低い気圧で上陸した昭和以降の台風についてまとめてみた

【はじめに】
この記事では、離島以外に極めて強い勢力で上陸した昭和以降の台風についてランキング形式で纏めていきます。

上陸 – 
台風の中心が北海道本州四国、九州の海岸線に達した場合を「日本に上陸した台風」としている。ただし、沖縄本島などの離島や小さい半島を横切り短時間で再び海に出る場合は「通過」としている。

台風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

911.6hPa(1934/09)室戸台風

室戸台風(むろとたいふう)は、1934年昭和9年)9月21日高知県室戸岬付近に上陸し、京阪神地方を中心として甚大な被害をもたらした台風。記録的な最低気圧・最大瞬間風速を観測し、高潮被害や強風による建物の倒壊被害によって約3,000人の死者・行方不明者を出した。枕崎台風(1945年)、伊勢湾台風(1959年)と並んで昭和の三大台風の一つに数えられる。

室戸台風
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

概要
人的被害は、死者2,702人、不明334人、負傷者14,994人。家屋の全半壊および一部損壊92,740棟、床上・床下浸水401,157棟、船舶の沈没・流失・破損27,594隻という被害を出した。

9月21日午前5時頃に高知県室戸岬西方に上陸。上陸時の気圧として911.6ヘクトパスカル(684水銀柱ミリメートル)という数値を観測した。台風は淡路島付近を通過し、午前8時頃に阪神間に再上陸、京都付近を経て若狭湾に出た。台風進路右側では強風のため建造物の倒壊被害が大きく、特に木造校舎の倒壊により児童・教員など学校関係者に多くの犠牲者が出た。また、大阪湾岸では高潮により大きな被害が出た。京阪神地方における被害は「関西風水害」の名で呼ばれる。

観測記録
室戸岬上陸時の中心気圧は911.6ヘクトパスカルであり、日本本土に上陸した台風の中で観測史上最も上陸時の中心気圧が低い台風である。これは同緯度の台風における中心気圧の最低記録として、いまだに破られていない(ただし、台風の正式な統計は1951年昭和26年)から開始されたため、この記録は参考記録扱いとされる)

( 同上 )

916.1hPa(1945/09)枕崎台風

枕崎台風(まくらざきたいふう、昭和20年台風第16号、国際名:アイダ/Ida)は、1945年昭和20年)9月17日14時頃に、鹿児島県川辺郡枕崎町(現:枕崎市)付近に上陸して、太平洋戦争終結直後の日本を縦断した台風である。

概要
枕崎(鹿児島県枕崎市)で観測された最低海面気圧916.1hPaは、1934年の室戸台風の際に室戸岬高知県室戸市)で観測された911.6hPa(当時の記録としては最も低い海面気圧)に次ぐ低い値となった。

宮崎県細島灯台(海上保安庁)で最大風速51.3m/s(最大瞬間風速75.5m/s)、枕崎で40.0m/s(同62.7m/s)、広島で30.2m/s(同45.3m/s)を観測するなど、各地で猛烈な風が吹いた。期間降水量も九州・中国地方の一部では200mmを超えた。

枕崎台風
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室戸台風伊勢湾台風と並んで昭和の三大台風の一つに数えられる。被害者の内訳は死者2,473人、行方不明者1,283人、負傷者2,452人。終戦直後のことであり、気象情報が少なく防災体制も不十分であったため、各地で大きな被害が発生した。特に広島県では死者・行方不明者合わせて2,000人を超えるなど被害は甚大であり、原爆での惨禍に追い打ちをかけた

( 同上 )

925/930.4hPa(1961/09)第2室戸台風

第2室戸台風(だい2むろとたいふう、昭和36年台風第18号、国際名:ナンシー / Nancy)は、1961年(昭和36年)9月16日室戸岬に上陸し、大阪湾岸に高潮などによる大きな被害をもたらした台風である。1934年室戸台風と進路がよく似ていたことからこの名称が付けられた。

また、1951年の統計開始以来、日本に上陸した台風の中では上陸時の中心気圧が最も低く、2年前の伊勢湾台風にほぼ匹敵する勢力で本土を直撃した。
しかし、伊勢湾台風の教訓を生かして災害対策が進められていたこと等もあり、室戸台風やジェーン台風などと比較しても、台風の規模等の割に、高潮による浸水面積や人的被害など全体的な被害は小さかった。

第2室戸台風
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解説
台風第18号は、発生位置や日本海北上後の経路は異なるが、日本上陸前後の経路は1934年9月21日に来襲した室戸台風と酷似し、「第2室戸台風」の固有名が付けられた。
上陸時の気圧の観測値(室戸岬測候所)は、室戸台風が911.6hPaに対し第2室戸台風は930.4hPaであったが、風速は室戸台風を大きく上回り、暴風域の大きさは伊勢湾台風に匹敵するレベルで、台風に関する定義や統計が統一された1951年以降に上陸した台風の中では、最強と言える勢力であった。室戸岬における最大風速・最大瞬間風速は日本の気象官署における観測値としては新記録となった。

( 同上 )

929.2hPa(1959/09)伊勢湾台風

伊勢湾台風(いせわんたいふう、昭和34年台風第15号、国際名:ヴェラ/Vera)は、1959年(昭和34年)9月26日土曜日)に潮岬に上陸し、紀伊半島から東海地方を中心にほぼ全国にわたって甚大な被害をもたらした台風である。伊勢湾沿岸の愛知県三重県での被害が特に甚大であったことからこの名称が付けられた。死者・行方不明者の数は5,000人を超え、明治以降の日本における台風の災害史上最悪の惨事となった。

伊勢湾台風
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概要
人的被害は、紀伊半島和歌山県奈良県伊勢湾沿岸の三重県愛知県日本アルプス寄りの岐阜県を中心に犠牲者5,098人・負傷者3万8,921人に上る。犠牲者を3,000人以上出した台風として、室戸台風枕崎台風と合わせて昭和の三大台風に挙げられ、その中でも最悪の被害をもたらした。
その犠牲者の数は、第二次世界大戦後の自然災害では、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)、1995年1月17日兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)に次ぐ規模で、台風災害としては最多である。

また、ほぼ全国に及んだ経済的被害は莫大なものとなり、GDP比被害額は阪神・淡路大震災の数倍、関東大震災に匹敵し、東日本大震災との比較対象に達するものであった。特に名古屋市港区・飛島村・弥富市が一番被害が大きかった。人的・経済的被害の規模の大きさから、明治維新以後で最大級の自然災害の一つである。

災害対策について定めた災害対策基本法は、この伊勢湾台風を教訓として成立したものである。また、2013年に気象庁が運用を開始した特別警報も、台風については伊勢湾台風クラスを基準としている。

( 同上 )

特徴
急速に猛烈な台風に発達し、勢力が衰えないまま日本本土を直撃
非常に規模が大きい超大型の台風
典型的な放物線形の経路を取り、進路予想がほぼ正確
 なお、2009年(平成21年)に名古屋地方気象台が作成したパンフレット『第二の伊勢湾台風に備えて』によれば、現在の予報技術を当時生かすことができれば、進路や暴風域、さらに高潮の数値もほぼ予測できていたとしている。

被害拡大の原因
伊勢湾台風は進路予想もかなり正確であり、早い時期から上陸が確実視され、充分な災害対策を講じる余裕があったにも関わらず、空前規模の大被害が発生した。
特に顕著であったのは高潮の被害であった。満潮時を外れていたにもかかわらず、名古屋港では海水位が平均海面上3.89メートル、工事基準面からの高さは5.31メートルに及ぶ、観測史上最高水位を記録した。この記録破りの高潮に対し、伊勢湾奥の海岸堤防の高さは3.38メートルしかなく、また名古屋市周辺では急速な工業発展に伴う地下水のくみ上げで地盤沈下が激しく、高潮に対して非常に脆弱な土地が広がり、そこに無計画に市街化が進んでいたことも被害を拡大した。名古屋市南部を含む伊勢湾岸に多い干拓地の被害も激甚で、鍋田干拓地では堤防のほとんどが破壊され、住宅地と耕地は全滅、318人の在住者のうち、133名が犠牲となった。

( 同上 )
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930/939.7hPa(1993/09)平成5年台風第13号

平成5年台風第13号(へいせい5ねんたいふうだい13ごう、国際名:ヤンシー/Yancy)は、1993年(平成5年)9月3日鹿児島県薩摩半島南部に上陸し、強風大雨による大きな被害を出した台風である。日本に過去上陸した台風の中では、第2室戸台風伊勢湾台風に次いで統計開始以降3番目に上陸時の中心気圧が低かった。

平成5年台風第13号
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概要
沖縄久米島付近を通過し、最低海面気圧928.1 hPaが記録され、ニュースなどでは「戦後最大級」と報道される。また久米島では、最大瞬間風速53.9m/s、最大風速36.5m/sを観測したが、その瞬間に風速計が破壊され、非公式にはさらに強い風が観測されている。

台風は勢力を保ちつつ九州に接近し、翌3日16時前に中心気圧930 hPa、最大風速50m/sという記録的な勢力で薩摩半島南部に上陸した。この勢力は、1959年に日本の台風史上最悪の被害を出した伊勢湾台風(929 hPa)に近く、1951年の統計開始以降では、上陸時の中心気圧が3番目に低い台風となっている。ただし、風速25m以上の暴風域は、伊勢湾台風に比べるとかなり小さかった。

台風の進路がやや東に寄ったため九州の大部分は可航半円に入り、台風の勢力程は強い風は吹かなかったが、それでも最大瞬間風速50m/s以上を観測している。また、台風の上陸地点に近かった鹿児島県枕崎市では939.7hPaの最低海面気圧を観測した。

平成5年台風第13号
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935/944.5hPa(1951/10)ルース台風

ルース台風(ルースたいふう、昭和26年台風第15号、国際名:ルース/Ruth)は、1951年10月14日九州に上陸し、大きな被害をもたらした台風である。

概要
14日19時頃に鹿児島県串木野市付近に上陸。上陸時の勢力は935 hPaと、後に統計開始以降で4番目に低い中心気圧で日本に上陸した台風となった。
上陸後は「韋駄天台風」となって時速100km前後の猛スピードで進行し、九州を縦断した後、山口県島根県を経て日本海に進み、北陸東北地方を経て15日夕方には三陸沖に抜けた。15号は16日に温帯低気圧に変わったが、その後再発達し950hPaまで発達した。

台風の影響で九州・四国・中国地方の所々で大雨となり、山口県では河川の氾濫や土砂災害などが相次ぎ、400人を超える死者・行方不明者が出た。台風が上陸した鹿児島県でも強風と高潮による大きな被害が出た。

ルース台風
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935/940.6hPa(2022/09)令和4年台風第14号

令和4年台風第14号は、2022年9月14日に日本の南の海上(小笠原近海)で発生し、9月18日に非常に強い勢力で鹿児島県上陸した台風である。アジア名は「ナンマドル」。

経過
17日午後1時には925hpaとなり、最大瞬間風速70m/sとなった。そして、同日午前3時中心気圧910hpa、最大風速55m/sと猛烈な強さとなり、大東島地方へ接近した。大東島地方では、午後1時に一部が暴風域に入り、屋根が飛ぶなどの被害が起きた。

午前11時 気象庁は緊急記者会見を開き、「経験したことのないような暴風、高波、高潮、記録的な大雨のおそれ」があるとして、台風による特別警報を九州北部と九州南部に発令する可能性について解説した。大型で猛烈な台風であったため、報道では「過去最強クラスの勢力」「危険台風」などという表現も用いられた。

9月18日 午後7時 台風は鹿児島市付近に上陸した。上陸時の中心気圧は935hPaで、日本に上陸した台風の中では過去4番目に低い(2000年以降では最も低い気圧)。

令和4年台風第14号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

上に見たような「スーパー台風」ほどの被害とはならなかったものの、これは九州接近時に当初予想の910hPaから弱まり、930hPa台となっていたことによるところが大きいです。また、鹿児島県や宮崎県、大分県に限れば、雨量や気圧による影響はここ四半世紀で最悪級でした。

940hPa:りんご台風など1951年以降で全7例

ここからは気圧ごとにまとめていきます。940hPaで上陸したとされる台風は、1951年の統計開始以降で以下の7例です。

名称上陸日時上陸地点
平成3年台風第19号1991年(平成3年)9月27日 16時佐世保市
昭和46年台風第23号1971年(昭和46年)8月29日 23時佐多岬
昭和40年台風第23号1965年(昭和40年)9月10日 8時安芸市付近
昭和40年台風第15号1965年(昭和40年)8月6日 4時牛深市付近
昭和39年台風第20号1964年(昭和39年)9月24日 17時佐多岬
昭和30年台風第22号1955年(昭和30年)9月29日 22時薩摩半島
昭和29年台風第5号1954年(昭和29年)8月18日 2時鹿児島県西部

いずれも数十名の犠牲者を出しているほか、平成3年台風19号は俗に「りんご台風」などとも呼ばれ、被害が日本のほぼ全土に及びました。940hPa以下での台風の上陸は、1990年代前半から2020年代前半までの約30年間起きていなかったことは注目に値するかも知れません。

945hPa以上の気圧で上陸した主な台風

ここからは、945hPa以上の最低気圧で上陸したと思われる主な台風をリストアップしていきます。近年話題になった台風も、数値として見てみるとこちらに分類されるほどであり、過去の強い台風がどれだけの勢力で上陸したかが窺い知れます。
※以下に示したのは独自研究を含むと共に、一部の例をピックアップしたものとなります。ご注意を。

945hPa「2004年18号」ほか

950hPa「2018年21号」ほか

近畿地方(関空島など)で顕著な被害が出たことで記憶に新しい「平成30年台風第21号」の四国上陸時がここに分類されます。なお近畿での気圧は洲本955.3hPa、神戸958.2hPa、大阪962.4hPaでした。

955hPa「東日本台風(2019年19号)」ほか

台風19号こと「令和元年東日本台風」は、石廊崎954.4hPa、網代955.8hPa、横浜966.0hPa、東京966.8hPaで静岡から関東地方を直撃し、東日本に大雨による甚大な被害(水害)をもたらしました。

960hPa「房総半島台風(2019年15号)」ほか

その名の通り、房総半島で鉄塔の倒壊やゴルフ場の被害などで記憶される「台風15号」こと「房総半島台風」は、千葉市上陸時で960hPa(神津島から三浦半島通過時は955hPa)でしたが、気圧以上にその風の強さが印象的です。

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