【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」の俳句査定で『歴代Top50でのベスト5入り』も果たした作品を詠んでいる女流プレバト俳人【皆藤愛子】さんの俳句を振り返っていきます。
皆藤 愛子(かいとう あいこ、1984年1月25日 – )は、セント・フォース所属のフリーアナウンサー、タレント。
皆藤愛子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』( 以下省略 )
経歴
栃木県真岡市生まれ、千葉県四街道市育ち。幼い頃からアナウンサーに憧れ、四街道市立四和小学校時代は放送委員会に所属していた。中学受験を経て、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校に進学。高校2年生の時には、ニュージーランドのタマテア・ハイスクールに10か月間留学していた。
高校卒業後、早稲田大学第一文学部に入学。人文専修で異文化コミュニケーションを学んだ。
2004年、アナウンサーの勉強をしている際に知り合った友人の紹介でセント・フォースに所属。
2005年4月1日からフジテレビ系情報番組『めざましテレビ』の4代目お天気キャスターを務める。
2007年7月5日、オリコンの「好きなお天気キャスター・気象予報士」ランキングで3回連続総合2位獲得(女性では3回連続1位)。2008年6月26日発表分では総合1位を獲得(女性/男性が選ぶ部門でそれぞれ1位)。
2009年3月30日、『めざましテレビ』においてお天気キャスターから情報キャスター(エンタメ)に担当変更。
2009年12月4日、オリコンの「好きな女子アナ」ランキングで3位を獲得。オリコン「好きな女子アナ」「好きなお天気キャスター・気象予報士」の2つにランクインしたのは史上初。現在でも皆藤愛子のみ。
2011年4月2日、『めざましどようび』の総合司会(メインキャスター)を担当。これに伴い『めざましテレビ』の情報キャスター(エンタメ)も(月曜日-水曜日担当)に変更し兼任。
2013年2月11日(10日深夜)、NHKの生放送番組『双方向クイズ 天下統一』においてMCを務める。初のフジテレビ以外のテレビ局出演となった。その後は『永沢君』(TBS)、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ、2013年7月18日放送分ゲスト)と他系列局番組出演が解禁される。
2015年3月25日、『めざましテレビ アクア』降板をもって、10年間出演してきためざましファミリーを卒業。
2015年4月4日、『週刊報道 Bizストリート』メインキャスターに就任し、2年間出演。
2017年2月、『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』の曜日別アシスタントに就任
一般参加者時代(2017~19年)
2017年:初挑戦でいきなり才能アリ
皆藤愛子さんが初挑戦したのは2017年7月。これは上の年表からも明らかな様に、『めざまし』のフジテレビ系列の印象が強かったところから、CBC/TBSテレビ系列の『ゴゴスマ』への出演が始まり、そこを受けてMBS制作の『プレバト!!』にも出演のハードルが下がったのだと思います。
そんな皆藤さんは初出演でいきなり「才能アリ」1位を獲得します。その時の句が、(↓)
1位70点『綿菓子の甘い風吹く夏の夜』
この定型かつシンプルな語り口で、堂々たるデビューでした。夏井先生は、『夏の夜の帰路 綿菓子の甘い風』と帰り道である情報を加えていきなり句またがりの添削案を提示する期待の入れようでした。
2018年:初回に続く才能アリも、3連続ならず
10ヶ月ぶりの2回目出演を果たした皆藤さん。アナウンサー・キャスター業の方が複数回出演すること自体が決して多くない同番組にあって、2回連続出演したこと自体が評価の証だったのかと思うのですが、ここでも才能アリを獲得します。しかも得点は72点という高得点でした。(↓)
1位72点『たんぽぽのわたと飛び乗る銀座線』
再び非常に平易でシンプルながら、梅沢のおっちゃんも絶賛しそうな五七五となっています。ここに下五を「銀座線」とするところにオシャレさがあって、別にローカル線でも良いのでしょうが、作者も相俟ってオリジナリティが溢れていたように感じました。
この調子でポンポンと3回連続「才能アリ」で通過するかと思いましたが、2018年5月の3回目の挑戦は4位55点、そして秋の4回目も68点と極めて惜しかったものの凡人査定となり、才能アリ→才能アリ→凡人→凡人という結果となりました。
2019年:2位ながら3度目の才能アリで特待生昇格
そして、5回目の出演となった回では、2位となるも72点の高評価であり、過去4回の安定感も加味されて特待生昇格を決めました。その昇格を決めた作品がこちらです(↓)
2位72点『ががんぼのゆくえ目で追う女子トイレ』
『ががんぼ』というのは昆虫の一種で、漢字では「大蚊」と書いたり、「蚊の姥」という異名を持っているところからも明らかなイメージを持つ動物の季語です。但し、人の血を吸うことはなく花の蜜を吸うといった特徴もあるのですが、やはり女子トイレに登場したら総毛立っても致し方ない物でしょう。(季語を知っておくと句からのイメージが深まります。)
このリアリティと句の読み方を高く評価してきた夏井先生が『特待生昇格』を認めたのです。初挑戦から2年弱、出演5回(凡人2回を含む)というのは、やはり早い部類と言って良いかと思います。
特待生時代(2019~21年)
2019年:毎月のように出演し、歴代Top5入りの名句が誕生
2019年5月に特待生昇格を果たした皆藤さんは、女性特待生が注目される令和元年のプレバト!! において非常に頻度高く出演していきます。6月からの半年間で計7回。月に2回の出演も珍しくなく、平均をしてもまさに『毎月のように』出演していました。
そうした中で、初回こそ『赤錆』の『傘立て』の句で現状維持となりましたが、タイトル戦(炎帝戦)は予選を3位で通過すると決勝も6位。そして、夏の他流試合では1点差の惜敗となるも3人の審査員から28点を獲得していました。夏に活躍した皆藤さんの句を振り返ると、
- 『ラムネ瓶浮かぶ未明の五行川』
- 『ソーダ水睫毛に跳ねる泡涼し』
- 『夕立の粒木霊する高架下』
と、いずれも清々しさに溢れた作品となっています。金秋戦は予選4位で敗退としますが、その月末には初めて昇格(5→4級)を果たします。そうして、そんな活躍の年の最後を飾るに相応しい結果となったのが、2019年12月26日放送の冬麗戦の予選でした。初の予選1位を通過した作品というのが、
【人】冬麗戦1位『右肩に枯野の冷気7号車』
まだ特待生4級という立場ながら名人以下を抑えての首位通過。それだけでも皆藤さんは大喜びをしていましたが、結果的にこの句の評価というのはとどまるところを知らないものとなりました。
2020年:ベスト50の【人(Top5入り)】に驚嘆
- 2020年6月25日放送:
「プレバト!!」特別企画『歴代俳句ベスト50』【人】 - 2021年3月25日放送:
明治図書出版「中学国語教科書副教材」『よくわかる国語の学習3』
コロナ禍になって放送された特別企画で、歴代ベスト50でトップ5入り扱いとなる【人】に評価され、全く予想外だったのか周囲に驚きを隠せない表情をしていました。そして2021年には、明治図書出版の副教材にも採用され、教育現場に作品が教材として載ることとなったのです。
当時まだ特待生4級でしかなかった皆藤さんのこの大活躍は、後に名人に昇格していくことの予兆だった様に今思うと感じます。
本番とも言える冬麗戦では『すき焼き』の句で8位に沈むも、名人クラスが一目置く存在となっていき、タイトル戦の常連となっていきます。加えて、特待生4級から2度の昇格を経て2級にまで段位を上がり、いよいよ女流名人も近づいてきたのがこの2020年でした。
2021年:自分の名前を詠み込んだ句も。年末には特待生1級へ!
初期に比べて勝負した句が多くなった結果、やや技巧的なためか当たり外れが大きくなった印象の皆藤さん。2021年の春光戦では相手にも若干恵まれBブロックを1位通過するも、決勝では8位と敗戦。 この時に詠んだ句が、(↓)
『木の芽晴あいこ三回照れ笑い』
というもので、いち早く反応したのがフジモン名人で、『自分の名前入れるなんて……自分(のこと)好きやなぁ』と呆れられてしまう始末。
2021年5月14日、突発性難聴と診断された事を公表、治療と療養に専念していたが、順調に回復、同年7月18日より、東京エフエムの『窓cafe』でラジオから仕事を再開、同年9月11日よりBS11『BSイレブン競馬中継』に復帰、テレビの仕事も再開した。
皆藤愛子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
しかし、こういった挑戦も交えながら名人を目指していく中で少し間のあいた2021年12月、再び良い冬の句が誕生します。
2→1級『オリオンと重機の湯気と土煙』
これもやや初期の作品と比べて技巧的な面があるのかも分かりませんが、オリオンと重厚感ある後半との対比が鮮やかで、名人・特待生クラスとしての『手堅い』作品ということもあって1級に昇格を果たしています。
名人時代(2022年~)
2022年:名人昇格、8ヶ月で4段に
2022年に入っていきなり、『悴める手のひらを刺す乗車券』という句を詠んで一発で名人昇格を果たします。これはデビュー当時に見られたような実直な五七五の句であり、本来の形に戻ってきた側面があったように感じていました。女性特待生は増えてきても、やはり女性名人というのは狭き門であり、様々な苦労とも戦いながらこの地位に来たことは努力の証でもあったと思います。
で、タイトル戦の予選では3位などと安定した成績に落ち着いていった2022年。その一方で通常回ではその快進撃が止まらず、なんと特待生2級から名人4段まで現状維持なしで通常回5連続昇格という偉業を成し遂げるのです。振り返ると、
- 21/12/09:2→1級『オリオンと重機の湯気と土煙』
- 22/02/03:1→初段『悴める手のひらを刺す乗車券』
- 22/05/05:初→2段『夏近し恐竜図鑑踏むチワワ』
- 22/07/14:2→3段『座席五度倒しアイスの蓋剥がす』
- 22/11/03:3→4段『エコバッグに新米5kg雨の帰路』
五七五の基本型を中心とした作品が並んでおり、本来の意味での『おっちゃんの秘蔵っ子』とも言える存在なのではないかと感じてしまうほどです。この好調が2023年以降も続くか、非常に注目されます。
2023年:2年前の療養中の思いでタイトル戦最高位に!
皆藤さんは、春光戦の予選に参加すると『春日向カーテンの到着は明日』という俳句で1位となって、特待生2級の2021年以来2年ぶりの春光戦・予選1位を記録します。
そして、春光戦の本戦では、2年前(2021年)に約半年間迎えた療養中の静かな苦しみを詠んだ作品で、いきなり2位に呼ばれ、驚きを隠せない表情でした。
23/03/30:春光戦2位『ギャラ明細は二行 療養の春』
↓
(添削後)『療養の春やギャラ明細二行』
夏井先生は「コロナ療養」かと思っていましたが、こうしてコロナ以外での「苦しい療養」を経ても、それを俳句の句材と捉え、作品として昇華させることが出来ると『心の杖』と出来るかも知れません。
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