ここ最近のNHKのど自慢での「ミュージカル」系定番曲について

【はじめに】
この記事では、ここ最近(2016年度以降)の「NHKのど自慢」で歌われた「ミュージカル」系定番曲について、私の主観を交えてご紹介していきたいと思います。

「ミュージカル」系定番曲についての概要

この記事では、厳密に「ミュージカル」ソングに限定するのではなく、のど自慢で歌われた時に「ミュージカル」っぽいって感じたり、「ミュージカル女優」志望の方が選びやすい曲を『ミュージカル』系定番曲とします。

そして、別記事を書く予定ですが、そもそも「洋楽」系(英語歌詞の曲)は、英語で歌っているというだけで評価が左右される傾向にあるので、今回の記事では基本的に「日本語(訳されたものを含む)」での楽曲を対象としたく思います。

  • 《 凡例 》
    「190501-01 ◯」
    • 190501:2019年05月01日放送回の意味
    • -01  :歌唱順が01番目
    • ◯   :結果を相撲の星取表になぞらえた表示
      • ◎:チャンピオン
      • C:チャンピオン大会での歌唱
      • ◯:合 格(鐘3つ)
      • ●:不合格(鐘2つ)
      • ▲:不合格(鐘1つ)

上に示した様な「凡例」で進行していきますが、手元データの集計上、対象範囲は「2016年度以降」に限られる点を予めご了承下さい。2015年度以前を含めると印象が変わってくる可能性もありますし、70年以上の歴史のあるうちの直近1割分ぐらいの参考値として捉えて下さいませ。

ここ最近の傾向から、定番曲を幾つか「難易度別」に分類してみましたので、ぜひご覧下さい。

「難」 :実は、長期連敗な『とびら開けて』

2010年代における最大級の「ミュージカル」系ヒットとなったのが、恐らくアニメ映画『アナと雪の女王』でしょう。そして、挿入歌として注目され、愛唱された楽曲の一つが『とびら開けて』でしょう。

特に2018年上半期には、わずか4ヶ月間で4度歌われるなどド定番と言って良いほどの人気を博していましたが、特に2017年度以降は非常に苦しい成績が出ている事をご存知の方は少ないかも知れません。

  • とびら開けて/神田沙也加、津田英佑
    • 160424-17 ○
    • 160814-03 ●
    • 160821-12 ○
    • 170129-17 ●
    • 170319-03 ●
    • 180204-13 ●
    • 180401-01 ●
    • 180513-07 ●
    • 180520-07 ●
    • 181125-08 ●
    • 220619-14 ●

2022年6月に約3年半ぶりに歌われて不合格。2016年4月からの3回で見れば合格先行だったのですが、2017年以降は連敗が続いています。合格率の平均値が約3割なことを考えると、平均すらも下回っているという結果になっています。

後述の楽曲との合格率に差が出ている一因として個人的に感じるのは、

  • 男女デュエットの現代の定番曲なため歌いたい人は多い一方で、2人ともの歌唱力が合格のレベルに達するぐらいなケースはレア
  • 「セリフに音階がついている」様なパートが多い(普通のミュージカル曲は、セリフみたいに歌う。似ている様で「のど自慢」では決定的に違う)
  • 原曲がノリノリな一方で、モノマネ大会ではないため、テンション感が「のど自慢」の空気感に絶妙にマッチしないと評価されにくい

こういった難点が複合的に作用して、上記連敗につながってきたのではないかと考えます。ただこれも数年の短期的なトレンドかも知れないので、皆さんがこのトレンドを打破するような素晴らしい歌唱をしてくださることを期待しています。
但し、一時期集中的に歌唱されて、「のど自慢」好きの一部から食傷気味になっている点にはご了承ください。

「易」 :同じアナ雪でも『生まれてはじめて』など

しかし、『とびら開けて』の様に苦戦しているミュージカル曲はむしろ少数派。全体的な傾向として、合格率3割という平均の目安を超えている楽曲の方が多いです。具体的な例をあげますと、

  • どこまでも ~How Far I’ll Go~/モアナ(屋比久知奈)
    • 180715-02 ○
    • 190127-10 ●
  • Let It Go ~ありのままで~/May.J
    • 160403-03 ● [Heartful ver.]
    • 160508-09 ○
    • 181014-06 ●
  • レット・イット・ゴー ~ありのままで~/松たか子
    • 210321-06 ○
    • 210620-07 ●
  • 生まれてはじめて/神田沙也加、松たか子
    • 160710-08 ◎
    • 160724-17 ○
    • 170320-06 C
    • 170521-09 ●
    • 171119-01 ●
    • 180923-10 ●
    • 181021-03 ●
    • 220320-11 ◎
    • 220508-18 ●

こういった楽曲たち(日本語歌唱を中心にピックアップ)は、合格率3~5割程度でここ数年は推移をしているようです。もちろんこれも今後どう推移していくかは分かりません。

例えば、「モアナ」の『どこまでも』は学生から高い支持を受けている一方で、原曲として歌った場合は合格率が低いです。対して、『Let It Go』は、イディナ・メンゼルVer.の原曲では合格率が高いなど一概には言えないものの、歌唱レベルに応じて選曲傾向にも違いがあるのかも知れません。

そして、着目すべきは『生まれてはじめて』でしょう。こちらは上の項でご紹介した『とびら開けて』と同じく『アナと雪の女王』の有名曲です。こちらも2017~18年にかけて連敗した時期もありましたが、複数回チャンピオンを輩出しています。なぜこうした差が出ているのかを妄想してみると、

  • 基本的に(若い)女性ソロで歌われるので、デュエットより紛れが少ない
  • ミュージカル感のあるメロディーながら、「演技/セリフ」の部分を求められにくい
  • 単純に歌唱力を前面に押し出す歌唱でも合格が狙える(MISIAなどと似た傾向)

こういった事情があろうかと思います。合格される方の多くは、小田切千アナウンサーが『将来の夢はミュージカル女優さんです!』などと前フリをしてくださるパターンも多いことからも明らかな様に、そういった方々御用達の楽曲の一つと言えます。

そういった夢を志す方々の持ち味を分かりやすく表現するのに適した楽曲といえるかも知れません。

「禁止」:驚異の『パート・オブ・ユア・ワールド』

そして、最後にご紹介するのが「禁止」と書かせていただいている楽曲たちです。私が使う意味での「禁止曲」については、下の記事で解説していますので詳細はそちらをご覧ください。(↓)

上の項でも2016年度以降での成績が合格から始まるケースは多くみられますが、ここ数年でもこうした事例は複数みられます。

  • Defying Gravity/『Glee』キャスト
    • 190310-14 ◎
  • 民衆の歌/[レ・ミゼラブル]より
    • 210704-09 ○

そして最後にご紹介したいのが、「ミュージカル」系定番曲の中でも最強(最恐)の「禁止曲」である『パート・オブ・ユア・ワールド』(リトル・マーメイド)です。

  • パート・オブ・ユア・ワールド
    • 170716-09 ○
    • 180422-11 ◎
    • 180520-08 ◎
    • 190203-10 ○
    • 190210-11 ○
    • 190331-02 ◎
    • 190421-10 ○
    • 190616-13 ◎
    • 191020-03 ◎
    • 210221-12 ●
    • 210620-13 ◎

(※)「NHKのど自慢」では、『劇団四季』と表されるものと、『すずきまゆみ』さんVer.として表現されるアニメバージョンで和訳歌詞が違ったりしますが、ここでは敢えて区別せずに表としています。

2017年からの5年間での「11戦10勝(合格率9割超、チャンピオン率5割超)」というのは、数ある禁止曲の中でも最強級です。平均値の合格率3割程度、チャンピオン率5%台と比較すると、その異常値度合いが分かるかと思います。

ガチ勢に向けた(厳しめ)アドバイス

ひょっとすると、この記事に「NHKのど自慢」の応募の選曲に際して訪れて下さった方がいらっしゃるかも知れません。「ミュージカル」っぽい曲を選ぼうとされている方かも知れませんね。

大前提として、「NHKのど自慢」に応募できるのは1曲のみですので、『自分が一番歌いたい曲、皆に届けたい、披露したい曲』を選ぶのが一番素直で素敵な選曲理由だと思います。逆に、

  • 『のど自慢』で“映え”るからこの曲を選ぼう とか、
  • 合格率がこんなにも高いからこの曲を選ぼう とか、
  • 『のど自慢』でバズってワンチャン「プロ」に…… とか、

そういう打算的な理由が先行してしまっての選曲であれば、個人的にはあまり好きではありません。 実際、合格率が高いので、合格、そしてチャンピオンに選出される可能性は高まるのですが、現実的に言ってそういう人の応募、本戦出場が目に余るほど多くなってしまいました

極まった2019年においては、年間で6回出場して全てが合格、そのうち2回がチャンピオンとなっていますが、数ヶ月に一度そういった存在が散見されるため、時間の経過と共に特別感がなくなり、あまり印象に残らないまま忘却の彼方にいってしまう宿命にあるのです。

少なくとも、本戦に出場して合格(チャンピオン)になれば、皆さん個人にとっては人生に残る大きな出来事になりますが、世間、そして業界にとってみれば「数百・数千」単位で存在するプロ志望の素人の一部でしかありません。実は『合格/チャンピオンになる』ことより、そこから先に繋げることの方が遥かに難しいのだということを理解はしておいて頂きたいです。

のど自慢に出て合格すれば、今思っている夢が叶うかも知れない!

と思って挑戦される方が全国に数百人単位でいる結果、目新しさがなくなり、「普通」となってしまうのです。もちろん普通の道より「箔」は付きますし、アピールしやすくはなるのですが、仮に合格などになったからといって、それで劇的に人生が変わるかというと案外……トントン拍子には行きにくいのではないかと思います。

「出場後プロデビューした主な著名人」をみても、逆に「ミュージカル女優」さん達の経歴をみても、なかなか『NHKのど自慢でミュージカルを歌ったのがキッカケ』と書いている方は見受けられません。(いらっしゃるかとは思いますが、数は少なく、また一生懸命検索しなければ見つからない程度には、相当に狭き門です)

貴方に言われなくても、そんなこと分かってますよ!

と、多分思われてしまうかと思いますが(^^; 一応、毎週「のど自慢」を見ている一人の視聴者としての私見をお伝えしました。皆さんが、「よくあるミュージカル俳優志望の一般参加者」として見做されてしまうのではなく、毎年何組もいるそういった方々の中で「特別な存在」として記憶され続ける、そんな素晴らしいパフォーマンスを披露してくださることを期待しています。

そして、「ミュージカル俳優」を志望しているからといって、ミュージカルの曲でなければ道が開けない訳ではないかとも思いますので、ぜひ視野を広げて検討していただければ幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました