【はじめに】
この記事では、2~3歳の牝馬が牡馬混合のG1級競走を制した事例を時代別にまとめていきます。
令和時代
2020年代:レガレイラほか
令和時代に入って、3歳以上を含めて長らく牝馬が好走していなかったレースで牝馬が好走する事例が目立つようになりました。そうした中で、2023年のホープフルSは、シンエンペラーが注目を集める中、少なくともG1昇格後初となる「2歳G1」の牝馬制覇が果たされました。
開催日 | レース名 | 馬名 | 人気 |
---|---|---|---|
2023/12/28 | ホープフルS | レガレイラ | 1番人気 |
この記事を書くキッカケになったのはこのレガレイラの優勝です。早い時期に牝馬が牡馬を相手に勝つことの歴史を纏めていきます。
平成時代
2010年代:アーモンドアイほか
2010年代はレースが偏っていて全日本2歳優駿、NHKマイルC、ジャパンCがそれぞれ2勝しました。いずれも3番人気以内ということもあって、まさに評価をされて実力どおりの勝利だった印象です。
開催日 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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2018/11/25 | ジャパンC | アーモンドアイ | 1番人気 |
2017/05/07 | NHKマイルC | アエロリット | 2番人気 |
2016/12/14 | 全日本2歳優駿 | リエノテソーロ | 1番人気 |
2016/05/08 | NHKマイルC | メジャーエンブレム | 1番人気 |
2012/12/19 | 全日本2歳優駿 | サマリーズ | 3番人気 |
2012/11/25 | ジャパンC | ジェンティルドンナ | 3番人気 |
やはりジャパンCでの2頭は「JRA顕彰馬」となるほどの実力馬。ただ、3歳牝馬が一線級と初めて戦ってどこまで通用するか未知数な部分もあった中での勝利だったことで衝撃的でした。
2000年代:ウオッカほか
2000年代はやはり「ウオッカ」の日本ダービー制覇:64年ぶりの夢叶ったところが大きいでしょう。当時としては、牝馬が芝中長距離を3歳春の段階で制するというのは極めて異例で、グレード制導入後の時代の転換点ともなったような印象を受けました。
開催日 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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2009/12/16 | 全日本2歳優駿 | ラブミーチャン | 2番人気 |
2007/05/27 | 東京優駿 | ウオッカ | 3番人気 |
2007/05/06 | NHKマイルC | ピンクカメオ | 17番人気 |
2005/12/21 | 全日本2歳優駿 | グレイスティアラ | 4番人気 |
2005/05/08 | NHKマイルC | ラインクラフト | 2番人気 |
1980~90年代:シーキングザパールほか
平成に入って、ダート2800mだった時代の東京大賞典をロジータが制しました。交流元年を迎えて以降は古馬の層が厚くなったり、牝馬路線が整備されたことなどもあって3歳でG1級競走を制した馬が少なくて、反対に2歳戦で牝馬が勝てているのは興味深く思います。
開催日 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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1997/05/11 | NHKマイルC | シーキングザパール | 1番人気 |
1989/12/29 | 東京大賞典 | ※ロジータ | 2番人気 |
1990年代に入ってクラシック以外のG1が創設された日本競馬。「NHKマイルC」の第2回を制したのが『シーキングザパール』でした。アメリカ産(外国産馬)で、マル外ダービーと言われていた20世紀のNHKマイルCの中でも牡馬を圧倒する強さを示していたことが印象的です。
昭和時代
1950~80年代:スターロツチほか
昭和時代の後半事例は極めて少なく、しっかりとした八大競走では1960年の有馬記念をスターロツチが制したぐらいかと思われます。当時は全くG1級ではなかったものの、比較的層の暑かった「安田賞」を参考に載せていますが、どちらも人気薄での勝利だったことも前後の時代との大きな違いでしょう。
開催日 | 条件 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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1960/12/18 | 中山2600 | 有馬記念 | スターロツチ | 9番人気/12頭 |
1952/07/06 | 東京1600 | ※安田賞 | スウヰイスー | 4番人気/6頭 |
また、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神3歳牝馬S)が牝馬限定戦となる前の昭和時代は、東・西と川崎でそれぞれ旧3歳のチャンピオンを決める年末の名物レースがありましたが、この頃は比較的多くの牝馬ウイナーが誕生していました。例が多いので馬名だけ列挙しておきます。
- 阪神3歳S:7例
1979ラフオンテース、1972キシュウローレル、1964エイトクラウン、1963プリマドンナ、1956ミスオンワード、1955トサモアー、1952ワカクサ - 朝日杯3歳S:7例
1980テンモン、1974マツフジエース、1971トビザクラ、1965メジロボサツ、1956キタノヒカリ、1952サンゲツ、1951タカハタ - 全日本3歳優駿:5例
1986ダイカツラモーヌ、1970タニノカツヒメ、1964タマノニシキ、1956エイシヨウ、1952ローズバツト
国営時代などは牝馬の方が強く、昭和中期までは牝馬クラシックを制するクラスの馬が出たりもしていたのですが、昭和後半に入るとガクッと落ち込んでしまうのも興味深いところでした。
1940年代:クリフジほか
戦中戦後の時代は、クラシックレースを牝馬が牡馬と互角に勝利したことで記憶されています。1943年のクリフジは戦前を代表する名牝ですが、戦後はそれぞれ別々の馬が勝っている点が特徴です。
開催日 | 条件 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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1948/05/16 | 東京2000 | 皐月賞 | ヒデヒカリ | 6番人気/7頭 |
1947/10/19 | 京都3000 | 菊花賞 | ブラウニー | 1番人気/7頭 |
1947/05/11 | 東京2000 | 皐月賞 | トキツカゼ | 1番人気/14頭 |
1943/11/14 | 京都3000 | 菊花賞 | クリフジ | 1番人気/8頭 |
1943/06/06 | 東京2400 | 東京優駿 | クリフジ | 1番人気/25頭 |
日本ダービーを制する牝馬はウオッカがいますが、他の2冠に関してはこの時代にしか優勝例がなく、歴史的偉業が続いた時代だったのだと振り返ることができます。
1920~30年代:ヒサトモほか
昭和時代で一旦区切って記事を閉じたく思います。1920年代の連合二哩、帝室御賞典、そして1930年代に整備されたクラシック競走を対象としました。
開催日 | 条件 | レース名 | 馬名 | 人気 |
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1937/04/29 | 東京2400 | 東京優駿 | ヒサトモ | 4番人気/17頭 |
1936/11/03 | 鳴尾3200 | 連合二哩 | ピアスアロートマス | |
1935/04/21 | 東京2000 | 帝室御賞典 | クレオパトラトマス | 1番人気/4頭 |
1933/12/01 | 東京3200 | 連合二哩 | ハツピーランド | |
1931/11/07 | 鳴尾3200 | 連合二哩 | ロビンオー | |
1930/07/06 | 札幌2000 | 帝室御賞典 | マドンナ | |
1929/10/12 | 鳴尾3200 | 連合二哩 | ナスカゼ |
初代牝馬ダービー馬のヒサトモや、現3歳春に帝室御賞典を制したクレオパトラトマス、名繁殖牝馬となった「マンナ」ことロビンオーなどが名を連ねています。
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