競馬歳時記【6月3週】「マーメイドS」

【はじめに】
重賞競走の歴史を振り返る「競馬歳時記」。今回は「マーメイドS」の歴史をWikipediaと共に振り返っていきましょう。

マーメイドステークスは、日本中央競馬会(JRA)が阪神競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。

競走名の「マーメイド(Mermaid)」は、人魚を意味する英語。上半身が人間で下半身が魚という伝説上の生き物である。

マーメイドステークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1990年代:エアグルーヴなども勝つ別定重賞として創設

  • 1996年に行われた牝馬競走体系の整備に伴って新設された、4歳(現3歳)以上の牝馬による重賞競走。施行場・距離は創設時より阪神競馬場の芝2000mで変わらず行われている。

ダート路線、短距離路線と共に、牝馬路線も拡充された1996年。夏競馬の充実の一環として、この「マーメイドS」が創設されました。先週の「函館スプリントS」で短距離重賞が珍しかったことに触れましたが、この牝馬限定重賞というのも、平成に入ってようやく充実してきたというところです。

( 同上 )

初回は、条件戦を3連勝でオープン入りを果たし、その後は堅実な走りをしていたシャイニンレーサー(6番人気)が55kgで重賞初制覇。

そして、1997年からは3年連続で1番人気が勝利。特に1997年の第2回は、【エアグルーヴ】が56kgで勝っています。8か月ぶりのレースは、1年以上ぶりの勝利となりました。

エアグルーヴ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2000年代:ハンデ戦に移行

「マーメイドS」の格としては、はっきりと2000年代中盤で分かれます。負担斤量が「別定戦」から「ハンデ戦」に移行したことによるものです。

直接的には「ヴィクトリアマイル」の創設など、春競馬で牝馬重賞が充実したことが一因でしょうが、その反動としてというか、別定戦ならマーメイドSに参戦していたGI級の牝馬が、時期・距離の近い「宝塚記念」に参戦することも促す結果になったと思います(2005年にはスイープトウショウが牝馬で宝塚記念を制したことも拍車を掛けたでしょう)。

( 同上 )

さて「マーメイドS」に話しを戻しますと、【フサイチエアデール】が58kgを背負って5番人気ながら【トゥザヴィクトリー】らを抑えて勝利した2000年から6年間は7月上旬の開催となっていました。

2001年を除いてGIで連対実績ある一線級の馬が勝利を収めていて、2004年の【アドマイヤグルーヴ】は、エリザベス女王杯以来の牝馬限定戦を3馬身差で快勝し、母娘制覇を達成しています。

2006年から開催時期が6月下旬に戻ると共にハンデ戦へ移行するとレースの傾向が一気に変わります。

第11回(京都開催)は9番人気で49kgの3歳馬、第13回は12番人気の48kgの5歳馬などと、いきなりハンデ戦の特徴をフル発揮するかのような波乱を演出。トーホウシャインに至っては、2勝クラスでも完敗するような馬でしたから単勝万馬券となっています。

2010年代:人気薄の勝利が常態化

2010年代に入ると、人気薄の勝利が常態化していきます。1番人気の勝利は、2012・2014年の2例となり、2011年の2番人気、2017年の3番人気を除くと、いずれも6番人気以下が勝利するなど完全にハンデ重賞らしい「荒れるレース」としての地位を確立することとなりました。

( 同上 )

一方で、56kgを背負って7番人気だった【マルセリーナ】は、2年前の桜花賞以来、得意の阪神競馬で重賞制覇の復活を果たしました。

レースR勝ち馬
2016106.00リラヴァティ
2017106.25マキシマムドパリ
2018101.50アンドリエッテ
2019108.00サラス
2020104.25サマーセント
2021110.00シャムロックヒル
2022
本来のレースレーティングは、表より4ポンド引いた値。牝馬限定戦の性別調整(4ポンド)を加算して、牡馬混合戦と同じ基準に調整しています。GIIIの目安が105、GIIの目安が110ポンドという計算になります。

ここ6年のレースレーティングを見ても、何とかGIIIとしての水準を保ってきたところで、2021年には「110.00ポンド」とここ最近で最高レースレーティングを獲得しています。

2着にクラヴェル、3着にシャドウディーヴァと秋競馬で活躍した馬が名を連ねたことが、全体の押し上げに貢献していると見られます。ここらへんが牝馬限定重賞、そしてハンデ戦の不安定なところであり面白いところでもあるかと思っています。

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