【はじめに】
この記事では、日本語版ウィキペディアにある「日本の最高裁判所における違憲判決一覧」を、ざっと読んで、その内容をおさらいしていきたいと思います。
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違憲判決とは、憲法訴訟において、法令や行政措置が憲法に違反しているという裁判所による判決。日本国憲法では前文、第81条(違憲審査制)、第98条の規定による。
違憲判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(1973年)尊属殺重罰規定違憲判決
- 1973年(昭和48年)4月4日 刑集27巻3号265頁 – 日本国憲法第14条 × 刑法第200条
- 尊属殺人罪を普通殺人罪より厳罰にする規定自体は合憲だが、酌量減軽を行っても執行猶予を付すことができないなど、普通殺人罪と比較してあまりにも厳罰化し過ぎである規定については、家族に対する敬愛や報恩という、自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重の観点「人倫の大本、人類普遍の原理」という立法目的をもってしても、なお合理的根拠に基づく差別的取扱いとして正当化することはできず、憲法14条1項に違反する。
- 刑法はただちに改正されなかったが、法務省は確定判決を受けて尊属殺については、一般の殺人罪である刑法199条を適用する運用を行うよう通達を出し、刑法200条は以降適用されず死文化した。その後、1995年(平成7年)5月12日、法文の現代仮名遣い化による刑法改正(平成7年法律第91号)で、刑法200条と尊属加重刑罰が削除された(同年6月1日施行)。
(1975年)薬局距離制限事件
- 1975年(昭和50年)4月30日 民集29巻4号572頁 – 日本国憲法第22条 × 薬事法第6条第2項
- 薬事法の適正配置規制は、立法目的(不良医薬品の供給の防止)を他の手段で実現できるものであるから、憲法22条1項(職業選択の自由)に違反する。
(1976年)一票の格差【衆議院議員定数配分規定 その1】
- 1976年(昭和51年)4月14日 民集30巻3号223頁 – 日本国憲法第14条、第44条 × 公職選挙法
- 一票の格差が1対5である公職選挙法の定数配分は、憲法14条1項(法の下の平等)、44条但書き(普通選挙等)に反する。
- 法令は違憲だが、選挙自体は有効とした(事情判決)。
- 裁判の対象になった選挙の後1975年に定数20増がされた。
事情判決(じじょうはんけつ)とは、行政処分や裁決が違法だった時、裁判所はこれを取り消すのが原則だが、「取り消すと著しく公益を害する(公共の福祉に適合しない)事情がある場合」には請求を棄却できるという行政事件訴訟法上の制度のことである。
事情判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(1985年)【衆議院議員定数配分規定 その2】
- 一票の格差が1対4.40である公職選挙法の定数配分は、憲法14条1項(法の下の平等)に反する。
- 1976年と同じ事情判決の法理を用いて選挙自体は有効とした。
- 1986年に8増7減の定数是正を行う。
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(1987年)森林法共有林事件
- 1987年(昭和62年)4月22日 民集41巻3号408頁 [1] – 日本国憲法第29条 × 森林法第186条
- 共有林の分割制限は、憲法29条2項(財産権の保障)に照らして無効である。
- 1987年、同規定などを削除する法改正が行われた。
(2002年)郵便法事件
- 2002年9月11日 民集56巻7号1439頁 – 日本国憲法第17条 × 郵便法第68条、第73条
- 郵便法による郵便業務従事者の過失により発生した損害賠償責任の免除は、憲法17条(国及び地方公共団体の国家賠償責任)に違反する。
- 法令の規定のうち、可分な一部のみについての法令違憲判決が下された初めてのケースとされる。
- 判決後、2002年に郵便法の改正が行われた。
(2005年)在外日本人選挙権訴訟
- 2005年(平成17年)9月14日 民集59巻7号2087頁 – 日本国憲法第15条、第44条 × 公職選挙法
- 在外日本人に国政選挙における在外選挙制度による選挙権行使を認めていなかった公職選挙法は、憲法15条(成年者普通選挙保障)、44条(普通選挙等)に違反する。
- 立法の不作為を理由とする最高裁違憲判決は初めて。
- 判決後、2006年(平成18年)に公職選挙法の改正が行われ、2007年(平成19年)6月1日施行された。
(2008年)婚外子国籍訴訟
- 2008年(平成20年)6月4日 民集62巻6号1367頁、集民228号101頁 – 日本国憲法第14条、第44条 × 国籍法
- 母親が日本国民の場合や父親から胎児認知を受けていた場合は、出生時から日本国籍を取得できる一方で、日本人が父で外国人が母の非嫡出子は、父母が婚姻しなければ出生時から日本国籍を取得できない規定は、憲法14条1項(法の下の平等)に反する。
- 最高裁の判決を受け、法務省は国籍法の改正の検討を開始し、当分の間、非嫡出子からの国籍取得届の扱いについては、留保することを明らかにした。その後、政府は、父母の婚姻を国籍取得要件から外し、日本人の親に認知されることだけを要件とすると共に、偽装認知に1年以下の懲役又は20万円以下の罰金を科すことを骨子とする、国籍法改正案を第170回国会に提出し、2008年12月5日、国籍法改正法が成立した。
(2013年)婚外子相続差別訴訟
- 2013年(平成25年)9月4日 民集67巻6号1320頁 – 日本国憲法第14条 × 民法第900条
- 嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする規定は、憲法14条1項(法の下の平等)に、遅くとも2001年(平成13年)7月の時点では反するに至っていた。
- ただし、2001年7月当時から本件決定がなされる時点までに、同規定が合憲であることを前提として、裁判や遺産分割協議等の合意等により確定した法律関係には、影響を及ばない旨の判断も併せて示した。
- 2013年(平成25年)12月4日、「民法の一部を改正する法律」が成立し、民法900条4号ただし書前段が削除されたことにより、嫡出でない子の相続分が、嫡出子の相続分と同等になった(同年12月11日公布・施行)。
(2015年)再婚禁止期間訴訟
- 2015年(平成27年)12月16日 民集69巻8号2427頁 – 日本国憲法第14条、第24条 × 民法第733条第1項
- 民法における女性の再婚禁止期間(前婚の解消又は取消しの日後6ヶ月間)が、100日を超えるのは過剰な制約であり、遅くとも2008年(平成20年)の時点においては、憲法14条1項(法の下の平等)、24条2項(両性の本質的平等)に違反していた。
- 確定判決を受けて法務大臣岩城光英は、前婚の解消又は取消しの日後100日を経過した婚姻届を2015年(平成27年)12月16日から受け付ける通達を発布した。2016年(平成28年)6月1日には、女性の再婚禁止期間を、前婚の解消又は取消しの日後100日間に短縮することを定める改正民法が成立した。前婚の解消又は取消しの時に妊娠していないことを医師が証明した場合や前婚の解消又は取消しの後に出産した場合などには、100日を経過していなくても、再婚を認める条文も新設し、改正法の附則にて「女性の再婚禁止制度自体」も、今回の改正法の施行から3年を目途に、民法改正を再び検討することも盛り込まれた。 2016年(平成28年)6月7日には、改正民法が公布・施行された。
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