ウィキペディアで学ぶ「大雨特別警報(台風以外の大雨)」の事例について

【はじめに】
この記事では、(直接、台風によるものでない)大雨による特別警報の発表事例を振り返っていきたいと思います。

(2014/9)北海道(石狩、空知、胆振、後志)

9月11日 – 北海道で集中豪雨。石狩・空知・胆振地方に大雨特別警報が発表。
北海道苫小牧市で1時間に100ミリ、北海道千歳市で24時間の降水量が171ミリを観測。

2014年の気象・地象・天象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  • 支笏湖畔:日降水量276.5mm(観測史上最多)
  • 苫小牧:1時間100.0mm(20世紀後半以降で最多)

(2015/9)平成27年9月関東・東北豪雨

まず9月9日には関東地方北部を中心に豪雨となり、9月7日0時から10日17時までのアメダス観測値によれば、24時間雨量として10日の朝までに栃木県の日光市五十里で551.0ミリ、日光市今市で541.0ミリなど栃木県内の各所で300ミリ以上を観測。

また、期間降水量は今市で645.5ミリ、五十里での622.0ミリ、土呂部の561.5ミリ、鹿沼の523.0ミリなど栃木県の各所で400ミリ以上を観測した。

9月10日0時20分、気象庁栃木県全域に対し、さらに7時45分には茨城県のほぼ全域に対して大雨特別警報を発表し、これらの地域では河川増水・土砂崩れ・低地への浸水などへの最大級の警戒をするとともに、それ以外の周辺都県でも厳重な警戒をするよう呼びかけた。

平成27年9月関東・東北豪雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  • 人的被害:死者20人、負傷者82人
  • 建物等被害:全壊81棟、半壊7,090棟

雨の範囲は次第に東北地方に移り、11日3時20分に気象庁は宮城県に大雨特別警報を発表した。各県に出されていた大雨特別警報は栃木県で11日6時に、茨城県で同日8時15分に解除され、宮城県でも19時30分に解除された。

平成27年9月関東・東北豪雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(2017/7)九州北部豪雨

平成29年7月九州北部豪雨は、2017年平成29年)7月5日から6日にかけて福岡県大分県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨

被害の規模は気象庁が豪雨について命名する基準(損壊家屋、浸水家屋の数)を下回ってはいたものの、人的被害が大きいことから、同年7月19日付で命名された。

平成29年7月九州北部豪雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

7月4日まで北陸付近にあった梅雨前線が、7月5日から朝鮮半島から西日本付近に南下。5日朝方、島根県西部で発達した雨雲が帯状に連なる線状降水帯が発生し、記録的な降水となった。気象庁は5日5時55分、島根県(西部の浜田市益田市邑南町津和野町)に大雨特別警報を発表した(同日11時15分に解除)。

( 同上 )

5日午後には、福岡県筑後地方北部で次々と積乱雲が発生し、発達しながら東へと移動して線状降水帯が形成された。このため、同じ場所で長時間猛烈な雨が降り続いた。

特に、朝倉市付近では3時間で約400mm、12時間で約900mmの雨量が解析され、気象庁以外が管轄する雨量計では、朝倉市寺内で5日15時20分までの1時間降水量169mm、朝倉市黒川(北小路公民館)の雨量計では5日20時50分までの9時間降水量778mmを観測した。

この1時間降水量は自治体観測を含めた日本記録187mm(長崎県長与町・1982年長崎大水害)に迫るものであり、また9時間降水量では12時間降水量の気象庁観測日本記録695.0mm(高知地方気象台・1998年高知豪雨)を大きく上回っており、9時間という時間範囲内で見れば、朝倉市の山間部の降水強度は日本の気象観測史上でも最大級のものであった。

5日17時51分、気象庁は「甚大な被害の危険が差し迫っている」として、福岡県の筑後地方と筑豊地方を中心とする地域に大雨特別警報を発表した。さらに19時55分には、大分県のほぼ全域にも大雨特別警報を発表した。7月6日3時10分、気象庁は大雨特別警報の対象範囲として福岡県の5市2町を追加し、これで福岡県の大部分と大分県のほぼ全域が対象となった。

( 同上 )

被害・影響
2018年6月1日現在、消防庁によると、福岡県で37人(朝倉市で34人、東峰村で3人)、大分県日田市で3人の計40人の死亡が確認されている。また福岡県朝倉市で2人が行方不明になっている。住宅被害は、福岡県と大分県の合計で、全壊336棟、半壊1096棟、一部破損44棟、床上浸水180棟、床下浸水1481棟となっている(ただし台風3号による被害も含まれている)

( 同上 )

(2018/7)「西日本豪雨」

平成30年7月豪雨は、2018年平成30年)6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道中部地方を含む全国的に広い範囲で発生した、台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨。同年7月9日気象庁が命名した。別称、西日本豪雨

平成30年7月豪雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

7月6日17時10分に長崎・福岡・佐賀の3県に大雨特別警報が発表され、続いて19時40分に広島・岡山・鳥取、22時50分に京都・兵庫と、1日で8府県に大雨特別警報が発表された。さらに翌7日12時50分には岐阜県、翌8日5時50分には高知、愛媛の2県にも大雨特別警報が発表され、最終的に運用を開始して以来最多となる計11府県で大雨特別警報が発表された。

この豪雨により、西日本を中心に多くの地域で河川の氾濫や浸水害、土砂災害が発生し、死者数が200人を超える甚大な災害となった。また、全国で上水道通信といったライフラインに被害が及んだほか、交通障害が広域的に発生している。

平成に入ってからの豪雨災害としては初めて死者数が100人を超え、「平成最悪の水害」と報道された。さらに、昭和にさかのぼっても1982年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害(昭和57年7月豪雨)以降、最悪の被害となった。

( 同上 )

期間内の総降雨量が1,000mm以上となった府県(抜粋)

72時間雨量が観測史上最大を記録した気象台・旧測候所
高山、彦根、舞鶴、神戸、津山、福山、広島、呉、松山、宿毛

被害・影響

  • 死者263人、行方不明者8人、負傷者484人(重傷141人、軽傷343人)
  • 住家の全壊6783棟、半壊1万1346棟、一部破損4362棟、床上浸水6982棟、床下浸水2万1637棟
  • ※死者・行方不明者が特に多かったのは
     広島県(114人)、岡山県(64人)、愛媛県(27人)の3県となっている。
  • 広島県では、土砂崩れや浸水による被害が相次いだ。県の南部では土石流・土砂崩れが5,000箇所以上で発生(16日)。通常は崩落しにくい山頂部の崩壊も多発し、豪雨の凄まじさを裏付けた。
  • 岡山県では河川の氾濫や堤防の決壊による浸水、土砂災害が相次いだ。
    • 倉敷市真備町では7日朝までに小田川と支流の高馬川などの堤防が決壊し、広範囲が冠水。真備町だけで51人が死亡し、ほとんどが水死とみられる。死者のうち43人は屋内で発見され、うち42人は住宅の1階で発見された。
    • 小田川では合流先の高梁川の増水に伴い水がせき止められるバックウォーター現象が発生し、越水により堤防の外側が削られ決壊したとみられる。
  • 愛媛県では、西予市野村町で7日朝、野村ダムが満水に近づいたため緊急放流を行なったところ肱川が氾濫し、逃げ遅れた5人が死亡した。

(2019/8)佐賀県、福岡県、長崎県

  • 対象地域:佐賀県、福岡県、長崎県

令和元年8月の前線に伴う大雨では、2019年令和元年)8月27日から佐賀県福岡県長崎県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨による災害を記述する。

長崎県から佐賀県、福岡県にかけての広い範囲で、秋雨前線の影響で線状降水帯が発生し、8月28日を中心として各地で観測史上1位の値を更新する記録的な大雨となった。気象庁は8月28日早朝に、3県に大雨の特別警報を発表した。

令和元年8月の前線に伴う大雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  • 死者 4人(八女市1人、武雄市3人)、重傷者 1人、軽傷者 1人
  • 住家被害:全壊 87棟、半壊 110棟、床上浸水 1,645棟、床下浸水 4,513棟
  • 土砂災害:がけ崩れ 159件 ほか

(2020/7)令和2年7月豪雨【熊本豪雨】

  • 対象地域:4日:熊本県鹿児島県、6~7日:福岡県、佐賀県、長崎県、8日:岐阜県、長野県

鹿児島県本土で3日夜から4日朝にかけて、熊本県南部では4日未明から朝にかけて、局地的に猛烈な雨が降り、気象庁は4日4時50分に大雨特別警報を熊本県・鹿児島県に対して発表した。

このとき熊本県南部付近には、幅約70km、長さ約280kmの大規模な線状降水帯が発生していた。この線状降水帯は、2009年以降に九州で発生した線状降水帯の中ではもっとも規模が大きく、持続時間も最長だった。

また、梅雨前線上に発生した小低気圧の影響できわめて多量の水蒸気流入があったことに加えて、上空への寒気流入の影響により大気の状態が非常に不安定となり、近年の豪雨と比べてもっとも背の高い積乱雲がこの線状降水帯を形成していた。

令和2年7月豪雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

5日夕方から6日午前にかけては、鹿児島県本土で局地的に猛烈な雨が降り、鹿屋市などで記録的な大雨となった。

6日から8日にかけては、長崎県・佐賀県・福岡県筑後地方・大分県・熊本県北部で局地的に猛烈な雨が降り、気象庁は6日16時30分から7日11時40分まで、長崎県・佐賀県・福岡県に大雨特別警報を発表した。九州北部では6日昼ごろから複数の線状降水帯が形成されていた。8日には岐阜県や長野県でも非常に激しい雨が降り、8日6時30分に岐阜県、同日6時43分に長野県に大雨特別警報を発表した。

事前の予報
気象庁は、……特別警報級の天候が予想されるときは事前に記者会見を開いて警戒を呼びかけてきたが、この豪雨では7月4日に特別警報が発表されるまで会見は開かれなかった。前日の3日夕方時点で、気象庁は熊本県内の4日18時までの24時間雨量の予想を「多いところで200mm」と発表していたが、実際には400mmを超えた。5日、熊本地方気象台の台長は、「特別警報が出るほどの雨は十分に予測できなかった」と話した。

( 同上 )
  • 総務省消防庁による人的被害の状況(2021年2月26日時点)
    死者84名(うち熊本県65名)、行方不明者2名
  • 総務省消防庁による住家被害の状況(2021年2月26日15時00分時点)
    全壊1,620棟、半壊4,509棟、一部破損3,594棟、床上浸水1,652棟、床下浸水5,173棟。

(2021/7)鹿児島県、熊本県、宮崎県

熱海市伊豆山土石流災害」が発生した2021年7月3日のちょうど1週間後の土曜日(7月10日)、前年に続き九州地方に大雨特別警報が発表されました。

2021年7月10日(土)の【大雨特別警報】発表時刻
・05:30 鹿児島県さつま町、伊佐市、薩摩川内市、出水市
・05:55 宮崎県えびの市
・06:10 熊本県人吉市
・06:15 鹿児島県湧水町

エクストリーム特別警報 ~台風以外の大雨編~|Rxのnote

(2021/8)令和3年8月の大雨

  • 対象地域:13日:広島県、14~15日:長崎県、佐賀県、福岡県、広島県

2021年8月、梅雨末期に近い気圧配置となったことから、活発な前線の影響により、九州北部では11日からの降水量が1,000ミリを超え、1週間も経たず年間雨量の5割に達する地域も出るなど、全国各地の広範囲で記録的な大雨となり、河川の氾濫土砂崩れ、道路の崩壊などが多発した。

令和3年8月の大雨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
  • 死者13名(長崎5、広島・長野3、熊本・鹿児島1)
  • 全壊45棟、半壊1,234棟、床上浸水796棟、床下浸水4,091棟

(2022/8)山形県、新潟県

  • 対象地域:3~4日:山形県、4日:新潟県

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