【プレバト!! 俳人列伝】勝村政信さん

【はじめに】
この記事では、「プレバト!!」俳人のお一人・勝村政信さんについて振り返っていきます。夏井いつき先生の弟子である勝村さんが破門され、破門が解かれるまでを簡単に纏めましたので、ここ数年で「プレバト!!」の俳句査定をみる様になった方も含めぜひお楽しみ下さい。

前史:俳句番組で共演&共著発刊 → 黎明期に凡人査定

勝村 政信(かつむら まさのぶ、1963年7月21日 – )は、日本俳優埼玉県蕨市出身。身長173cm。血液型はA型。埼玉県立浦和北高等学校卒業。シス・カンパニー所属。

経歴
父は日本橋にある老舗佃煮日本橋鮒佐の職人で、厳格な性格だった。

高校卒業後2年間の会社員生活を経て、当時全盛だったファッションモデル業を志すも、身長が足りないと判断して断念する。その後勝村は演劇を志し、蜷川幸雄の下で2年間の修行を経て、観劇に来た鴻上尚史に招かれ劇団第三舞台に合流し、得がたいキャラクターという評で人気が出てくる。

勝村政信
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

そもそも「プレバト!!」以外での活動に目を向ければ、バラエティ番組等へのタレント活動や映画監督業もこなしながら、硬派から軟派までドラマ・映画へも多数こなす名俳優……さんです。(説明不要?)

2012年:NHKラジオ番組で(初)共演

そして、今から約10年前、NHKラジオ第1放送の番組で、勝村さんと夏井先生は“共演”を果たします。その番組というのが恐らく、

オトナの補習授業(オトナのほしゅうじゅぎょう)は、NHKラジオ第1放送教養番組である。

概要
2010年度から祝日などの不定期の特別番組としてスタートした。番組では文化・娯楽など、最新のトレンドや趣味・実益の情報を、その道を切り開いている専門家の解説で奥深く迫る。

2011年度は4月より原則として毎月最終月曜 21:05頃 – 21:55に放送される。2012年度は月1回程度火曜日の同じ時刻で放送されるが、必ずしも毎月最終週とは限らず、実質不定期での放送となった。2013年2月12日放送をもって「休校」(終了)となった。

取り上げたテーマ(夏井先生出演回のみ抽出)
2010年度
2.俳句 虎の巻・朝顔(解説と選者・夏井いつき〔俳句作家〕、司会・古谷徹〔声優〕、熊木杏里〔歌手〕)

2011年度
1.俳句 虎の巻・猫の恋、シャボン玉(解説と選者・夏井いつき、司会・古谷徹、熊木杏里)

2012年度
6.俳句「白」(解説・夏井いつき、ゲスト・谷村奈南〔タレント・ボーカリスト〕、司会・勝村政信)
9.俳句「夜に吟行」(解説・夏井いつき、ゲスト・谷村奈南、司会・勝村政伸)
12.俳句「あいさつ句」(解説・夏井いつき、ゲスト・谷村奈南、司会・勝村政伸)

オトナの補習授業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

「オトナの補習授業」という番組で、特番時代から夏井先生は出演。2012年度に入っての3回で、解説が夏井いつき先生、ゲストに谷村奈南さん、そして司会者という立ち位置で勝村政信さんという座組が設定されたことがあったようです。

2014年:共著発刊 & プレバト!! 初出演・凡人50点査定

それから2年後の2014年、『俳優 勝村政信×俳人 夏井いつき 付句のある往復Eメール書簡集』という2人の共著まで発刊されます。

ただ、「往復Eメール」とタイトルにはあるものの、勝村さんからのメールの返信が滞ったりして、“へそ曲がりな弟子”の暴走が続いたと振り返っている通り、当時から「困った弟子を取ったもんだ」という気持ちを抱いていた様です。

そして、2014年2月1日の書籍発売から少し経った2014年4月放送分で、勝村政信さんは『夏井先生の弟子』という触れ込みのもと、「プレバト!!」俳句査定に初出演します。(宣伝も兼ねてたのでしょう)

これは俳句査定が始まって(2013年12月開始)半年足らずですから、番組黎明期といえるタイミングかと思います。しかし、査定結果は、8人中5位の凡人50点という残念な結果に。その句というのが、

『新入生踏みゆく花のカーペット』

でした。分からなくは無いものの「新入生」と「花(俳句歳時記的には桜のことを指し単独で季語)」の『季重なり』な感じですし、発想もキング・オブ・ザ・凡人といった具合でした。

それから3年近くお声は掛からず、次の出演は2017年1月まで飛ぶこととなりました。

2017年:才能ナシ10点で夏井先生から「破門」宣告

今回も、夏井先生の弟子の触れ込みで登場し、今度こそはと意気込む勝村さん。しかし、結果は、3人いる才能ナシの中でも断然低い10点の最下位。今よりも1桁得点のハードルが低かった(頻度が少なかった)ことを加味すると、今でいう「5点」と同じぐらいの低評価だったこととなります。

ちなみにこの2017年1月26日の放送回は、兼題が「屋外スケートリンク」といった写真でして、あの梅沢富美男名人(当時5段)が『銀盤の弧の凍りゆく明けの星』という句を詠んで絶賛された回です。

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そんな回に披露された勝村さんの句というのが、

『芸人がすべり楽しむ氷上で』

というもの。浜田さんも半笑いで突っ込んでいましたが、どう処理したら良いか困った表情を浮かべる程の17音でした。ちなみに、夏井先生がラジオでも熱弁したであろう「有季定型」の立場からすると、

  • 「氷上」とあるため季語がないとまでは言えないが、少なくとも冬の季語としての力は極めて弱い。季語を主役とするのが基本の有季定型俳句では致命的
  • 芸人がスベるという発想自体が世間一般的にベタな上に、芸人を小馬鹿にしている。これを「俳句」とするには、『詩心』という視点が決定的に欠落している
  • 文法的にも、『芸人がすべり楽しむ』なのか、『芸人がすべり/(一方、スケーターは)氷上で楽しむ』なのかが分かりづらい上に、「が」とか「氷上で」といった表現が散文的(というか夏井先生の好むタイプの俳句の書き方ではない)

こういった点から、夏井先生は『この人物を弟子と呼ぶのは耐え難い』と判断して、『あまりの出来の悪さから殺意が芽生えた』のだろうと心中お察しします。しかも、『夏井先生の所為』だと本人が言い出した挙げ句、不貞腐れたことが破門の決定打となったのだと思います。

番組では時間が経つに連れ、夏井先生が厳しくて破門とした様な風潮となっていきますが、あくまでも「身から出た錆」であり、夏井先生が破門とした理由は「俳句の出来」云々だけではなくて、いわゆる「師匠に対する冒涜」といった要素も強かったことを振り返る必要があると思いますね。

2018~2021年:4連続才能アリも事態は進展せず

それから勝村さん、心を入れ替えた……のではないかも知れませんが、破門時に与えられたアドバイスである「定期的に俳句を作る」ことを素直に実行したのか、句の評価が劇的に改善します。

2018年に才能アリ1位を獲得すると、そこから2021年にかけて4回連続「才能アリ」を獲得します。

回数放送月成績原句
3回目2018/031位・70点『校長の眼鏡にうつる春の風』
4回目2020/021位・71点『春の日の大人の入り口蒸しタオル』
5回目2021/042位・70点『公魚の欠伸気づかぬ太公望』
6回目2021/081位・72点『殻破る閃閃秋の朝つれて』

特待生の昇進の一つの目安として「3回連続才能アリ」というものが語られる中にあって、4回連続才能アリというのは極めて優秀な成績です(しかもうち3回は1位で、6回目は72点)。しかし、年々、夏井先生の態度は硬化していき、「破門」も「特待生昇格」もお預けの状態が続きました。

3回目は句の出来を褒めたものの、4回目には『中八が気になるが、句またがりも知らないペーペー』だと扱き下ろし、5回目には破門復帰の条件として『炎帝戦でのベスト10入り』を提示。その直後の6回目は72点を獲得して浜田さんから打診されるも、上記の約束を果たさなかったことに怒り心頭。炎帝戦での句の出来が酷いものだったと言い放ち、本気を出す場を間違えて真剣に取り組まなかったことを強く非難しました。

ちなみに、個人的には、俳句の出来についても少し冷ややかに見させてもらっていて、例えば、

  • 『校長の眼鏡にうつる春の風』
    「うつる」が必要かどうかを本当に熟考したのか。音数調整でうっかり入れたのが、結果的にヒットに繋がっただけではないのか。
  • 『春の日の大人の入り口蒸しタオル』
    兼題写真(理髪店)が無い状態で読んでどこまで伝わるか微妙。前半で「の」を3つ畳み掛ける効果が薄い。やはり中八が気になる。自分の気に入ったフレーズを頑固に使う傍若無人ぶりが出ているのではないか。
  • 『公魚の欠伸気づかぬ太公望』
    「気づかぬ」という動詞の置く位置の制度が疑問。句またがりと定型の間の中途半端な感じで、雰囲気は伝わるが精度や技術面が今ひとつな印象。
  • 『殻破る閃閃秋の朝つれて』
    セミが殻を破り羽化する瞬間を描いたという本来伝えたい感動の部分の描写が弱く、『秋の朝つれて』というフレーズ自体は良いものの、結果的にうまく行っただけで、安定的な再現性には欠ける印象。

こういったちょっとずつの違和感だったり、不安感・不信感のようなものが句にもにじみ出てしまっていることが積み重なって、いわゆる「信頼できない」という夏井先生の評価にも繋がっているのかなと感じました。

2022年:才能ナシからの炎帝戦10位で「破門」解除も!?

5回連続才能アリならば流石に「特待生」昇格は……という期待のもと、2022年4月、7度目の挑戦をした勝村さんですが、松尾芭蕉の名句の『本歌取り大失敗し、5年ぶりの才能ナシ。これまで4回連続才能アリと積み重ねてきた実績も止まって、「特待生」の夢すら白紙に戻ったかに見えました。

『飛び石の蛙声静まる靴の音』

これは言わずもがな、松尾芭蕉の『古池や蛙飛び込む水の音』を並べ替えたような本歌取りです。俳句の世界にも和歌における本歌取りのようなものが無いわけではないそうですが、これは才能ナシ最下位25点という評価も致し方ないクオリティ。こうした実績からも、夏井先生が『試しに』も特待生昇格を検討できない(=信頼が置けない)状況となっているのだと思います。

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それから3ヶ月後の2022年7月の「炎帝戦」、一年越しにして千載一遇のチャンスが訪れます!

(後日更新予定)

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