エリア別に「二十四節気」を調整してみた(体感に合わせたい!)

【はじめに】
この記事では、中国の戦国時代頃に生まれ日本でも長らく愛されてきた「二十四節気」に対して、無謀にもエリア別にアレンジを加えて、私(Rx)が勝手に改良(?)していこう! と思います。

お天気コーナーやニュースなどで「二十四節気」が触れられる時に、『暦の上では……』などの後に続くように、なかなか体感とマッチしない言葉も合ったりしています。中国と日本列島はざっくり言って違うところが幾つもありますし、もはや南北に長く標高差も無視できない日本列島の中でも、地域差は案外あります。

今回は「中国(西安市)」と日本列島のエリアを代表した3都市で「二十四節気」のアレンジ版を考えてみたいと思いますので、皆さんの地域の体感に合ったものになるかどうか最後までお読みください!

月気温差にみる季節性のはっきりした違い

以下の表は私が即席で作ったものですが、ざっくりとしたトレンドの違いを見ていただくための参考としてご参照ください。厳密には平年値の更新の関係で差が縮まったり開いたりしてるかも知れません。

陽暦節気平均最高
(西安/東京)
平均最低
(西安/東京)
1月小寒大寒+5.1/+9.8-3.3+1.2
2月立春雨水+8.9/10.9-0.4/+2.1
3月啓蟄春分14.4/14.2+4.1/+5.0
4月清明穀雨21.5/19.410.3/+9.8
5月立夏小満26.6/23.615.1/14.6
6月芒種夏至31.4/26.119.9/18.5
7月小暑大暑32.4/29.922.3/22.4
8月立秋処暑30.3/31.321.0/23.5
9月白露秋分25.6/27.516.5/20.3
10月寒露霜降19.3/22.010.2/14.8
11月立冬小雪12.4/16.7+3.2/+8.8
12月大雪冬至+6.3/12.0-2.2/+3.8
西安は「1981~2010年」平年値、東京(大手町)は「1991~2020年」平年値 ※対象期間が違うため、参考程度にご覧ください。

要するに、全体的な傾向として、

  • 春・夏は西安の方が暑く、秋・冬は西安の方が寒い
  • 1年の最高気温のピーク:西安は7月、東京は8月
    (8月上旬の立秋は西安では気温の下がり始めだが、東京は一年で一番高いので『暦の上では秋』という体感ズレもこの表から謎が明らかになる)
  • 東京にはない「最低気温の平均マイナス」の月が西安には3ヶ月近くある

こういった特徴が挙げられるでしょう。日本でいうと長野から埼玉などの様な内陸の気候といった印象が近そうです。そして「西安」のような中原平野を基準としているから「東京」など日本列島の様々な地域で実感と異なってしまっているのです。このことは以前から別の記事でもお伝えしてきた通りです。

上の表を見るにあたっては、ざっくり『1ヶ月』ズレがあると考えて頂ければかなり近いと思います。

「案①」平均気温のみを基準として

そこで平均気温のみを基準にざっくり「1ヶ月程度」ズラしたのが下の「東京・二十四節気」案です。「立夏」が6月だったり、「立秋」が9月だったりと少し体感に近づけようとしてみました。夏が軒並み1ヶ月程度ズレたほか、秋と春も半月程度ズレとしています。

陽暦節気
(中原)
節気案①
(東京)
1月小寒大寒小寒大寒
2月立春雨水大雪立春
3月啓蟄春分啓蟄春分
4月清明穀雨   清明
5月立夏小満穀雨
6月芒種夏至立夏小満
7月小暑大暑芒種夏至
8月立秋処暑小暑大暑
9月白露秋分立秋処暑
10月寒露霜降白露寒露
11月立冬小雪霜降小雪
12月大雪冬至立冬冬至

一旦除いたのが「雨水」と「秋分」なのですが、本来の『八節』を意識すると、再構築の必要性は出てくるのかとは思います。夏至はその由緒的に7月にズラすことはまず有りえませんから、そこらへんの微調整を一旦加える必要は出てくるかも知れません。

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「案②」:四立を1ヶ月ズラすだけでも大違い?

そして、『二至二分』を重視する一方で、日本では肌感覚と大きくズレが生じる『四立(しりゅう)』を1ヶ月ズラすだけでも、『暦の上では……』論争に一定の終止符が打てるのではないかと考えます。

陽暦節気
(中原)
節気案②’
(東京)
節気案②
(東京)
1月小寒大寒小寒大寒
2月立春雨水大雪啓蟄
3月啓蟄春分立春春分立春春分
4月清明穀雨清明穀雨
5月立夏小満芒種小満
6月芒種夏至立夏夏至立夏夏至
7月小暑大暑梅雨小暑
8月立秋処暑大暑処暑
9月白露秋分立秋秋分立秋秋分
10月寒露霜降白露寒露
11月立冬小雪霜降小雪
12月大雪冬至立冬冬至立冬冬至

「東京」では『雨水』に合致するような雪シーズンが無いので除外し、代わりに7月に「梅雨(仮)」を置いてみました。それに伴って日本列島の実情に合わせて夏以降を半月程度ズラしています。これならかなり実態に近いのではないかと信じています。もし「立春」などの四立を1ヶ月ズラすことに違和感を覚える方は、これまでの「四立」はそのままに、似たネーミングの新たな命名をするのが良いのではないかと思います。

「案③・④」:長野、札幌でも作ってみた

もちろん中国ほどではないですが、日本列島も南北に長いですし、標高差も大きいので、エリアごとの地域差は無視できません。本来、自然現象を無視して画一的に表すのに多少の無理があるとも思います(苦笑

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そこで、「平地代表:東京」、「山地代表:長野」、「寒冷地代表:札幌」の3地点の気温や気候をもとに以下のような「案」を作ってみました。皆さんの地域の体感に合っていますか?

陽暦節気
(中原)
節気案②
(東京)
節気案③
(長野)
節気案④
(札幌)
1月小寒大寒小寒大寒小寒大寒小寒大寒
2月立春雨水大雪啓蟄大雪春隣大雪春隣
3月啓蟄春分立春春分立春春分立春春分
4月清明穀雨清明穀雨雨水啓蟄雨水啓蟄
5月立夏小満芒種小満芒種小満穀雨芒種
6月芒種夏至立夏夏至立夏夏至立夏夏至
7月小暑大暑梅雨小暑梅雨小暑小満小暑
8月立秋処暑大暑処暑大暑処暑大暑処暑
9月白露秋分立秋秋分立秋秋分立秋秋分
10月寒露霜降白露寒露白露寒露白露霜降
11月立冬小雪霜降小雪霜降小雪小雪冬隣
12月大雪冬至立冬冬至立冬冬至立冬冬至
太字は新設の仮名称、青:前倒し、赤:半月、黄:1ヶ月以上後ろ倒し

上②で示した「東京」をもとに、エリアごとに多少のアレンジを加えています。ポイントはこちら。

  • 新設の節気(仮)
    • 「冬隣」:本来は秋の季語。札幌では最低気温が氷点下に転ずる頃。
    • 「春隣」:本来は冬の季語。北国では冬が長いための調整
    • 「梅雨」:梅雨の最大公約数的な時期。北海道はないため加えず。
  • 「雨水」・「啓蟄」:気温・体感による部分が大きいため、時期を調整
  • 「芒種」・「穀雨」:田植え時期などに合わせ調整
  • 「寒露」・「霜降」:『初霜』・『初氷』などを参考に調整

【まとめ】
実運用するとなると、地域によって呼称が異なることによる弊害があまりにも大きいため現実的ではないですが、皆さんが心の中で使うには検討の余地があるのではないかと思います。

皆さんの地域・体感にあった「マイ二十四節気」を作ってみるのも、季節を感じるアンテナを高める上での楽しい試みかも知れません。皆さんのご意見やご提案があればぜひコメント欄にお寄せ下さい!

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