか? という説です。これは一部の「のど自慢」&「水樹奈々」ファンがまことしやかに語っていましたが、あくまで当初は「噂」の域を脱しない都市伝説でした。
しかし、2020年9月25日から3週連続で放送された文化放送のアニソンラジオ番組「神ラボ!」に、キングレコードの三嶋章夫プロデューサーが登場した回で、噂が事実だということが公になりました。
そして、チャンピオンになった後の三嶋さんのアドバイスをしっかりと体現され、声優になるという夢を実現したことを出演者全員が感慨深く振り返っておられたのが印象的でした。
この2020年当時はまだ全く「キングレコードからデビューする」といった話題は(スタッフ間ではどうだったか分かりませんが)表立ったものはなかったのですが、翌2021年にはキングレコードに所属してアーティストデビューすることが決定するのですから、本当に「NHKのど自慢」でも最高クラスのシンデレラ・ストーリーだったという風に感じます。
さらに、アーティストデビューをキッカケに始まった岡咲美保さんの冠番組では、第1回の最後に次回ゲストの入った紙が手渡され、その内容に叫び散らかしてフェードアウトという展開。そして、第2回の番組初ゲストの3組のお1人(しかも隣の席)が、憧れの【水樹奈々】さんだったのです!
岡咲『現場でお会いできて嬉しく……思っております。(既に涙声)』
動画:2分20秒あたりから文字起こし
水樹『私も嬉しいですー まさかあの時の! あの時の美保ちゃんが!と思ってー』
岡咲『はい、昔とある番組でお会いさせていただいているんですけど、覚えていますか?』
水樹『もちろんですよー! そのインパクトたるや! 本当に可愛かったのー』
と、本人でもないのに感極まってしまいそうになる“尊い”やり取りが実現され、YouTubeのチャットやコメント欄も温かい言葉にあふれていたのが印象的でした。まだ見ていない「のど自慢」ファンの方はぜひご覧頂ければと思います!
「NHKのど自慢」でのここ数年の歌唱実績について
そんな“シンデレラ・ストーリー”も結実している「NHKのど自慢」ですが、『DISCOTHEQUE』の歌唱動画が削除されるまで多くの再生回数を稼いでいたことからも明らかな様に、『映え』るアーティストなことは間違いなく、声優アーティストを目指す女性(特に学生)にとって最有力候補となりました。
《 2016~2019年度 》 160501 ○ 深愛 160504 ● Lovely Fruit 160504 ● Pray 160605 ○ 深愛 160807 ◎ ETERNAL BLAZE 160925 ● 革命デュアリズム 170312 ◎ 愛の星 170507 ● Preserved Roses 171008 ◎ Dancing in the velvet moon 180128 ○ ETERNAL BLAZE 180527 ○ BRIGHT STREAM 181104 ○ ミラクル☆フライト 181104 ● STORIES 181118 ● Preserved Roses 191201 ● ETERNAL BLAZE
上に示したのは、2016年度から2019年度までの「水樹奈々」さんに関連する楽曲の歌唱実績です。 もちろんこれ以前にも何度も歌われているため、ここ数年のトレンド程度に捉えて頂ければ幸いです。
注目すべきは、その合格率そしてチャンピオン率の高さでしょう。上に記事にも纏めていますが、ここ数年は「合格率3割」程度で推移していますし、チャンピオンは各回で1組のみですから「5%」程度です。それに比べて水樹奈々さんは、「◎:チャンピオン」や「◯:合格」の割合が高いことが上の表の期間だけでも窺えます。
《 T.M.Revolutionさんとのコラボ楽曲 》
160925 ● 革命デュアリズム
170507 ● Preserved Roses
181118 ● Preserved Roses
211114 ● Preserved Roses
220417 ◎ 革命デュアリズム
そして実は、2022年4月に連敗を止めてチャンピオンが誕生しましたが、「T.M.Revolution」さんとのコラボ2曲は非常にハードルが高く、合格率が平均程度(あるいはそれ以下)なのに対して、
《 水樹奈々さんソロ楽曲 》
160501 ○ 深愛
160504 ● Lovely Fruit
160504 ● Pray
160605 ○ 深愛
160807 ◎ ETERNAL BLAZE
170312 ◎ 愛の星
171008 ◎ Dancing in the velvet moon
180128 ○ ETERNAL BLAZE
180527 ○ BRIGHT STREAM
181104 ○ ミラクル☆フライト
181104 ● STORIES
191201 ● ETERNAL BLAZE
ソロ楽曲は、2016年6月から7連勝、しかもその間3連続チャンピオンを挟んでおり、合格率が平均の倍近くに上っていたという事実は見過ごせません。
SNSのトレンドなどが盛り上がること請け合いですが、その一方で、「合格枠」の一つを占める可能性が、ソロ曲に関しては顕著だったという事実を忘れずに、令和の時代の歌唱に注目していきましょう。
そして、予選の選曲に関してこの記事をご覧頂いた皆さんには、ぜひ「岡咲美保さんに負けないくらいの熱意をもってNHKのど自慢に応募」することを期待しています。上の記事にも書いたとおり、確かに合格率が高いのは事実なのですが、合格・チャンピオンありきでの選曲は個人的にはあまり嬉しくないのが正直なところですので(^^; ぜひ皆さんの魂の籠もった歌手・楽曲選びに期待しています~
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